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生成AI 実践編 AIオペレーション室 李俊浩(じゅん)

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● 自己紹介 ● 前置き ○ 本講義の一言 ○ 本講義で伸ばす能力 ○ 本日の目標 ● エージェントの基礎知識 ● Difyハンズオン ● OpenAI Agents SDKハンズオン ● Cursor + MCPハンズオン ● まとめ ● 発表

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李 俊浩(イ ジュンホ) ●所属 ○サイバーエージェント > AIオペレーション室 ●業務内容 ○生成AIを活用した業務の効率化の推進 ○生成AI活用のコンサルタント・アドバイザー ○Cyberagent Next Expert(Dify)活動 @buddypia

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本講義の一言 現場ですぐ使える最適な技術を、 戦略的に選ぶ力を身につける

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● 技術選択能力 ○ 戦略的思考能力、フレームワーク評価・比較、技術スタック決定 ● 実装能力 ○ コーディング、再利用性・拡張性の考慮 ● 分析能力 ○ 要件分析、問題定義、ビジネスニーズの把握 ● 設計能力 ○ アーキテクチャ設計、システム設計、DB設計 本講義で伸ばす能力 重点領域

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● エージェントの基礎を掴む ● 最新技術を活用した開発手法を学ぶ ● ユースケース別に最適に選び・組み合わせる ● 業務で使える判断フレームを習得する 本日の目標

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エージェント

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AIの知識は人間を超えている 57のタスク(数学、コンピュータサイエンス、法学など)の知識評価 2025年 今ココ GPT4.5 2025 参照文献: LifeArchitect.ai/o1

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OpenAIのAI進化5段階 LEVEL1 LEVEL2 LEVEL3 LEVEL4 LEVEL5 Chatbot Reasoner Agent Innovator Organization 自然な会話能力を持つAI 専門家のレベルのように高度な問題解決能力を持つAI 単独で指示に基づいて行動する能力を持つAI 創造的な解決策を提案、人類の知識に貢献するAI 組織全体の業務を遂行するAI 出所: https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-07-11/openai-sets-levels-to-track-progress-toward-superintelligent-ai

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エージェントの3要素 1. 自律的 人間の指示に基づいて段階的に推論を行う 2. 環境利用 ツールやRAG(知識)を活用する 3. タスク遂行 目標を細分化してタスクを遂行する

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Difyハンズオン

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Difyとは? • ノーコード・ローコードでAIアプリケーションを 誰でも簡単に 作成できるAI開発プラットフォームです。 • 一般的な質問応答チャットボットから、お問い合わせ対応や複 雑なデータ分析まで、 幅広い生成AIアプリケーションを開発 す ることができます。

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Difyの特徴と例 ワークフローの例 エージェントの例

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エージェントのフローイメージ 利用者 生成AI ナレッジ (RAG) ツール 1. 自社製品の入力 2. 競合分析の指示 (プロンプト) 3-1. 自社製品 の詳細データ参 照 3-2. 競合他社の製 品データのリサーチ 4. 競合分析の 結果 5. 回答 自社製品の競合分析の例 自律的に行動 例: 自社製品「スマートウォッチ Z」の競合分析を入力

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ユースケース

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ハンズオン①: 決算資料分析AI(1) 決算資料 PDF

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ハンズオン①: 決算資料分析AI(2) ① 決算資料をダウンロード 決算資料URL: https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/

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ハンズオン①: 決算資料分析AI(3) ① 最初から作成を選 択 ① エージェントを選択 ② アプリ名を入力 ③ 作成する

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ハンズオン①: 決算資料分析AI(4) ① プロンプトを入力 ② Documentをオンにす る プロンプト あなたは企業決算資料分析の専門家AIです。 以下の内容を簡潔なレポートで出力してくださ い。 # 項目 - 主要指標 - 前年同期比・業界平均との比較 - 財務トレンドの要約 - リスク・課題の抽出 - 改善策の提案

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ハンズオン①: 決算資料分析AI(5) ① 「分析」を入力 ② 決算資料をアップロー ド ③ 実行

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ハンズオン②: リサーチAI(1) サイバーエージェントの AI事業本部のリサーチ

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ハンズオン②: リサーチAI(2) ① 最初から作成を選 択 ① エージェントを選択 ② アプリ名を入力 ③ 作成する

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ハンズオン②: リサーチAI(3) ① プロンプトを入力 ② ツールを追加 プロンプト あなたはリサーチの専門家AIです。 # タスク - Web検索を利用し、指定されたトピック/質問に 関する情報を十分に収集してください。 - 収集した情報から主要なポイントを抽出し、分 かりやすく簡潔にまとめて報告してください。 ③ Perplexity Searchを追加 ④ Search the webを 追加

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ハンズオン②: リサーチAI(4) ① 「サイバーエージェントのAI事業本部について」を入 力 ③ 実行 AIエージェント 十分な情報収 集

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ハンズオン③: 製品の競合分析AI (1) (仮想)自社製品の競合分析AI

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ハンズオン③: 製品の競合分析AI (2) ① AIパネルを開く ② プロンプトを入 力 ⑤ 生成されたCSVファイ ル プロンプト # 指示 - スマホのダミーデータをCSV形式で出力 - 説明は不要です。 - 製品IDはSP001から始まります。 # 項目 製品ID, 製品名, カテゴリ, メーカー, 価格(円), 在庫数, 発 売日, スペック ④ 実行 ③ Agentモード、claude-3.7-sonnetを選 択

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ハンズオン③: 製品の競合分析AI (3) ① ナレッジを選択 ② ナレッジを作成 ① テキストファイルから インポートを選択 ② CSVファイルをアップロー ド ③ 次へ

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ハンズオン③: 製品の競合分析AI (4) ② 保存して処理 ① ドキュメントに移動 ① 高品質を選択

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ハンズオン③: 製品の競合分析AI (5) ① 最初から作成を選 択 ① エージェントを選択 ② アプリ名を入力 ③ 作成する

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ハンズオン③: 製品の競合分析AI (6) ① プロンプトを入力 ⑤ ツールを追加 あなたは製品の競合分析の専門家AIです。 # タスク - 自社の製品データを活用すること - 他社の製品データはWeb検索を利用すること - 主要競合の「機能、ターゲット、価格、強み/弱 み、最新動向」を分析すること - 簡潔なサマリーを作成すること プロンプト ⑥ Perplexity Searchを追加 ⑦ Search the webを 追加 ② 自社の製品データを追 加 ③ 自社の製品データを選 択 ④ 追加

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ハンズオン③: 製品の競合分析AI (7) ① 仮想スマホのダミーデータに合わせて自社製品 「PhoneX 15」競合分析を入力 ② 実行 AIエージェント 自律的な判断

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OpenAI Agents SDK

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ハンズオンの技術選定 OpenAI Agents SDK 学習の容易さ 向いている ケース 制約 特徴 低 Agent Development Kit LangGrpah 中 中〜高 ● シンプル設計 ● 組込みツール充実 ● Google Cloudに統合 ● エンタープライズ向け ● 詳細な状態管理 ● モデル非依存性 ● 素早くプロトタイプ ● シンプルな業務自動化 ● 高度なエージェント制御 ● Google Cloud利用 ● 複雑なフロー ● 詳細制御 ● OpenAIに最適化 ● 仕様変更が多い ● プレビュー段階 ● Google Cloud寄り ● 学習曲線が急 ● 複雑な設計になりがち

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OpenAI Agents SDKの特徴 • AIエージェントアプリケーションを構築するための、軽量で使 いやすいソフトウェア開発キット(SDK)です • 使う価値のある十分な機能を備えつつ、学習コストを抑え、迅 速な開発を可能 • 単一エージェントおよびエージェントのワークフローを効率的 に設計・拡張できる

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選択と集中で開発効率アップ 豊富なコンポーネント → 開発コストを低減 十分な機能群 → 実用性を担保 OpenAI Agents SDKが提供する価 値 開発者は「設計」や「ロジック」に集 中 例) MCP, web検索ツール, ガードレール

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主要コンポーネントと機能 ● エージェント: 指示とツールでタスクを遂 行するLLM。 ● ツール: エージェントの能力を拡張する外 部連携機能。 ● ハンドオフ: エージェント間でタスクや会 話制御を委譲する仕組み。 ● ランナー: エージェントの実行を管理する クラス。 ● ガードレール: エージェントの入出力を検 証し品質と安全性を維持する機能。 ● トレーシング: エージェントの動作フロー を記録・可視化するデバッグ支援機能。

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Agent構成要素 指示に沿って推論と意思決定を行い、ツールを活用するLLM

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Runner構成要素 AIエージェントの同期処理や非同期処理、ストリーミング処理などを実行を管理する

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Tools構成要素 AIエージェントに追加の機能を提供するためのインターフェース

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Handoffs構成要素 AIエージェントが特定のサブタスクを別の専門エージェントに委任(引き継ぐ)ための仕組 み

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Guardrails構成要素 エージェントへの入力や出力を検証し、不適切、有害な動作を防止するための安全機能

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ハンズオン①: 俳句エージェント エージェントフロー Google Colabリン ク インプットを俳句に変換し て出力するエージェント エージェント概要 https://github.com/buddypia/openai-agents-sdk-cola b/blob/master/hello_world.ipynb

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ハンズオン②: 画像説明エージェント エージェントフロー Google Colabリン ク アップロードした画像につ いて説明する エージェント概要 https://github.com/buddypia/openai-agents-sdk-cola b/blob/master/image_description.ipynb

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ハンズオン③: 評価エージェント エージェントフロー Google Colabリン ク 作成された物語を評価し、80点以 下の場合はフィードバックととも に改善を行い、80点を超えた場合 に最終的な物語を表示する エージェント概要 https://github.com/buddypia/openai-agents-sdk-cola b/blob/master/llm_as_a_judge.ipynb

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ハンズオン④: リサーチエージェント エージェントフロー 検索キーワードに基づいて、複数エー ジェントが協力してリサーチを行う ● PlannerAgent ● WriterAgent ● SearchAgent エージェント概要 Google Colabリン ク https://github.com/buddypia/openai-agents-sdk-cola b/blob/master/research_bot.ipynb

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ハンズオン⑤: MCP活用エージェント エージェントフロー Google Colabリン ク MCPサーバーの作成エージェントでそのMCP サーバーを活用する例 1. MCPサーバーの作成 2. addツール, get_secret_word, get_current_weatherツールを定義 3. MCPサーバーへ接続 4. 各ツールの確認 5. エージェントでMCPサーバーの利用 エージェント概要 https://github.com/buddypia/openai-agents-sdk-cola b/blob/master/simple_mcp_server.ipynb

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ハンズオン⑥: ツール活用エージェント Google Colabリン ク エージェントがツールを活用し て天気情報を提供してくれる エージェント概要 エージェントフロー https://github.com/buddypia/openai-agents-sdk-cola b/blob/master/tools.ipynb

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Cursor + MCP(Model Context Protocol)

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• AIを活用 してソフトウェア開発の 生産性の向上 させることを目 的としたコードエディタ です。 • 自然言語によるコード生成・編集 、チャット形式でのAIアシス タント機能、プロジェクト全体の文脈を理解した上での質問な どができる。 Cursorとは?

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Cursor機能 コード範囲を選択し、AIに指示 を出すことでコードを変更してく れる機能 チャット機能 AIと対話しながらコーディングを 進めることができる機能 インライン編集 エージェント機 能 エージェントが自律的にコーディ ングタスクを遂行する機能 Cmd + K Cmd + L

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MCP(Model Context Protocol)とは? • AIエージェントが 外部サービスと連携 する方法を 標準化したプ ロトコル • 例) データソースやツール、サービスと連携する 指示 サービスを利用 AIエージェント サービス連携の標準 化

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ツール実行の違い 東京の天気リクエスト AIエージェン ト Function Calling 関数定義 JSON Schema定義1 JSON Schema定義2 東京の天気は? { city: “東京” } 天気API AIエージェン ト 東京の天気は? MCPクライアン ト MCPサーバー 東京の天気を提供 AIやアプリによっ て実装が異なる MCP 東京の天気を提供 東京の天気リクエスト クライアントの 関数定義不要

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MCPが解決する課題と目的

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MCPアーキテクチャ ● ユーザーとAIが対話す るアプリケーション ● 例: Claude Desktop、Cursorな ど MCPホスト MCPクライアント MCPサーバー ● ホストアプリ内に存在 ● 特定のMCPサーバーと の1対1の接続を管理 ● 特定の機能サーバー ● 例: filesystem、API 連携など

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MCPの通信方式 STDIO(標準入出力) SSE(Server Sent Events) ● クライアントとサーバーが同一マ シン上で動作 ● ローカル統合に適する ● クライアントがHTTP経由でサーバーに 接続 ● サーバーはSSEを用いて持続的な接続上 でクライアントにメッセージをプッ シュ

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MCPの主な機能3つ ● AIが実行できる関数やアク ション ● API実行、データ取得、コー ド実行など ● AIが利用可能なデータソース ● (ファイル、データベースの 情報など) ● 「よく使うプロンプトの型」 をあらかじめ作って保存して おく機能 ● メールのテンプレート

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事前準備 ① Cursor設定 ② mcp.jsonを開く { "mcpServers": { "playwright": { "command": "npx", "args": [ "@playwright/mcp@latest" ] } } } ② MCP Serverを入 力

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ハンズオン①: リサーチMCP エージェントが直接ブラウ ザを操作してリサーチを行 う エージェント概要 サイバーエージェントのAI事業本部についてWeb 検索し、リサーチしてください # 出力形式 日本語で500文字以内 # ツール使用 use playwright プロンプト 指示 思考プロセス リサーチ結果 AIパネル

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ハンズオン②: 商品比較AI エージェントが直接ブラウザを操作し、EC サイトから商品を検索して比較結果をレ ポートにまとめる エージェント概要 あなた商品の価格比較AIです。 # 指示 - キーワードに基づいて、楽天市場、ヤフーショッピングで商品 を検索してください - 商品の検索結果を現在のディレクトリにファイルとして保存し てください - 最後の比較まとめは、ローカルに保存したファイルに基づいて 比較をまとめてください # ツール利用 use playwright # キーワード AirPods Pro 2 プロンプト 指示 思考プロセス 比較結果

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ハンズオン②: 商品比較AI 楽天市場のリサーチ 結果 Yahoo!ショッピン グのリサーチ結果 商品比較まとめ

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ユースケース

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まとめ 結論:「何を作るか」「誰が使うか」「カスタマイズ性が必要か」によって最適なツールは異なります。 プロジェクトの目的とチームのスキルセットに合わせて選択しましょう。 場合によってはこれらを組み合わせて利用することも有効です。