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ブラケット記法に関する補足
● 先ほどの関数 と を形式的に と表すこ
とにすると・・・・
・・・というのは、厳密には正しい言い方ではありません。
● シュレーディンガーは、「物質の状態は波動関数で表される」と考えましたが、その後の議論に見
たように、波動関数はヒルベルト空間の元であることが分かりました。
● そこで、考え方を改めて、「物質の状態は、抽象的なヒルベルト空間(状態空間)の元で表され
る」と考えて、これを量子力学の根本原理とみなします。(古典解析理学では、質点の状態は「相
空間」の点で表されると考えたのと同様ですね。)
● ブラケット記法は、この抽象的な「状態空間」の元を表します。ただし、波動関数全体がなすベク
トル空間と状態空間は、同型なベクトル空間なので、波動関数とケットベクトルは、(同型ベクト
ル空間の元として)同一視することができます。(具体的な同型写像の取り方は後述)
● ・・・というあたりの厳密性にこだわる方は、波動関数とケットベクトルの間の「=」は、「同型
ベクトル空間の元として同一視する」という意味の記号と解釈してください。
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