Link
Embed
Share
Beginning
This slide
Copy link URL
Copy link URL
Copy iframe embed code
Copy iframe embed code
Copy javascript embed code
Copy javascript embed code
Share
Tweet
Share
Tweet
Slide 1
Slide 1 text
快く動いてもらえる!仲間が増える! ストーリーで学ぶ アジャイル推進者のための 「アイデアを組織に導入すること」 を支える技術
Slide 2
Slide 2 text
本日の発表の形態 • 昔の私の体験談を会話とナレーション形式でお届け • 少しだけわかりやすいように脚色
Slide 3
Slide 3 text
プロローグ
Slide 4
Slide 4 text
うおー、やっと完成したぞー!
Slide 5
Slide 5 text
Aくんは、事業会社の2年目の若手エンジニアです。
Slide 6
Slide 6 text
ウォーターフォールのプロジェクトで、開発の一員として頑張り 残業を多くやって、期日を少し遅れる程度で完成させたようです。
Slide 7
Slide 7 text
そして、Aくんのチームが作った機能は承認され、リリースされました。
Slide 8
Slide 8 text
数日後。
Slide 9
Slide 9 text
うーん、ユーザが伸びませんねぇ。 アプリのホーム画面に動線をおいてもらったのですが。 企画さん
Slide 10
Slide 10 text
Aくんが開発したシステムは、作ったものがイマイチだったためか、 ユーザに使われることは殆どありませんでした。
Slide 11
Slide 11 text
しかし、使われなかったこととは裏腹に、Aくんのチームは ウォーターフォールのプロジェクトの完遂が評価され表彰されました。
Slide 12
Slide 12 text
うーん、ユーザから使われなかったということは、 会社のためにならないものを作ってしまったということなのに、
Slide 13
Slide 13 text
評価されていいんだろうか。なんかモヤモヤするなぁ。
Slide 14
Slide 14 text
ちょうど、そのときAくんは1年前に読んでいた本、 「リーンスタートアップ」を思い出していました。
Slide 15
Slide 15 text
リーンスタートアップでは、ものづくりに時間をかけて世に問うのではなく、 早く世に問うて価値を検証するために作ることを重視していたはず。
Slide 16
Slide 16 text
じゃあ、リーンスタートアップは、今の状況にピッタリじゃないか!
Slide 17
Slide 17 text
わかったら膳は急げだ。
Slide 18
Slide 18 text
初めての提案
Slide 19
Slide 19 text
部長、部長!お疲れ様です
Slide 20
Slide 20 text
開発部部長 B部長
Slide 21
Slide 21 text
ああ、Aか。どうしたんだ?
Slide 22
Slide 22 text
この前は表彰ありがとうございました!
Slide 23
Slide 23 text
先月、アプリチームはよく頑張ったからな。
Slide 24
Slide 24 text
でも、あの機能、正直あまり使われてないじゃないですか。
Slide 25
Slide 25 text
そうだな、でもそれは企画部の問題だからな。 開発部は悪くないから気にしなくていいよ。
Slide 26
Slide 26 text
そこでなんですが、もっと使われるサービスを作るための方法として リーンスタートアップってプロセスがありまして
Slide 27
Slide 27 text
ん?あー、そうだなぁ。でも、あれは企画部の問題だからな。 開発部がコストを負担したり、リスクを追う必要はないよ
Slide 28
Slide 28 text
みんなで使われるサービスにしていきませんか?
Slide 29
Slide 29 text
そんなことより、アプリの作り方は完璧か? そんなことはアプリ開発がリーダーくらいにできてからだ
Slide 30
Slide 30 text
はーい。(泣)
Slide 31
Slide 31 text
スクラムとの出会い
Slide 32
Slide 32 text
後日Aくんは、社内の勉強会でスクラムが題材のものがあると知り、 予習のためにスクラム開発についても書籍を読みました。
Slide 33
Slide 33 text
アジャイル・スクラム開発であれば、 ものを少しずつ作っていくことができるみたいです。
Slide 34
Slide 34 text
ええ!この方法を使ったら、やりたいって提案していた リーンスタートアップとすごく相性がいいじゃん!!
Slide 35
Slide 35 text
これは、やるしかない!!
Slide 36
Slide 36 text
部長、部長!お疲れ様です
Slide 37
Slide 37 text
ああ、またAか。どうした?
Slide 38
Slide 38 text
前に、使われるサービスを作るために リーンスタートアップやりましょう!って言ったじゃないですか?
Slide 39
Slide 39 text
ああ、そうだな。
Slide 40
Slide 40 text
それにすごく相性のいい開発手法を見つけたんですよ!!
Slide 41
Slide 41 text
あー、そうなのか。
Slide 42
Slide 42 text
そうなんですよ。その上、その方法を使ったら 残業をたくさんしなくても期日通りにリリースできるかもしれないんです
Slide 43
Slide 43 text
まぁでも開発者は残業してなんぼだろ
Slide 44
Slide 44 text
いやいや、効率よく作りましょうよ
Slide 45
Slide 45 text
いまでも、みんなが頑張ってくれて 期日に近くリリースできているからなぁ
Slide 46
Slide 46 text
いやいや、いまめっちゃ大変なんですよ。
Slide 47
Slide 47 text
それに今の作り方だと、 出来上がってから思ってたのと違うってことも起こりやすいんです
Slide 48
Slide 48 text
それは企画部が、しっかり想定してないからいけないんだよ。
Slide 49
Slide 49 text
ちなみに、Aはその開発手法でやったことあるの?
Slide 50
Slide 50 text
いえ、ありませんが・・・
Slide 51
Slide 51 text
実績がないやり方は採用できないよ。
Slide 52
Slide 52 text
B部長は今のやり方で評価され、部長にまで昇進した人物。
Slide 53
Slide 53 text
だから、現状のやり方の否定は、 B部長の考え方の否定だと捉えられてしまいました。
Slide 54
Slide 54 text
Aくんは、試しにはじめてみないと実績を作ることもできず。 実績がないことを盾にされるとお手上げでした。
Slide 55
Slide 55 text
師
Slide 56
Slide 56 text
数日後、 Aくんは社内でアジャイルの推進をしているC先輩に相談しました。
Slide 57
Slide 57 text
アジャイル推進本部 C先輩
Slide 58
Slide 58 text
C先輩、部長にアジャイルの良さを伝えて説得を試みたのですが、 何度やっても駄目で。
Slide 59
Slide 59 text
相手は、何を望んでいるのか知っている? 相手は、その活動を誰に説明しないといけないのか知ってる?
Slide 60
Slide 60 text
いえ、考えたことなかったです
Slide 61
Slide 61 text
じゃあ、それを考えてみようか
Slide 62
Slide 62 text
そこでAくんは、B部長が何を望んでいるか、 どういったことを恐れているのか全く知らずに、
Slide 63
Slide 63 text
自分のアイデアを強引に導入するための説得や、 正論しか話してないことに気づきました。
Slide 64
Slide 64 text
部長!お疲れ様です
Slide 65
Slide 65 text
ああ、またAか。
Slide 66
Slide 66 text
先日は、いろいろと、すみませんでした。
Slide 67
Slide 67 text
ああ。
Slide 68
Slide 68 text
ちなみにですが、部長って何を望んでるんですか?
Slide 69
Slide 69 text
ん?
Slide 70
Slide 70 text
アジャイルを始めるとしたら、誰に説明しないといけないんですか?
Slide 71
Slide 71 text
もう、そんなことはいいから、開発に集中しなさい。
Slide 72
Slide 72 text
B部長に「何を望んでいるのか」「誰に説明しないといけないのかな」など 聞こうとしましたが、教えてもらえません。
Slide 73
Slide 73 text
B部長はAくんが何か企んでいると思ったのか、何も教えてくれません。 「いいから、自分の開発に集中しなさい」と言うばかり。
Slide 74
Slide 74 text
くそー、正論ではなく相手に寄り添おうとしたのに、 それすら駄目だった・・・
Slide 75
Slide 75 text
正論でまくし立ててもダメ、相手の望みを聞こうとしてもダメ、 いったい、どうしたらいいんだぁ〜〜
Slide 76
Slide 76 text
批評や提案は後回し
Slide 77
Slide 77 text
後日、AくんはC先輩の アジャイル推進の社内コミュニティに参加していました。
Slide 78
Slide 78 text
大切なのは相手の環境や立場を理解すること。批評や提案は後回し
Slide 79
Slide 79 text
相手のことを理解せずに、批評や提案ばかりをしていたかもしれない
Slide 80
Slide 80 text
Aくんは深く反省しました。
Slide 81
Slide 81 text
それから数ヶ月、Aくんは何度もB部長の説得を試みましたが、 残念ながら報われず。
Slide 82
Slide 82 text
そしてその間も、スクラム開発やリーンスタートアップについて 理解を深めるため勉強を続けてしました。
Slide 83
Slide 83 text
さらに、アイデアを組織に導入する方法に関連する情報はないかと、 自分でも勉強をしていました。
Slide 84
Slide 84 text
提案の方法にも詳しくなっているはずなのに、アジャイルに関する 提案は一向に通らなくって辛い。はぁ。。。凹むなぁ
Slide 85
Slide 85 text
数分後
Slide 86
Slide 86 text
腐っていてもしょうがないな、 前向きに動かないとずっと状況が変わらない。
Slide 87
Slide 87 text
信頼の構造との出会い
Slide 88
Slide 88 text
そして、その時期にAくんは仕事の役に立つ本はないかと、 社会心理学に関する本を読んでいました。
Slide 89
Slide 89 text
心理学を学べば、会社の仕事で役立つはず。
Slide 90
Slide 90 text
その時に出会ったのが「信頼の構造」です。
Slide 91
Slide 91 text
信頼の構造は、社会心理学の観点から信頼について研究を 紹介してくれた本でした。
Slide 92
Slide 92 text
この本を読んだことでAくんは、信頼の概念や、どのような信頼が存在し、 相手に対しどう影響を与えるのか、について理解を深めました。
Slide 93
Slide 93 text
物事に対して「能力」と「騙さない」の2つの観点が重要であること。
Slide 94
Slide 94 text
「騙さない」と認識されるためには、「騙す必要がない」と思われるか 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 95
Slide 95 text
「個人的に信頼できる」と思われるか「カテゴリとして信頼できる」と 思われる必要があること。 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 96
Slide 96 text
「カテゴリとして信頼できる」ような アジャイルの達人にいきなりなるのは難しいだろう 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 97
Slide 97 text
『個人的に信頼できる』と思われる人になろう。 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 98
Slide 98 text
ここでC先輩からのアドバイスが蘇ります。 「大切なのは相手の環境や立場を理解すること。批評や提案は後回し」 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 99
Slide 99 text
確かに、相手のことを理解する前に、批評や提案をしていたら、 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 100
Slide 100 text
上から目線だと捉えられたり、『こっちにはこっちの事情があるんだよ!』と 思われ、印象が悪くなり信頼も失われていくよなぁ 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 101
Slide 101 text
AくんはC先輩からのアドバイスの重要性に気づき、 言葉を噛み締めました。 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 102
Slide 102 text
C先輩の言葉は偉大だなぁ 騙さないと認識されるためには ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・カテゴリとして信頼できる と思われる必要がある
Slide 103
Slide 103 text
C先輩が進めていた本
Slide 104
Slide 104 text
また、C先輩がアジャイルの推進する人たちに 本を紹介していたのを思い出します。
Slide 105
Slide 105 text
それがこの本「裏方ほどおいしい仕事はない!」です。
Slide 106
Slide 106 text
雪かき仕事は、達成感も、賃金も、社会的権威も得られないが、 誰かがやらないといけないもの。 雪かき仕事は以下が得られない 達成感 賃金 社会的権威 しかし誰がやらないといけない
Slide 107
Slide 107 text
たとえば、ホワイトボードをきれいにして、ペンがかけるか チェックしたり、会議の議事録を取る係などがこれに当たる 雪かき仕事は以下が得られない 達成感 賃金 社会的権威 しかし誰がやらないといけない
Slide 108
Slide 108 text
「信頼の構造」にあった「個人的に信頼できる」と思われることと、 雪かき仕事には重要な関わりがあるのではないかな 雪かき仕事は以下が得られない 達成感 賃金 社会的権威 しかし誰がやらないといけない
Slide 109
Slide 109 text
人事異動
Slide 110
Slide 110 text
3月になり、辞令の時期です。
Slide 111
Slide 111 text
3月になり、辞令の時期です。
Slide 112
Slide 112 text
失礼します
Slide 113
Slide 113 text
ここに呼んでいるのは、部署異動になる人なんだ
Slide 114
Slide 114 text
Aくん、君は来月からXXサービスの部署に異動になった。
Slide 115
Slide 115 text
え、異動!? B部長に提案するときに現状を否定したのがマズかったのかな。
Slide 116
Slide 116 text
もっと、アジャイルに関心のないところだったらどうしよう。
Slide 117
Slide 117 text
XXサービスは、まったく知り合いの居ないところで、 初めての部署異動です。
Slide 118
Slide 118 text
辞令からの2週間は不安な気持ちで引き継ぎを実施しました。
Slide 119
Slide 119 text
XXサービス
Slide 120
Slide 120 text
Aくんは4月になり、XXサービスの部署に異動になりました。
Slide 121
Slide 121 text
するとXXサービスは、幸運にもアジャイルを実践している部署でした。
Slide 122
Slide 122 text
しかし、アジャイルを実践しているといっても、 研修を受けて始めたばかりで手探りで試しているところでした。
Slide 123
Slide 123 text
そのため、一生懸命勉強してきたAくんにとっては ツッコミどころも多い状態でした。
Slide 124
Slide 124 text
おおお、なんか自分の知っているスクラムと ちょっと違うけど実施はできているみたいだ。
Slide 125
Slide 125 text
まずは、過去の失敗を繰り返さないためにも、 批評や提案をせずに相手の立場を理解することに注力しよう。
Slide 126
Slide 126 text
チームの先輩に、今のやり方1つ1つがどんなきっかけで始めたのか、 ひたすらヒアリングしました。
Slide 127
Slide 127 text
チームの状況を理解するために、いろいろ質問しないとなぁ。
Slide 128
Slide 128 text
『なんで〇〇をやってるんですか?』のように、 批判的に聞こえるような聴き方をしないようにしないと。
Slide 129
Slide 129 text
デイリースクラムって、何きっかけで今のようになったんですか? XXサービス 先輩
Slide 130
Slide 130 text
ん? あー、そうだね、デイリーで細かく詳細を共有したほうが 仕事をしやすいって気づいて、伸びていったかなぁ。
Slide 131
Slide 131 text
ちょっと長すぎるよね、おれも直接関係ない話があって疲れるもん。
Slide 132
Slide 132 text
そうなんですね。ありがとうございます。
Slide 133
Slide 133 text
やったぞ〜!先輩に嫌な感じを持たれずに、 すこしだけ立場を理解する事ができたぞ。やったぁ。
Slide 134
Slide 134 text
雪かき仕事
Slide 135
Slide 135 text
『裏方ほどおいしい仕事はない!』にあった 雪かき仕事は何をしようかなぁ。
Slide 136
Slide 136 text
そういえば、今日教えてもらった問い合わせ対応って、 みんなやりたがらないんじゃないだろうか。
Slide 137
Slide 137 text
なんか見返りを求めているみたいで気になっちゃうけど、 雪かき仕事として問い合わせ対応をできるだけ引き取ろう。
Slide 138
Slide 138 text
これで個人的に信頼されることにつながるかなぁ?
Slide 139
Slide 139 text
チームに来てサービスの技術にも詳しくなくて教えてもらうことも多いし、 せめてその恩返しになれば、いっかな。
Slide 140
Slide 140 text
Aくんは、できるだけ問い合わせ対応などの 皆が避けたがる仕事を率先して行いました
Slide 141
Slide 141 text
「信頼の構造」で学んだ、「個人的に信頼できる」につながったら 儲けものくらいの気持ちで。
Slide 142
Slide 142 text
Aくんは前の部署で提案をしていたとき、途中でB部長が話を 聞いてくれなくなったのは、信頼関係の欠如が問題だと感じたので、
Slide 143
Slide 143 text
今度は信頼関係を構築できるように 自分ができることは積極的に行いました。
Slide 144
Slide 144 text
スクラムマスターがやりたい
Slide 145
Slide 145 text
そのチームでは、スクラムマスターが1ヶ月交代で変わるルールでした。
Slide 146
Slide 146 text
Aくんがチームに入って2ヶ月後、3人目の スクラムマスターに変わるときに、お願いしてみます。
Slide 147
Slide 147 text
僕、スクラムの勉強を継続的にやっていて、スクラムマスターに 興味があるのですが、交代制ではなく継続でやってみてもいいですか?
Slide 148
Slide 148 text
Aくんになら任せられるよ!
Slide 149
Slide 149 text
これまで皆が避けたがる問い合わせ対応を 積極的にやっていたことも評価されたのか
Slide 150
Slide 150 text
Aくんはめでたくスクラムマスターになることを 認めてもらいました
Slide 151
Slide 151 text
過去に失敗して立ちいかなくなってしまった経験があるので、 Aくんは慎重に慎重に進めました。
Slide 152
Slide 152 text
今回は「アイデアを組織に導入する」わけではありませんでしたが、
Slide 153
Slide 153 text
信頼関係を構築するために頑張っていたため、 お願いを快く受け入れてもらうことができました。
Slide 154
Slide 154 text
やったぁ!念願のスクラムマスターを任せてもらえたぞ! といっても、 チームでスクラムマスターをやりたい人は居なさそうだったけど笑
Slide 155
Slide 155 text
誰かの課題を解決する
Slide 156
Slide 156 text
そして、Aくんはまたも本を読んでいました。 知人に進められた本「SPIN営業」です。
Slide 157
Slide 157 text
「SPIN営業」は、高額商品の営業職の人が契約を取るまでに 必要なプロセスを科学的に解明している本でした。
Slide 158
Slide 158 text
書籍で推奨されている4ステップの営業法の2つ目のステップで 相手が抱えている課題を引き出すための「問題質問」を利用していました。
Slide 159
Slide 159 text
そうか、アイデアを提案をするときには、 誰かの課題を解決することが重要なのか!
Slide 160
Slide 160 text
そして、またC先輩からのアドバイスが蘇りました。
Slide 161
Slide 161 text
C先輩の言ってた「相手は、何を望んでいるのか知っている?」、 「相手は、その活動を誰に説明しないといけないのか知ってる?」の質問は、
Slide 162
Slide 162 text
相手の課題を解決することに繋がっていたんだ!!
Slide 163
Slide 163 text
久々の提案
Slide 164
Slide 164 text
後日、A君はアジャイルに関する勉強も続けてました。
Slide 165
Slide 165 text
最近は「アジャイルな見積もりと計画づくり」という本を 熱心に読んでいるみたいです。
Slide 166
Slide 166 text
アジャイルな見積もりと計画づくり実践してみたいなぁ。 チームに提案してみよう!
Slide 167
Slide 167 text
ああ、ダメだダメだ。「提案は後回し」だ。 それで散々失敗したんじゃないか。
Slide 168
Slide 168 text
「誰かの課題を解決する」ことできるときに提案しよう。
Slide 169
Slide 169 text
そう思い、実践したい気持ちをこっそりしまいました。
Slide 170
Slide 170 text
しばらくしたある日、開発メンバーの先輩が体調不良になりました。 しかし、先輩は「休めない」といって出勤して業務を続けていました。
Slide 171
Slide 171 text
どうして、休まないんですか? 有給残ってないんですか?
Slide 172
Slide 172 text
事前に決めた目標設定に関する期末までの スケジュールが押していて、休むと評価に響くからね。
Slide 173
Slide 173 text
そこでAくんは、ひらめきました。
Slide 174
Slide 174 text
(もしかして、 今がアジャイルな計画づくりをするタイミングなのでは??)
Slide 175
Slide 175 text
というのも、詳しく話を聞いてみると、いつもなんとなく見積もりを出して
Slide 176
Slide 176 text
部長からスケジュールを圧縮して欲しいと言われ、 カツカツのスケジュールを通り越して遅れた事になってしまうとのこと。
Slide 177
Slide 177 text
その上、部長から言われたことは仕方ないと スケジュールの圧縮にも応じていたというではありませんか。
Slide 178
Slide 178 text
(アジャイルな見積もりと計画づくりをすることで、 根拠のある見積もりを出せば、スケジュールの無理な圧縮を防げるのでは?)
Slide 179
Slide 179 text
そこでAくんはチームに、 とくに休めなくて困っている先輩のことを話しました。
Slide 180
Slide 180 text
「体調不良になっても休めない」という課題を解決するために、 「アジャイルな計画づくり」をやりませんか?
Slide 181
Slide 181 text
これで、見積もりの根拠が明確になりますし、 無理にスケジュール圧縮がされにくいかもです。
Slide 182
Slide 182 text
それはいいアイデアだ。なにか根拠が説明できれば、部長からの スケジュール圧縮にも反論できるかもしれないね!ありがとう!
Slide 183
Slide 183 text
これは、やはり「誰かの課題を解決する」提案だったからか、 すんなりOKをもらえました。
Slide 184
Slide 184 text
その上、チームからとっても喜ばれることになりました。
Slide 185
Slide 185 text
アジャイルに関するもので「組織にアイデアの導入する」提案が 喜んで受け入れられたのは初めての経験だったのと、
Slide 186
Slide 186 text
合わせて先輩から感謝までされたのでAくんはすごく嬉しくなりました。
Slide 187
Slide 187 text
やったぁ!アジャイルに関する提案で、感謝までされちゃった!! 人の役に立てたんだ!わーい!わーい!
Slide 188
Slide 188 text
やったぁ!勉強したことが実ったぞー!!
Slide 189
Slide 189 text
Aくんは勉強をして、自分の中に知識をため込んでおくことで、 課題を発見したときに解決策を逆引きできるようになっていたようです。
Slide 190
Slide 190 text
チームのお困りごとに対して、 「これで解決できるよ」と言える状態になっていました。
Slide 191
Slide 191 text
このような流れを経て、Aくんはアイデアを組織に 導入することに対する熟練度をどんどん上げていきました。
Slide 192
Slide 192 text
課題を解決するだけじゃない
Slide 193
Slide 193 text
ある日の社内の集まりで、他のスクラムマスターと話をしていると、 「誰かの課題を解決すること」につながっているわけではないのに、
Slide 194
Slide 194 text
アイデアの導入がうまくいってる場合もいくつかあることに気づきました。 どうしてでしょうか?
Slide 195
Slide 195 text
不思議に思ったAくんは、そのスクラムマスターに話を詳しく聞きました。 Aくんが見つけられたケースは2パターンありました。
Slide 196
Slide 196 text
1つは、いくつものプロジェクトでスクラムマスター経験があり、 熟練のスクラムマスターとしてチームに参画している場合。
Slide 197
Slide 197 text
もう1つは、長年そのチームに所属していて、 チームメンバーとの関係性が深くなっている場合だと気づきました。
Slide 198
Slide 198 text
おそらく前者の熟練スクラムマスターは、 信頼の構造で言われる「カテゴリとして信頼できる」と思われているようで、
Slide 199
Slide 199 text
後者の長年チームに所属しているスクラムマスターは、 「個人的に信頼できる」と思われているようです。
Slide 200
Slide 200 text
それと、かなり厚い信頼ができてくれば、「誰かの課題を解決する」わけ でなくとも、「組織にアイデアを導入する」ことができるようです。
Slide 201
Slide 201 text
また、貴重な学びを得られた。 ありがたいなぁ。
Slide 202
Slide 202 text
認められる
Slide 203
Slide 203 text
さらに、半年くらいの月日が経ちました。
Slide 204
Slide 204 text
Aくん、君が頑張っているのはみんなから聞いているよ。 来期からは開発推進室として、他のチームの課題も解決してくれたまえ。
Slide 205
Slide 205 text
Aくんのアジャイルの推進活動が評価され、 10月からは開発推進室というチームにも兼務として配属されました。
Slide 206
Slide 206 text
そして、開発プロセスに関する部署内の課題を 解決することも任されることになりました。
Slide 207
Slide 207 text
そのため、自分の所属する開発チームだけではなく、
Slide 208
Slide 208 text
同じサービス内の別のチームにも、サービス全体の課題に対しても、 アイデアを導入することが増えていったのであった。
Slide 209
Slide 209 text
しかし、このときAくんは自分が解決のためのノウハウを溜め込んでいて、
Slide 210
Slide 210 text
まわりの人がアジャイルに関する知識をAくん任せにして学ぶことが なくなってしまっていたことに、まだ気づいてはいなかった。
Slide 211
Slide 211 text
次回作、アジャイルの知識をAくん任せにしたチームの違った悲劇。
Slide 212
Slide 212 text
新しい提案の知識
Slide 213
Slide 213 text
このころ、Aくんは新しい本を学んでいました。 その本はアジャイル界隈だとかなり知名度のある「Fearless Change」。
Slide 214
Slide 214 text
こちらは、組織にアイデアを導入する方法をパターン・ランゲージ形式で 紹介されている今回の活動にピッタリの本です。
Slide 215
Slide 215 text
この本を読んだことでAくんは、ものによっては組織に導入するときに 「小さくはじめる」や「やってみる」を試せばよかったと感じました。
Slide 216
Slide 216 text
エピローグ
Slide 217
Slide 217 text
その後Aくんは、また異動をきかっけに別の部署へ移りました。
Slide 218
Slide 218 text
そして、スクラムマスターとしての活動が評価されたのか、
Slide 219
Slide 219 text
新しい部署ではコーチとして、スクラムマスターの育成や、 部署内の研修などを任されるようになりました。
Slide 220
Slide 220 text
このころには、部署でコーチとして認められたり、勉強会で登壇していたり していることで、アジャイルの推進者としてベテランのように受け取られ、
Slide 221
Slide 221 text
信頼の構造でいう 「カテゴリとして信頼できる」と思ってもらえていたようです。
Slide 222
Slide 222 text
さらに、コーチとして実践するときには、 今までと違った「組織にアイデアを導入する」経験を積むことができました。
Slide 223
Slide 223 text
1チーム見ていたときだけではなく、部署に対して研修を依頼されたり、 制度の相談などもうけるようになりました。
Slide 224
Slide 224 text
コーチとして、自分の所属するチーム以外に 「アイデアを導入する」ときには、
Slide 225
Slide 225 text
直近で学んだ「小さくはじめる」や 「やってみる」を活用できる部分が沢山ありました。
Slide 226
Slide 226 text
例えば、チームが沢山学ぶことに課題を感じているのであれば、 いきなりスクラムを導入するのでなく、ふりかえりだけを設定するような。
Slide 227
Slide 227 text
あとは、新しい施策を導入するときに、 プロトタイプとして1チームで試しに実施して反応を見てみるなど。
Slide 228
Slide 228 text
そして、A君はいつの間にか「組織にアイデアを導入すること」を 無意識に近くできるようになっていました。
Slide 229
Slide 229 text
過去の経験の振り返り
Slide 230
Slide 230 text
ここからは、Aくんが自在に「組織にアイデアを導入すること」が できるようになった要因や、意識的にやっていたことを洗い出してみます。
Slide 231
Slide 231 text
Aくんは自己研鑽のため、アジャイル関係の本とは別に、 「組織にアイデアを導入すること」に関係する本を読んでいました。
Slide 232
Slide 232 text
すると、今回の「組織にアイデアを導入する」までのプロセスに 関係しそうな本3冊と出会いました。
Slide 233
Slide 233 text
「信頼の構造」と、「SPIN営業」、「Fearless Change」です。
Slide 234
Slide 234 text
信頼は「能力」と「騙さない」の2つの観点が重要である。 信頼 ・能力 ・騙さない ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・みんなが避けたがる仕事をする ・カテゴリとして信頼できる ・実績を積んでいく ・ベテランとして紹介される
Slide 235
Slide 235 text
「騙さない」と認識されるためには、「騙す必要がない」と思われるか 信頼 ・能力 ・騙さない ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・みんなが避けたがる仕事をする ・カテゴリとして信頼できる ・実績を積んでいく ・ベテランとして紹介される
Slide 236
Slide 236 text
「個人的に信頼できる」と思われるか「カテゴリとして信頼できる」と 思われる必要がある 信頼 ・能力 ・騙さない ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・みんなが避けたがる仕事をする ・カテゴリとして信頼できる ・実績を積んでいく ・ベテランとして紹介される
Slide 237
Slide 237 text
はじめは実績もないため、みんなが避けたがる仕事を率先して 受けることで、個人的な信頼を獲得できた。 信頼 ・能力 ・騙さない ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・みんなが避けたがる仕事をする ・カテゴリとして信頼できる ・実績を積んでいく ・ベテランとして紹介される
Slide 238
Slide 238 text
その後は、チームに対して改善アイデアを伝えて 恩恵を得ることで、信頼を拡大していったと思います。 信頼 ・能力 ・騙さない ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・みんなが避けたがる仕事をする ・カテゴリとして信頼できる ・実績を積んでいく ・ベテランとして紹介される
Slide 239
Slide 239 text
他のスクラムマスターの事例を聞く限り、信頼が厚くなってくると、 かなり簡単にアイデアの導入がうまくいくようになるみたい。 信頼 ・能力 ・騙さない ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・みんなが避けたがる仕事をする ・カテゴリとして信頼できる ・実績を積んでいく ・ベテランとして紹介される
Slide 240
Slide 240 text
実績を積んでいくことで、だんだんベテランや経験豊富な人として 紹介してもらえることが増えて、カテゴリとして信頼されることが増える 信頼 ・能力 ・騙さない ・騙す必要がない ・個人的に信頼できる ・みんなが避けたがる仕事をする ・カテゴリとして信頼できる ・実績を積んでいく ・ベテランとして紹介される
Slide 241
Slide 241 text
「SPIN営業」では、書籍で推奨されている4ステップの2つ目のステップで 「問題質問」という相手が抱えている課題を引き出すための質問をしていた。 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 242
Slide 242 text
この本を読んだことで、相手にアイデアを提案するときに、 「誰かの課題を解決する」ことが重要であると学べました。 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 243
Slide 243 text
だから、学んだことをすぐに実践するために提案するのではなく、 学んだことを溜め込んでおいて、 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 244
Slide 244 text
「誰かの課題を解決する」ときに、 脳内から逆引きして提案すると通りやすいとも気づけました。 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 245
Slide 245 text
B部長に懸命に提案していたとき、作ったものが使われるかどうかで 評価の変わらないB部長ではなく、 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 246
Slide 246 text
作った機能が使われないことで不利益を被っていたD部長に アジャイルの提案をすればよかったなぁ 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 247
Slide 247 text
相手の課題を解決するとしても、相手の情報がないと難しい。 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 248
Slide 248 text
そのためヒアリングする必要があるのだけど、一定水準の信頼がないと、 情報を教えてもらえないのではないか 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 249
Slide 249 text
「誰かの課題を解決する」に関しても、 信頼が元になっているなぁ 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 250
Slide 250 text
確かに、老人相手に訪問販売をする人は、最初はお客さんの御用聞きをして 信頼関係を構築してから高い布団を売りつけるよなぁ。 営業方法の4つのステップ ・状況質問 ・問題質問 ・示唆質問 ・解決質問 学び ・問題質問 ・相手の課題を引き出す ・解決質問 ・提案は相手の問題を解決する
Slide 251
Slide 251 text
この本を読んだことで、ものによっては組織に導入するときに 「小さくはじめる」や「やってみる」ことをもっと早くから試せばよかった。 お気に入りのパターン ・小さくはじめる ・やってみる
Slide 252
Slide 252 text
例えば、チームが沢山学ぶことに課題を感じているのであれば、いきなり スクラムを導入するのではなく、ふりかえりの時間だけを設定するような。 お気に入りのパターン ・小さくはじめる ・やってみる
Slide 253
Slide 253 text
あとは、新しい施策を導入するときに、 プロトタイプとして1チームで試しに実施して反応を見てみるなどかな。 お気に入りのパターン ・小さくはじめる ・やってみる
Slide 254
Slide 254 text
おしまい