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事例からみるクラウド マイグレーションの実際 2021.11.17 ネクストモード株式会社 韓周源

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2 本セッションの概要 事例からみるクラウドマイグレーションの実際 クラウド移行は従来のデータセンター間の移行とはアプローチが異なります。 クラウド利用経験の少なさにより、移行に対する不安や難しさを感じている方 も多いのではないでしょうか。本セッションでは、AWS移行に成功した事例を もとに具体的なアプローチ方法についてご紹介します。

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3 自己紹介 はん じゅうぉん 韓 周源 所属    ネクストモード株式会社   インテグレーション事業部   (クラスメソッドより出向中) プログラマー、業務系システムエンジニアを 経て2018年クラスメソッドにジョイン。 主にクラウド移行の支援を中心に従事し、 2020年のネクストモード設立時に移籍。 お仕事 ・プリセールス AWSへの構築/移行案件を主に担当 お客様とお話しながらシステム方式や移行方 針等を決め、見積・提案を行うのがミッショ ン ・プロジェクトマネージャ 構築/移行案件を担当し、タスク/課題/コスト 等の管理を実施し案件を成功に導くことが ミッション。

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国内屈指のAWS技術者集団
 地域社会を支える総合サービス企業
 ネクストモードとは 4

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5 クラウド移行で気をつけたい点

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6 クラウド移行を行う動機は?

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7 クラウド移行を行う動機は? コスト削減 モダナイゼー ション ビジネスアジリティ 老朽化対応 セキュリティ ガバナンス 要員確保 DX

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8 クラウド移行を行う動機は? コスト削減 モダナイゼー ション ビジネスアジリティ 老朽化対応 セキュリティ ガバナンス 要員確保 動機として最も多い 機器の管理から開放され、コス ト削減が見込めるクラウドは非 常に良い選択肢です DX

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DX 9 クラウド移行を行う動機は? コスト削減 モダナイゼー ション ビジネスアジリティ 老朽化対応 セキュリティ ガバナンス 要員確保 こちらも多い クラウドでは最新技術が日々 更新されており、モダンなシ ステムの構築が可能です またシステムがビジネスアジ リティを損なわない俊敏さを 得ることが出来ます

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DX 10 クラウド移行を行う動機は? コスト削減 モダナイゼー ション ビジネスアジリティ 老朽化対応 セキュリティ ガバナンス 要員確保 「パブリッククラウドは危ない」は昔話。 業界最大手ならではのセキュリティ対策が充実するとと もに、小~大規模でも統合的に管理がかのうなガバナン ス機能が備わっています。

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DX 11 クラウド移行を行う動機は? コスト削減 モダナイゼー ション ビジネスアジリティ 老朽化対応 セキュリティ ガバナンス 要員確保 エンジニアの確保は非常に難し くなっており、要員確保の面で も「最新のクラウドに触れるこ とができる」というのはアドバ ンテージ

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12 クラウド移行を行う動機は? コスト削減 モダナイゼー ション ビジネスアジリティ 老朽化対応 セキュリティ ガバナンス 要員確保 DX DXは様々な側面がありますが、デジタルシステム の活用において「ITベンダに左右されていたシス テムを自分たちのてに取り戻す」 ことも該当する のではないでしょうか。 その点でクラウドはオープンであり自らがデジタ ルの担い手になることが可能です。

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13 では これらの「やりたいこと」は クラウド移行で実現できるでしょうか?

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14 答えは YES

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YES 15 答えは ただし欲張らなければ

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16 ポイント クラウド移行で達成したいことを 明確にするのが肝要

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17 事例紹介

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18 事例概要 既存DC AWS Cloud ● 既存環境からAWSに移行を行いたい ● コスト削減とナレッジ集約が大きな動機 ● インターネット公開された BtoB、BtoC サービス ● サービスは24時間提供であるため無停止が前提

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19 プロジェクトの結果 本事例で達成できた以下となります 大幅なコスト削減 無停止での移行 お客様自身による運用

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20 案件開始時の情況 既存DC AWS Cloud ● 既存環境からAWSに移行を行いたい ● コスト削減とナレッジ集約が大きな動機 ● インターネット公開された BtoB、BtoC サービス ● サービスは24時間提供であるため無停止が前提 クラウドの知見が少なくどのように移行を進めて良いか分からない How? How much? How long?

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21 プロジェクトの進め方 社内稟議 システム移行 新環境の運用

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22 プロジェクトの進め方 社内稟議 システム移行 新環境の運用 社内を通すため、以下が必要 ● コスト(イニシャル・ランニング)の算出 ● 実施計画の提示 ● 安全性の提示

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23 プロジェクトの進め方 社内稟議 システム移行 新環境の運用 この時点でご相談を頂きました

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24 移行における検討事項 ● 移行の安全性 ● コスト削減 ● お客様自身による運用 ● モダナイゼーション ● ビジネスアジリティ ● セキュリティ ● ガバナンス

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25 移行における検討事項の優先付け ● 移行の安全性 ● コスト削減 ● お客様自身による運用 ● モダナイゼーション ● ビジネスアジリティ ● セキュリティ ● ガバナンス 【高】必達事項 【低】持ち越し課題 【中】できれば

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26 プロジェクトの進め方「改」 社内稟議 移行準備 新環境の運用 移行実施 準備フェーズを置き、十分な技術検証を行い確信 を持って本番移行に望むようにした。 これにより本番移行の計画が精緻化された。

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目的 ・前フェーズの計画に従 い、本番システムの移行と 切替を実施する 実施内容 ・AWS環境の構築 ・移行の実施と切替を行う ・監視・運用の設定 ・アプリケーションテスト アウトプット ・AWS環境 ・本番移行が完了 目的 ・AWS移行可否を判断する 材料の提示 実施内容 ・机上検証でリスク要因と 技術検証すべき事項の洗い 出し。 ・AWS移行を実施した際の 全体のコスト感の算出 (フェーズ2、フェーズ3、 運用フェーズ) アウトプット ・AWS移行レポート ・全体コスト感 支援中に提示した計画の抜粋 【フェーズ1】 机上検証 【フェーズ2】 技術検証&移行計画 【フェーズ3】 移行実施 【GOAL】 運用フェーズ 目的 ・技術課題を技術検証にて クリアにする ・移行計画の精緻化 実施内容 ・システムのサブセットを 選定し技術検証を通じて課 題を解決する ・移行時の体制・方式・手 順の精緻化 ・AWS設計(アーキテク チャ・運用) アウトプット ・移行実施計画 ・AWS設計 実現すべきこと ・AWSへワークロード移行 が完了し、既存システムの クロージングができること ・アプリケーション担当に て適切に保守が可能となる こと ・AWSインフラの監視・運 用が適切であること ・コストが事前の算出規模 と乖離がないこと 27

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28 移行における検討事項の優先付け ● 移行の安全性 ● コスト削減 ● お客様自身による運用 ● モダナイゼーション ● ビジネスアジリティ ● セキュリティ ● ガバナンス 【高】必達事項 【低】持ち越し課題 【中】できれば

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29 移行の安全性(1) 本事例では事前に十分な技術検証を行った 移行はリリースしてから時間が経過しているケースが多く、中身 を全て把握することは難しいものです そのため実際にやってみて分かる課題は多くあります             ↓ クラウドでは安価にリソースの使い捨てが可能であり気軽に技術 検証を行うことができ、結果として精緻な実施計画を立てること が出来ました。 また既に経験した事項をなぞるため、各要員が自信を以て望めた ところも大きいです。

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30 移行の安全性(2) 本事例では必要以上に欲張らなかった クラウドを利用するとなると最新技術を利用したいと考えるケー スが多いが、「スケジュール」と「サービスの安全な切替え」お よび「要員のスキルレベル」を鑑みて、最近機能の取り入れは最 小限に留めました。 最新技術を採り入れるには何らかのシステム変更を伴い、安全性 確保の期間が必要となりスケジュール担保が難しくなります。 また実施に携わる要員のスキルアップも必要であり、見送りを行 いました。

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31 コスト削減 本事例では十分なコスト試算を行いコスト削減に繋げた クラウドでは料金体系が明確であり、どのリソースをどの程度使 うかが分かれば試算が可能です。このためまた既存環境より大幅 なコストダウンができる想定でプロジェクトを開始しました。 実際には計画段階からのコストは約10%程上振れをしましたが、 それでも移行元環境よりコストダウンを実現出来ました。 なおコストアップの原因は技術検証にてスペックアップや構成変 更を一部行う等の措置を行ったためであり、全て説明が可能でし た。

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32 お客様自身による運用(1) 本事例ではシステム制御をお客様自身に取り戻した 以前は担当ベンダに依頼が運用の原則であったため以下のような 課題がありました ● 急作業が必要な際の即応性に課題があった ● 依頼内容がうまく伝わらすシステムに問題が発生した ● 運用改善や分析のためにシステムを実験的に利用できない 本件では、お客様自身による運用を前提として進めたため、移行 を介して徐々にクラウドに慣れていき、自身でコントロールがで きるようになりました。

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33 お客様自身による運用(2) 本事例では移行プロジェクトを介しクラウドに慣れていった プロジェクト開始当初はAWSに慣れていない状況でしたが、移行 のプロセスを介して各メンバーがナレッジをためスキルアップ し、移行を完了する頃にはある程度の自身を以て臨むことが出来 ました。 これは技術検証や移行リハーサル等の移行のプロセスを、我々ベ ンダのみで行うのではなく、オープンにしたプロセスを共同で実 際に手や頭を使って実施したからと考えます。

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34 ベンダとお客さまとの関係 発注者と受注者の関係ではありますが、パートナーとして扱って 頂きました。 プロジェクトの初期は、全体計画や技術面などを我々ベンダが提 示しリーディングさせて頂きましたが、プロジェクトが進むにつ れてお客様が具体的に動くパートが増えていくようになりまし た。

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35 事例まとめ 本事例はクラウド移行において、必ず達成したいことは何かを突 き詰めて、余計なことを削ぎ落としたのが成功の大きな要因だっ たと考えます。 勿論、後回しにした課題はありますがプロジェクト開始してから1 年以内に安全かつ効率的にクラウド移行を達成することが出来ま した。

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36 ところで、私は孫氏が大好きです 兵は拙速を聞くも、未だ巧久しきを睹ざるなり

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37 ところで、私は孫氏が大好きです 【勝手な意訳】 コストやリスクの大きな事業は多少上手く行かなくてもチャチャッと終 わらせたほうがいい。 どんなにエレガントな計画であっても長くダラダラやってたら何が起 きるかわかったもんじゃない。 兵は拙速を聞くも、未だ巧久しきを睹ざるなり

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38 まず動かしてみましょう システムの移行を行う場合、全てを予見した見積することは非常 に難しいものです。システムが大きく複雑であるほどその傾向は 強くなります。 実際にやってみることで様々な課題が見ててくるものであり、ま ずは初めてみて、見直し・継続するのが大事だと考えます。 物品調達がなく初期投資が最小で済むクラウド環境は「気軽に始 める」のに適した環境であると言えます。 まずは動かしてみてはいかがでしょうか。

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39 まとめ

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40 まとめ ● 何を実現したいかをよく検討し優先順位付けを ● 目標達成のためには欲張らないことが重要 ● まずは動かしてみましょう

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41 セッションは以下の公開事例を元にお話をしました https://classmethod.jp/cases/incrementp/

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42 ご清聴ありがとうございました

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43 補足 時間が余った場合に話します

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44 プロジェクトの振り返り(抜粋) コスト ● 想定どおり削減が出来た ● システム構成も相まって最適化できる余地はあり今後の課題 システム構成 ● 安全な移行を優先したため可用性に若干の不安 ● 最適化の余地があり セキュリティ/ガバナンス ● 既存環境よりは向上したがクラウドとしては最低限の施策(WAF, 監査ログ) ● 脅威検知や統合管理などトレンドの取り込みに課題 → 現在はお客様自身で改善に取り組んでいる 運用 ● 既存の仕組みを流用しており改善は道半ば ● AWS移行したことでより課題が明確に ● 運用改善のためのログ取得はできているため分析はこれからの課題 スキル ● プロジェクトを通じて触れたものについては運用上問題なくできるようになった ● クラウドのメリットを理解したためスキル向上を続けていきたい

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2020 2021 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 45 事例のスケジュール Phase1 移行検討 Phase2 技術検証 & 移行計画 Phase3 移行実施 ● 既存DCとの契約の関係で期限は2021/8月であった(超えると追加契約が必要) 当初想定はGW明けを想定していたが安全を考慮し5月後半~6月に切替実施 ● プロジェクト工期は実質8ヶ月 ● フェーズ毎の契約としたため、お客様側の稟議・決済期間が生じた ※ フェーズを切ることで、結果的に当初想定より少ない工数で完了した ● 段取りやリハーサルがメインであり、システム移行自体は実質1~2週間程度 お客様 稟議・決済 お客様 稟議・決済

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46 プロジェクトにおける役割分担(1) 弊社 ● クラウド技術 移行方式の提示 ● システム移行計画の作成と推進 ● プロジェクト・ファシリテーション ● クラウド環境の整備 お客様 ● 全体移行計画の策定と推進 ※ システム移行計画を取り込み、業務・お客様影響を考慮した全体計画 ● アプリケーション設定 ● 業務データ全般

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47 プロジェクトにおける役割分担(2) クラウドインフラ アプリケーション データ 既存環境 (インフラ・アプリ ・データ) 移行元 (既存環境) 移行先 (クラウド) お客様 弊社 環境別 サーバ移設

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48 無停止移行 既存DC AWS Cloud 無停止移行は以下の手順で実現しました ① AWS上に既存システムと同等の構成を構築(イメージコピー) ② データベースやファイルを本番切替前に最新化(データ同期) ③ 接続ポイントを既存環境からAWSに切替え(DNS切替)

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