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令和4年度ICT職専門研修 (海外派遣研修) 報告書 公開日:2023年3月30日 渡航先:米国 カリフォルニア州 テーマ:デザイン思考

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目次 ⚫ 序章 研修の概要 ⚫ 第1章 研修の結果(海外大学院) 1 スタンフォード大学経営大学院 ⚫ 第2章 研修の結果(海外民間企業) 1 デザイン思考 2 組織開発 3 行政事例 ⚫ 第3章 まとめ 1 今回の研修で得られた知見と展望 2

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⚫ 最新のデジタル技術や海外を含めた先進事例など、進展スピードの速いデジタルテ クノロジーに関する世界の潮流を学び、それを都に還元することで、デジタルを活用 した都政課題の解決に資する。 ⚫ グローバルなデジタル人材とつながり、海外の最新のアカデミックな知見を獲得する。 ⚫ デジタル技術のトレンドを学び、体感し、都の行政デジタル化の課題を発見する。 研修の目的 • デジタルサービス局 戦略部 デジタル推進課 好本 智昭(ICT職) • デジタルサービス局 戦略部 デジタル推進課 関貫 直哉(ICT職) • デジタルサービス局 戦略部 デジタル推進課 三田 恭平(ICT職) 研修生 3

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⚫ デジタルサービスにおける「デザイン思考・ユーザーセントリック」をメインテーマとした。 ⚫ 上記のテーマに加え、「組織開発」 、「官民連携」、 「データ・AI・クラウド活用」、 「スマートシティ」などの米国企業の取り組み事例を調査した。 研修テーマ 日程 ⚫ 10/9ー10/14(6日間):スタンフォード大学経営大学院(好本のみ) ⚫ 10/17 : Cisco Systems ⚫ 10/18 : Google ⚫ 10/19 : Microsoft ⚫ 10/20 : IBM ⚫ 10/21 : Salesforce 4

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研修テーマ設定の背景 ⚫ 都では「シン・トセイ」戦略を策定し、改革の5つの キーワードを軸にDXを梃子として都政の構造改革を 進めている。 都民・職員の満足度が低い現状から、都民・職員 満足度を向上させ、住民ニーズに的確に応えた政策 やサービスを創出するためには、顧客の意見を踏まえ てニーズの変化などに柔軟に対応していく必要があ る。 ニーズに沿った改革を推進するため、海外大学院や 米国企業の「デザイン思考・ユーザーセントリック」の 取組みを中心に学んだ。 ⚫ 「デザイン思考」に加え、米国企業の「組織開発」 「官民連携」 「データ・AI・クラウド活用」「行政の事 例」などの取り組みについてもヒアリングを実施した。 シン・トセイ 都政の構造改革QOSアップグレード戦略より R4研修メインテーマ:デザイン思考 5

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【マウンテンビュー】 ■Google 日程:10/18 内容:デザイン思考、組織開発、行政事例等 ■Microsoft 日程:10/19 内容:オフィス改革、行政事例、AI等 【サンフランシスコ】 ■Salesforce 日程:10/21 内容:デザイン思考、オフィス改革、行政事例等 【サンノゼ】 ■Cisco Systems 日程:10/17 内容:デザイン思考、テクノロジーの将来等 ■IBM 日程:10/20 内容:デザイン思考、人材育成、行政事例等 【スタンフォード】 ■スタンフォード大学経営大学院 日程:10/9ー10/14 テーマ:Customer-Focused Innovation 内容:経営大学院教授陣による井野辺 ―ジョンの講義、d.school講師によるデ ザイン思考、ユーザーインタビュー等 1 2 3 4 5 6 渡航先一覧 6

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第1章 研修の結果 (海外大学院) スタンフォード大学 ・経営大学院 ・d.school 7

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はじめに ➢ 教育機関 スタンフォード大学経営大学院 d.school※1 ➢ 期間 令和4年10月9日 から 14日 まで ➢ 講座名 Customer-Focused Innovation ➢ 講座概要 スタンフォード大学経営大学院での講義では、イノベーションの育まれる組織文化を実現するための マインドセットや展開の理論を、d.schoolのワークショップでは、顧客に注目したプロトタイピングを 体験することで、顧客中心のサービスイノベーションの考え方 を学習した。本プログラム参加者は、全員大学内の宿舎に 宿泊し、プログラム外の時間もともに過ごすことで交流を 深めた。 ➢ 参加国比 北米:欧州:アジア太平洋=3:2:1 ➢ 参加者層 企業経営者、MBA・PhD取得者、チームリーダ等 ◆プログラム概要 デザイン思考の第一人者が設立した機関で、企業によるアレンジのないピュアな方法論を学ぶ。 東京都の目指す顧客視点に基づく政策やサービスの創出に資する手順や考え方を身に着ける。 キャンパス中央の芝生から記念教会を臨む ※1 d.school:デザイン思考で著名なデビット・ケリーにより創設されたデザイン研究所。 スタンフォード大学に所属する様々な専攻の学生がデザイン思考を学ぶプログラムを提供している。 8

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経営大学院(1/3) ◆プログラムの構成 10/09 10/10 10/11 10/12 10/13 10/14 エクササイズ / 朝食 経営大学院 →本頁~ 座学・グループワーク・討議 / 講演 / 訓練 昼食 d.school →P.12~ タイヤ交換競争 / デザイン思考ワークショップ 夕食(初日・最終夜はセレモニー) 全体スケジュール フーバータワーから見る宿舎と経営大学院教室棟 ➢ 全参加者が教室で大学講師陣による講義を受講 午前2時間×2コマ ×5日間(午後はd.school) ① 組織にイノベーションをもたらすために何が必要か、過去に イノベーションなく失敗した企業に何が足りなかったのかの 概論や、組織に関する心理学、経営学、神経経済学等 に関して隣席、教室内、チームで以下のことを実施 ・ バイアス(Common Knowledge効果)の実験 ・ グループワーク(例:従業員のマインドをどう調査するか) ・ 各授業テーマの討議 (例:イノベーションとは何か、自分の組織に帰って何に取り組むか) ② ゲストスピーカーによる講演 ・ イノベーティブな活動に取り組んでいる組織のトップの講演 ③ イノベーティブな雰囲気を醸成する訓練 ・ 様々なミニゲームを教室内や中庭で体を動かして実施 9

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経営大学院(2/3) ① 組織にイノベーションをもたらすために必要なこと ➢ 大成功を収めた組織でも変わらなくては凋落する ・ 成功モデルはいつまでも続かない(イノベーションのジレンマ) ・ 組織の肥大化・企業文化の固定によって変わることが難しくなる ・ 変わることは未知への挑戦、失敗はつきもの ➢ 人はだれでも失敗したくない × 失敗のリスクを避ける → 停滞 〇 失敗は祝福ととらえる → イノベーション ➢ イノベーションは1人が1000歩進むのではない ・ 1000人が(違う方向に)1歩ずつ進めばいい ・ みんなでたくさんのアイデアを書き出して実行し、失敗を励行する ➢ 組織を変革するのはカルチャーを変えるリーダーシップ ・ 巨大な企業はいろいろな人がいてトップの声も直接届かない ・ スタートアップのように端々まで見渡せる組織は比較的簡単 ➢ 挑戦的な小さな組織を作るのは一つの手段 ・ 結局トップがやり切れるかが成否を分ける 経営大学院の教室内の様子 10

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経営大学院(3/3) ② ゲストスピーカーによる講演 ➢ ベッキー・マーギオッタ(ビリオンズ・インスティテュート(市民団体)の共同設立者) ・ 10万人のホームレスに住居支援をする10万住宅キャンペーンにどう取り組んだか ➢ カラ・ゴールディン(ヒントウォーター(フレーバーウォーターメーカー)の創設者) ・ シリコンバレーでのキャリアと起業するに至った半生 ➢ アイシャ・エバンス(ズークス(自動運転車メーカー)のCEO) ・ インテルから新興企業へ移った理由と今の取り組み ③ イノベーティブな雰囲気を醸成する訓練 ➢ あっち向いてホイのようなゲームをして負けた方が「やったぜ」と喜び、勝った方はそれを祝う ・ 負けたことで「くやしい」とか「恥ずかしい」顔をしたら本当に負け ➢ 相手に対して嫌な物をあげるよと言い、相手はそれを褒めてどうもありがとうと言う ・ 例:ゴキブリをあげるよ → こんな黒光りしていてカサカサするものがちょうど欲しかったんだ、どうもありがとう! ➢ 前の人のポーズから連想するポーズを取って次々つなげる ・ 例:太陽 → 太陽を浴びる木 → 木にとまる鳥 11

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デザイン思考 @d.school(1/6) ◆ プログラムの構成 挑戦前の準備 平均時間 1回目 作戦会議のみ(10分) 37.61秒 2回目 アイデアがうまくいくか練習(5分) 25.13秒 3回目 2回目の失敗を踏まえた練習(2.5分) 20.05秒 ➢ レーシングカーのタイヤの交換タイムを競った(計3回) ➢ 参加者のほとんどはインパクトレンチもさわったことがない ➢ 3回の挑戦の前に右表のとおり作戦会議や練習の機会が与えられた ➢ 結果から以下のことを確認 ・ 実際に手を動かすことは頭で考えるよりも短い時間で多くを得られる -オフィスの中で悩んでもいい答えが出るとは限らない ・ 考え、アイデアを出し、実際に確かめる ・ チームワークを醸成する ・ マネジメントの仕方で成果は大きく変わる ◆ 初日:タイヤ交換競争 ➢ d.schoolのコーチとともにグループでデザイン思考の ワークショップを体験 ➢ 実際に学内の一般人にインタビューを行いニーズを抽 出するところから、プロトタイプの作成・ユーザーインタ ビューまで、デザイン思考の一連の流れを学んだ ➢ スケジュール 午後4時間×5日間のワークショップ ・初日:アイスブレイク ・2~4日目:次頁以降のワークショップ ・最終日:ふりかえり ➢ 人数:(受講生5、6人+コーチ1名)×5チーム 12

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デザイン思考 @d.school(2/6) 1 2 3 4 5 共感 問題定義 創造 プロトタイプ テスト ◆d.schoolによるデザイン思考のワークショップの流れ 学内の一般人に インタビュー ヒアリング内容から 驚き・発見を抽出 背景を推察し アイデアを出す 解決策を 形にする 一般人に フィードバックを もらう 1.共感 ・学内の一般人にテーマの経験をインタビュー ・その経験の間の感情の良し悪しを描いてもらう ✓ 相手のしぐさに注意して話を聴く ✓ その場で本人に解決策を提案したり訊かない テーマ テレワークの改善 インタビューの質問は「テレワークでのミスコミュニケーション」 good bad Point! 学内を散策してGabby, Javier, Emaの3人にそれぞれ約30分ずつ インタビューすることができた。 13

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デザイン思考 @d.school(3/6) 2.問題定義 ・インタビューの中で驚いたことに注目する ・相手の気持ちになって想像し、何が彼(彼女) をそうさせたか思いを巡らせる ✓ チーム内でとにかく発言する ✓ みんながそうかもしれないと思ったものを採用 話し手:心優しいGabbyさん 驚き :Zoomで話していると冷たい人に みられてしまう 想像 :テクノロジーに捕らわれている 何が鍵:テクノロジーからの解放 ◆気づき ・漠然とした”みんな”では真の課題をとらえられない ・驚きに着目するのは、自分たちにない新しい見方をすること ・実はここで定義した問題は、話し手の真の問題ではなく自分た ちのことにスケールアップされた問題定義 Point! テーマ テレワークの改善 インタビューの質問は「テレワークでのミスコミュニケーション」 1 2 3 4 5 共感 問題定義 創造 プロトタイプ テスト good bad Gabbyは、直接話すと物腰柔らかでとてもやさしい人であるにもかか わらず、バーチャルミーティングでは冷たい人と思われてよそよそしくされ てしまうことにとても悲しんでおり、私たちは彼女がテクノロジーに捕らわ れてしまっていると問題を定義した。 14

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デザイン思考 @d.school(4/6) 3.創造 ・好きな製品や有名人などの良いところを糸口に解決 案を着想し、アイデアを積み重ねる ・出てきたアイデアの中で一番賛同されたものを採用 ✓ 最初の糸口はただの起点 それに続くブレインストームが本題 ✓ 考えすぎず間髪入れずに次のアイデアを出す ✓ Yes!and で絶対に否定しない ◆気づき ・前例を踏襲したり欠点のないアイデアを出そうと思い悩みがち ・どんなばかばかしいものでも一度見せてみんなで評価すればいい ・前向きな雰囲気の環境(職場)づくりが大事=心理的安全性 Point! 1 2 3 4 5 共感 問題定義 創造 プロトタイプ テスト 〇〇アプリが好き カメラ映像をい じったら親しみが 増すかも いいね! アイコンを ○○店はよく試供 品をくれるから好 き いいね! デジタルコンテン ツを いいね! ・・・・・・・ いいね! ・・・・・・・ いいね! ・・・・・・・ いいね! ・・・・・・・ いいね! ・・・・・・・ いいね! お互いの興味を 共有できるアイ スブレイク的な アプリがいいな いいね! 実際に贈り物がで きると…… スマートフォンアプリから着想を得て、こんな機能があったらいいな、こん なことが実現できたら距離を縮められるかも、と面白いアイデア、くだら ないアイデアをブレインストームでたくさん出してアイスブレイクアプリを解 決策として採用した。 15

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デザイン思考 @d.school(5/6) 4.プロトタイプ ・画用紙やポストイットでラフなものを作る ・素早く試してデータを取る ・シンプルで強力な解決案であるかを検証したい ✓ パソコンなどで中途半端に整ったものにしない ✓ きれいなプロトタイプはYes “but” になりがち ✓ ユーザーのYes “and” を引き出す粗いもの ✓ コンセプトが相手に伝わる最小限のもの ◆気づき ・ほしいものは見栄えではなく、課題解決のためにテストしたい機能 を必要十分に備えたもの ・つっこむ余白のあるものの方がアドバイスしようという気にさせる Point! 1 2 3 4 5 共感 問題定義 創造 プロトタイプ テスト <機能> ・バーチャルミーティングを始めるときに自分の好 きな食べ物や映画、旅行先など3つを入力する ・集計してミーティングメンバーで相互の興味があ るものが表示される ・それぞれのテーマ部屋が表示され、どれに参加 するか、参加しないかを選ぶ はじめにノートパソコンとPowerPointで作ろうとし、コーチから「最小 限の機能を表現した粗いものを素早く作らないとプロトタイプにならな い」と指摘され、イーゼルパッドに付箋やマジックを使ってプロトタイプを 作成した。 16

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デザイン思考 @d.school(6/6) 5.テスト ・作ったものを持って再び学内の一般人にテスト ・テストの趣旨と、相手にも似たような課題があるかの 確認 ・使ってもらった感想、良し悪し、意見を訊き、良い 問題定義だったか、良い解決案だったかを整理 ✓ 共感と同様に話をよく聞く ✓ 解決案に訴求力があり、機能するかは冷静に判断 ✓ 一回のテストで満足しないで反復する Point! 1 2 3 4 5 共感 問題定義 創造 プロトタイプ テスト ◆気づき ・はい/いいえの質問はドライに回答されがち ・きちんと会話をしないとどこに不満があるかは引き出せない ・最終ゴールは上司を説得することではなく利用者に使ってもらえる こと <やりとり> 1 新しいバーチャルミーティングソフトのラフなプロトタイプ の改善にトライしてもらえませんか? 2 最近3回のバーチャルミーティングであなたはどのよう な役割をしましたか? 3 その中で人間的な関係づくりの限界を感じたことはあ りましたか? 4(プロトタイプの説明) 5 あなたはこのソフトを実際に使いたいと思いましたか 6 どんなところが気になりましたか? 7 (会話の中で気づいたことを質問) 3人のテスターと話す中で、Gabbyと同じような不便さを感じていたり、 まったく逆であったりと気づく。 17

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第2章 研修の結果 (海外民間企業) 1 デザイン思考 2 組織開発 3 行政事例

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訪問先企業概要 企業概要 ・世界最大の検索エンジンを 持つアメリカのビッグテック企業 のひとつ ・2015年より Alphabet Inc. (多国籍テクノロジー・コ ングロマリット企業)の子会社 となる ・主な事業として、オンライン 広告、インターネット関連事 業、クラウドコンピューティング、 ソフトウェア、ハードウェア関連 事業など ※売上、時価総額はAlphabet Inc 企業概要 ・世界最大のネットワーク機 器メーカー ・インターネットを支えるネット ワークハードウェア、ソフトウェア、 セキュリティ及びクラウドにまた がる通信技術のコングロマリッ ト企業 ・近年の戦略の柱は、セキュ アでアジャイルなネットワーク・ アプリケーション体験の最適 化・ハイブリッドワーク・インター ネット・エンドツーエンドセキュリ ティ・エッジの高機能化など 基礎情報 従業員:83,300人 (2022年7月時点) 売上:516億USD (2021年時点) 時価総額:1,695億USD (2022年10月時点) 基礎情報 従業員:139,995人 (2021年時点) 売上:2,576億USD※ (2021年時点) 時価総額:1.25兆USD※ (2022年10月時点) 企業概要 ・ワシントン州に本社を置く、 ソフトウェア開発、販売を行う アメリカのビッグテック企業のひ とつ ・主な事業として、ビジネスプ ロセスの改革(Office, Dynamics, LinkedIn)、 クラウド・エッジプラットフォーム の構築(Microsoft Azure)、パーソナルコン ピューティング(Windows, Microsoft Edge, Surface, Xbox)など 基礎情報 従業員:221,000人 (2022年6月時点) 収益:1,680億USD (2021年時点) 時価総額:1.76兆USD (2022年10月時点) 企業概要 ・世界170カ国以上でビジネ スを展開している多国籍企 業 ・主な事業として、コンピュータ 関連製品とITコンサルティン グ事業、IT業務の外部委託 やソリューションの提供、システ ム・サーバーの販売など ・近年ではAI(Watson) を活用し、データをナレッジに 変えて業務プロセスに組み込 むことで新たなビジネス価値を 実現 基礎情報 従業員:282,100人 (2021年時点) 売上:574億USD (2021年時点) 時価総額:1,073億USD (2022年10月時点) 企業概要 ・サンフランシスコに本社を置く、 クラウド型ソフトウェアを提供 する企業 ・主な事業、代表的なサービ スとして、クラウドアプリケーショ ン・クラウドプラットフォームの 提供(Sales Cloud, Customer 360, Slack, Tableau) 基礎情報 従業員:79,000人 (2022年12月時点) 売上:265億USD (2021年時点) 時価総額:1,630億USD (2022年10月時点) 各社HP、企業情報(IR)より Cisco Systems Google Microsoft IBM Salesforce 19

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◆背景・都の主な取り組み 1.デザイン思考 • 「テストしないものはリリースしない」を合言葉に「ユーザーテストガイドライン」※1を策定 • ユーザーの意見を反映させるため、サービス開発の際に職員が中心となってユーザーテストを実施 • デジタルサービスの品質を向上させるため、サービスの開発・運用に従事するすべての職員等が遵守すべき基本的なミッション やバリュー等を「行動指針」※2として策定し、「顧客視点でデザインしよう」を規範の1つに規定 ◆我々が感じていた課題・疑問 • サービスリリース段階でユーザーテストを実施しているが、そこで挙がってきたユーザーの意見をリリースまでにすべて反映させるこ とが難しい • ユーザーテスト実施の必要性やユーザーの声を聴く必要性が、サービスを構築する事業担当者に伝わっていない • 多様性の尊重が求められる行政サービスにおいて、企画段階でどのように課題を絞り込めば良いかわからない • ユーザーテストの取組みで、本当にユーザーの課題を拾い上げることができているのかがわからない ◆主な取材内容 • サービスを提供する際に、どのようなサービス改善の取組みを行っているのか。デザイン思考やユーザー中心設計の観点で取り 組んでいる具体的な事例を教えてほしい • 多様なユーザーのニーズにあったサービスを届けるために、企画段階においてどのような取組みをしているのか ※1 ユーザーテストガイドライン https://shintosei.metro.tokyo.lg.jp/post_utgl/ ※2 デジタルサービスに係る行動指針 https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/digitalguideline/ 20

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取り組み内容 ポイント 課題や要望をよく知る“ユーザー”、何が上手くいき、何が上手くいかないか知悉している “営業”、製品開発を行っている“技術者”が互いの意見を出し合うことで、どこに課題が あるのか、どうすれば解決できるか、三者が一丸となって取り組むことでイノベーションを生 み出している。 多様なユーザーの意見を吸い上げ、どこ に課題があるか、何が上手くいっているか 把握する顧客視点のデザインが大事。 従業員を対象に、デザイン思考で創造性やイノベーションを生み出すための指導を行って いる。デザイン思考では、ただの課題解決にとどまらず、現場の成果が10倍にスケールす るようなアイデアを考えること、プロトタイプドリブンでフィードバックから改善を繰り返すこと、 サービスインは小さく始めることを意識している。 現場の小さな解題解決を考えるだけで はなく、どうすれば現場の成果を10倍に できるか、大きな目標を考えることで、イ ノベーションを生み出す革新的なアイデア をひらめくことが出来る。 ◆企業における取り組み事例 1.デザイン思考 営業 技術者 ユーザー 10倍の スケール アイデア サービス プロトタイプ ドリブン フィード バック 改善 21

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取り組み内容 ポイント 営業職やサポート職の従業員だけではなく、普段エンドユーザーと接することのない技術 者も交え、ユーザーとともにデザイン思考のワークショップを行い、ユーザーや技術者のみん なが納得する解決策を導き出している。 企画段階から技術者を巻き込んだワー クショップを行い、ユーザーからは意見をも らうだけではなく、“みんなで一緒に解決 策を考える”という意識をもってもらうこと が大事。 多様なユーザーの声を製品開発に取り入れるために、製品に関するアイデアをユーザー自 身が投稿することができる仕組みを導入。他の人のアイデアについても見ることができ、他 者が投稿したアイデアに投票することで、ニーズの高いアイデアを把握して、将来の製品開 発において優先的に検討している。 顧客の声をダイレクトに集めることで、 ニーズがどこにあるかを把握し、顧客視 点でのサービス開発が実現できる。 ◆企業における取り組み事例 1.デザイン思考 営業職・サポート職 技術者 ユーザー みんなでデザイン思考 ワークショップ 22

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◆まとめ 1.デザイン思考 事業の企画段階からユーザー(利用者)や技 術者を巻き込んでデザインワークショップを行い、プ ロトタイプを早めに共有してフィードバック&ブラッ シュアップを繰り返す。 デジタルサービス局で実施しているデザイン思考の 支援※1や、策定したユーザーテストガイドラインと アプローチは変わらない。違いとして、ユーザーの 声を聞いて我々が作るのではなく、ユーザーと一 緒に作る意識を大事にしている。 多様なユーザーがいることによる課題はたくさんあ るが、顧客視点の観点から、真にユーザーが困っ ていることから着手することが重要。(ゼロをプラス にするのではなく、まずマイナスをゼロにする) 一度リリースしても完成ではなく、何度も見直し・ 改善をし続けることが重要。 サービスリリース段階でユーザーテストを 実施しているが、そこで挙がってきたユー ザーの意見をリリースまでにすべて反映 させることが難しい。 ユーザーテスト実施の必要性やユー ザーの声を聴く必要性が、サービスを構 築する事業担当者に伝わっていない。 多様性の尊重が求められる行政サービ スにおいて、企画段階でどのように課題 を絞り込めば良いかわからない。 ユーザーテストの取組みで、本当にユー ザーの課題を拾い上げることができてい るのかがわからない。 気づきのまとめ 我々が感じていた課題・疑問 今後にむけて ※1 ユーザーテスト実施の支援など デジタルサービス局で各 局・区市町村を支援して いるチームにフィードバッ クし、各デジタル関連事 業の企画段階からリリー ス後までユーザーを巻き 込めないか検討する。 23

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◆背景・都の主な取り組み 2.組織開発 • 職員のエンゲージメント向上のため、デジタル環境に関する職員の満足度調査を定期的に実施※1 • 未来型オフィスの整備、柔軟でイノベーティブに働ける新しい職場づくり※1 • 行政のデジタルサービスを支えるデジタル人材の確保・育成※2 • デジタルサービスに係る行動指針の策定※3 • 都職員の育成、先進事例調査及び区市町村連携を一体的に進めるために東京デジタルアカデミーを設立※4 • 都庁内のICT職等の持つデジタルスキルとそのレベルを可視化するデジタルスキルマップの導入、定期的な1on1の実施※4 ◆我々が感じていた課題・疑問 • 新たなイノベーションを起こすためのムーブメントやカルチャーづくりをどう促していけば良いのか • どのような施策やオフィス改革を行えば、多様な職員のエンゲージメントを向上させることができ、より柔軟でイノベーティブに働け る職場づくりを行うことができるのか • 研修プログラムの効果や学習意欲をより高めるためにはどうすれば良いか ◆主な取材内容 • 多様な従業員を抱える中で、エンゲージメントを高めるための取り組みや工夫をどのように行っているか教えてほしい ※1 シン・トセイ2 都政の構造改革QOSアップグレード戦略 未来型オフィス実現プロジェクト https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/shintosei2/index.html#page=26 ※2 シン・トセイ2 都政の構造改革QOSアップグレード戦略 組織・人材マネジメント変革プロジェクト https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/shintosei2/index.html#page=58 ※3 デジタルサービスに係る行動指針 https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/digitalguideline/ ※4 東京都デジタル人材確保・育成基本方針 https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/hr/pdf/001.pdf 24

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取り組み内容 ポイント 積極的にイノベーションが生み出されるためのカルチャーづくりを大切にしている。「リスクテ イク」という失敗を祝うユニークなカルチャーがあり、チームの中でミスをしても、それを理由 に非難されることはない。従業員が心理的安全性を感じられ、リスクを恐れずに新しいア イデアを試せるようにしている。 新たなイノベーションはチャレンジングな失 敗体験から生まれるため、失敗を許容・ 分析し、次なる打ち手に繋げられるよう な文化を醸成していくことが大事。 採用プロセスには採用委員会が設けられており、現場のマネージャー単独で採用は出来 ない仕組みになっている。応募者が職務に適しているか、組織全体に適しているかを、多 様な意見を持つチームで確認している。また応募者一人ひとりにも、どのようなマインドを 大切にしているかを考えてもらい、選考の際に述べてもらっている。 多様な意見を取り入れ、型にはまらず、 価値観の違いを受け入れる組織文化を 育てることが大事。また一人ひとりが自分 の意見・意志を持ち、“双方向に意見交 換する”カルチャーをつくることが大事。 ◆企業における取り組み事例 2.組織開発 ① 心理的 安全性 ② 相互信 頼 ③ チーム 目標が 明確に ④ 仕事の 意味を 感じる ⑤ イノベー ション ○○部マネージャー ××部マネージャー 採用担当 チームによる採用判断 25

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取り組み内容 ポイント 得意な分野・興味がある分野のスキルを伸ばせるパラレルなキャリアパスがあり、入社後 に、テクニカルかマネジメントかキャリアの方向性を選択できる。また、デザイナーやコンサル タント、データサイエンティストなど、約15種類の専門職務ごとにグレードが設定されている。 テクニカルを伸ばしていくのか、マネジメン トを伸ばしていくのか選択出来ることで、 自分の希望や適性に合ったキャリアが築 ける。また専門職種ごとにグレードを設定 することで、目指すキャリアパス像を明確 にすることができる。 個人のスキルに応じて、適切な学習方針を決めるシステムがある。データを活用し、個人 のスキルに応じてAIが適切な学習方針をレコメンドすることで、個人が興味をもつキャリア、 組織が求めるキャリアへ自然にキャリアアップできる。また、他社(市場)と比較した評価 も、従業員にオープンに公開している。 蓄積された研修受講履歴やスキルデータ を活用することで、組織として必要なスキ ルとのギャップを埋めるための効果的な育 成方針を決めることができる。組織外との スキルレベルの比較ができれば、市場から 見た強み・弱みやトレンドスキルの不足に 気づくことができる。 ◆企業における取り組み事例 2.組織開発 データ・AIを活用した学習コンテンツとのマッチング 新人社員 若手社員 中堅社員 テクニカル 人材 マネジメント 人材 26

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取り組み内容 ポイント 米国他社でリモートワークの廃止を決めた企業がある中で、従業員に選択の機会を与え ている。その中で、オフィス改革も実施しており、その際に追求したのは、リモートでも働き やすいと感じられるオフィスづくりだった。企業のオフィスが立地することによるベネフィットを 地域に還元する文化を大切にしており、オフィス内では社員向けのランチは提供せず、社 員にはオフィス周辺でのランチを推奨している。なお、執務フロアの一角には、スナック 菓子やフリードリンクを設置していて、簡易な軽食を提供されている。 企業が、内向きな組織風土にならず、立 地する自治体やコミュニティの一員として の企業意識を持ち、社員に対して企業 理念や価値観に則った行動を促すなど、 オフィス改革に際して、考え方の軸を定め ながらオフィスづくりを行っている。 ◆企業における取り組み事例 2.組織開発 27

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◆まとめ 2.組織開発 成功プロジェクトだけはなく 失敗プロジェクトにフォーカス した改善や、役職/立場を意 識せず言い合えるカルチャー づくりを行う。 新たなイノベーションはチャレンジングな失敗体験 から生まれるため、失敗を許容・分析し、次なる 打ち手に繋げるプロセスの文化を醸成していく。 一人ひとりが自分の意見を持ち、「双方向に意見 交換する」カルチャーをつくる。 「オフィスに来なければいけない」ではなく、「オフィ スに来たい」と思わせる仕組みづくりを行う。 得意な分野、興味がある分野のスキルを伸ばせ るキャリアパスづくり。 気づきのまとめ リモートワークで行える業務(個人)と、オフィス で行った方が効率がよい業務(チーム)を切り 分ける。 新たなイノベーションを起こすためのムー ブメントやカルチャーづくりをどう促してい けば良いのか。 我々が感じていた課題・疑問 どのような施策やオフィス改革を行えば、 多様な職員のエンゲージメントを向上さ せることができ、より柔軟でイノベーティ ブに働ける職場づくりを行うことができる のか。 研修プログラムの効果や学習意欲をよ り高めるためにはどうすれば良いか。 今後にむけて デジタル人材の育成を担当 しているチームにフィードバッ クし、デジタルスキルの可視 化や、デジタルスキルに基づ いたキャリアパスを検討する。 未来型オフィスへの改良を 検討しているチームにフィー ドバックし、個と組織業務の 切り分けや、「オフィスに来た い」と思わせる仕組みづくりを 検討する。 28

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◆背景・都の主な取り組み 3.行政事例 • 官民協動による行政課題解決に向けたスタートアップの支援や都政現場での活用を推進※1 • オープンデータ化の推進やオープンデータ活用によるサービス開発イベントを実施※2 • 地域の課題にデジタル技術を用いて迅速・最適な対応を図るため、スタートアップやシビックテックとの協働を推進する様々なイ ベントや仕組みづくりを推進※1、2 ◆我々が感じていた課題・疑問 • データ収集にともなう本人同意や個人情報加工などの課題、収集データが事業で十分利活用されていない • 行政のオープンデータについて、実サービスでの活用がなかなか進んでいない • 行政システムは基本的にはクローズドな環境で構築されており、多くのレガシーシステムが残っている • 既に稼働しているレガシーな仕組みや運用を変えづらいため、実際の業務ではスタートアップのツールやクラウドサービス、AIの 活用がまだまだ広がっていない ◆主な取材内容 • 地域課題解決の観点で、行政と連携した取り組み事例を教えてほしい ※1 シン・トセイ2 都政の構造改革QOSアップグレード戦略 スタートアップ・シビックテックとの協働推進プロジェクト https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/shintosei2/index.html#page=48 ※2 シン・トセイ2 都政の構造改革QOSアップグレード戦略 オープンデータ徹底活用プロジェクト https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/shintosei2/index.html#page=44 29

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取り組み内容 ポイント 米国のある自治体において、住民の半数以上が英語以外の言語を使っており、非緊急 通報や行政サービスに関する問い合わせによりコールセンターの負担が大きかった。これに 対して、語学面での負担を軽減するAI翻訳サービスを構築。まずはスペイン語とベトナム 語の翻訳に重点を置き、 1,000組の翻訳リストをカスタム辞書としてAIへ学習させること で、翻訳の精度が90%まで向上した。これにより英語を話せない住民の公平性が向上 するとともに、通訳などの諸経費を削減することができた。 既に学習済のAIモデルにカスタム辞書を 追加することで、現場で使われる単語や 方言の事情に沿った翻訳の精度向上が 目指せる。 行政とベンダによるジョイント・コミュニティーを構築している。行政サービスで起こる様々な 問題について、コミュニティー内の問題解決チームで対応するか、行政(自治体職員) へエスカレーションするか、切り分けを行って対応している。 デジタル関連の行政サービスに関しては、 ITスキルを持ったメンバーを含めたチーム で課題の一次切り分け(自分達で解決 するのか、事業担当へエスカレーションす るのか)を行うことで、効率的に課題を 解決することができる。 ◆企業における取り組み事例 3.行政事例 行政 (自治体職員) 官民ジョイント・コミュニティー 運用 チーム PMO チーム 開発 チーム UIUX チーム セキュリティ チーム 30

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取り組み内容 ポイント 米国のある健康保険機構において、構築済のレガシーシステムを活かしつつ、オンライン で低所得者の医療情報を連携できるアーキテクチャの再構築に成功した事例。沢山の レガシーシステムとend-to-endで連携できるプラットフォームを構築し、住民との接点で はクラウドのサービスを利用することで、レガシーシステムを活かしつつUXを改善することが できた。 既存の業務システムを時間をかけて大き く改修するのではなく、ユーザーとの接点 となるwebサービスやアプリなどに最新の クラウドサービスを活用していくことで、迅 速にUX(顧客体験)の改善が目指せ る。 緊急性の高くない道路の破損やごみに関する苦情、許可申請といった公共課題につい て、市民から直接問い合わせや通報することが可能なオンライン上の受付システムを構 築。システム内では市民からのすべての要望を管理し、内容に応じて官民の関係機関に 連携する体制となっており、行政と非政府機関全体で、顧客サービスの改善を実施して いる。 行政が実施すること、シビックテックや民 間企業が実施すること、というように、各 機関が果たすべき役割を整理し、それぞ れが連携して市民サービスを構築。 一度作って完成ではなく、常に市民ニー ズを把握し改善し続けることが重要。 ◆企業における取り組み事例 3.行政事例 クラウドサービス Integration Platform as a Service 31

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◆まとめ 3.行政事例 スマートシティを推進しているチー ムにフィードバックし、データ収集 に伴うベネフィットやリスクアセスメ ントの作成で、都市OS間の連携 が促進できないかを検討する。 各局や区市町村の業務効率化 でパブリッククラウドのAIサービ スが活用できないか検討する。 データ収集に係る問題は米国においても同様であり、ユー ザー自身が選択できること、ベネフィットがリスクを上回ること を意識する。 データを活用することで都民や事業者、職員にどのようなベ ネフィットやリスクが想定されるのか、アセスメントを作成する。 既存業務システムとの連携を想定したパブリッククラウドの導 入を行い、利用者から見える部分はクラウドのツールを活用 することでUI/UXの向上が可能。またクラウドを活用するこ とで、日々進化するビッグテック企業のAIやBIサービスの恩 恵を享受できる。 翻訳サービスなどは各分野で既に学習済のAIモデルがその まま利用できる精度にある。また行政独自のワードもクロー ズドな環境で追加学習することが一般的なため、データをク ラウドにあげなければならないリスクはなく、 行政分野でも AIは広く活用できる段階にある。 気づきのまとめ 庁内におけるデータに基づく政策決定の機運を高める活動 の検討。(活用を阻害している要因は文化/人/プロセス) データ収集にともなう本人同意 や個人情報加工などの課題、 収集データが事業で十分利活 用されていない。 我々が感じていた課題・疑問 行政のオープンデータについて、 実サービスでの活用がなかなか 進んでいない。 行政システムは基本的にはク ローズドな環境で構築されてお り、多くのレガシーシステムが 残っている。 データ利活用を推進しているチー ムにフィードバックし、EBPM促 進の観点も検討する。 今後の業務システムリプレイスや 機能追加では、クラウドサービス の利用を積極的に検討する。 今後にむけて 既に稼働しているレガシーな仕 組みや運用を変えづらいため、 実際の業務ではスタートアップの ツールやクラウドサービス、AIの 活用がまだまだ広がっていない。 32

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第3章 まとめ 33

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⚫ スタンフォード大学経営大学院とd.schoolでは、都でも生じている課題をテーマに、 失敗をポジティブに捉えるイノベーションのためのマインドセットや組織フレームワーク、 ユーザーにフォーカスするデザイン思考のプロセスをワークショップで学んだ。 ⚫ 海外企業では、デジタルを導入することに主眼を置くのではなく、市民や従業員、 ユーザーを中心に置いた改革や、イノベーションを生み出すための組織づくり、カル チャーづくりを推進していた。一方で海外都市の先進事例の実態としては、都と類 似課題が生じていることも確認できた。 ⚫ 都でも、これら大学院で得た知識、企業の事例を参考にして、デザイン思考の更な る浸透やイノベーションを生み出せる組織づくりに向けて、考え方やプロセスを職員 が学び、その知見を共有することで、庁内に定着させることが重要である。 ◆今回の研修で得られた知見と展望 まとめ 34

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