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Expoのインダストリーブースでみた AWSが見せる製造業の未来 製造ビジネステクノロジー部 スマートファクトリーチームマネージャー 濱田 孝治

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2 濱田孝治(ハマコー) 製造ビジネステクノロジー部 スマートファクトリーチーム マネージャー ブログ, SNS • 「クラスメソッド 濱田」で検索 • はてなブックマーク累計 約15,000個 • Xアカウント:@hamako9999 コミュニティ運営 • JAWS-UG コンテナ支部運営 • Grafana Meetup Co-organizer, Grafana Champion AWS認定関連 • SAP, DOP, DBS, SOA, SAA, DVA, SCS, CLF, AIF, MLA, MLS • AWS APN Ambassador 2020 執筆書籍 • みんなのAWS • SoftwareDesign 2022年11月号 コンテナ特集

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3 書いているブログ「クラスメソッド 濱田」

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4 書いているブログ「クラスメソッド 濱田」

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5 re:Invent 2025の様子 今年も80人近いメンバーで re:Invent 2025に行ってきました!!

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6 私のAWS re:Invent 現地参加履歴 7回(2020はオンライン) 2017, 2018, 2019, 2022, 2023, 2024, 2025

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7 自分が一番好きなコンテンツ AWSのイベントに参加したとき コンテンツとして一番注目しているのが Expoのインダストリーブース

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8 理由 ドメイン領域への解決策を AWSが見せたい、目指す未来が 具体的に見えるため

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9 2024年もExpoブースお邪魔してました https://dev.classmethod.jp/articles/reinvent-2024-aws-expo/

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10 2025年は顧客もブースツアーとしてご案内しました

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11 本日お話すること AWSが目指すインダストリーへの テクノロジー適用と課題解決の方向性を 私なりにお届けします!

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12 Agenda • Expoインダストリーブースの全体像 • ブース展示内容の紹介 • 関連するワークショップの紹介 • この先を見据えて取り組んで置くべき事

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13 Expoインダストリーブースの全体像

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14 かなり広い敷地に展示されていました

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15 re:Invent 2025のExpoブース内容全体像

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16 ブース展示内容の紹介

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17 3Dプリンターによるコイン制作デモ • UIでテーマ選択 • Amazon Bedrockがデザイン と3Dモデルを同時生成 • 3Dプリンターで出力 生成AIが、専門的なCAD操作の 初期段階を自動化し、アイデアから 物理的なプロトタイプへの時間を短縮

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18 装置管理 • 分散配置された4台の3Dプリン ターを管理 • フリートマネジメントの観点か ら、各機器の状態を監視 • チャット機能で自動的にMCP連 携して、メンテナンスの作業依 頼の発行なども可能 1. 製造業の運用担当者:実際に装置を運用している担当者が状態を監視 2. 装置メーカー向け:自社装置をモニタリングし、性能低下時には保守提案

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19 品質検査デモ • 従来の外観検査はモデルの学習 に非常に手間がかかる • LLMを利用することで、良品と欠 陥品を比較するだけで、欠陥が 検知可能 • 3Dプリンターの熱問題で製品が 溶けて形が異常になった場合で も、事前学習なしに結果を検出 モデルの事前学習なしに、良品と欠陥品の比較だけで即利用可能。 色の検査なども可能だが、カメラの性能やLLMに与えるプロンプトなどでも性能は 変わるので、事前の検証は必須。

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20 在庫管理と生産スケジュール最適化 • 生成AIを使って、製造スケジュールに合わ せた在庫管理をチェックするデモ • 在庫が不足しそうな時にどのサプライヤー に発注すれば間に合うか、在庫切れになる かを生成AIエージェントが確認 • 受注量と発送スケジュールの問い合わせも AIがシミューレーションして、発注計画を 立案 製造と営業の情報格差を解消し、機会損失を防ぎながら迅速な意思決定を支援。 情報共有に消極的になりがち(それぞれの組織の都合を優先しがち)な組織課題へ の技術的なアプローチ。

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21 AIエージェントによる品質問題の根本原因分析 • 溶接、塗装、品質検査の流れを想定したデ モ • 品質検査で問題が検出された時の原因究明 は難しいが、AWS IoT SiteWiseにリアル タイムでアップロードされたデータに対し て、AIエージェントが、その根本原因の調 査を実施 • 「この不良の原因は?」と質問すると、エ ージェントがさかのぼって、製造状況を確 認 数日かかっていた根本原因分析を数分で完了。適切なデータモデリングがエージェ ントの能力を最大化させる。

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22 AIエージェントによる品質問題の根本原因分析

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23 AIエージェント活用のためのデータモデリングQA抜粋 データモデリングはものすごく重要 • エージェントを正しく機能させるには、適切なデータモデリングが重要。各データ ポイントにプロダクトIDなどの一意のIDを付与しないと、データがバラバラにな る • エージェントは賢いように見えて、知らないことも知っているように回答しがち • 製品がどの順番で各工程を通り、どの時間帯だったのか情報があれば、正確な回答 をしてくれるとのこと • ラインの構成などの情報は、SiteWiseのアセットのディスクリプション(説明 欄)に入れて、エージェントはSiteWiseから取得したデータを元にラインの構成 を理解する

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24 AWS Outpostsを活用した組込みソフトウェアテスト • 実際のデバイス開発では物理テ ストは不可欠 • AWS Outpostサーバーを利用す ることで、クラウドで作成した マシンイメージをシームレスに オンプレ側にデプロイ可能 シミュレーションでは代替不可能な 物理テスト環境の構築・管理を簡素化。 クラウドの俊敏性をHWがある現場に活用。

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25 AWS Outpostsを活用した組込みソフトウェアテスト

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26 IVI(車載インフォティンンメント)開発 • Kiroを使って、自然言語ベースでアプリの仕様を記述、デザイ ンを作成してタスクに分割して開発を進める • パートナーのElektrobit社環境でアプリをデプロイし起動可能。 開発の効率化に寄与 シミュレーションでは代替不可能な 物理テスト環境の構築・管理を簡素化。 クラウドの俊敏性をHWがある現場に活用。

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27 車載エージェントデモ • 車のコックピットの展示 • 真ん中のスクリーンにラスベガスの温度や 地図を表示 • マイクに話した内容が生成AIに送られ、会 話内容に応じて自動車のテレメトリー情報 (温度など)や地図情報を組み合わせて回 答 • エージェントが外部情報(工事中だから別 ルートでいきます)という提案を実施 自動車が単なる移動手段から、外部世界と連 携し、ドライバーを支援する「パートナー」 となる未来像

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28 ロボットデモ(ビレッジエリア)

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29 ロボットデモ

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30 NVIDIA Isaac Sim Development Workstation • NVIDIA Isaac Sim は NVIDIA Omniverse プラットフォーム上に構 築されたリファレンスアプリケーショ ンで、開発者は物理ベースの仮想環境 でAI主導のロボットソリューションを シミュレートしてテストできます。 • NVIDIA Isaac Sim 開発ワークステ ーション(Linux)AMIを使用すると、 ユーザーはAWS内でグラフィック機能 を備えたワークステーションをプロビ ジョニングできるため、Omniverseベ ースのアプリケーションをRTX対応の ワークステーションでローカルに実行 する必要がなくなります。 https://aws.amazon.com/marketplace/pp/prodview-bl35herdyozhw

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31 改めて 2024年のインダストリーブースから 2025年になって何が変わったか?

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32 大きく2つ AIの役割と活用レベル:支援型から自立型へ データ活用のアプローチ:集約型から分散連携型へ

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33 re:Invent 2024から2025で変わった点① AIの役割と活用レベル:支援型から自立型へ 2024年(支援型) • 可視化と対話: 設備の異常をダッシュボードで検知し、復旧手順などを「生成AIチ ャットボット」に問い合わせる • 受動的: 人間が状況を判断し、AIに対して質問を行うことでサポートを得るという 関係性 2025年(自律・能動型) • エージェンティックAI: AIエージェントが自らデータソース(在庫、スケジュール、 設計図など)を判断して情報を取りに行き、課題解決 • 能動的: 例えば「部品が足りない」といった状況に対し、AIがサプライヤーへの発 注シミュレーションや納期の回答案を自律的に作成するなど、単なる回答以上の 「行動」を伴うように変化

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34 re:Invent 2024から2025で変わった点② データ活用のアプローチ:集約型から分散連携型へ 2024年(DWH集約・可視化) • データを全て意味づけし、物理的な一つのデータソースに集約する方向性 2025年(エージェントによる連携) • データを必ずしも一箇所に集めるだけでなく、エージェントに「どのデータがどこ にあるか」を教えることで、分散したデータソース(サイロ化されたデータ)をAI が横断的に活用するアプローチ

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35 この先を見据えて取り組んでおくべき事

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36 弊部 部長大橋のブログから https://dev.classmethod.jp/articles/reinvent2025-industry-ai-agent/

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37 一番重要な事 「AI Agentは、魔法のように見えますが、その実は業務フロ ーとデータの積み重ねです。『在庫が減ったら発注する』と いうタスク一つとっても、『いくつ減ったら』『どこに』 『どういう形式で』発注するのかという明確な業務フローと、 正確なデータが揃っていなければ、エージェントは動くこと ができません」 — クラスメソッド 製造ビジネス・テクノロジー部 部長 大橋

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38 そのために準備しておくべき事 AIエージェント活用のための「下ごしらえ」 1.業務フローの棚卸しと標準化:暗黙知を形式知に変え、 理解できる手順にする 2.データのクラウド化:現場の情報をデジタルに載せ、AI Agentがサワれる場所に置く

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39 最後に 今回のre:Invent 2025は全体として、AIが「支援」から「自律」への大き な道筋が示された年でした。 これからAIの活用が不可避になっていく中で、まだまだ様々な技術革新が あると思いますが、そのベースとなる「業務フローの整理」「データの整 備」は、ますます重要になっていくと思います。 今日の話が、皆さんの製造業における取組のヒントになることを心から願 っております。

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40 関連するセッションやワークショップ • IND370: Modernizing operational technology for AI-powered manufacturing • PEX402: Engineering intelligence: Multi-agent AI systems for industrials • IND305: AI agents in manufacturing: Building intelligent data workflows • SMB309: Build an Agent Factory: An Agent that can Create any Agent On- Demand • IND310: Build Agentic AI Solutions for Industrial Predictive Maintenance • IND339: Automate Inventory Rebalancing on AWS with Agentic AI • NTA306: Next-generation Supply Chain/Logistics with Agentic AI