Slide 1

Slide 1 text

ジャンル「糖質系」の成立 @Friendboy42 2016/10/25

Slide 2

Slide 2 text

はじめに ● 性の悦びおじさんや岩間邸訪問など、統合失調症の方々を中心 としたジャンルが成立している ● どうしてジャンル「糖質系」が成立したのか、歴史的に、またジャ ンルとして受け入れられる理由を考えてみる ● 筆者は心理学者でもなければWeb系の研究者でもないので、そ の分野の専門家がいたらそっちがまとめてくれたほうが勿論い いのだが、この手のジャンルを語る専門家が登場してくれるかわ からない ● なお本スライド内で「系」とついているのは、ネタの渦中にある人 物たちがすべて統合失調症と確定したわけではないからである

Slide 3

Slide 3 text

Webにおける実在人物ネタ 1 ● かつて「疑惑のデパー ト」と呼ばれた鈴木宗男 氏をとりあげたものがあ る (所謂『ムネオハウス』) 上はラサイトの  『再起動 3』 下は『THE MUNEO HOUSE PV』

Slide 4

Slide 4 text

Webにおける実在人物ネタ 2 ● 2005年には奈良県平群町 の主婦が隣人との騒音トラ ブルの末に逮捕された ● この主婦は『平群町のラッ パーmiyoco』としてネット上 でもてはやされ、コラ画像や サンプリング音楽が作られ た ● 友蔵やO.M.Oと聞けば当 時の人は懐かしいと感じる のではないだろうか?

Slide 5

Slide 5 text

Webにおける実在人物ネタ 3 ● 2014年には『キセキの世代』と呼ばれる複数の人 物がまとめてネタにされたことがある (佐村河内守、野々村竜太郎、小保方晴子、竹井聖 寿、岩谷英雄、青木大和etc...)

Slide 6

Slide 6 text

ここまでのまとめ ● もともと一般の人達の間でも、実在人物をネタにす るという風潮はあった ● Webコンテンツとして『実在人物をコケにする』とい うのは一般的であった ● ただしいずれも「ジャンル化」としては至らなかった  →何故?

Slide 7

Slide 7 text

余談 ● そもそも実在人物をネタにするのは現代だけでもな ければWeb特有でもない ● 教科書にも乗っている風刺画はまさしく実在人物を コケにする(政治的な意味も強いが)ものであり、現 代でもシャルリー・エブドがやっているのはまさしくこ れである ● トランプ陣営も現在クリントン陣営をやじるためにヒ ラリーNOなんていうポケモンGOのパロディ動画を 公開しているそうな

Slide 8

Slide 8 text

ジャンルとして成立するには? ● ここでは糖質系と比較するために4つのジャンルを 考察してみる 東方 淫夢 艦これ 恒心教 糖質系

Slide 9

Slide 9 text

ジャンルとして成立するには? ● 『東方』『艦これ』『淫夢』『恒心教』に共通する点 →「コンテンツ供給者」  「コンテンツ紹介者」  「コンテンツ表現者」  「コンテンツ消費者」  この四者が揃っていることが重要ではないかと  仮説を立てる

Slide 10

Slide 10 text

コンテンツ供給者 ● ジャンルがジャンルとして成立するには、「定期的に 新しいネタが供給される」ことが重要 ● いつまでも同じネタを焼き直してもはっきり言って飽 きる ● ムネオハウスもmiyocoもキセキの世代2014も、その 後のネタがないために続けにくい またそのネタかよ もうお腹いっぱいだよ

Slide 11

Slide 11 text

コンテンツ供給者 ● 東方:ZUNが定期的に新作を出したり、漫画作品の 形で新たな公式設定を公開する ● 艦これ:イベントごとに新規艦娘を追加、タイアップや アーケードゲーム化 ● 淫夢:出演者の過去の出演作の発掘、『ホモ特有の こじつけ』(クッキー☆、語録・数字の類似性の指摘) ● 恒心教:高校生(当時)や唐澤貴洋弁護士、恒心教ア ンチの住居や本名の特定、裁判の傍聴やニュース 番組の報道(『玉音放送』『お気持ち表明』)

Slide 12

Slide 12 text

コンテンツ紹介者 ● あとから入ってきた人がわからないことを調べるま とめが欲しい ● 今となっては多くのコンテンツがまとめWikiを有し ていることが多くなりつつあるが、例えば特定の難 解な本を読まないといけないものは、新規参入者に とってハードルが高い ● 学問の専門書だけあってもわけわからない、初学者 向けの参考書が欲しいよねという話である

Slide 13

Slide 13 text

コンテンツ紹介者 ● 特に淫夢や恒心教の場合、まとめておかないと過 去にどのような騒動があり現在の問題に至るのか をまとめたサイトは必須だったと言える(勝手にい ちゃもんをつけていると考えられてしまうと参入者が 増えないため) ● 結果として例えば高校生(当時)の差別発言や度を 超えた書き込みを見て恒心教のアンチが新たな恒 心教徒になったケースも報告されている

Slide 14

Slide 14 text

コンテンツ表現者 ● コンテンツそのままではなく、イラストや二次小説、同人誌、 動画化作品、MAD、MMDなどによってコンテンツを発展さ せるための表現者が必要 ● 二次設定の定着などの弊害も大きい物の、MADネタなど になることによって知らなかった人も興味を持つことがある ● ニコニコ黎明期はiosis作品のMAD(『魔理沙は大変なも のを盗んでいきました』など)が作られたことで東方への興 味を持った人が多く存在した ● イラストを見て「この子かわいいね!へえ鹿島っていうんだ」 と興味を持つ人もいる

Slide 15

Slide 15 text

コンテンツ消費者 ● 最後にやはり「ファン」が必要である ● ファンが定着するのは結果とも言えるが、「その作品 内の言い回しやファンの間でのスラング」が定着し、 Twitterなどで「常識に縛られてはいけないのです ね!」「!すのでな」「これもうわかんねぇな」「はい 300万」などのように書き込まれるようになると彼ら も「ネタ化」という方向性で表現者とはまた違う発 展への貢献をしてくれる そのためファンが更にファンを増やしてくれる

Slide 16

Slide 16 text

糖質系はどうなっている? ● コンテンツ供給者 コンテンツそのものは古くは安達真、鈴木康史、岩間 好一、Tehu(淫夢)などといった存在がいたが、供給者 と言った場合はこれらの人物をネタ化してきた淫夢民 や恒心教徒のほか一般の人も含まれるであろう 岩間好一(aiueo700)は実際「一般層(東方や艦これ などを楽しむ普通のオタク)」と「淫夢民」「恒心教徒」 が混ざり(初期にネタにしていたのは恒心教徒であっ た)三者が発展させたようなものである

Slide 17

Slide 17 text

糖質系はどうなっている? ● 現在主要なネタの中心である「性の悦びおじさん」も、 一般人が興味を持ってカメラを持っておじさんを追っ かけまわすといった行動が見られ、彼らは「コンテンツ 供給者」であると言える ● 「沖縄ドラえもん」も沖縄タイムス社が取り上げたもの を政治に関心のある一般層が広めたと考えられる ● 「左足壊死ニキ」と呼ばれるホームレスと思われる男 性もネタ化は淫夢民が初期に関与したと思われるが その後は一般人が目撃談を報告したりしている

Slide 18

Slide 18 text

糖質系はどうなっている? ● ここで重要なのは「糖質系」というくくり ● もし「岩間好一(aiueo700)」というくくりであれば、当該 男性がネタを供給しなくなれば廃れていくコンテンツで ある ● これが「糖質系」であるため、岩間好一が流行らなく なっても次は性の悦びおじさん、その次はまた別の人物 がネタとして昇華されることになる ● またくくりが大きいため、目撃談がひとつしかない 「Tehu(淫夢)」なんかも一過性のネタで終わることがな いという強みがある

Slide 19

Slide 19 text

糖質系はどうなっている? ● これらの目撃談などは頻繁にニコニコ大百科や唐 澤貴洋Wikiなどにまとめられたり、NAVERまとめな どのテーマとなっている ● つまりこれらは新規参入者に「性の悦びおじさんと いうのはこういう人なのである」という紹介をするの に便利であり、これが「コンテンツ紹介者」として看 做せる

Slide 20

Slide 20 text

糖質系はどうなっている? ● それらを元にMAD動画が作られたり、Twitter上の クソコラグランプリの素材として使われることも多い ● またイラストも少数ながら散見され、イラストのテー マとして浸透していくのも時間の問題である ● MAD素材としても、「糖質系」というでかいくくりで あるため、「素材不足」に悩まされにくく、またクロス オーバーをさせることで表現に幅が広がる

Slide 21

Slide 21 text

糖質系はどうなっている? ● 「昼食の悦びを知りやがって…」「おーはぇ!もう Amazonから届きましたわ!」「はい!物理の単位を 落としてす、しまったのですが!」などと発展させられ るため、Twitterでも定着しやすい ● というか、このスライドを見ている人も一度はそうい うつぶやきをしたことはあるのではないだろうか? ● 結果として「ん?なんだろうこの定型文は?」と思っ た人が調べることで所謂「布教」につながっていく

Slide 22

Slide 22 text

糖質系はどうなっている? コンテンツ供給者 統合失調症の方々をネット上やリアルで見つけ 撮影したり目撃談を報告したりする人 コンテンツ紹介者 ニコニコ大百科や唐澤貴洋Wiki NAVERまとめなどにまとめる人 コンテンツ表現者 MADやクソコラ素材として活用する人たちや イラストの題材にするイラストレーター コンテンツ消費者 統合失調症の方々の表現を取り入れた会話をする人

Slide 23

Slide 23 text

まとめ ● もともと歴史的にWebにおいて「実在人物」をネタ としたジャンルを受け入れる土壌はあった ● それらのネタを「供給」し、まとめたうえで「紹介」し、 それらを音楽・映像・イラスト作品として「表現」し、 ネタとして会話に取り入れたりして「消費」する四者 が定着すればジャンルとして成立しうる ● ジャンル「糖質系」が成立した背景にはこういったこ とが理由として挙げられるだろう