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自分から始めるアジャイルの道 ~内発的動機をきっかけに変わった価値観~ #scrumosaka 髙市 智章 (Tomoaki Takaichi) Jun, 22, 2024 SCRUM FEST Osaka 2024

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自己紹介 ● 髙市 智章(タカイチ トモアキ) ● 株式会社サイバーエージェント ● エレベーターサイネージにおける広告配信シ ステムの開発/運用 共著: クリーンなコードへの SonarQube即効活用術 www.amazon.co.jp/dp/B086ML43DH @Takaichi00

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なぜこの発表をしようと思ったか

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2つの出会い https://www.youtube.com/watch?v=avPU-VXXEvc&list=PL-bv tmk0kdw6V8nQEPoBPwhtVBHCJqCoR&index=13&t=1s&ab_cha nnel=ScrumTokyo https://www.amazon.co.jp/dp/4163917683/

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❏ マイクロソフトで一線のエンジニアとして活躍する牛尾さん ❏ 一流のエンジニアはどのような思考法(マインドセット)をもって いるか? をテーマにした本 世界一流エンジニアの思考法 https://www.amazon.co.jp/dp/4163917683/

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❏ エモさと売上は両立するか?というテーマを投げかけ、自身が 行っている会社の組織づくりを紹介 ❏ どのような人が超一流と呼ばれ、企業で活躍できるか? を論文 などを参考に考察 ❏ 実際に会社経営に反映してみてどうなったか RSGT2024 漆原さんのセッション https://www.youtube.com/watch?v=avPU-VXXEvc&list=PL-bvtmk0kdw6V8nQEPoBPwhtVBHCJqCoR&index=13&t=1s&ab_channel=ScrumTokyo

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❏ 昔や現在に至るまで、漫然とした不安感・劣等感を抱えて生き ていたがその原因がわかった ❏ 「アジャイル」という言葉を理解しているつもりでも、自分自 身が全然実践できていないことに気づいた ❏ これらの問題にどう対処していけばいいのかがわかった 今の自分に刺さる

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❏ 自分と同じように生きづらさを感じている方々へ、少しでも改 善の手がかりになれば嬉しい ❏ 「順風満帆!」という人でも、悩んでいる人がどういう状態に 陥っているかを知ることで対応を変えることができるかも ❏ 「アジャイル」という言葉の新しい切り口を考える このセッションでお伝えしたいこと

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自分が抱えている不安

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❏ エンジニアという職種で生きていけるのかという不安 ❏ 周りにはすごい人たちばかり ❏ 置かれている環境では泥臭いところも ❏ 継続的な努力が苦手で、必要に迫られないと頑張れない 劣等感・不安感

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❏ この不安感とどう向き合うか、という内容で登壇 ❏ 仕事はあくまで生活の糧で、スキルがないと失職してしまうと いう不安をバネに、継続的なアウトプットと習慣化を自分に課 している、という内容だった 「凡人エンジニアの生存戦略」の登壇 」」

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ある一定の成果は出た ❏ 年次を重ねたり環境を変えていくなかで、組織からも一定の評 価をいただけるようになった ❏ 転職活動をした際も何社か内定をいただくことができ、納得の 行く環境に身を置くことができた

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❏ ある程度納得の行く環境に身を置けたが、「このままではまずい」 という不安は消えたが燃え尽き症候群のようになってしまう ❏ 必要な仕事があるから働いているという感覚 失われるモチベーション

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❏ 成長が頭打ちになっている感覚がある ❏ 知識が点と点になっていて線になっている感覚がない ❏ 突発的にしか努力出来ない点が未だ改善されていない ❏ 周りの人はどんどん意欲的に情報を吸収しているのに対し、自 分はそうなれていないことに不安を感じる 新たなる不安

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「頑張らなきゃ」という焦りだ けが増え、結局頑張れない日々

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「世界一流エンジニアの思考法」 との出会い

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❏ 「自分は何かをできるようになる感覚に乏しく、自己肯定感も 低い」という問題に対して、一緒に働いている一流のエンジニ アの方々との交流を通じて思考法を身につけることで解決 ❏ 「自分ができないからこうなのだ」ということではなく、脳の 使い方を間違えているだけ ❏ 理解には誰でも時間がかかり、理解が浅いことが記憶力が悪い 原因 能力がないのではなく思考法が身についていない https://www.amazon.co.jp/dp/4163917683/

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❏ 働くうえで一番大切にされていることは「いかに幸せに働けて いるか」 ❏ そのためには「失敗に寛容」「不確実性を受け入れる」といっ た文化が大切 ❏ ↑ の結果、気軽に聞ける空気・否定せずにディスカッション する場・ポジティブフィードバックを行うコントリビュート の精神が生まれ、生産性が上がる 思考法を支える文化 https://www.amazon.co.jp/dp/4163917683/

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❏ 自分と同じような悩みを抱えている牛尾さんにとても共感を覚 え、その悩みに向き合っている姿に勇気をもらった ❏ 自分はできない人間なのではなく、能力を伸ばす方法を知らな いだけである、能力は伸ばすことができる ❏ 幸せに働くことを第一に考えることで、結果仕事の成果につな がる 牛尾さんの悩みとその対応に共感 https://www.amazon.co.jp/dp/4163917683/

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RSGT2024 漆原さんのセッショ ンとの出会い

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❏ 超一流の人たちは「夢中」と「成長」が共通 ❏ 組織で活躍している人は「内発的動機」かつ「シンプル」 ❏ 逆に外発的動機で動いている人はあまり活躍できない ❏ そんなエモい環境を作ることで、結果として会社の業績が上がる エモい開発と売上数字は両立するか https://www.youtube.com/watch?v=avPU-VXXEvc&list=PL-bvtmk0kdw6V8nQEPoBPwhtVBHCJqCoR&index=13&t=1s&ab_channel=ScrumTokyo

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❏ 自分は外面ばかり気にしていて夢中になれるものに時間を使え ていない。もっというと夢中になれるものを見つけられていな い。 ❏ 「生きていくためにスキルを付けなければ」という目標で行動 することで、結果的に成果が上がらず、目標から遠ざかってい るということに気づき愕然としてしまった ❏ 散々アジャイル・スクラムでは〜とか言っていたくせに自分自 身がアジャイルの根底にある考えを実現できていない 外発的動機でしか動いてこなかった自分に愕然

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❏ 人より能力がないのは自分がそういう人間で、もはや遺伝だからどう しようもないし受け入れるしかない ❏ お金を稼げるかどうかにしか目を向けず「楽しく働く」「幸せに働 く」などは考えたこともない ❏ 周りの目を気にして「しなければならないこと」を嫌々やっている。 我慢して努力した先に成功があると考えている。 ❏ 自分は怠け者なので、自分自身をちゃんと管理していかないと行けな い 自分の不安とその原因に気づく ⇒ なにかがおかしい!!

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❏ 開発者のスキルは一定でわざわざ努力して成長はしない ❏ 開発者はあくまでリソース。楽しいとか開発者の感情は関係な く、彼らはお金で動かされている。 ❏ 開発者は基本的に怠け者なので、ちゃんと管理してがあげない といけない 開発現場に置き換えてみると... ⇒ やっぱりなにかがおかしい!!

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自分がアジャイルになれていな いことに気づく

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文献を元に自分が陥っていた状 態を考察する

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マインドセットの種類 ❏ 人間には2種類のマインドセットが存在する https://www.amazon.co.jp/dp/4794221789

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❏ 「自分の能力は生まれ持ったもので、向上させることは不可 能」と考えること 「硬直マインドセット」 https://www.soshisha.com/book_wadai/books/2178.html

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❏ 「人間の基本的資質は努力次第伸ばすことができる」という 「信念」 「しなやかマインドセット」 https://www.soshisha.com/book_wadai/books/2178.html

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❏ 自分の能力を繰り返し証明せずにはいられない ❏ 自分は有能であると思われたい ❏ 自分に欠陥があるとは思いたくない ❏ 他者の成功は脅威 ❏ 新しいことに挑戦しない ❏ 失敗するということは自己の否定につながる ❏ 努力は頭が悪い人がするものなので忌まわしいもの 「硬直マインドセット」の特徴

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❏ 成長はするかもしれないが、早い段階で成長が止まってしま い、結果的に成果が出せなくなってしまう ❏ 物事を決定論的な見方で捉えるようになってしまう 「硬直マインドセット」の弊害

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❏ 「自分はできない人間だから、アウトプットをして成果をア ピールしなければならない」 ❏ なにか失敗したとき「もともと頭になにか欠陥がある人間だか らしょうがない」 ❏ 「つまらないけど、身に付けなきゃエンジニアとしてだめな気 がするからやらなきゃ」 硬直マインドセットの割合が多い自分

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硬直マインドセット > しなやかマインドセット

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❏ 人間は時代と共に、どのような動機で行動するかという点が変 わってきた モチベーションの OS のタイプを考察する www.amazon.co.jp/dp/4062144492

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❏ 1.0: 食欲・睡眠欲・性欲など、人間の生理的欲求を元に行動する ❏ 2.0: 人間社会を形成するために、報酬と罰によって動機づけを行う ❏ 3.0: 活動自体からもたらされる内的な満足感によった動機づけ モチベーションの OS のタイプを考察する www.amazon.co.jp/dp/4062144492

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❏ アメとムチ: 報酬を求める一方、罰を避けたいという動機づけ ❏ 報酬を増やせば行為を得られ、罰を与えれば行為が少なくなる ❏ 産業革命においては、労働者を正しい時間に、正しく仕事をさ せるという点で非常に効果を発揮した ❏ フレディック・テイラーの「科学的管理法」 ❏ 大半の人は仕事が嫌いで、責任を負いたくない。管理・強制・ 罰などを用いて扱う モチベーション2.0の特徴

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❏ アメとムチ: 簡単な作業をこなすだけの仕事には効果を発揮する が、クリエイティブな仕事にはむしろマイナスに作用する ❏ クリエイティビティが問われる課題の例 ❏ 報酬を1回目だけ与えるチーム / 与えないチーム ❏ 報酬が発生するチームは2回目以降、報酬がないと途端に課題に対するモ チベーションがなくなる ❏ 報酬が発生しないチームは2回目以降もモチベーションを失わずに課題を 試行錯誤しながらこなす モチベーション2.0の弊害 www.amazon.co.jp/dp/4062144492

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❏ 内発的動機づけを失わせる ❏ 創造性を蝕む ❏ 短絡的思考を助長する ❏ ⇒ かえって成果が上がらなくなる モチベーション2.0の弊害 www.amazon.co.jp/dp/4062144492

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❏ 自分は怠け者だから、仕組みを作って自分自身を管理しないと いけない ❏ 仕事は生計を立てるもので楽しいとかは考えてはいない ❏ 苦しんででも努力してスキルを上げないといけない モチベーション2.0の自分 www.amazon.co.jp/dp/4062144492

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→ 自分自身を X 理論で管理してしまっていた タイプ X とタイプ I タイプ X(X 理論) タイプ I(Y 理論) ● 外部からの欲求によってエネルギーを得 る → 報酬に結びついている ● 本質的に仕事が嫌い ● 強制/制御/命令/脅迫しないと成果は出 せない ● 野心を抱かない、責任を取りたがらな い、命令されたい ● 内部からの欲求をエネルギーの源とする ● 活動そのものから生じる満足感 ● 自然に努力し働く ● コミットした目標のために自己管理、自 己統制を行う ● 適切な環境が与えられれば、人は責任を 回避するよりむしろ責任を求める 引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51+igEK3VPL._SX352_BO1,204,203,200_.jpg

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なぜこうなってしまったのだろう?

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自身の経験をふりかえる

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❏ 失敗すると怒鳴られたり体罰があるので、とにかく失敗しない ようにプレーする ❏ 元気がないと叱られるのでひたすら声を出す (怖いコーチがいな いときは怠ける) ❏ 皆がふざけているときでも怒られるのではないかという恐怖で いい子を演じていた 「周囲の目」を気にする少年時代 ~少年野球~

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「周囲の目」を気にする少年時代 ~家庭や学校~ ❏ 集団に馴染めない、皆は楽しそうに学校生活を送っているのに自分は 楽しくない → 自分に問題がある → どうしたらいいだろう? → 周りを みて浮かないように行動する ❏ 「自分はうまく動けているか?」「自分は特別な存在だろうか?」→ 周 りの環境に対して自分はどうか? を気にする日々 ❏ 常に両親の顔色を伺うような生活 ❏ 機嫌が良ければ楽しいし、悪ければ叱られる ※ お金をかけて育てていただいた両親には感謝しています

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❏ このプロジェクトが成功しないのは君たちの思いが足りないからだ ❏ 納期に間に合わせられられないのはエンジニアとして失格だ ❏ プロのエンジニアたるもの、休まず努力し続けなければいけない。 今のスキルのままだと市場に取り残される。 ❏ 「x年目なのにこんなこともできないのか?」 ❏ 「y さんはこの会社に染まってしまったからもうだめ」/ 「君は xx 大学だからそんなもんか」/ 「さすが xx 大学出身だね」/ 「A く んは成功したけど君は失敗だったな」 ※ どの会社・先輩方も研修など惜しみない投資はしてくださいました 社会人時代に体験したり目にしたこと

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❏ 他人の目を気にして「怒られないように」「無能だと思われな いように」という振る舞いが多かった ❏ 自分はなにかしら他人よりも劣っているという劣等感を心の奥 底では抱いていた 自身の経験をふりかえる ~まとめ~

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❏ 自分は価値のある人間だ、人から愛される人間だ - そのことに 確信が持てない人は、それを得るための短絡ルートを示してく れる、硬直マインドセットに頼るようになる ❏ 周囲に好かれそうな別の『自己』を作り上げるようになる。こ うすることで、その時点での周囲の状況にうまく適応してお り、ある程度の安心感と希望を与えてくれる 硬直マインドセットになる要因 https://www.amazon.co.jp/dp/4794221789

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❏ 問題なのは作り上げようとした全能で強い『自己』が硬直マイ ンドセットになりがちなこと。そのような固定的な資質を本来 の自分かのように思い込み、それを確認することで自尊心を保 とうとするようになる。 硬直マインドセットになる要因 ⇒ 自分もこの状態に陥っていた https://www.amazon.co.jp/dp/4794221789

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どのように対処しよう?

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しなやかマインドセット モチベーション3.0 へ移行したい

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しなやかなマインドセット へ移行する方法

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❏ 才能は努力によって伸びるものである ❏ ひたすら「学び続けたい」という意欲を持ち、新しいことにもどんどん チャレンジする ❏ 壁にぶち当たったり、失敗するかもしれないが、批判を真摯に受け入れ、 チャレンジし続ける ❏ 他人の成功も心から喜べるようになり、そこから学びや気づきを得ること ができる ❏ 結果として、硬直マインドセットよりも高い成果があがる 「しなやかマインドセット」の特徴 https://www.amazon.co.jp/dp/4794221789

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対処法 ~しなやかマインドセットを認知する~ ❏ しなやかマインドセット (=人の能力は努力すれば成長する) を信じ ることで、結果的に大きな成功・成長を収めることができる ❏ 「硬直マインドセットを信じるか、しなやかマインドセット を信じるかで人生が変わる」 ❏ 認知をすることで、ビジネス・スポーツ・教育・恋愛など、 様々な場面で役立てられる https://www.amazon.co.jp/dp/4794221789

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モチベーションの OS を 3.0に上げる方法

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❏ モチベーション3.0 (=タイプ I) は、「新しい時代の組織・思考 ・実行に対応するために必要なアップグレード版」 ❏ ほとんどの場合タイプ X をしのぐ成果を上げる ❏ ただし、不安にならない程度の報酬は必要 モチベーション3.0の特徴 タイプ X(X 理論) タイプ I(Y 理論) ● 本質的に仕事が嫌い ● 強制/制御/命令/脅迫しないと成果は出せな い ● 外部からの欲求によってエネルギーを得る ● 報酬に結びついている ● 野心を抱かない、責任を取りたがらない、命 令されたい ● 内部からの欲求をエネルギーの源とする ● 活動そのものから生じる満足感 ● 自然に努力し働く ● コミットした目標のために自己管理、自己統 制を行う ● 適切な環境が与えられれば、人は責任を回避 するよりむしろ責任を求める

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❏ 自律性 ❏ 人は本来、責任を果たすことを”望んでいる”ものである ❏ 熟達 ❏ 何か価値あることを上達させたいという欲求 ❏ フロー状態に入れるもの ❏ 目的 ❏ 利益だけではなく、「何かを成し遂げたい」という目的 モチベーション3.0の特徴

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対処法 ~Y 理論 (タイプ I) を信じる~ ❏ X 理論 と Y 理論、実際はどちらが正しいのだろうか? ❏ ⇒ どちらも正しい ❏ X 理論を前提に接すると X 理論の振る舞いをするようになるし、Y 理 論を前提に接すると Y 理論の振る舞いをするようになる タイプ X(X 理論) タイプ I(Y 理論) ● 本質的に仕事が嫌い ● 強制/制御/命令/脅迫しないと成果は出せな い ● 外部からの欲求によってエネルギーを得る ● 報酬に結びついている ● 野心を抱かない、責任を取りたがらない、命 令されたい ● 内部からの欲求をエネルギーの源とする ● 活動そのものから生じる満足感 ● 自然に努力し働く ● コミットした目標のために自己管理、自己統 制を行う ● 適切な環境が与えられれば、人は責任を回避 するよりむしろ責任を求める

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しなやかマインドセット モチベーション3.0 へ移行する

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対処法 ~硬直マインドセット / X 理論から解放する~ ❏ まずは「しなやかマインドセット」「タイプ I (Y理論)」を信じる ❏ 「自分を含む人類は、全員努力次第で成長できる」 ❏ 「自分を含む人類には内側から発生する欲求があり、その活動によって満 たされる」 ❏ タイプ X (X 理論) を前提とした自分の管理をやめた ❏ (怠けてないかを確認するために) 英語の勉強をx分したか? ❏ (周囲へのアピールのため) Github の草をはやしたか? ❏ …

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対処法 ~ふりかえりを変える~ ❏ 毎日おこなっていたふりかえりもただの日記と化していた ❏ 「自分がやりたいこと」に時間を使えたか? その結果学びたいこと が学べているか? を日々のふりかえりで問うようにした ❏ 仕事に関係ないことでも、まずはやりたいことができているかに着目するよう にした

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❏ 「努力・仕事は辛いもの」という前提をやめ、突き詰めたい分野を探す ❏ 「自分がしんどいと思う努力は一切やめてしまうこと。自分が楽しくなく て、苦しいと思うときは無理があるサイン」 ❏ 自分がフロー状態に入れる分野を探し、その分野を突き詰める ❏ 直近ではこの発表に向けた作業 ❏ 「遊ぶように働く」: 同僚の方の言葉。仕事を単純な作業として捉えるの ではなく、面白いもの・ワクワクするものとして捉える。 対処法 ~辛いと思うことを減らす~ https://www.amazon.co.jp/dp/4163917683/

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対処法 ~突き詰めたい分野の学び方を学ぶ~ ❏ 学習では「説明できる状態を保つ」ことを目標にする ❏ 牛尾さんのメンタルモデルの実践 ❏ 「科学的根拠に基づく最高の勉強法」 ❏ アクティブリコール ❏ 分散学習 www.amazon.co.jp/dp/4046067233 https://www.amazon.co.jp/dp/4163917683/

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対処法 ~周囲への対応に気をつける~ ❏ 自分のなかから出てくる タイプX の考えを見つめ直す ❏ 「あの人はこういう人だからしょうがない」 ❏ ⇒ 改善するために自分ができるふるまいはないだろうか? ❏ ⇒ 何か自分でサポートできることはないか? ❏ 「こんなこともわからないのか、努力していないんだな」 ❏ ⇒ 自分の伝え方に問題はないだろうか? ❏ ⇒ 自分も最初はわからなかった。どうやってわかるようになっただろう か。

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対処法 ~周囲への対応に気をつける~ ❏ 褒め方に注意する - 結果や特性ではなく努力を褒める ❏ 結果を褒めると成績がさがる ❏ ✗ すごい早くできたね! 一つも間違えなくてすごいね! ❏ ◯ 一生懸命作業をしてくれてありがとう! ❏ 失敗したときの言葉のかけ方に注意する ❏ 決めてつけてかかるような批判を避ける ❏ ✗「君は本当にドジな人だなあ」

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❏ 先に結果に注目するのではなく、良い関係を築くところから注目する 好循環サイクル: (関係)お互いに尊重し一緒に考える (思考)気づきがあり面白い (行動)自分で考え、自発的に行動する (結果)成果が得られる (関係)信頼関係が高まる 悪循環サイクル: (結果)成果が上がらない (関係)対立が生じ、押しつけや命令が増える (思考)面白くなく受け身になる (行動)自発的・積極的な行動が起きない (結果)さらに成果が上がらない 対処法 ~成功の循環モデルを意識する~ 関係の質 思考の質 行動の質 結果の質 ○ 良い起点 × 悪い起点

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対処法 ~まとめ~ ❏ しなやかマインドセット / タイプ I (Y 理論) を信じることにした ❏ 自分が突き詰めたいと思えるもの探し、徹底的に時間を使うように した ❏ しなやかマインドセット / タイプ I の文化形成のため、周囲との関 わり方を意識するようにした

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❏ 「自分がやりたいこと」をベースにリソースを集中できるよう になり、やらないことを取捨選択できるようになった ❏ 素直に「わからない」と言う勇気を持てるようになり、気軽に 質問できる機会が増えてきた ❏ 理解に時間を割くことに抵抗がなくなり、知識の解像度が上が り生産性が上がっている感覚がでてきた 不安感の改善 ⇒ しかしまだ完全に改善できているわけではない やっぱり失敗は怖いし、周囲の目も気になることもある

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❏ しなやかマインドセットやモチベーション3.0は、一見耳障りは いいものの、いざ実践しようとすると厳しい現実も受け入れな ければならない勇気が求められるため、しんどいときもある ❏ 「それまでずっと恐れてきたもの - チャレンジ、苦闘、批判、 挫折 - をすべて受け入れざるをえなくなる」 ❏ 「自分はできないやつからしょうがないや」という理由でサボることが許 されない 厳しい現実に向き合う

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❏ 油断するとすぐに以前の状態に戻ってしまうので、定期的に見 直すことが必要だと感じる ❏ 「人のマインドセットは、小手先のテクニックで変えられるようなもので はない。マインドセットが変化するということは、物事の見方が根底から 変化することなのだ。」 ❏ 毎日「しなやかに過ごせたか」「何を学べたか」「どんな努力 をしたか」をふりかえりで問い続けています 厳しい現実に向き合う

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水を飲む 時間を確認する

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他の側面からマインドセットを 考えてみる

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アジャイル vs ウォーターフォール ?

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❏ 17人のエキスパートによって4つの価値と12の原則が生み出さ れた アジャイルマニフェスト

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❏ よくこの2つは対比される。しかし個人的に違和感を覚えていた ❏ 「はい!今からアジャイル開発をします!」 ❏ 「プロダクトによってアジャイルとウォーターフォールを使い分 けることが重要!」 ⇒そんなホイホイ切り替えられるものなのか...? 「ウォーターフォール vs アジャイル」?

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❏ アジャイルマニフェスト、スクラムをはじめとするフレーム ワークの根底には「しなやかマインドセット」「モチベーショ ン3.0」があるのではないだろうか アジャイルとマインドセット

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❏ CSM の講師の方がポロッと言っていた言葉。当時は意味不明 だったが、今は少し理解できる気がする。 ❏ 開発手法として WF でも、考え方はアジャイルにできるのでは ないか? ❏ 「硬直マインドセット」「モチベーション2.0」の文化の組織が「アジャ イル開発」を実践してもうまくいかないかも ❏ ウォーターフォールでも「しなやかマインドセット」「モチベーション 3.0」の文化ならうまくいくかも ❏ 「アジャイル = 開発手法」 という広まり方をしてしまった側面 があるのではないか? ウォーターフォールとアジャイルは共存できる?

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❏ 二項対立的に「アジャイル」vs「ウォーターフォール」と考え るのではなく、アジャイルという考えが生まれた根底にあるも のを大事にしていきたい Don't just Do Agile, Be Agile www.amazon.co.jp/dp/B079TLW41L https://blog.song.mu/entry/any-sufficiently-advanced-waterfall-is-indistinguishable-from-agile

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ティール組織とマインドセット

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DevOpsDaysTokyo 2022 での発表 ❏ 元プロ野球選手・監督の落合博満さんの考えはティールの思想 ととても類似していた、というお話 ❏ 「しなやかマインドセット」「モチベーション3.0」にも通ずる ものがありそう

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人類のパラダイムと組織の発達段階 ❏ 人類は意識が新たな段階に移動するたび、新しい組織モデルを 生み出してきた 引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41qCziK8B5L._SX307_BO1,204,203,200_.jpg 引用: https://m.media-amazon.com/images/S/aplus-media/vc/7560936e-dbef-4afc-87b8-2eab66f95156.__CR0,0,970,600_PT0_SX970_V1___.jpg

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組織の発達段階 引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41qCziK8B5L._SX307_BO1,204,203,200_.jpg 衝動型 (レッド) マフィア・ギャングなど 暴力・恐怖による支配 順応型 (アンバー) ピラミッド建設などの公共事業 上下関係・指示命令系統で人を動かす 達成型 (オレンジ) 科学技術の発展 実力主義、出世という概念を発明 単位時間の生産量を伸ばすために PDCA サイクルを回す 多元型 (グリーン) 多様性と平等 承認プロセスではなく話し合って物事を決める 進化型 (ティール) 信頼に基づき、一人ひとりが自由に意思決定をする 自主経営・全体性・進化する存在目的 ⇒モチベーション1.0, 2.0, 3.0 に似ている

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ティールの思想とマインドセットを 比較してみる

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他人からの評価や成功、富、帰属意 識を求めず、充実した人生を送る ティールの思想の例 ①

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ティールの特徴 ~エゴを失う恐れを抑える~ 引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41qCziK8B5L._SX307_BO1,204,203,200_.jpg 「私たちが自分自身のエゴから自らを切り離せるようになると、進化型への移行が 起こる。自分のエゴを一定の距離を置いて眺めると、その恐れ、野心、願望がいか に自分の人生を突き動かしているかが見えてくる。自分を好ましく見せたい、周囲 になじみたいといった欲求を最小化する術を得る。もはや自分のエゴに埋没してお らず、自分の人生がエゴを失う恐れによって振り回されることはない。」 「(エゴを失う)恐れに置き換わるものはなんだろう? 人生の豊か さを信頼する能力だ」 「進化型の視点を持つと、このおおきな隔たり(恐れと欠乏感に まみれた人生 or 信頼と潤沢に満ちた人生)」の間を横断し、 人々や物事を支配したいという欲求を抑制できるようになる」

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ティールの特徴 ~エゴを失う恐れを抑える~ 引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41qCziK8B5L._SX307_BO1,204,203,200_.jpg 「良い人生を送るためには他人からの評価や成功、富、帰属意識 を求めず、充実した人生を送るよう努める。他人から認められる ことや成功、富、愛は結果にすぎない」

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他人からの評価や成功、富、帰属意 識を求めず、充実した人生を送る ティールの思想の例 ① ⇒人生の豊かさを信頼する、しなやかマインドセット

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意思決定の基準は外的ではなく内的 ティールの思想の例 ②

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ティールの特徴 ~意思決定の基準は外的ではなく内的~ 引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41qCziK8B5L._SX307_BO1,204,203,200_.jpg 「進化型では、意思決定の基準が外的なものから内的なものへのと移行する。自分 の内面に照らして正しいかどうか、つまり『この判断はただしそうか』『私は自分 に正直になっているか』(中略) を重視する。エゴを失う恐れが少ないので一見危険 に思える意思決定ができる。」 「周囲からの反対に直面したり、成功しそうにないと思われたとし ても、『誠実さ』や『自分らしさ』という感覚を出発点に、本当は 正しいとは思えない状況、自分が声を上げ、行動を起こさなければ ならない状況に対する感覚を養う」

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意思決定の基準は外的ではなく内的 ティールの思想の例 ② ⇒外発的動機ではなく、内発的動機を大切にする

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「欠点を見る」のではなく 「長所を生かす」 ティールの思想の例 ③

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ティールの特徴 ~強さの上に人生を築く~ 引用: https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41qCziK8B5L._SX307_BO1,204,203,200_.jpg 「人生とは、自分の中にもともと素養がないものに無理をしてなろうとすることで はない。私たちはまた、周囲の人々や状況にはないが足りないか、あるいは何が間 違っているか、といったことではなく、そこに存在するもの、美しいもの、可能性 に注意を向けるようになる。」 「心理学者たちは、「欠点を見る」のではなく「長所を生かす」というパラダイム 変化が起こっていると指摘する。」

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「欠点を見る」のではなく 「長所を生かす」 ティールの思想の例 ③ ⇒他人の成功は脅威ではなく、学びを得る機会

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“しなやかマインドセット” “モチベーション3.0” のエッセンスが随所に見られる

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❏ 今まで学んできた「アジャイル」「スクラム」「DevOps」 「ティール」... といったワードの根底にあるものをこの機会で 知ることができた気がする ❏ まだまだ理解が浅い部分はあるが、この根底にあるものを忘れ ずに学習と実践をしていきたい 学んできたことの点と点が先につながる

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まとめ

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❏ どんな人でも夢中になれるものがあり、それを通して能力を成 長させることができると信じる ❏ ↑ を信じることで結果として成果が上がり、ハッピーな人生 を送ることができる ❏ それを阻害する要因が現代社会には多いことを知り、対処する 方法を身に着けていく 人の可能性を信じる

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❏ RSGT 2024 天野さんの登壇 スクラムマスターが世界を幸せにする https://www.youtube.com/watch?v=hUJcT4iNUsU&list=PL-bvtmk0kdw6V8nQEPoBPwhtVBHCJqCoR&index=42&ab_channel=ScrumTokyo

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❏ RSGT を始め、様々なイベントに継続的に参加していた ❏ 会社・コミュニティのゆるいつながり ❏ タイムラインに流れてきた気になる本はとりあえず買っていた ❏ 新卒から「アジャイル」に触れ続けたおかげで回り道はしなが らはあるがいい方向に向かっている気がする ❏ もし全然違う仕事をしていたら一生苦しんでいたかもしれない 運が良かったこと

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❏ 牛尾さんの発信は自分を曝け出すという点でとても勇気がいる ものだと思う ❏ しかし皆さんの発信・交流で救われる人がいるかもしれない ❏ エンジニア界隈の発信する文化、発信の場を提供してくださる コミュニティの方々のお陰でこの発表ができています! 発信されている方、コミュニティに感謝!

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ご清聴ありがとうございました