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私の学振DC2体験談 (2021~2022年度 学振 DC2 採用) 北田 俊輔 理工学研究科 応用情報工学専攻 博士後期課程 3 年 彌冨研究室 所属 日本学術振興会特別研究員(DC1・DC2)申請に関する セミナー, Apr. 1st, 2022 本日の資料は こちらから 4ページ目まで 表示しています

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● 理工学研究科 応用情報工学専攻 博士3年 ● 2021年度から学振特別研究員 DC2 🎓 研究分野: 人工知能・深層学習 ● 🤖 自然言語処理 (Natural Language Processing; NLP) ○ 文字形状を考慮した自然言語処理 ■ 日本語の漢字に着目 [Kitada+ AIPRW’18, Aoki+ AACL SRW’20] ■ アラビア語のアラビア文字に着目 [Daif+ ACL SRW’20] ○ 摂動に頑健で解釈可能な深層学習 [Kitada+ IEEE Access’21, Kitada+ CoRR’21] ● 🏥 医用画像処理 ○ 皮膚画像を用いた画像認識による悪性黒色腫の自動診断システム [Kitada+ CoRR’18] ● 📝 計算機広告 ○ 配信効果の高い広告クリエイティブの作成支援 [Kitada+ KDD’19] (データサイエンスの最難関国際会議) ○ 配信効果の低い広告クリエイティブの停止支援 [Kitada+ Appl. Sci.‘22] 自己紹介 北田 俊輔 Shunsuke KITADA ホームページ: shunk031.me 2 speakerdeck.com/shunk031/ jsps-dc-hosei-seminar-2023 本日の資料は こちらから

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目次 ● 学振特別研究員 申請時の状況と結果 ● 学振特別研究員になって良かったこと ● 採用までの道のり ● 申請書作成の準備 ● 申請書作成の際に気をつけたいこと ● 申請書作成から申請まで ● 大学院生活で日頃から気をつけること ● まとめ ※ できるだけ情報学分野に限らない学振申請に関する話をする予定ですが 一部、情報学分野特有の話もあります 3 私が実際に提出した申請書 本日の資料は こちらから

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学振特別研究員 申請時の状況と結果 学振 DC2 申請時 ● 応用情報工学専攻 博士後期課程 1 年 ● 初めての学振特別研究員 申請 ○ 修士2年の段階で DC1 への申請はしていなかった ➜ 当時進学を悩んでおり、いつの間にか申請期間が過ぎていた 申請結果 ● 2021~2022年度学振DC2採用 ○ 補欠繰り上げ採用(非常に稀な採用?; 後述) ● 領域/分科/細目 ○ 情報学/知能情報学関連/自然言語処理 ● 研究課題名 ○ 摂動に頑健で解釈可能な深層学習 モデルの開発とその解釈性の評価 (KAKEN ページ) 4 本日の資料は こちらから 表示ここまで 最後のページで再度表示します

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学振特別研究員になって良かったこと (1) 大きな裁量💪: 自由に自身の研究を進められる ● 採用された課題に対して自身で研究計画を柔軟に設計 ● 研究課題を達成するために必要な研究費を自身で決定 経済的支援💰: 生活費に加えて研究費が貰える ● 生活費 (特別研究員奨励金) DC1, DC2: 20万/月 ● 研究費 (特別研究員奨励費) 実験系: ~100万/年 ➜ 私が2021年度購入した物品についてブログで公開しています ● 2021年度から研究専念義務が大幅に緩和 ➜ 副業可能 ○ 研究インターンや学振特別研究員対象の公募に応募可能 ■ 例: Gunosy 社のリサーチ(研究)インターンシップ ■ 例: CyberAgent 社の特別研究員対象 協働研究員 ➜ 規定を守り月80時間未満で稼働すると、 特別研究員奨励金と合わせて最大40万円近く貰える? 5

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学振特別研究員になって良かったこと (2) 支えてくださっている方々への恩返し 🦢 ● 👪「博士課程…?まだ大学卒業できないの?」 ○ 私の場合は家族の理解があまりなかったです 😅 ● 👪「ガクシンケンキューイン?国の研究者の卵なの!?」 ○ 若手研究者の登竜門・国の研究者の卵 (表現は賛否両論あり) だよと 説明できるので、親や親族も喜んでくれました ○ 更に大学の広報に取り上げてもらえたことで信憑性が向上 6 大学広報の記事 錚々たる大学の中に自分の名前が! 特別研究員になることが必ずしも 親への理解につながるかは、場合 によるかもしれません。

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採用までの長い道のり: 二次採用内定候補 ➜ 補欠 ➜ 採用内定(補欠繰上) ● 2020/09/25 二次採用内定候補 通知 😌 ○ 情報学での申請者は 416 人 ■ 二次採用内定候補は 19 人 ● 2020/12/25 補欠 通知 😩 ○ 二次採用内定からは8人ほど内定 ○ 私は11人の補欠者にとどまる ● 2021/02/24 採用内定 通知 😭 ○ 繰上げで採用内定 🎉 ■ 繰上げは例年 DC2 全体で数名程度 ■ コロナ禍で補欠者の繰上げが増加? 7

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申請書作成の準備 - 申請書を作成する前に 学内締め切りをチェックし、初稿完成目標を逆算 ● 学内の締切 ➜ 学振締切の流れです ● 受入教員 (指導教員) に評価書作成を早めにお願いしましょう “学振” 情報の収集 ● 東工大 大上先生の 学振申請書の書き方とコツ を眺める ○ SlideShare にて公開されている 学振特別研究員になる ために~2022年度申請版 も参考になると思います ● 他人の申請書を入手して読み込む ○ 申請する分野・分科・細目が似ている人の申請書を参考に ➜ 科研費.comに採択された学振申請書がまとまっています ○ 僭越ながら私の申請書も公開しております ➜ http://shunk031.me/post/dc2/ 8

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申請書作成の際に気をつけたいこと (1) ◎ 言われたとおりに書く ● 各章で提示されている 項目通りに書いていく💡 ○ それ以外のことを書いているとページが足りません ○ まずは箇条書きで項目に沿った内容を書き出しましょう “申請者がナニモノか” を明らかにするテクニックで始める ● 最初のページが肝です。申請書の第一印象を左右します ● どのような研究に取り組んでいるかを簡潔に説明すると◎ ○ 誰でも知っている分野・キーワード ■ 申請者は人工知能の核となる技術である深層学習の… ○ 上記の分野の中で、より詳細な領域 ■ 特に人間の言語を計算機で扱う自然言語処理に対して… 9 北田の申請書から抜粋

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申請書作成の際に気をつけたいこと (2) 10 北田の申請書から抜粋 北田の申請書から抜粋 専門用語には枕詞をつけて わかった気にさせる ● 自分と同じ分野の方が 申請書を審査するとは限りません ○ 専門用語を使うときは分かりやすい説明文を添えると◎ ■ 例: 人間の言語を計算機で扱う「自然言語処理」 ひと目でわかる概要図・ポンチ絵を作る ● 図でわかった気にさせることが重要です ○ 解像度が低かったりすると逆効果 ■ Google 図形描画 や Diagrams.net 等を使用することで、クオリティの 高いポンチ絵を作ることができます

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申請書作成の際に気をつけたいこと (3) アピールできることは とことんアピールしよう ● 実はあまりやる人が居ない 公開できるものを積極的に公開する ○ 論文解説・再現実装・知見の公開(講演等を通じて) ➜ 日々発信することを心がけると講演の依頼が来たりします 自分が優秀そうに見えるようにアピールしよう ● 就活でエントリーシートを書くような気持ちで ○ いかにも “研究できます” という雰囲気を出す ○ 研究に関連する取り組み を、がんがん盛り込む 11 北田の申請書から抜粋 北田の申請書から抜粋

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申請書作成から申請まで 12 日付 出来事 詳細 2020/04/01 科研費 LaTeX から Overleaf にインポート 申請書は TeX で書くことをおすすめします。 図表は PDF で出力して埋め込むと見栄え良し 2020/04/20 初稿完成 とりあえず埋めて誤字脱字をチェックし軽く推敲 2020/04/21 指導教員の彌冨先生へ初稿 お忙しい中優先度最高で確認していただきました 推敲 (ほとんど毎日申請書いじり) 推敲を重ねていき、研究室の後輩たちにも 見てもらって一言一句修正していきます 2020/05/14 学内締切日 2020/05/18 研究開発センターの方々の確認 小金井研究開発センターの方々が一文字一文字 非常に細かく丁寧に確認してくださいました。 この時点でかなり洗練された申請書になりました 2020/05/27 修正事項確認締切日 2020/06/10 学内締切日 (延長) コロナ禍により締め切り延長 2020/06/15 学振締切日 (延長) 以下は当時のスケジュールです。 ※ 今年度が同様かは各自で確認をお願いします 2023(令和5)年度特別研究員(PD・DC)募集 (2022年5月19日【木】学内締切)

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大学院生活で日頃から気をつけること (1) 日頃から発信する (そして注目してもらう) ● 博士課程では研究成果をまとめて 発表・公開するまでが “仕事” ○ 論文執筆だけが発表方法ではない ○ Twitter 等を活用した研究過程の公開 ■ 読んだ論文の要約公開はかなりは需要あり 個人HPを作る・更新する ● 自分の名前でググってヒット しなかったら存在しないと同じ ○ もし学振審査員が ググっていたら…? ○ 日頃の発信をまとめる場 13 博士課程へ進もうとしている修士の方や日々努力を続ける博士課程の方へ伝えたい、自由で長い

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大学院生活で日頃から気をつけること (2) 学外にメンターや共同研究者を見つける ● 学内・研究室内だけがすべてではありません ○ 学会やSNSを利用して一緒に研究したら楽しそうな方を探す ■ 私の場合 Gunosy 関さん を始めとした多くの方と “〇〇 x 機械学習” な研究をすすめることができています ■ さまざまな方たちとコラボする中で研究活動をより向上 ○ 情報処理学会の 学振申請書作成のメンタリング支援 の試み ■ 情報系では PRMU/CVIM研究メンターシップ 等も活発 後輩を育て上げて共同研究者にする ● ともあれ、研究室内にも一緒に楽しく研究できる人が欲しい ○ 博士進学となると周りにはほとんど同期はいません ○ 自分が後輩たちと一緒になって勉強したり研究する ■ 自分も知らないことがあるので、一緒に成長していく 14 博士課程へ進もうとしている修士の方や日々努力を続ける博士課程の方へ伝えたい、自由で長い

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まとめ - 私の学振DC2体験談 “学振” は研究活動に関するさまざまな学びが得られる ● 申請書の書き方、研究計画の立て方、研究費の使い方 etc. ○ 申請書の書き方は特別研究員採用の合否に関わらず有用 できるだけ早く申請書を書き上げ、何回も推敲する ● いろいろな人に読んでもらい、穴を埋めていく ○ 最後は関わってくれた方々に感謝することを忘れず いつでも相談に乗ります。気軽に連絡ください ● 学内の数少ない少ない博士同士仲良くしましょう! 📨 [email protected] ● 「こういうデータあるんですけど一緒に分析しませんか?」 のような話でも OK です!コラボしましょう! 15 本日の資料は こちらから