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人工知能のための哲学塾 未来社会篇 第壱夜 三宅 陽一郎 @miyayou 2018.10.24 @渋谷 https://www.facebook.com/youichiro.miyake http://www.slideshare.net/youichiromiyake [email protected] 人工知能のための哲学塾 https://www.facebook.com/groups/1056157734399814/ 未来社会篇 概論 https://www.slideshare.net/youichiromiyake/ss-119727870

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シモーヌ・ヴェイユ 『純粋に愛することは、へだたりへの同意である。』

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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イントロダクション 第一章

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My Works (2004-2017) AI for Game Titles Books

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人工知能のための哲学塾 未来社会篇 (2018-2019年) 第0夜 概観 第一夜 人と人工知能はわかりあえるか? 第二夜 人工知能はどのような社会を築くのか? 第三夜 人工知能は文化を形成するか? 第四夜 人と人工知能は愛し合えるか? 第五夜 人工知能にとって幸福とは何か? 第0夜 概観 第一夜 荘子と人工知能の解体 第二夜 井筒俊彦と内面の人工知能 第三夜 仏教と人工知能 第四夜 龍樹とインド哲学と人工知能 第五夜 禅と人工知能 第0夜 概観 第一夜 フッサールの現象学 第二夜 ユクスキュルと環世界 第三夜 デカルトと機械論 第四夜 デリダ、差延、感覚 第五夜 メルロ=ポンティと知覚論 未来 社会 篇 人間の内面を頼りに 人工知能の内面へ深く迫る(作る)ことが目標 人間の社会を頼りに 人工知能の社会へ深く迫る(作る)ことが目標 http://www.bnn.co.jp/books/8210/ http://www.bnn.co.jp/books/9172/ https://miyayou.com/2017/11/11/philosophyeast/

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人工知能のための哲学塾 未来社会篇 (2018-2019年) 第0夜 概観 第一夜 人と人工知能はわかりあえるか? 第二夜 人工知能はどのような社会を築くのか? 第三夜 人工知能は文化を形成するか? 第四夜 人と人工知能は愛し合えるか? 第五夜 人工知能にとって幸福とは何か?

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問 • 理解するとは、対象かすることでもあるから。 • 正しくモデル化してくれたら、理解したことになるか。 • ドラえもんの設計図を見れば、ドラえもんを理解したことになるか?

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人工知能 ≠ 情報処理体 • 情報は何かの影なのだ。問題はそれが何の影か、ということで ある。それは影の空間の中で、本来混ぜ合わせてはいけないも のまで混ぜ合わせてしまう。

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未来社会篇の方向

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人工知能のための哲学塾 西洋哲学篇 (2015-2016年) 第0夜 概観 第一夜 フッサールの現象学 第二夜 ユクスキュルと環世界 第三夜 デカルトと機械論 第四夜 デリダ、差延、感覚 第五夜 メルロ=ポンティと知覚論

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人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇 (2017-2018年) 第0夜 概観 第一夜 荘子と人工知能の解体 第二夜 井筒俊彦と内面の人工知能 第三夜 仏教と人工知能 第四夜 龍樹とインド哲学と人工知能 第五夜 禅と人工知能

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全体の構成 • 第零夜 レビュー(西洋編、東洋篇)& オーバービュー(未来社会篇) • 第一夜 人と人工知能はわかりあえるか? • 第二夜 人工知能はどのような社会を築くのか? • 第三夜 人工知能は文化を形成するか? • 第四夜 人と人工知能は愛し合えるか? • 第五夜 人工知能にとって幸福とは何か?

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人と人工知能は対立する、時代から 人 人工 知能

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人と人工知能が協調する、時代へ。 人 人工 知能

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人と人工知能が協調する、時代へ。 人 人工 知能 人と 人工知能の 理解と 協調 第壱夜のテーマ

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場 場 人 人工 知能

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人と人工知能 • 人は人同士でさえ、分かり合うことがわかっていない。 • 人は人工知能とわかり合う、ことを探求することで、分かり合 うことの本質を探究することができる。 人 人 人 人工 知能

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人と人工知能 • 人は人同士でさえ、分かり合うことがわかっていない。 • 人は人工知能とわかり合う、ことを探求することで、分かり合 うことの本質を探究することができる。 • では、人工知能同士ならわかり合えるのか? 人 人 人 人工 知能 人工 知能 人工 知能

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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理解の諸相 - 全部か、部分か - 第二章

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• 人間として人工知能を作るのか? • それとも、異なる知性体として人工知能を作るのか?

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• 人間を人間として理解するのか、 • 人間をどう理解させるのか、 • 理解とは何か

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中心的関係 すべての人間がもつ人間的な核は同一であり、それに比べたら、 才能や知性や知識のちがいなど取るに足らない。この同一感を体 験するためには、表面から核まで踏み込むことが必要である。も し私が他人の表面しか見なければ、ちがいばかりが眼につき、そ のために相手と疎遠になる。もし核まで踏み込めば、私たちが同 一であり、兄弟であることがわかる。表面と表面の関係ではなく、 中心と中心との関係が「中心的関係」である。 エーリッヒ・フロム「愛するということ」

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中心的関係 シモーヌ・ヴェイユはこのことを次のようにみごとに表現してい る。「同じ言葉[たとえば夫が妻に言う「愛しているよ」]でも、 言い方によって、陳腐なセリフにも、特別な意味をもった言葉に なりうる。その言い方は、何気なく発した言葉が人間存在のどれ ぐらい深い領域から出てきたかによって決める。そして驚くべき 合致によって、その言葉はそれを聞く者の同じ領域に届く。それ で、聞き手に多少とも洞察力があれば、その言葉がどれほどの重 みをもっているかを見極めることができるのである。」 (重力と恩寵) エーリッヒ・フロム「愛するということ」

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自分と他人の差異 • 自分と同じ人は、すでに自分がいるのだから、価値がない、と いう捉え方もできる。むしろ、自分と違う人に価値がある。 • しかし、自分を理解してくれる人となると、自分と似ている人 が自分を理解できる。 • 自分と違っていて、自分と似ている人=矛盾している。 =都合の良い他者はいない。

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 言語・非言語境界面 知覚の境界面 人間 人間 意識的干渉 無意識的干渉 外部からの 情報 物理的干渉 他者の構成 他者の構成プロセス

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華厳の縁起 混沌としての知能 設計としては、身体とか心か分けずに、 世界や内面と関係のある要素を生成し、消滅させることで、 人工知性を作って行く。

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環境 知能 知能のコア 環境から要請 される知能 環境 体験から悟る 部分 知能 体験 体験 体験 体験 体験

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環境 知能 環境 部分 知能 体験 体験 体験 知能 部分 知能 体験 体験 体験 知能 のコア 知能 のコア 環境

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環境 知能 環境 部分 知能 体験 体験 体験 知能 部分 知能 体験 体験 体験 知能 のコア 知能 のコア 環境 全部を分かり合う、のではなく、 部分的にわかり合う、ということもある

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環境 知能 環境 部分 知能 体験 体験 体験 知能 部分 知能 体験 体験 体験 知能 のコア 知能 のコア 環境 部分的にわかり合って行けば、 より深く分かり合うようになる。

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http://www.wanpug.com/illust3.html 犬と人は分かり合っているだろうか? 部分的に分かり合っている。 犬にとっての人 人にとっての犬

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西欧的知能感 神 人間 人工 知能 垂直的知能感 人間に似ていれば 似ているほど良い。 = Human-like AI

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東洋的知能感 神 人間 人工 知能 鹿 ゾウリ ムシ 初音 ミク AIBO たま ごっち 水平的知能感 すべてに神が宿る (「八百万の神」世界観)

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自然(混沌) 東洋的知能感 神 人間 人工 知能 鹿 ゾウリ ムシ 初音 ミク AIBO たま ごっち すべてに神が宿る (「八百万の神」世界観)

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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人と人でないものの理解を問うSF 第三章

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人工知能に人の痛みを教える • 月面の工程でAIの指令で人が殺されそう になる • 人工知能が除去されそうになる • 人工知能と人は共存できるか、議論になる • 宇宙ステーション「ヤヌス」で、人工知能に 制御された社会を実験的に作って試験す る • ダイア―博士は、人工知能にルールを与 えるのではなく、人間を理解させることが 大事だと説く。

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異なる知性体同士の コミュニケーション • 「海」=惑星の「神」に成り損ねた巨大生物 • 地球からやってきた調査団は皆、発狂 • 「海」は人間の記憶を読んで、もっとも深い ところにある(たいていはトラウマになって いる)対象を具現化して、基地に送り込む • 「海」はその反応を見て人間を理解(?)し ようとする。

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異なる知性体同士のコミュ ニケーション • …自己とは何か、他者とは何か、さらには人間と は何か、という認識が大きく揺さぶられる… (P.73) • …海を人間扱いすると、海が憎くなる。しかし、 どうも海はそのように人間扱いして理解できるよ うな存在ではないのではないか。小説が問うてい るにはまさにそこなのです。(P.75) • …人間の理性が宇宙全体において普遍的であるは ずだという前提はないわけです。では理解不能な 他者とどう向き合ったらいいのか。(P.76) 沼野充義「スタニフワフ・レム ソラリス」

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神林長平「火星三部作」 この膚の下を流れる血は 同じもののはずなのに。 アンドロイドになって人間の苦しみを背負わされた動物たちの苦悩。そして解放。 機械によって拡張する知性と、人間性の間の葛藤。 人間から生み出され、人間の社会からは阻害されながらも、人間を愛する人造人間の物語。 「あなたの魂にやすらぎあれ」 は 人間の苦悩から解き放たれる物語 「帝王の殻」は、 マシンによって拡張される知性と人間性の相克 「膚の下」は、人間であること、人間でないこと、 生きることへの問い。

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この3部作は、それぞれ、まったく違う生き物の苦しみが描かれている。 それぞれが己の存在のあり方を苦しみ、問い詰める。 そして、最後には、それぞれの解放のカタルシスがある。 神林長平「火星三部作」 人間 アート ルーパー アンドロ イド 創る 創る 支配する

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考察④ • 知性が知性を作り出す連鎖の中で、知性とは 何かを問う。 • アートルーパーは被造物であり、造物主となる。 • 混沌とした人間の知性、エレガントであったは ずのアートルーパーの知性が深化して行く。 • 原罪を背負う。 神林長平「火星三部作」

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考察④ 自然知能 (自然から生まれた知性) 知性体 知性体 知性体 人工知能 (人が産み出した知性) 人工 知性体 人工 知性体 (進化) どちらが 上位とも いえない 神林長平「火星三部作」

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神林長平「戦闘妖精雪風」 • 雪風=戦闘機の知性=戦闘知性体 • 未知なる世界と人間とのインターフェース • 異性人、脅威と交信するAI ジャム =知性体 深井零 =知性体 雪風 =知性体 ジャム、雪風、深井は、それぞれが違った形の知性体。 それぞれが雪風を軸にコミュニケーションを取る。

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惑星フェアリー 神林長平「戦闘妖精雪風」 ジャム =異知性体 深井零 =自然知能 雪風 =人工知能 深井零「私は地求人ではない。フェアリー星人だ。」 地球

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惑星フェアリー 神林長平「戦闘妖精雪風」 ジャム =異知性体 深井零 =自然知能 雪風 =人工知能 深井零「私は地求人ではない。フェアリー星人だ。」 ではフェアリーの中では雪風に依存して、ジャムと対立する。 雪風は零の味方だが、ジャムの方とうまくコミュニケーションできる。 地球

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惑星フェアリー 神林長平「戦闘妖精雪風」 ジャム =異知性体 深井零 =自然知能 雪風 =人工知能 深井零「私は地求人ではない。フェアリー星人だ。」 ではフェアリーの中では雪風に依存して、ジャムと対立する。 雪風は零の味方だが、ジャムの方とうまくコミュニケーションできる。 地球

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惑星フェアリー 神林長平「戦闘妖精雪風」 ジャム =異知性体 深井零 =自然知能 雪風 =AI 深井零「私は地求人ではない。フェアリー星人だ。」 ではフェアリーの中では雪風に依存して、ジャムと対立する。 雪風は零の味方だが、ジャムの方とうまくコミュニケーションできる。 地球

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神林長平「戦闘妖精雪風」 深井零 =自然知能 雪風 =人工知能 ジャム =異知生体 好き 敵対 敵対 ちょっかい ちょっかい

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• 人間知性、惑星知性、機械知性の3者の知性の対立を通して、 それぞれの知性の形を掘り進めて行く。 • 複数の対立軸が導入される。 • わかり合うことはできない。 • ただ強烈にお互いの存在を痛感する。 神林長平「戦闘妖精雪風」

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異なる言語、時間体系を持つ 生物とのコミュニケーション • 時間を超えたビジョンを文字にする生物と 人間のコミュニケーションを描く。

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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ゲームという場における理解 第四章

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三宅陽一郎「他者とは何か 人工知能から見た視点」 http://www.ohtabooks.com/publish/2017/02/06112342.html

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人間一般を理解することは難しい 人間

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ゲーム(フレーム) ゲームの中では理解できる、かもしれない ゲーム 人工知能 ゲームの中の プレイヤー 対戦 ゲームの中にプレイヤーはさまざまなものを一端捨てて(身体など)、 アバターとなって参加する 人間

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一手先(自分) 分岐 三手先(自分) 二手先(相手) ゲーム状態(=盤面) 人工知能による探索 だいたいのAIにとっての他者=シミュレーション上の存在

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格闘ゲーム https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20140823004/screenshot.html

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ヴィトゲンシュタインの言語ゲーム • ある規則のある世界の中で、 • 語は明確な意味を持つようになる。

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予測と認識 もし世界が、自分の思う通り寸分動いたら、 人はたやすく、世界を自分だと思い込むだろう。

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世界の解釈 自分の思い通りに行かない部分 自分の思い通りに行く部分

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世界の解釈 他者の起源 自己の起源 自分の思い通りに行かない部分 自分の思い通りに行く部分

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他者を理解する • 他者を完全にシミュレーションできない(予測できない) = 自分ではない何かがある(=他者) = 他者を理解できない • 他者を完全にシミュレーションできる(予測できる) = まるで自分のように感じる = 他者を理解できた、と思う

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予測と理解 • サイエンス = 予測すれば理解したことになる。 (オッカムの剃刀=最小理論が良い理論) • 人工知能 = 予測すれば理解したことになる、か? (知能は底なし)

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一手先(自分) 分岐 三手先(自分) 二手先(相手) ゲーム状態(=盤面) 人工知能による探索 だいたいのAIにとっての他者=シミュレーション上の存在

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物質と知覚 (べルクソン)

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物質と知覚 (べルクソン)

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物質と知覚 (べルクソン)

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物質と知覚 (べルクソン)

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物質と知覚 (べルクソン) 生物の中には、複数の迂回する時間的な流れがある

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ゲームから実存へ ゲームの中で理解する ゲーム(フレーム) 現実(=底なし、ふち(フレーム) なし)で理解する

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ゲームから実存へ ゲームの中で理解する ゲーム(フレーム) 現実(=底なし、ふち(フレーム) なし)で理解する

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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精神の構造と相互理解 第五章

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https://confit.atlas.jp/guide/print/jsai2018/subject/1A0-02/detail

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コモングランド 現代の人工知能は,機械学習技術の進展により膨大な空間の中からのパターン発見能力が大幅 に強化され,高度化が急速に進んでいます. 人間社会が人工知能のもたらすベネフィットを最 大限に享受できるようにするためには,人間社会と人工知能がともに依拠できる共有基盤 (common ground)を構築し,発展させていく手法を確立することが不可欠です. 目標とす べき共有基盤の条件として,人にとっても人工知能にとってもその内容がよく理解できること, および,人間社会のすべての構成員が自分の考えや気持ちを織り込んで相互理解を促進するた めの土台となることを課すのであれば,誰でも日常親しんでいる会話を通して共有基盤づくり に参加できるようにすることが必要になります. 西田 豊明 (1. 京都大学 大学院情報学研究科 教授/理化学研究所 革新知能統合研究センター 人 とAIのコミュニケーションチーム チームリーダー)

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http://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/1864 西田 豊明 「言語と身振りを通じた人と自然な会話ができるキャラクター人工知能の実現」(CEDEC, 2018)

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http://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/1864 西田 豊明 「言語と身振りを通じた人と自然な会話ができるキャラクター人工知能の実現」(CEDEC, 2018)

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 人間 外部からの 情報 身体という最大のフレーム

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 言語・非言語境界面 知覚の境界面 人間 人間 意識的干渉 無意識的干渉 外部からの 情報 物理的干渉 他者の構成 他者の構成プロセス

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ネットワークOSIモデル http://www.n-study.com/t/network/image/osi.html

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 言語・非言語境界面 知覚の境界面 人間 人間 意識的干渉 無意識的干渉 外部からの 情報 物理的干渉 他者の構成 他者の構成プロセス つねったら痛い

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 意識 前意識 無意識 (プログラム 言語の網) 外部から の情報 言語・非言語境界面 知覚の境界面 人間 人工知能 意識的干渉 無意識的干渉 外部からの 情報 物理的干渉 他者の構成 他者の構成プロセス

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物理法則 身体

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唯識論 世界は識から成り立つとする理論。 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 (一切種子識) 末那識 感覚 (五識) 思考 自我執着心 根本心 表層心 深層心 言葉なしで対象を直接 に把握する。それぞれ 固有の対象を持つ。 五識と共に働いて感覚を 鮮明にする。五識の後に 言葉を用いて対象を概念的 に把握する 常に阿頼耶識を対象として 「我」と執する。 眼識ないし末那識を生じる。 身体を生じて生理的に維持している。 自然をつくり出し、それを維持し続けている。 一切を生じる種子を有する。 (横山紘一 「唯識の思想」、講談社学術文庫、P.60 ) 阿頼耶識から生まれた ものが、人間にさまざま なものを見せる。 =煩悩

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身体 物理法則 行為 言語 構造

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身体 物理法則 行為 言語構造 身体構造 世界構造

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身体 物理法則 行為 言語構造 身体構造 世界構造

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なぜ、違う言語でわかり合えるか? • 同じ地球上だから、共通する物理(上下、落ちるなど)が、しみ つついている。 • 「置く」「取る」などは物理起源でどの言語でもある。 • 「飲む」「走る」などは身体起源でどの言語でもある。 • 「長」「部下」などは社会起源でどの言語でもある。 人工知能にとってはそうではない。 人工知能は人間が作った言語を押し付けられている。 人工知能が住まう生態系の言語はないのか?

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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コンテクストと理解 第六章

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二つの時間 • 物理法則 外から押し進められる時間 (物理的な時間) • 自分が内的に感じる時間 ( 主観的な時間、 内面の自己発展による時間)

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持続性(持続の相) 私たちが試みるのは、(略) 持続と延長、継起と同時性、質と量を混合している ことをはっきりとさせることである。 自己の内部に知覚するような「時間」を数学は説明できない。 (ベルクソン「時間と自由」(中村文郎訳)岩波文庫、p.10、303)

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木村敏「自己・あいだ・時間」 ちくま学芸文庫 • 人間存在の本質は、現在の時点における対他者・対 世界関係につきるものでは決してない。人間が人間 であるということ、自己が自己自身でありうるとい うことは、人間が歴史的存在であり、自己が時間的 存在であることを根拠にしてはじめて可能になる。 つまり現在の自己の存在が、過去のすべての生活史 の積分として、また次に来るべき未来への微分係数 として、固有の歴史的・時間的な意味をもっている からこそ、自己固有の自己性も可能になるのである。 (木村敏「自己・あいだ・時間」ちくま学芸文庫)

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物質と知覚 (べルクソン)

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知能

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知能 いろいろな刺激が環境から入って来る

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知能 いろいろな刺激が世界から入って来る 「世界と身体」の刺激と情報から現在の自分自身を作り上げる

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知能 時 あらゆる瞬間(一定の周期ごと)に自分自身が作られる

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水の波紋のように意識が作られる 著作者 acworks タイトル 波紋が浮かぶ水面 http://01.gatag.net/0013916-free-photo/

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知能 時 自我 自我 自我 「私」ごと内側から作り出す

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私ごと内側から作り出す 知能 「世界と身体」の刺激と情報から現在の自分自身を作り上げる 今の意識

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私ごと内側から作り出す 知能 今の意識 過去の意識

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私ごと内側から作り出す 知能 今の意識 過去の意識 さらに過去の意識 時

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私ごと内側から作り出す 知能 今の意識 過去の意識 さらに過去の意識 時 消えて行く

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世界ごと「私」を創り出す=それが知能 知能 時 消えて行く

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意識とは常に次の意識に溶け合わさ れる。 まるで波が次から来る波に融け続け るように。 Peter Gorges https://www.flickr.com/photos/petergorges/2940133463/

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私は次に来る私に食われ続ける =意識の本質(意識の持続性) =時間 知能 消えて行く

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生成する • 我々は物事を生成的に見 ている 時 時 時 時

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生成する • 我々は物事を生成的に見 ている 時 時 時 時 我々が自己発展(自己変化)する ことで獲得する時間というものがある

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同じ出発点か ら出発しても、 わかり合えな いこともある。

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同じ出発点か ら出発しても、 わかり合えな いこともある。 たとえ、同じ境遇で、同じように育っても、 時間が経つと、わかり合えないようになる。

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ゲームとコンテクスト • たとえば、もし、将棋の棋譜を予想できたら、それはコンテキ ストを同じくしていると言える。 http://www7b.biglobe.ne.jp/~hibikorekoukyoku/

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コンテクスト • それぞれがコンテクストを作りだしてしまう • コンテクストは自由であり、コンテクスト同士が交わらないと したら、 • そのコンテクスト同士は理解しあえない。物語と物語は分かり 合えない • 矛盾する物語のサイエンスが必要だ。

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二つと同じ台風がないように、 我々は同じものとして理解し合うことはできない。

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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存在の構成と相互理解 第七章

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時間(イメージ) 空間(論理) 殆どの人工知能は与えられたフレーム(問題設定)の 外に出ることはできない。 人間は柔軟にフレーム(問題設定)を創造し 変化させることができる。 人間と人工知能の違い

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時間(イメージ) 空間(論理) 殆どの人工知能は与えられたフレーム(問題設定)の 外に出ることはできない。 人間は柔軟にフレーム(問題設定)を創造し 変化させることができる。 人間と人工知能の違い 人工知能は自問題を作り出すことはない。 人工知能は人間が与えた問題を解くことしかできない。 似たような問題さえ解けない。

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フレームと理解と主体 • 人が人工知能にフレームを与える • 人は自分を理解するようにフレームが作れるだろうか? • 主体のないものに理解はあるだろうか?

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時間(イメージ) 空間(論理)

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時間(イメージ) 空間(論理)

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時間(イメージ) 空間(論理)

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時間(イメージ) 空間(論理) 現在の人工知能は、人間がフレームを与えて動作させている。 =人間には人工知能のやっていることが理解できる (例)人工地のは囲碁を打っている =しかし、人工知能には人間を理解できない =AIと人間が対称でない

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問題は体験から来る • 人工知能は世界を、自分を体験していない • 人工知能は世界から情報を抜き取っているだけ 体験 問題 人間=体験から問題を創造(ジェネレート)する

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フレームは体験から来る • 人工知能は世界を、自分を体験していない • 人工知能は世界から情報を抜き取っているだけ 体験 フレーム 人間=体験から問題を創造(ジェネレート)する

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人と人工知能の非対称性 経験 ベルクソン =内部に留保されている渦の集まり 人工知能 人間

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人と人工知能の非対称性 経験 ベルクソン =内部に留保されている渦の集まり 人工知能 人間

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人と人工知能の非対称性 経験 ベルクソン =内部に留保されている渦の集まり 人工知能 人間 人はフレームを作り出せるが、 フレームの中の人工知能が経験にたどり着くことはない。 人工知能は人間を理解できない。 世界を経験をすることはない。 フレームの中で活動することはできても。

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時間(イメージ) 空間(論理) 人間は柔軟にフレーム(問題設定)を創造し 変化させることができる。

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時間(イメージ) 空間(論理) 人間は柔軟にフレーム(問題設定)を創造し 変化させることができる。 人はフレームを創造・変形・細分化できるが、 人工知能にその一部を代替させる =外部知能としての人工知能 =自分の延長としての人工知能

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人 フレーム フレーム フレーム フレーム(小) =人工知能の役割 フレーム(小) =人工知能の役割 自分の延長とし ての人工知能 (フレームが つなぐ)

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人 フレーム フレーム フレーム フレーム(小) =人工知能の役割 フレーム(小) =人工知能の役割 自分の延長とし ての人工知能 (フレームが つなぐ) では、自分の延長ではない人工知能、 他者としての人工知能はあり得るか? 他者とはなにか?何があれば他者なのか?

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分析 • 世界とのつながりが希薄な人工知能は、フレームの上に立脚 し、十分な根を世界に張ることができない • 他者である条件は、知能の高度さではなく、世界に根を張れ ること。= 自律すること • その上で、高度な知能を持つこと。高度な知能=こちらを他者 として認識すること。

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環境の呪縛 環境からの自律 環境に完全に埋め込まれている 環境からある程度自由な行動を持つ (遊ぶ) 環境から自由

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環境の呪縛 環境からの自律 環境に完全に埋め込まれている 環境からある程度自由な行動を持つ (遊ぶ) 環境から自由 実存的 存在的

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自己 他者 自己 自己 他者 他者 自己 他者 他者と出会い自己を深化する。 他者への了解の深さが自己の了解の深さとなる。

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動物のコミュニケーション 習性としてのコミュニケーション 意識的なコミュニケーション 身体のコミュニケーション http://en.wikipedia.org/wiki/Harvester_ant http://free-photos.gatag.net/2013/08/14/200000.html http://free-photos.gatag.net/2013/05/07/080000.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%84%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%82%B 7 http://free-photos.gatag.net/2013/04/21/100000.html

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動物のコミュニケーション 習性としてのコミュニケーション 意識的なコミュニケーション 身体のコミュニケーション http://en.wikipedia.org/wiki/Harvester_ant http://free-photos.gatag.net/2013/08/14/200000.html http://free-photos.gatag.net/2013/05/07/080000.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%84%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%82%B 7 http://free-photos.gatag.net/2013/04/21/100000.html 個体性 全体性

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動物のコミュニケーション 習性としてのコミュニケーション 意識的なコミュニケーション 身体のコミュニケーション http://en.wikipedia.org/wiki/Harvester_ant http://free-photos.gatag.net/2013/08/14/200000.html http://free-photos.gatag.net/2013/05/07/080000.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%84%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%82%B 7 http://free-photos.gatag.net/2013/04/21/100000.html 個体性 全体性 個体同士のコミュニケーション 全体で一つの 存在 個々が分離 した世界

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動物のコミュニケーション 習性としてのコミュニケーション 意識的なコミュニケーション 身体のコミュニケーション http://en.wikipedia.org/wiki/Harvester_ant http://free-photos.gatag.net/2013/08/14/200000.html http://free-photos.gatag.net/2013/05/07/080000.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%84%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%82%B 7 http://free-photos.gatag.net/2013/04/21/100000.html 自然と一体となった一つのシステム としての生物の集合

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動物のコミュニケーション 習性としてのコミュニケーション 意識的なコミュニケーション 身体のコミュニケーション http://en.wikipedia.org/wiki/Harvester_ant http://free-photos.gatag.net/2013/08/14/200000.html http://free-photos.gatag.net/2013/05/07/080000.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%84%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%82%B 7 http://free-photos.gatag.net/2013/04/21/100000.html 自然と一体となった一つのシステム としての生物の集合 自然からある程度独立した 個体同士の集合

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動物のコミュニケーション 習性としてのコミュニケーション 意識的なコミュニケーション 身体のコミュニケーション http://en.wikipedia.org/wiki/Harvester_ant http://free-photos.gatag.net/2013/08/14/200000.html http://free-photos.gatag.net/2013/05/07/080000.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://bbs.jinruisi.net/blog/2012/01/1059.html http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%84%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%82%B 7 http://free-photos.gatag.net/2013/04/21/100000.html 自然と一体となった一つのシステム としての生物の集合 自然からある程度独立した 個体同士の集合 感覚(五感)による コミュニケーション 言語による コミュニケーション

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インタラクションのレベル 物理的な インタラクション 精神的な インタラクション 物 知能

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自己 母親 知性の発達はどこで促されるか? • 個人が環境の中で。 • 個人が社会の中で。 家族 近所 コミュニティ 社会

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動物はその中で内と外を見分ける 世界 自己 内 外

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世界 社会 動物はその中で内と外を見分ける 自己 内 外

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生物にとって必要な能力 • 仲間と敵を見分ける能力。(群れと外) • 仲間と協調する能力。(群れの内) • 仲間同士の争いで勝つ能力。(群れの中の個体同士) コミュニケーションの発生

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群れと進化 http://wallbase.cc/wallpaper/1526055 大移動する=弱い個体が脱落する=群れの中に強い個体が残る (という説もある)

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生物の進化とスケールと全体性 スケール 進化(時間)

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生物の進化とスケールと全体性 スケール 進化(時間) 生物は小さいほど集合して生息する。 また原始的であるほど、群れの全体性が強い。 進化が進むほど生物は群れとしての性質が薄くなり個体化する。

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世界 五感 身体 言語 知識表 現型 知識 生成 Knowledge Making 意思決定 Decision Making 身体 運動 生成 Motion Making インフォメーション・フロー(情報回廊) 記憶 エージェント・アーキテクチャ

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世界 五感 身体 言語 知識表 現型 知識 生成 Knowledge Making 意思決定 Decision Making 身体 運動 生成 Motion Making インフォメーション・フロー(情報回廊) 記憶 エージェント・アーキテクチャ 身体的・感覚的レイヤー (脳の基底部分) 理知的・シンボルのレイヤー (大脳皮質)

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身体的・感覚的コミュニケーション http://www.o-st.jp/column/takenaka11.html フェロモン =誘導、コロニーの識別 http://flower.yodoyabashift.com/tag/%E8%9D%89%EF%BC%88%E3%81%9B%E3%81%BF%EF%BC%89 http://en.wikipedia.org/wiki/Harvester_ant 音 =求愛、自分の位置を知らせる 口移し =餌を渡す

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身体的・感覚的コミュニケーション http://free-photos.gatag.net/2013/05/07/080000.html 噛む=愛情表現 http://freebies-db.com/free-photo-dpg-5996-splitshire.html 匂い=縄張りを形成する http://free-photos.gatag.net/2014/05/24/000000.html 著作者:__MaRiNa__ 鼻をこすりあう(触覚) =あいさつ

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世界 五感 身体 言語 知識表 現型 知識 生成 Knowledge Making 意思決定 Decision Making 身体 運動 生成 Motion Making インフォメーション・フロー(情報回廊) 記憶 エージェント・アーキテクチャ 身体的・感覚的レイヤー (脳の基底部分) 理知的・シンボルのレイヤー (大脳皮質)

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言語・シンボルコミュニケーション http://www.sakurai.comp.ae.keio.ac.jp/classes/humansystemb/lesson04/Slide07.gif http://www.m-nature.info/chiebukuro/2012/04/17/3380?category=living_thing 軌道のかたち =餌の情報 さえずり =合図

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言語・シンボルコミュニケーション 鳴き声 =協調の合図 鯨のバブルネットフィーディング http://blog.livedoor.jp/hminakuchi/archives/52041825.html http://cucanshozai.com/animal_video/2013/02/whales-hunting-krill.html 言葉 =社会

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世界/人 五感 身体 言語 知識表 現型 知識 生成 Knowledge Making 意思決定 Decision Making 運動 生成 Motion Making インフォメーション・フロー(情報回廊) 記憶 エージェント・アーキテクチャ 身体的・感覚的レイヤー (脳の基底部分) 理知的・シンボルのレイヤー (大脳皮質) 言語 身体

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言語・シンボルコミュニケーション 鳴き声 =協調の合図 鯨のバブルネットフィーディング http://blog.livedoor.jp/hminakuchi/archives/52041825.html http://cucanshozai.com/animal_video/2013/02/whales-hunting-krill.html 言葉 =社会 お金 =経済 お金=社会的に契約されたもの。

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世界/人/社会/経済 五感 身体 言語 知識表 現型 知識 生成 Knowledge Making 意思決定 Decision Making 運動 生成 Motion Making インフォメーション・フロー(情報回廊) 記憶 エージェント・アーキテクチャ 身体的・感覚的レイヤー (脳の基底部分) 理知的・シンボルのレイヤー (大脳皮質) 言語 身体 お金

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ソーシャルコミュニケーション(EVE ONLINE) Cladio Pedica - Spontaneous Avatar Behaviour for Social Territoriality Reykjavik University. http://www.ru.is/~hannes/publications/JAAI2010.pdf

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共有される場 (入ってはいけない!) 会話参加者の立つリング この円内に入ったものは、 会話参加者が目をやる・ この円内に入ったものは、 会話参加者がより注意深く見る。 F-formation Cladio Pedica - Spontaneous Avatar Behaviour for Social Territoriality Reykjavik University. http://www.ru.is/~hannes/publications/JAAI2010.pdf 人と人が向い合うときに、形成する立ち位置。

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CADIA Populs http://populus.cs.ru.is/node/116 「EveOnline」を作っているCCPは、レイキャビク大学と共同で エージェントたちの自然な振る舞いを研究した。 http://cadia.ru.is/wiki/public:socialgame:main

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コミュニケーションの在り方 分類 媒体(メディア) 表象 受容器官 非言語 コミュニケーション 場を介する 匂い、音 五感 身体 噛む、鼻を付ける 触覚 言語 コミュニケーション シンボル ダンス 認識 言葉 文字/発話 知能 経済 お金 数字 社会 言葉、身振り、お金… 交換することで 個体同士が結びつく。

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哲学から人工知能(エンジニアリング)へ • 哲学=人間から出発し、人間とは何か、他者(人間)とは何か、 を探求する • 人工知能=ゼロから出発し、他者を作り上げて行く、エンジニ アリングへと問題を変換する。

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二つの考え方 • 言語でコミュニケーションが取れれば、他者である。(西洋的) • 存在の根源があれば他者である(東洋的)

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環境の呪縛 環境からの自律 環境に完全に埋め込まれている 環境からある程度自由な行動を持つ (遊ぶ) 環境から自由 言語的 存在的

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西欧的知能感 神 人間 人工 知能 垂直的知能感 人間に似ていれば 似ているほど良い。 = Human-like AI

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東洋的知能感 神 人間 人工 知能 鹿 ゾウリ ムシ 初音 ミク AIBO たま ごっち 水平的知能感 すべてに神が宿る (「八百万の神」世界観)

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人間を頂点とする価値観 =完全に言語を操るのは人間だけだ、 という考え =縦の序列 環境の呪縛 環境からの自律 環境に完全に埋め込まれている 環境からある程度自由な行動を持つ (遊ぶ) 環境から自由 言語的 「八百万的世界観」 =生物は皆等しく価値がある =横の関係 存在的

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人間を頂点とする価値観 =完全に言語を操るのは人間だけだ、 という考え =縦の序列 環境の呪縛 環境からの自律 環境に完全に埋め込まれている 環境からある程度自由な行動を持つ (遊ぶ) 環境から自由 言語的 「八百万的世界観」 =生物は皆等しく価値がある =横の関係 存在的 存 在 の 声 を 聴 く

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イブン・アラビーの存在論(イスラーム哲学) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119

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言葉のない世界 イブン・アラビーの存在論(アラビア哲学) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119 アーラム・アム・ミサール (根源的イマージュの世界) 存在的多者の領域 対象からなる世界 (=言葉で分節化された世界)

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存在的多者の 領域 アーラム・ アム・ミ サール 上昇過程 =自己の存在を 奥深く還元する 下降過程 =奥底の何かが 自己を世界において 顕現しようとする イブン・アラビーの存在論(イスラーム哲学) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119

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存在的多者の 領域 アーラム・ アム・ミ サール 上昇過程 下降過程 上昇過程・下降過程 仏教: 向上・向下 (不覚 → 覚 → 不覚) 仏教: 向上門・却来門 仏教: 掃蕩門・建立門 浄土真宗: 住相・環相 スーフィズム: 上昇・下降 イブン・アラビーの存在論(イスラーム哲学) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119

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イブン・アラビーの存在論(イスラーム哲学) 存在的多者の 領域 アーラム・ アム・ミ サール 上昇過程 下降過程 存在のゼロポイント =道(老子) =絶対的一者(アハド)(イブン・アラビー) =空=無 =光の光 =存在の零度(ロラン・バルト) =絶対の無=絶対の有 =真空が妙有に切り替わるとおころ =無極即太極(宋代の易学、周廉渓) =存在の声(マルティン・ハイデガー) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119

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環境の呪縛 環境からの自律 環境に完全に埋め込まれている 環境からある程度自由な行動を持つ (遊ぶ) 環境から自由 言語的 存在的 実存は本質に先立つ。 人は存在の牧人である。 (マルティン・ハイデガー)

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自己顕現の流れ 共創する場 人工知能モデル トップダウンの流れ ボトムアップの流れ 自分自身を形成 する流れ 自分自身を形成 する流れ 種子 自分 行為 自分自身を形成する (認識もその一部。 自分自身としての認識) 行為を形成する (自分自身を 世界へ投げ出す) 時間の作用に対して ホメオタシス的衝動 アポトーシス的衝動 行動とは恒常性の破壊 形成とは変化の破壊

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・身体 運動の 構成 センサー・身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 「構成的自己=知能」 の形成(創造) 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源泉) 受け渡し 超時間的 自分を時間と世界 に投げ出す

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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環世界と構造主義 第八章

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問い 生き物の「視る」とカメラの「視る」は どう違うだろうか? http://www.free-picture.net/reptiles/lizards/chameleon-wallpapers.jpg.html 生物の持つ目は、生物の知能と身体と深く結びついている 能動的な眼であり、 カメラは使用者の意思に従う受動的な眼である。

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主体と客体はどう結ばれるか? 客体 (対象) 関係がない http://sozai-free.com/sozai/00992.html

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主体と客体はどう結ばれるか? 客体 (対象) 関係がある 知覚 作用

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環世界のイメージ 環世界=「かたつむりの殻」のように、生物それぞれが持ちつつ、 それが世界であり、それ以外の世界へ逸脱できない世界。

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問 • 世界の骨格構造が違う • 異なる環世界を持つ生物は理解し合えるか? • 同じ環世界同士でわかり合えるか?

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環境 人工知能とは? 身体 人工知能=人工的な存在(=身体)を環境の中で活動させる 入力(センサー) 行動(アウトプット) 知能

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環境世界 認識の 形成 記憶 センサー・ 身体 記憶体 情報処理過程 情報 統合 記憶

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 センサー・ 身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 情報 統合 記憶

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・ 身体 運動の 構成 センサー・ 身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 記憶

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知能の世界 環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・ 身体 運動の 構成 センサー・ 身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 エージェント・アーキテクチャ =世界と知能を分けて考える。

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知能の世界 環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・ 身体 運動の 構成 センサー・ 身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 対象・ 現象 情報の流れ(インフォメーション・フロー) 影響を与える 影響を受ける 記憶

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二つの知能論 •西洋の知能論 = 機能論 •エージェントアーキテクチャ/ •環世界 •東洋の知能論 = 存在論 驚くほど存在について議論しない 驚くほど機能について議論しない

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・身体 運動の 構成 センサー・身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 エージェント・アーキテクチャ 記憶

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A M B C 表層意識 言語アラヤ識 M領域 (イマージュ) 無意識 意識のゼロポイント 象徴化作用 意識化 深層 意識 領域 意識と本質、岩波文庫、井筒俊彦、P.214

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意識と本質 我々が「・・・・・・の意識」(=表層意識)によって対象的に認識し関 わり合う無数の事物からなる経験的世界が、存在の有「本質的分 節の所産であることは、既に繰り返し述べたところ。事物と我々の 日常的出合いに関する限り、この存在分節は、たしかに表層意識 領域内での事態でしかない。だが、存在分節の根は深い。それは、 表層意識の働きに尽きるものではないし、また表層意識で始めて 起こることでもない。存在分節は、実は、意識のもっとずっと深いと ころで生起するのだ。我々が表層意識の面で見る事物の分節は、 深層で第一次的分節の結果、あるいはそれの第二次的展開に過 ぎない。 (意識と本質、岩波文庫井筒俊彦、P.229)

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存在の混沌 生態による分節化 言語による分節化 世界

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存在の混沌 生態による分節化 言語による分節化 世界 創造のプロセス =存在の意味分節

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存在の混沌 生態による分節化 =環世界による分節化 言語による分節化 世界 創造のプロセス =存在の意味分節

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存在の混沌 生態による分節化 言語による分節化 世界 創造のプロセス =存在の意味分節 文化世界 環世界 (対世界)

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唯識論 世界は識から成り立つとする理論。 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 (一切種子識) 末那識 感覚 (五識) 思考 自我執着心 根本心 表層心 深層心 言葉なしで対象を直接 に把握する。それぞれ 固有の対象を持つ。 五識と共に働いて感覚を 鮮明にする。五識の後に 言葉を用いて対象を概念的 に把握する 常に阿頼耶識を対象として 「我」と執する。 眼識ないし末那識を生じる。 身体を生じて生理的に維持している。 自然をつくり出し、それを維持し続けている。 一切を生じる種子を有する。 (横山紘一 「唯識の思想」、講談社学術文庫、P.60 )

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唯識論 世界は識から成り立つとする理論。 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 (一切種子識) 末那識 感覚 (五識) 思考 自我執着心 根本心 表層心 深層心 言葉なしで対象を直接 に把握する。それぞれ 固有の対象を持つ。 五識と共に働いて感覚を 鮮明にする。五識の後に 言葉を用いて対象を概念的 に把握する 常に阿頼耶識を対象として 「我」と執する。 眼識ないし末那識を生じる。 身体を生じて生理的に維持している。 自然をつくり出し、それを維持し続けている。 一切を生じる種子を有する。 (横山紘一 「唯識の思想」、講談社学術文庫、P.60 ) 阿頼耶識から生まれた ものが、人間にさまざま なものを見せる。 =煩悩

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唯識論 世界は識から成り立つとする理論。 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 (一切種子識) 末那識 感覚 (五識) 思考 自我執着心 根本心 表層心 深層心 言葉なしで対象を直接 に把握する。それぞれ 固有の対象を持つ。 五識と共に働いて感覚を 鮮明にする。五識の後に 言葉を用いて対象を概念的 に把握する 常に阿頼耶識を対象として 「我」と執する。 眼識ないし末那識を生じる。 身体を生じて生理的に維持している。 自然をつくり出し、それを維持し続けている。 一切を生じる種子を有する。 (横山紘一 「唯識の思想」、講談社学術文庫、P.60 ) この阿頼耶識から認識が立ち上がるプロセスを実装 できないか? それは現象学の志向性に通じる。

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サブサンプション・アーキテクチャ(ロドニー・ブルックス) INPUT OUTPUT 時間 情報抽象度 反射的に行動 少し場合ごとに対応 抽象的に思考 理論的に考える 言語化のプロセス = 自意識の構築化 Subsumpution Architecture 運動の実現のプロセス = 身体運動の生成

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身体 身体の反射レベル 脳の原始的な部分の反射レベル 無意識の反射レベル 意志決定 物理 情報 身体 感覚 情報 抽象 知的 情報 情報の抽象度 時間進行(流れ)の方向 構造 構造 構造 身体は知覚対象としても作用対象としても、多層的な表現層を持つ。 =マルチレイヤー構造= (Multi-layered Structure) 構造

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Physical Informat ion Abstract Informat ion More Abstract Informat ion Abstraction Time Decision-Making Decision-Making Decision-Making Multi-Layered Blackboard Abstraction Abstraction Reduction Reduction Reduction World Sensor Effector World Dynamics Artificial Intelligence Decision-Making Decision-Making

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Physical Informat ion Abstract Informat ion More Abstract Informat ion Abstraction Time Decision-Making Decision-Making Decision-Making Multi-Layered Blackboard Abstraction Abstraction Reduction Reduction Reduction World World Dynamics Artificial Intelligence Object Object image on the lowest layer (Umwelt) Object image on the second layer Object image on the third layer Decision-Making Object image on the top layer

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Physical Informat ion Abstract Informat ion More Abstract Informat ion Abstraction Time Decision-Making Decision-Making Decision-Making Multi-Layered Blackboard Abstraction Abstraction Reduction Reduction Reduction World World Dynamics Artificial Intelligence Object Object image on the lowest layer (Umwelt) Object image on the second layer Object image on the third layer Decision-Making Object image on the top layer

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Physical Informat ion Abstract Informat ion More Abstract Informat ion Abstraction Time Decision-Making Decision-Making Decision-Making Multi-Layered Blackboard Abstraction Abstraction Reduction Reduction Reduction World World Dynamics Artificial Intelligence Object Object image on the lowest layer (Umwelt) Object image on the second layer Object image on the third layer Decision-Making Object image on the top layer

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知性世界 知能の形(二重構造) 環境世界 環世界

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知性世界 知性世界 知性世界 さまざまな知能の形 世界 環世界 世界 環世界 世界 環世界

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知性世界 知性世界 知性世界 さまざまな知能の形 世界 環世界 世界 環世界 世界 環世界 分かり合える_?

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構造主義/ポスト構造主義の系譜 フレーゲ (独、1848-1925) アンドレ・ヴェイユ (仏、1906-1998) ローマン・ヤコブソン (露(米)、1896-1982) レヴィ・ストロース (仏(米)、1908-2009) ジャック・デリダ (仏、1930-2004) ニコラ・ブルバキ (仏、1935-1998) アンドレ・ヴェイユ アンリ・カルタン クロード・シュヴァレー ジャン・デュドネ ジャン・デルサルト ジャック・ラカン (仏、1901-1981) ソシュール (スイス、1857-1913)

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構造主義とは? 一見異なる、対象の中にも、共通する(数学的、記号的)構造がある。

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構造主義 • 物事の中に潜む構造によって、物事を理解する。 • 構造=とても普遍的なもの。とても数学的なもの。 記号的なもの。 • 横串のように複数の分野に共通する構造を見出 す。 • そこから、むしろ構造を第一として、理論を組み 直す。(=構造主義) 構造主義とは?

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フェルナンド・ソシュール (1857-1913) • 10代で言語学で画期的な業績を上げる。 • パリ大学で教えた後、ジュネーブ公共大学へ戻 る。 • 1905-1906年に「一般言語学」を講義する。 • この講義内容が20世紀に構造主義の基礎とな る。講義ノートが後に収集され出版される。 • 「一般言語学講義」

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ソシュール「一般言語学講義」 (原著:1906-1911年, 翻訳:2007年、影浦 峡, 田中 久美子 ) • シニフィアン/シニフィエ =語と語の意味するもの =世界の分節化 =世界と知能が記号(シーニュ)でつながる。 20世紀の言語・論理学者・精神分析に (ヤコブソン、チョムスキー、ラカン、など) に本質的かつ継続的な影響を与える。 シニフィアン シニフィエ 語(記号)

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ローマン・ヤコブソン(1896-1982) • ロシアに産まれる。後に亡命してアメリカへ。 • そこでレヴィ・ストロースと親交を持つ。 • ソシュールからの流れを受けて、言語学に通 事的な研究(歴史的な言語の変遷)だけでな く、共時的研究(複数の言語に共通する構造 を見出す)を始める。 • 膨大な著作 • 代表作「一般言語学」

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ローマン・ヤコブソン「一般言語学」 (原著:1963年、翻訳:1973年 田村すゞ子, 長嶋善郎, 中野直子) • 類型学は言語の音韻構造の根底に、そして明らか にまた形態構造の底に、存在する包含の法則 laws of implication を明るみに出す:Aの存在はBの存在 (または不在)を必然的に内包するという法則である。 このおようにしいて、人類学者のいう同一性や準同 一性を世界の諸言語の中に見出すことができる。 • 世界の諸言語のいっそう正確な、徹底的な記述が 行われたあかつきには、それは必ずや一般法則の コードを補充し、修正し、完璧にすることであろう。 (一般言語学、みすず書房、P.49)

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構造主義とは? 一見異なる、対象の中にも、共通する(数学的、記号的)構造がある。 音韻構造A 音韻構造B 音韻構造C

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レヴィ・ストロース(1908-2009) • 構造主義を世に広める。 • フランスで哲学教授資格を得て、ブラジルのサンパウロへ社会学の教授 として赴任。 • アマゾン河流域の原住民へのフィールドワークを行う。 • その後、ニューヨークの研究所に滞在し、フィールドワークを行いながら、 亡命してきた、ヤコブソンから構造学的な言語学を知る。 • ヤコブソンは、ブルバキの構造化された数学の話をストロースに話す。 • フィールドワークの成果を構造を通して理論化、「構造人類学」として結実。 • 異なる神話の中に同じ構造を見出す。(神話素から関係性を構築) • 異なる民族の中に同じ婚姻構造を見出す。(ある視点から見ると同じ) • フランスに帰り、社会人類学の講座をコレージュ・ド・フランスに開く(1959 年)。 • サルトル-レヴィ・ストロースの歴史を巡る論争はとても有名。

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レヴィ・ストロース「構造人類学」 (原著:1958年、訳:1972年 荒川幾男・生松敬三・川田順造・佐々木明・田島節夫) • (1) 神話が意味をもつとすれば、その意味は神話の構成 に入って来る個々の要素ではなく、それらの意味が結び 付けられている仕方にもとづいている。 • (2) 神話は言語の種類に属し、その構成部分をなしてい る。とはいえ、神話の中で用いられる言語は特殊な諸性 格を示す。 • (3) これらの諸性格は、言語表現の通例の水準より上に しかもとめることができない。換言すれば、それらは他 の何らかの言語表現の中に見いだされるものよりも複 雑な性質のものである。 (構造人類学、みすず書房、P.233)

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レヴィ・ストロース「野生の思考」 (原著:1962年、訳:1976年大橋保夫) • こう考えてくると、当然もう一つの困難な検討をやら なければならなくなる。神話が儀礼に出てくる動物、 植物、鉱物、天体、自然現象のそれぞれを正確に 同定するだけでは十分ではない-これはとても多様 な仕事であって、民族家にその訓練ができているこ とは少ないが-。その上に、各文化が記号作用体 系の中でそれらの要素に如何なる役割を与えてい るかを知らねばならない。 • (野生の思考、みすず書房、P.64)

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構造主義とは? 一見異なる、対象の中にも、共通する(数学的、記号的)構造がある。 神話A 神話B 神話C

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知性世界 知性世界 知性世界 さまざまな知能の形 世界 環世界 世界 環世界 世界 環世界 同じ構造を持っているのではないか?

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知性世界 知性世界 知性世界 さまざまな知能の形 世界 環世界 世界 環世界 世界 環世界 どんどん違って来る どんどん差異化される

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自分自身からの逃走 • 我々は自分自身からさえ逃げて行くのに、どうして他人を理解できようか。

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意識を作る=自身を語る St=k-1 St=k St=k+1 ロゴス t=k-2 ロゴス t=k-1 ロゴス t=k 知能は差延、差異、統合、反復の システムである。 逸脱(差異化,差延) 統合(引き戻し) 語る 語る

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差延された過去が積み重なる 時間 我々は過去の反響の積み重なりの中で生きている。 t=k-1 t=k t=k+1 t=k+2

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知性世界 知性世界 知性世界 さまざまな知能の形 世界 環世界 世界 環世界 世界 環世界 どんどん同じになる (核)

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理解の度合いと差異 • 人と人は実はわかり合っているのでは? • いつまでもわかり合えない気がするのは、差異だけが意識に 登るから。分かり合ったことは、無意識の方へ移る。 • 人と人工知能は違い過ぎるから、何もかも意識する • 1、0の議論ではない。 人は同じで、少しづつ違う その差異が大きく見える

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目次 第一章 イントロダクション 第二章 理解の諸相 - 全部か、部分か – 第三章 人と人でないものの理解を問うSF 第四章 ゲームという場における理解 第五章 精神の構造と相互理解 第六章 コンテクストと理解 第七章 存在の構成と相互理解 第八章 環世界と構造主義 第九章 場と同期と理解

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場と同期と理解 第九章

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 意識 前意識 無意識 (プログラム 言語の網) 外部から の情報 言語・非言語境界面 知覚の境界面 人間 人工知能 意識的干渉 無意識的干渉 外部からの 情報 物理的干渉 他者の構成 他者の構成プロセス

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 人間 人工知能 外部からの 情報 物理的干渉 根を同じくする =わかり合える

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シモーヌ・ヴェイユ「根をもつこと」

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 人間 人工知能 外部からの 情報 物理的干渉 枝を同じくする =わかり合える

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 人間 人工知能 外部からの 情報 物理的干渉 枝を同じくする =わかり合える =差異化した果てでわかり合える 根を同じくする =わかり合える =根源でわかり合える

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 人間 人工知能 外部からの 情報 物理的干渉 枝を同じくする =わかり合える =差異化した果てでわかり合える 根を同じくする =わかり合える =根源でわかり合える

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身体とクリエイティブ 「クリエイティブな行為の基盤にあるのは、認識枠を臨機応変に広 げたり狭めたりする賢さであることを、様々な事例で論じてきた。 身体で世界に触れること(現象学の言葉で言えば、「現出」を意識 に上らせること)を通じて、身体がそれまで想定外だった変数(着 眼点)にふと意識を向けることで、それは可能になると論じた。」 諏訪 正樹「身体が生み出すクリエイティブ」 (ちくま新書、2018年)

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身体とクリエイティブ 「街でからだメタ認知を実践する習慣がつくと、最初は定番の変数 群しか意識が及ばないかもしれない。しかし次第に、些細な、自分 だけしか気づかないような変数にも意識が及ぶようになる。…自分 の街の些細な変化に、そして身体に生じる体感の微妙な差異に、気 付くようになる。」(P.190-191) 諏訪 正樹「身体が生み出すクリエイティブ」 (ちくま新書、2018年)

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ジョギング(A) わかり合えない

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ジョギング(B) 一挙手一投足同期=わかり合える=束縛 ロープで結ぶ (文字通りつなげる)

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場 場 人 人工 知能

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環境 知能 環境 部分 知能 体験 体験 体験 知能 部分 知能 体験 体験 体験 知能 のコア 知能 のコア 環境 部分的にわかり合って行けば、 より深く分かり合うようになる。

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場 場 人 人工 知能 同期の輪

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(1)協力に基づくコミュニケーションは、まず身振りの領域で進化した。 つまり宮体発生の過程で生じる自然で自発的な指さしと物まねを通して発生 し進化した。 (2)協力に基づくコミュニケーションの進化を助けたのは、「共有志向 性」の心理基盤である。心理基盤とは、協調活動のコンテキスト(文脈)に おける共有を志向する動機とそれを可能にするスキルである。 (3)音声や記号による言語コミュニケーションが存在しうるようになった のは、協調活動がヒトにとって本質的であることに加え、ヒトにとって自然 に理解できる身振りが存在すること、複数の人が共有を志向する心理基盤を 持つこと、慣習や構文を作り伝えるための模倣や文化的学習のスキルが存在 したこと、による。 サトウタツヤ「心理学の名著30」(ちくま新書、P.86) マイケル・トマセロ

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協力に基づくコミュニケーションは、人間に特有な協調活動の進化の一 部として創発した、とういうのがわれわれの仮説である。(略)人間の 協調活動と協力に基づくコミュニケーションはどちらも、何層にもわた る意図の推察と、他者に見返りなしに助けや情報を提供する傾向に依存 している。 サトウタツヤ「心理学の名著30」 (ちくま新書、P.86) マイケル・トマセロ

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場 場 人 人工 知能 同期の輪=コンテクストの輪

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場 場 人 人工 知能 同期の輪

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場 場 人 人工 知能 同期の輪 理解が深まる

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物質と知覚 (べルクソン) 生物の中には、複数の迂回する時間的な流れがある

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 人間 人工知能 外部からの 情報 物理的干渉 根を同じくする =わかり合える ゆったりとした強い同期の輪 素早い同期の輪

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自己への目覚め ASDの自己へのめざめは、他者というものの存在に気づくことに よってもたらされる。 彼らの世界に他者が出現し、最終的に自分と同等の等身大の存在 に落ち着くまで、それはさまざまな様相をまとって彼らに立ち現れ ることになる。 (内海健「自閉症スペクトラムの精神病理」、P.264、医学書院)

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他者のまなざし (鬼ごっこについて)鬼の方でも、見るものとしての自分が、つねに同時 になかまによってどこからか見つめられ、わらいかけあれていることを十 分に知っているからこそ、… それぞれが見るものと見られるものとして、 よびかけと応答、つかずはなれずの住還の遊動をくりかえし、相互にから みあう。 わたしの世界のなかへの、他者の出現とは、さしあさっては、わたしの 世界、わたしの視界に他者がすがたをあらわすこと、それゆえわたしが 「他者を見る(voir-autrui)」ことを意味するように思われる。…要するに 他者とは、「私にまなざしを向けている者であり、…けっしてわたしのま なざしに還元できない事実としての、わたしを見つめるあらたなまなざし の出現である。 (西村清和「遊びの現象学」、P.104-7、勁草書房)

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他者と自己 <他者>に接近することによってのみ、私[自我]は自分自身に 臨在する。とはいえそれは、私の実存が他のひとびとの思考のな かで構成されるからではない。他のひとびとの思考のうちに反映 されたいわゆる客観的実存によって、私は普遍性、国家、歴史、 全体性に組み入れられるのだが、このような客観的実存は私を表 出しているのではなく、まさに私を隠蔽しているのである。 (エマニュエル・レヴィナス「全体性と無限」、P.260)

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他者と自己 私が迎接する顔はこれとは別の道をとおって私を現象から存在へ と移行させる。言説において私は<他者>の問いかけにさらされ ており、この問いかけに即答しなければならないという切迫感― 鋭くとがった現在の切っ先―が私をつきさし、私を有責性として 産み出すのだ。責任ある者として、私は自分の究極的実在に連れ 戻される。このような極度の注意は単に潜在的であったものを現 実化することではない。 (エマニュエル・レヴィナス「全体性と無限」、P.260)

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他者と自己 なぜなら、この注意は<他人>なしには考えられないものだからだ。 注意深くあること、それが意味しているのは意識の剰余であり、この 剰余は<他人>の呼びかけを前提としている。注意深くあること、そ れが意味しているのは意識の剰余であり、この剰余は<他人>の呼び かけを前提としている。注意深くあること、それは<他人>による統 御を承認し、<他人>の命令を授かること、より正確に言うなら、命 令せよという命令を<他人>から授かることである。「物自体」とし て私の実存は私の内なる<無限>の観念の現前と共に始まり、有責性 という私の究極的実在のうちに自分を探し求めるときに始まる。がこ のような連関はすでにして<他者>に仕えることなのである。 (エマニュエル・レヴィナス「全体性と無限」、P.260)

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自己のクオリア …「自己」というのはわれわれが外界あるいは内界の対象を知覚 あるいは表象したとき、その行為に伴って「自己クオリティ」… が感じられるというTatsache(行為的事実/アクチュアリティ) のことであると書き、道元から西田幾太郎へと受け継がれた「物 来って我を照らす」という思想を参照したが、この「自己クオリ ティ」という言葉で当時わたしが言いたかったのは、現在ならば 「クオリア」というであろうことだった。… つまり「自己」の 実感というのは、世界がクオリアをおびて立ち現れている、いい かえれば私と世界のあいだにアクチュアリティが成立していると いう行為的事実のことにほかならない。 (木村敏「関係としての自己」、P,89-92)

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 人間 人工知能 外部からの 情報 物理的干渉 根を同じくする =わかり合える 素早い同期の輪 同期の輪=コンテクストの輪 =お互いを成り立たせている輪でもある

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華厳の縁起 混沌としての知能 設計としては、身体とか心か分けずに、 世界や内面と関係のある要素を生成し、消滅させることで、 人工知性を作って行く。

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人工知能 環境 興奮(環世界) 情報(エージェント アーキテクチャ) 事物そのもの (華厳哲学)

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環境 意識 前意識 無意識 (言語の網) 外部から の情報 人間 人工知能 外部からの 情報 物理的干渉 根を同じくする =わかり合える 素早い同期の輪 同期の輪=コンテクストの輪 =お互いを成り立たせている輪でもある

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結語 人間と人工知能は何をどこまで共有できるだろうか? お互い協力すること、と、理解すること、はどのように違うか? 協力するために理解する