Slide 1

Slide 1 text

© 2025 Classmethod, Inc. Midosuji Tech #5 3/27(木) 現行踏襲って何だろう? 要件のミスマッチに遭遇してきた話 クラスメソッド株式会社 クラウド事業本部コンサルティング部 神野 雄大(Jinno Yudai)

Slide 2

Slide 2 text

© 2025 Classmethod, Inc. 自己紹介 2 簡単な自己紹介をさせていただきます。本日はどうかよろしくお願いいたします。 名前 神野 雄大(Jinno Yudai) 所属 クラスメソッド株式会社 クラウド事業本部 コンサルティング部 ソリューションアーキテクト 資格 ● AWS Certification All Cert ● Azure Solutions Architect Expert ● Google Cloud All Cert 得意領域 ● アプリケーション全体の設計・開発 ● IoT ブログはこのアイ コンで書いていま す! 推しスーパーはラ・ムー!

Slide 3

Slide 3 text

© 2025 Classmethod, Inc. 現行踏襲という言葉 3 要件を決めていく際に「XXXは現行踏襲で」と言った単語を耳にすること はないですか??

Slide 4

Slide 4 text

© 2025 Classmethod, Inc. 現行踏襲と聞いて抱く感情 4 要件を決めていく中で「現行踏襲で」と言われてどう言った感情になりま すか??

Slide 5

Slide 5 text

© 2025 Classmethod, Inc. 思い返すジュニア時代 5 ジュニア時代は現行踏襲なので、今と同じように実装すればいいやと思いヒアリング する項目も減って嬉しいと思ったりしました。 ジュニア時代 私 お客様 ラッキー!現行のまま実装すれ ばいいから要件を詳しくヒアリ ングしなくていい! XXX機能は現行踏襲でお願い します。 わかりました! 本当にラッキーなのか?? 安易に受け入れたが故に予想外の出来事が待ち受けることに・・・

Slide 6

Slide 6 text

© 2025 Classmethod, Inc. 予想外の出来事① 6 CSV連携処理と聞いていたら蓋を開けたらTSVで、なぜか拡張子がCSVでお客様も理 解していなかったケースがございました。 イメージ お客様 現行は外部システムにCSV連 携しているのでそのまま踏襲 してください。 私 わかりました! 私 お客様 外部システムに連携できない んですけど・・・ 実装しました!! あれ、現行のフォーマットを よくみるとTSVだ。でも拡張 子はCSV。えぇ。。。

Slide 7

Slide 7 text

© 2025 Classmethod, Inc. 予想外の出来事② 7 実は色々な処理が「現行システム」には存在していて私たちの理解では追いついてい なかったケースがございました。 イメージ イメージ お客様 XXX機能は現行踏襲でお願い します。 私 わかりました! 私 お客様 あれ、現行では実はZZZも実行できて いたんですけど本システムではできな くなっていませんか・・・? 実装しました!! え、そんなことできたの??

Slide 8

Slide 8 text

© 2025 Classmethod, Inc. 予想外の出来事③ 8 要件定義時に「現行踏襲」で外部システムにデータを連携することが確定していたた め、データの構造をリアーキテクトしたのに元に戻すことに圧倒的苦戦したケースが ございました。 イメージ お客様 外部システム連携データは現 行と同じデータレイアウトで お願いします。 要件決定メンバー わかりました! 私 え、新システムではデータ構 造が一新されたから現行通り 全て復元するの無理じゃない ですか?? リーダー 現行踏襲で確定して覆せない ので、なんとか頑張って復元 してね・・・ えぇ。。。はい・・・

Slide 9

Slide 9 text

© 2025 Classmethod, Inc. なぜこんなことが起きるのか? 9 なぜこんなことが起きてしまうのだろうか??

Slide 10

Slide 10 text

© 2025 Classmethod, Inc. 原因① 10 お客様と我々で既存システムの理解度は圧倒的に違うかつ、「現行システム」の見て いる景色が違うケースがございます。 イメージ 私 お客様 現行処理 現行処理の一部 現行処理のドキュメ ント・コード 現行処理のドキュメント ・コードの一部

Slide 11

Slide 11 text

© 2025 Classmethod, Inc. 原因② 11 お客様自体も現行処理を理解していないかつ、ドキュメントも使い物にならずコンテ キストが全て失われているケースもございます。 イメージ お客様 理解している 現行処理 理解している現行処 理のドキュメント 現行システム 認識できてい ない現行処理 失われた コンテキスト 私 理解している 範囲で連携

Slide 12

Slide 12 text

© 2025 Classmethod, Inc. 原因③ 12 現行踏襲に甘んじて、実現可能性を検討しきれず実装してしまっているケースもある かと思います。 イメージ 私 現行処理 外部システム データ連携 新処理 新処理を作成 現行通りデータ連携が困難に 現行処理しか見てい ない。 外部システム連携は 認識できていない。

Slide 13

Slide 13 text

© 2025 Classmethod, Inc. どう向き合うか 13 どう向き合っていくか?

Slide 14

Slide 14 text

© 2025 Classmethod, Inc. どう向き合うか① 14 「現行踏襲で」と言われたら、まずはお客様が言う「現行」を理解するように努めま す。双方で「現行」に対する認識合わせを行います。 イメージ 私 お客様 現行処理 現行処理のドキュメ ント・コード お客様が普段行って いる業務は知りたい し参照しているド キュメントなどは全 て提供して欲しい 現行のコードベース から現行処理を正し く理解したい お客様が認識できていないもの は連携 こんな現行処理も あったんだ

Slide 15

Slide 15 text

© 2025 Classmethod, Inc. どう向き合うか② 15 改めて現行踏襲するか考えます。これを現行踏襲した方がいいのか、そもそも現行踏 襲できるのかなどをしっかりと検討し難しい箇所はお客様と課題としてディスカッ ションし安易に受けないようにします。 私 現行処理 外部システム データ連携 新処理 新処理のスコープをど うするか考える。 外部システムも考慮し てお客様と会話する 新処理でのデータ連携は適切に現行踏襲でき るのか検討する イメージ 場合によっては現行踏 襲するのが難しいこと も正確に伝えて対応策 を伝える 新処理を検討

Slide 16

Slide 16 text

© 2025 Classmethod, Inc. どう向き合うか③ 16 QCDや自身のロールの中で最大限努力します。気づいた違和感は大体嫌な方向であ とあと大きなトラブルを招くと感じています。 イメージ 私 新処理のスコープをど うするか考える。 外部システムも考慮し てお客様と会話する リーダー QCDの制約の中でどこまで要件を詰めるか 自分のロールでどこまで言うか お客様 現行踏襲で本当にいいんです か?? そもそも現行ってなんです か?? ステークホルダー QCD

Slide 17

Slide 17 text

© 2025 Classmethod, Inc. 今の自分なら 17 「現行踏襲」でと言われたら、まずは「現行」の認識合わせを行って、その上でどう いった処理が理想かを考えて要件を確定させていくと思います。 イメージ 私 お客様 XXX機能は現行踏襲でお願い します。 XXX機能ってどんな処理でしょうか。 可能であれば画面や設計書、コードなど参考と なる情報をください。 現行処理に対して認識合わせをして、その上で 現行踏襲でいいかどうか改めて処理を決めてい きましょう。 調査や調整のコストも 考えなきゃ!

Slide 18

Slide 18 text

© 2025 Classmethod, Inc. まとめ 18 18 まとめ 「現行踏襲で」と言われた場合は安易に引き受けず、まずは「現行」に対する理解を 深めてどうやって対応するのがベストかを模索するように心がけたい思っています。 まとめ ● 「現行踏襲で」と言われても安易に考えない。まず「現行」を理解し、 お互いに「現行」に対する景色を合わせる。 ● 認識を合わせた上で改めて「現行踏襲」するかどうかを考える。必ずし も踏襲する必要があるのか、場合によっては練り直した方が幸せかもし れない。「現行踏襲」はあくまで1方法として、何が一番お客様にとっ ていい選択になるのかを検討する。 ● QCDやロールなどの制約が実際のプロジェクトはあると思うので、自分 ができることをまずは最大限行うよう心がける。

Slide 19

Slide 19 text

© 2025 Classmethod, Inc. おわりに 19 今回話した内容はいかがでしたでしょうか。実際のプロジェクトを進めて いく中でなかなか理想通りには進まないところもあるかと思います。 今回の話が少しでも参考になりましたら幸いです。 最後までご清聴いただきありがとうございましたー!!

Slide 20

Slide 20 text

© 2025 Classmethod, Inc.