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© GO Inc. 2025.03.08 菅原 円 GO株式会社 職位にかかわらず 全員がリーダーシップを 発揮するチーム作り

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© GO Inc. 2 プロフィール写真 自己紹介 GO株式会社 バックオフィス基盤開発部 部長 菅原 円 (すがはら まどか) 2023年 2月 入社以来、主に決済基盤の開発に従事 2024年 4月 決済基盤のエンジニアリングマネージャーに就任 2024年12月 バックオフィス基盤開発部の部長に就任 MADOX @madoxten まどっくす

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© GO Inc. 3 今日お話する内容

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© GO Inc. 4 今日のお話 職位に関わらず 全員がリーダーシップを 発揮するチーム作りについて N=1の体験をお話します

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© GO Inc. 5 今日のお話 ここで目をつむり 胸に手をあてて

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© GO Inc. 6 今日のお話 これまであなたが一緒に 働いてきた仲間お一人おひとりを 想い描いてください

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© GO Inc. 7 今日のお話 あなたのご経験と 結びつけながら これから話す物語を 追体験していただけたら嬉しいです

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© GO Inc. 8 アジェンダ 背景:『GO』アプリの開発現場 課題:一人のリーダーがチームを牽引することの限界 活路:解決の糸口 実践:新たなリーダーたちの躍進 展望:複数のチームを越境した開発組織作り

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© GO Inc. 9 1. 背景となる 『GO』アプリの紹介

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© GO Inc. 10 タクシーに、より「早く乗れる」体験を提供 ※サービスによって提供エリア・提供条件が異なります 『GO』アプリとは

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© GO Inc. ※   は当社の登録商標です。 11 2022年9月 1000万ダウンロード突破! 2024年10月 2500万ダウンロード突破! 2021年11月 法人向けタクシー配車管理 『GO BUSINESS』リリース 2021年10月 500万ダウンロード突破! 2020年4月 Mobility Technologies誕生! 2023年4月 「GO株式会社」に商号変更 『GO』四半期別タクシー実車数 『GO』累積ダウンロード数 2020年9月 『GO』アプリ 全国11エリアでスタート ダウンロード数 (25年2月) 2700万 利用可能エリア 46都道府県 ネットワーク事業者数 1100社以上 年間実車数 (22年6月-23年5月) 6000万回 No1※ タクシーアプリとして成長中 ※Sensor Tower by data.ai調べ - タクシー配車関連アプリにおける、日本国内ダウンロード数( App Store/Google Play合算値) - 調査期間: 2020年10月1日~2024年12月31日 2024年9月 2000万ダウンロード突破! ー 実車数とダウンロード数推移 ー 『GO』アプリの事業成長

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© GO Inc. 12 『GO』アプリの開発 タクシー会社向け 管理画面 乗務員向けアプリ 後部座席アプリ 乗務員向け ポータル画面 乗客向けアプリ 決済系サーバ群 支払請求系サーバ群 社内向け 管理画面 ジオ・AI系サーバ群 配車系サーバ群 法人向け 分析系 「タクシーアプリ『GO』におけるプラットフォームエンジニアリングの実践」 https://speakerdeck.com/mot_techtalk/takusiapuri-go-niokerupuratutohuomuenziniaringunoshi-jian

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© GO Inc. 13 『GO』アプリの開発 タクシー会社向け 管理画面 乗務員向けアプリ 後部座席アプリ 乗務員向け ポータル画面 乗客向けアプリ 決済系サーバ群 支払請求系サーバ群 社内向け 管理画面 ジオ・AI系サーバ群 配車系サーバ群 法人向け 分析系 ● 10以上の開発チーム ● 100人以上の開発者 ● 100以上のマイクロサービス 「タクシーアプリ『GO』におけるプラットフォームエンジニアリングの実践」 https://speakerdeck.com/mot_techtalk/takusiapuri-go-niokerupuratutohuomuenziniaringunoshi-jian

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© GO Inc. 14 『GO』アプリの開発 平均すると毎週 20のサービスが合計45回 本番環境にデプロイ 「タクシーアプリ『GO』におけるプラットフォームエンジニアリングの実践」 https://speakerdeck.com/mot_techtalk/takusiapuri-go-niokerupuratutohuomuenziniaringunoshi-jian

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© GO Inc. 15 『GO』アプリの開発組織の構造 『GO』アプリ AIドライブ レコーダー GX (CO2削減) 人材 地図データ サービス 複数の事業部門 x 横断部門のマトリクス構造

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© GO Inc. 『GO』アプリ AIドライブ レコーダー GX (CO2削減) 人材 地図データ サービス 16 『GO』アプリの開発組織の構造 複数の事業部門 x 横断部門のマトリクス構造 開発本部 (エンジニア) プロダクトマネジメント本部 (PdM, PjM, QA, デザイン, 分析/BI) IoT本部 (エンジニア) 事業部専属 (エンジニア) 事業部専属 (エンジニア) 事業部専属 (エンジニア)

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© GO Inc. 17 『GO』アプリの開発組織の構造 『GO』アプリ AIドライブ レコーダー GX (CO2削減) 人材 地図データ サービス 複数の事業部門 x 横断部門のマトリクス構造 開発本部 (エンジニア) プロダクトマネジメント本部 (PdM, PjM, QA, デザイン, 分析/BI) IoT本部 (エンジニア) 事業部専属 (エンジニア) 事業部専属 (エンジニア) 事業部専属 (エンジニア)

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© GO Inc. 18 『GO』アプリの開発組織の構造 今日のメイン ソフトウェア開発統括部 『GO』アプリ 『GO』アプリのバックエンド Web 決済・会計・管理画面

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© GO Inc. 19 『GO』アプリの開発組織の構造 今日のメイン 決済・会計・管理画面 事業者向け管理画面 支払請求基盤 決済基盤

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© GO Inc. 20 2. 一人のリーダーが チームを牽引することの限界

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© GO Inc. 21 1チーム体制 (6人) 入社当時 リーダー ● 全員がエンジニア (スクラムマスターがエンジニアを兼務) ● 3〜4件のプロジェクトが並走 ● リーダーはキープレイヤーとして活躍 自分 Aさん

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© GO Inc. 22 1チーム体制 (13人) 人数が倍以上に増える ● 扱う領域、プロダクト、仕事量が増加 (7件ほどのプロジェクトが並走) ● ミーティングの時間が増加 (開発に充てられる時間が減少) ● 「Aさんしかわからない」が増え、属人化 ● リーダーの最終レビュー待ちが増えスタック リーダー 自分 Aさん

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© GO Inc. 23 質問 人数が13人に増え リーダーへの属人化が強いチーム

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© GO Inc. 24 質問 あなたなら この状況を どう改善しますか?

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© GO Inc. 25 サブチーム体制 (13人) 3つのサブチームに分ける リーダー サブ サブ サブ ● リーダーへの負担を減らすためにサブリー ダーを置きサブチーム体制へ ● そしてサブチームごとにミーティングも分割 自分 Aさん

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© GO Inc. 26 サブチーム体制 (13人) 情報の壁ができ、サイロ化してしまう リーダー サブ サブ サブ ● サブチーム間でやっていることが見えにくく なり、別の連携ミーティングが必要に ● リーダーはすべてを把握するため全サブチー ムのミーティングに参加 ● 属人化は変わらない状況 ● リーダーの最終レビュー待ちは引き続きス タック 自分 Aさん

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© GO Inc. 27 ☆:エース ◎:得意 ◯:一人前 △:助けがあればできる − : できない ↑ : 今後習得したい ↓ :できるけどやりたくない スキルマップ(星取表)でみると依存が一目瞭然 知見の属人化 単一障害点 「スキルマップ作成のすすめ」 https://www.ryuzee.com/contents/blog/7065 Aさんしかわからない (汗) 技術スタックやドメイン知識など一人ひとりのスキルを見える化、チームの強みや弱みを発見

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© GO Inc. 28 リーダーの状況 責任感の強さからくるリーダーの葛藤 ● マネージャーのような公的権限がない中で奮闘 ● メンバー全員の案件を解像度高く把握 ● チームの危機を自ら率先して解決 ● そして「自身への属人化」に葛藤する姿

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© GO Inc. 29 変化 ここで自分がマネージャーに任命され、リーダーから引き継ぐことに サブ サブ ● 引き継ぎではリーダーと日々 数時間 話し合 い改善の糸口を模索 ● そしてリーダーがチームを卒業し 皆でその役割を埋めていくことに 引き継ぎ マネージャー サブ リーダー 卒業 自分 Aさん

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© GO Inc. 30 質問 リーダーが抜け サイロ化したチーム

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© GO Inc. 31 質問 あなたなら どう改善しますか?

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© GO Inc. 32 3. 解決の糸口

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© GO Inc. 33 サブチーム体制 (10人以下) 情報の壁を撤廃 ● インターンの方たちの卒業もあり、人数が 10人以下へ ● これを逆にチャンスと捉え、全員でのミー ティングに戻すことに ● ミーティングの長さは隔週で見直し、段階的 に削減 (週次MTGは2時間半かかっていたものを1時 間以内へ) マネージャー リーダー リーダー 自分

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© GO Inc. 34 サブチーム体制 (10人以下) 情報の壁を撤廃 ● 他のサブチームの案件は解像度が低いため フワッとしてしまい他人事感が漂う状態に マネージャー リーダー リーダー 自分

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© GO Inc. 35 サブチーム体制 (10人以下) 弱い領域の解像度アップ ● ここでドメイン知識学習会を開始 ● スキルマップ上の弱い領域から着手 (属人化が強い領域、詳しい人が少ない領域) ● 「初心者が整理して発表し、有識者が補足す る」というスタイルで実施 ● 初心者ならではの気づきが生まれたり、皆が 質問しやすい雰囲気を醸成 ● チーム内の共通理解が増加 マネージャー リーダー リーダー 自分

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© GO Inc. 36 サブチーム体制 (10人以下) レビューを各サブチーム内で完結 ● 一人のリーダーが最終レビューしボトルネッ ク化していた問題の解決策 ● サブチーム内の2名以上 or その領域に 詳しい人のレビュー&テスト完了でOKに変更 ● アーキテクチャのレビューはSREチームへの 相談やレビューを必須化 ● サブチーム間ですり合わせ必要な場合は 個別にモブレビューを実施 マネージャー リーダー リーダー 自分

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© GO Inc. 37 サブチーム体制 (10人以下) ファシリテーションを輪番化 ● リーダー層によるファシリテーションから メンバー含む全員で回すように ● 他の案件の内容や状況も把握できるように マネージャー リーダー リーダー 自分

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© GO Inc. 38 サブチーム体制 (10人以下) マネージャー(自分)の「ボトルネックになります」宣言 ● 期の変わり目で期末評価や目標設定が重なり 自分はミーティングに追われる日々 ● 想定通りマネージャーの自分がボトルネック に ● マネジメント業務に注力するため、案件の切 れ目でプレイヤーから離れることを決断 ● この状況を見越して、事前に声がけしていた Bさんへの移譲をスタート マネージャー リーダー リーダー 自分 Bさん

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© GO Inc. 39 サブチーム体制 (10人以下) 新リーダーへの抜擢 ● 他チームとのバーチャルチームでファシリ テーションしたり、開発や運用に高い当事者 意識をもっていたり、飲み会の幹事を率先し て引き受けてくれたりしていたBさん ● 「Bさんならできそうだ」と考え、1on1 で 移譲をすり合わせ ● そしてBさんが初めてリーダー役へ挑戦する ことに ● 不確実性の高い大きめの案件のため、不安も 大きかったはず ● 期の変わり目でバトンタッチ マネージャー リーダー リーダー リーダー 自分 Bさん

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© GO Inc. 40 新しくリーダーになる方に伝えたこと 「影響の輪」にフォーカスしよう! 関心の輪 自分がコントロールできること 自分がコントロールできないこと 相手の態度や言動 自分の態度や言動 他社の 仕様変更 傘 天気 景気 過去の失敗 現在 地震 防災 津波 火山 周囲への関わり方 未来の懸念 親族 影響の輪 加齢 食事 (他社や他部署など) 外的要因に気持ちが 振り回されすぎないよう 「影響の輪」に焦点を当てよう スティーブン・R.コヴィー (2013) 『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』 https://www.amazon.co.jp/dp/4863940246

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© GO Inc. 41 I (私) We (私たち = 自チーム) We (私たち = 周辺チーム) 「影響の輪」にフォーカスしながら、主語を I から We に変えていこう! 新しくリーダーになる方に伝えたこと

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© GO Inc. 42 新しくリーダーになる方に伝えたこと 期初の目標設定で Bさんの主語が I(私) から We(私たち) へ 明らかに変化し感動!

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© GO Inc. 43 新しいリーダーにどんなステップで移譲していくか 1. 指示する :マネージャーが意思決定をおこない、指示をする 2. 売り込む :マネージャーが意思決定したことについてチームを納得させる (説得する) 3. 相談する :マネージャーが決定する前に、チームからの意見を得る 4. 同意する :マネージャーがチームと一緒に決定を下す (対等) 5. アドバイスする :チームに決定権を渡しつつ、アドバイスや意見で影響を及ぼす 6. 問い合わせる :チームの決定後に問い合わせる 7. 移譲する :特に影響を及ぼさず、チームに全て任せる (自分はほぼ一切かかわらない) 権限移譲の7つのレベル 最初は密に話してアドバイス(レベル5)しながら、方向性を擦りあわせて 2〜3ヶ月後には事後に確認する(レベル6)へ移行していこう - “Delegation Poker & Delegation Board” https://management30.com/practice/delegation-poker/ - 「Delegation Pokerで権限移譲について学ぶ」https://www.ryuzee.com/contents/blog/3669

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© GO Inc. 44 頭の中 複数のリーダーが立ち上がる 近い未来のチームを構想し始め ある疑問が浮かんだ

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© GO Inc. 45 疑問 複数のリーダーの方向性がバラバラな場合 バッティングしてチーム全体の出力が 下がってしまうのでは?

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© GO Inc. 46 疑問 たとえば 取り急ぎ、既存プロダクトを改修するか 長期を見据え、新規プロダクトを立ち上げるか

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© GO Inc. 47 質問 あなたなら どう解消しますか?

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© GO Inc. 48 + = 会社・事業・チームの方向性 目指す方向を明確にしよう 方向性のファシリテーション

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© GO Inc. How を明らかにする Why を明らかにする 49 われわれは なぜここに いるのか エレベータ ピッチ パッケージ デザイン やること やらないこと リスト 技術的な 解決策 トレードオフ スライダー 期間を 見極める なにが どれだけ 必要か 「ご近所さん」を探せ 夜も眠れない問題 ✔ ✔ ✔ 目指す方向を明確にしよう インセプションデッキ ✔

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© GO Inc. 50 目指す方向を明確にしよう 「われわれはなぜここにいるのか」 決済を通じて あらゆるステークホルダーに 付加価値を提供するため 10人がかりで 3〜4時間かけて対話を深め ようやくたどり着いた言葉 これを目にすると ジーンとくるという人も

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© GO Inc. 51 4 新たなリーダーたちの躍進

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© GO Inc. 52 サブチーム体制 (10人以下) 新リーダーの活躍 ● 新リーダーBさんが担当した案件は 早い時期で参画したこともあり チームの対応範囲を前倒しで完了 ● 「まだ余力があるので他のチームの領域も引 き受けます!」となり、チームを越境し新た な領域も開発 ● 抜擢された当時の不安がウソのように頼もし く成長 マネージャー リーダー リーダー リーダー Bさん 自分

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© GO Inc. 53 リーダーの大まかな役割 プロジェクト ピープル プロダクト テック PdMがPRDのドラフトを 作成する際の壁打ち役 アーキテクチャやデータ構造の たたき台作りと合意形成 SREレビューの実施 リーダー タスクの切り出しやアサイン クリティカルパスを踏まえた進捗確認 担当案件の開発の推進役 リーダー リーダー ● チーム外との窓口役 (事業部門、PdM/PjM/QA/SRE、他開発チーム) ● チーム内外のミーティングのファシリテーション

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© GO Inc. 54 新リーダーが模索しながら言語化した役割 さらにプロジェクトの 段階ごとの役割を Bさんがまとめたものがこちら

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© GO Inc. 55 新リーダーが模索しながら言語化した役割 ● 状態:1人先行して参画 ● 目標:できる限りメンバーがすぐ手を動かせる状態まで準備 ● 行動: ○ PdMがPRDのドラフトを作成する際の壁打ち役 ○ アーキテクチャ、データ構造の設計 ○ 事前にメンバーに要件のインプット ○ 必要に応じてチーム内で壁打ち プロジェクト「黎明期」 ※実際に本人がまとめた内容をほぼそのまま記載しています。

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© GO Inc. 56 ● 状態:リーダーとメンバーの間で要件や設計の理解に差がある状態 ● 目標:迅速にキャッチアップし実装に入ってもらうこと ● 行動: ○ チーム外との窓口(メンバーの時間確保のため) ○ メンバーへの仕様や設計の共有を改めて実施 ○ メンバーからの質問・相談に第一優先で応答 ○ 仕様確認のミーティングを頻繁に開催 ○ 成果物のレビューは認識の齟齬を防ぐため同期的に実施 プロジェクト「初期〜中期」 新リーダーが模索しながら言語化した役割 ※実際に本人がまとめた内容をほぼそのまま記載しています。

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© GO Inc. 57 ● 状態:リーダーとメンバーの間の仕様理解はほぼそろった状態 ● 目標:QA開始時期など、開発工程のクリティカルパスに間に合わせること ● 行動: ○ チーム外とのやりとりは該当箇所の開発担当メンバーが対応 ○ 共通認識ができているため成果物のレビューは非同期で実施 プロジェクト「中期〜後期」 新リーダーが模索しながら言語化した役割 ※実際に本人がまとめた内容をほぼそのまま記載しています。

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© GO Inc. 58 新リーダーが模索しながら言語化した役割 メンバーとして動いていたBさんが たった6ヶ月で初挑戦のリーダー役を 言語化してくれたことに感動!

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© GO Inc. 59 案件ベース体制 (10名以下) より柔軟な案件ベースの体制へ ● サブチームに案件がアサインされる形から 案件に応じてユニットが結成される体制へ (この図では表しきれないけど案件に対して より有機的に人が離散集合する形になる) マネージャー リーダー リーダー リーダー Bさん 自分

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© GO Inc. 60 案件ベース体制 (10名以下) さらなる新リーダーの誕生 ● 新リーダーBさんの案件と並行して Cさんが新たな案件のリーダーに ● 0->1の立ち上げをやりたいという内発的動 機を Cさんとの1on1で把握 ● 新規機能の追加や既存機能の改修ではなく、 新規プロダクトの立ち上げプロジェクトに挑 戦することに ● このプロジェクトも順調に進み、実は今週無 事リリース済 ● さらにDさんが別の新規プロダクト立ち上げ のリーダー役へ マネージャー リーダー リーダー リーダー Bさん 自分 Cさん リーダー 経験者

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© GO Inc. 61 心の声 新リーダーが 生まれる流れができ始めた

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© GO Inc. 62 心の声 そして、リーダー経験者が 新リーダーを支援する循環が 動き始めた

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© GO Inc. 63 心の声 実際はこんな様子で循環 要求定義の段階でリーダーが先行して参加する エンジニア視点でPdM的な動きをする 早期にプロジェクトの不確実性を減らしていく 他案件のリーダー経験者が次の案件のフォロ ワーにまわり、サポートする

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© GO Inc. 64 出会い 物語を遡ること数ヶ月前 一冊の本と出会うことに

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© GO Inc. 65 出会い 『リーダーシップ・シフト: 全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ 』 ● 一人ひとりの強みの領域でリーダーシップを発揮する ● 他のメンバーがリードする領域でフォロワーシップを発揮する ● リーダーとフォロワーが流動的に入れ替わる ● 組織として「リーダーシップの総和」を最大化する - 堀尾 志保, 中原 淳 (2024) 『リーダーシップ・シフト 全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ』 https://www.amazon.co.jp/dp/4800592100

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© GO Inc. 66 出会い シェアドリーダーシップ! 探していたのは まさにこれだ!!

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© GO Inc. 67 出会い そして 良いフォロワーの あり方を求めていたら さらなる出会いが

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© GO Inc. 68 出会い 『指導力革命: リーダーシップからフォロワーシップへ 』 ● 絶版になった名著 (稀に図書館に眠っている、今なら Amazon で 5万4000円〜) ● 模範的なフォロワーの条件は 「独自のクリティカルシンキング」と「積極的な関与」の両方を兼ね 備えていること ● これらの度合いに応じて、フォロワーを5タイプに分類している 孤立型、消極的型、順応型、実務型、模範型 - ロバート・ケリー (1993) 『指導力革命: リーダーシップからフォロワーシップへ』 (牧野 昇 訳), プレジデント社. https://www.amazon.co.jp//dp/4833415097

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© GO Inc. 69 模範的フォロワーの特徴 積極的な 関与 消極的な 関与 独自のクリティカル・シンキング 依存的・無批判な考え方 模範的 フォロワー 孤立型 フォロワー 順応型 フォロワー 消極的 フォロワー 実務型 フォロワー 20 40 20 40 0 60 0 60 ● 組織のミッションや目標に沿った付加価値の大きな仕事 に注力する ● その実現のためにリーダーにNOと言える ● クリティカルパス(プロジェクトを進める上でスケ ジュールに影響がでる作業経路) を分析・特定する能力 に長けている ● 守備範囲以上の仕事をこなす ● 専門の知識・技術に磨きをかけている ● 新しいアイデアに挑戦する ● 仲間やリーダーをサポートする ● 組織的ネットワークを作る ● 自分が生んだ価値を整理し言語化して残す (利益向上、コスト削減、品質向上 etc) 『指導力革命: リーダーシップからフォロワーシップへ』P.99 の図を元に作成 出会い - ロバート・ケリー (1993) 『指導力革命: リーダーシップからフォロワーシップへ』 (牧野 昇 訳), プレジデント社. https://www.amazon.co.jp//dp/4833415097

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© GO Inc. 70 課題 シェアドリーダーシップを活かし 複数のリーダーが生まれた そして属人化も段階的に解消され チームの Output が高まった

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© GO Inc. 71 課題 その一方で 複数のチームの開発が 全て完了しなければ サービスを世に届けることができない

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© GO Inc. 72 課題 世に出なければ 「成果」を測れない

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© GO Inc. 73 課題 使う方たちの手に届き 使ってもらった時に初めて

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© GO Inc. 74 課題 「対価」を払ってでも 使う価値があるものなのか 世の役に立つものなのか が検証できる

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© GO Inc. 75 課題 チームを越境して ホットスポット(変更が多いプロダクト)に エンジニアが集結し

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© GO Inc. 76 課題 より早いタイミングで使う人たちの元に 機能やサービスを届けていくこと

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© GO Inc. 77 課題 それが大きな課題だ

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© GO Inc. 78 課題 そして立場が変わり 複数のチームを マネージすることに

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© GO Inc. 79 質問 あなたなら チームを越境して開発する組織を どう作りますか?

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© GO Inc. 80 5 複数のチームを越境した 開発組織作り

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© GO Inc. 81 異なる状況のチームをマネジメントする立場に 決済・会計・管理画面 事業者向け管理画面 支払請求基盤 決済基盤 リーダーとフォロワーが 案件ごとに入れ替わる形 複数のチームを越境した開発組織作り 一人のリーダーによる マイクロマネジメントの状態 サブチーム体制による サイロ化が進んだ状態 自分 自分

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© GO Inc. 82 色んな方にヒアリングして得た声 決済・会計・管理画面 事業者向け管理画面 支払請求基盤 決済基盤 複数のチームを越境した開発組織作り 自分 自分 隣のチームとの連携部分に携 わったので、もっと隣のドメ イン領域を深めたい 会計について 学んできたので その領域を深めたい 同じチームでの在籍が長く なってきたので、隣のプロダ クトの開発に直接関わりたい

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© GO Inc. 83 複数のチームを越境した開発組織作り 『ダイナミックリチーミング 第2版: 5つのパターンによる効果的なチーム編成 』 ● RSGT2024 基調講演のスピーカー Heidi Helfand さんの著書 ● チームの構造を変更する際に見られる基本的な5つのパターンを紹介 ● 翻訳レビューに参加 ● 2025年3月26日 発売予定 ● 詳細はぜひ購入して把握してください! - Heidi Helfand(2025) 『ダイナミックリチーミング 第2版: 5つのパターンによる効果的なチーム編成』 (永瀬 美穂, 吉羽 龍太郎, 原田 騎郎, 細澤 あゆみ 訳) https://www.oreilly.co.jp/books/9784814401079/

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© GO Inc. 84 互いの良い部分の融合 (現在進行中) 決済・会計・管理画面 事業者向け管理画面 支払請求基盤 決済基盤 チームメンバーの ニーズやウォンツとも マッチしている 複数のチームを越境した開発組織作り 自分 自分 ダイナミックリチーミングの スイッチングのパターンを 適用し、互いのチームで 1名ずつの交換をしていこう

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© GO Inc. 85 複数のチームを越境した開発組織作り 1. 指示する :マネージャーが意思決定をおこない、指示をする 2. 売り込む :マネージャーが意思決定したことについてチームを納得させる (説得する) 3. 相談する :マネージャーが決定する前に、チームからの意見を得る 4. 同意する :マネージャーがチームと一緒に決定を下す (対等) 5. アドバイスする :チームに決定権を渡しつつ、アドバイスや意見で影響を及ぼす 6. 問い合わせる :チームの決定後に問い合わせる 7. 移譲する :特に影響を及ぼさず、チームに全て任せる (自分はほぼ一切かかわらない) 権限移譲の7つのレベル 失敗体験 →当事者本人には 決定権を渡しつつアドバイスし  マネージャーやリーダー陣には事前に相談してスムーズに進んだが... - “Delegation Poker & Delegation Board” https://management30.com/practice/delegation-poker/ - 「Delegation Pokerで権限移譲について学ぶ」https://www.ryuzee.com/contents/blog/3669

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© GO Inc. 86 複数のチームを越境した開発組織作り 1. 指示する :マネージャーが意思決定をおこない、指示をする 2. 売り込む :マネージャーが意思決定したことについてチームを納得させる (説得する) 3. 相談する :マネージャーが決定する前に、チームからの意見を得る 4. 同意する :マネージャーがチームと一緒に決定を下す (対等) 5. アドバイスする :チームに決定権を渡しつつ、アドバイスや意見で影響を及ぼす 6. 問い合わせる :チームの決定後に問い合わせる 7. 移譲する :特に影響を及ぼさず、チームに全て任せる (自分はほぼ一切かかわらない) 権限移譲の7つのレベル 失敗体験 →一部の方への共有が後手にまわり、決定事項として伝える形に。  ハレーションが大きかったため、書籍にある通りメンバーの方たち全員の気持ちを踏まえた進め方の大切さを痛感。 - “Delegation Poker & Delegation Board” https://management30.com/practice/delegation-poker/ - 「Delegation Pokerで権限移譲について学ぶ」https://www.ryuzee.com/contents/blog/3669

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© GO Inc. 87 今後の仮説や展望 決済・会計・管理画面 事業者向け管理画面 支払請求基盤 決済基盤 複数のチームを越境した開発組織作り 自分 段階的にサブチームを経て シェアドリーダーシップに 移行していく可能性がある

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© GO Inc. 88 今後の仮説や展望 決済・会計・管理画面 事業者向け管理画面 支払請求基盤 決済基盤 複数のチームを越境した開発組織作り 自分 Agile Framework FAST が やりたいことと近いのではないか、 という仮説があるが ここはまだわからない状況 すでにこの2つのチーム間で 越境して一気通貫で開発する 動きが出始めている 開発環境などの統一化を進め 技術スタックやドメインが 近しい領域で 流動的に移動しやすい形へ - bonotake さん Emi さん主催の「人類にはまだ早い」フレームワークFASTを体験しよう!」に運営として参加し会場提供させていただきました https://setagagile.connpass.com/event/341601/

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© GO Inc. 89 今後の仮説や展望 ソフトウェア開発統括部 『GO』アプリ 『GO』アプリのバックエンド Web 決済・会計・管理画面 複数のチームを越境した開発組織作り 自分たち

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© GO Inc. 90 今後の仮説や展望 ソフトウェア開発統括部 『GO』アプリ 『GO』アプリのバックエンド Web 決済・会計・管理画面 複数のチームを越境した開発組織作り 自分たち 事業のコアドメインのため 複雑度が高いプロダクトを抱えている ホットスポットになりやすく リリースに影響が出やすい

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© GO Inc. 91 今後の仮説や展望 ソフトウェア開発統括部 『GO』アプリ 『GO』アプリのバックエンド Web 決済・会計・管理画面 複数のチームを越境した開発組織作り ドメイン領域や技術スタックが近い チーム間で越境する動きは すでに出始めている これをより柔軟におこなっていきたい

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© GO Inc. 92 気づき この登壇のちょうど2日前 上長の一人からの質問を受けた

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© GO Inc. 93 気づき 上長「ところで、菅原さんは シェアドリーダーシップ 実践できてる?」

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© GO Inc. 94 気づき え?

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© GO Inc. 95 気づき 推進している側だから わかっている「つもり」 できている「つもり」 だったけど

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© GO Inc. 96 気づき 上長「部長から上のレイヤーの中で 実践できてる?」

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© GO Inc. 97 気づき え...?

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© GO Inc. 98 気づき 部長から経営層までのレイヤーを 1つのマネジメントチームと捉えた時 自分はまだまだできていない

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© GO Inc. 99 気づき 「社歴が浅めだから」とか 「就任したばかりだから」とか

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© GO Inc. 100 気づき 無自覚にコンフォートゾーンの 中に収ろうとしていたな

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© GO Inc. 101 気づき そうか、きっと シェアドリーダーシップは

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© GO Inc. 102 気づき We を広げてチャレンジしていく 壮大な物語なんだ

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© GO Inc. 103 気づき

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© GO Inc. 10 4 最後に

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© GO Inc. 105 シェアドリーダーシップが 教えてくれたメッセージ

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© GO Inc. 106 ハードワークで幾度も チームを救ってくれた かつてのリーダーに伝えたかった言葉

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© GO Inc. 107 そして 伝えられなかった言葉

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© GO Inc. 108 リーダーはもう 一人で抱え込まなくていいんだ

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© GO Inc. 109 一緒に変化に向き合おう

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© GO Inc. 110 一緒に不確実性に立ち向かおう

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© GO Inc. 111 ともに前へ!

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© GO Inc. 112 GO forward together!

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© GO Inc. 113 ご清聴ありがとうございました!

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© GO Inc. 一緒に未来を作ってゆく仲間を募集中! 114

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© GO Inc. 一緒に未来を作ってゆく仲間を募集中! 採用情報 https://goinc.jp/career/ 技術情報 https://x.com/goinc_techtalk 115

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© GO Inc. 11 6 Appendix

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© GO Inc. ● 水戸 祐介 (2024) 「タクシーアプリ 『GO』 におけるプラットフォームエンジニアリングの実践」 https://speakerdeck.com/mot_techtalk/takusiapuri-go-niokerupuratutohuomuenziniaringunoshi-jian ● 吉羽 龍太郎 (2016) 『スキルマップ作成のすすめ』 Ryuzee.com https://www.ryuzee.com/contents/blog/7065 ● スティーブン・R.コヴィー (2013) 『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』 https://www.amazon.co.jp/dp/4863940246 ● “Delegation Poker & Delegation Board” Management 3.0 website https://management30.com/practice/delegation-poker/ ● 吉羽 龍太郎 (2011) 『Delegation Pokerで権限移譲について学ぶ』 Ryuzee.com https://management30.com/practice/delegation-poker/ ● 堀尾 志保, 中原 淳 (2024) 『リーダーシップ・シフト 全員活躍チームをつくるシェアド・リーダーシップ』 日本 能率協会マネジメントセンター. https://www.amazon.co.jp/dp/4800592100 ● ロバート・ケリー (1993) 『指導力革命: リーダーシップからフォロワーシップへ』 (牧野 昇 訳), プレジデント社. https://www.amazon.co.jp//dp/4833415097 ● Heidi Helfand(2025) 『ダイナミックリチーミング 第2版: 5つのパターンによる効果的なチーム編成』 (永瀬 美 穂, 吉羽 龍太郎, 原田 騎郎, 細澤 あゆみ 訳), オライリー・ジャパン. https://www.oreilly.co.jp/books/9784814401079/ 117 参考

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© GO Inc. コミュニティを支えるすべての方々 一緒に不確実性と向き合い続ける仲間たち 登壇の準備を支え励ましてくれた 妻と息子たちに 心から感謝! 118 謝辞

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