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分離化学⼯学 第7回 2018年6月1日 (⾦) 0 理⼯学部 応用化学科 データ化学⼯学研究室 専任講師 ⾦⼦ 弘昌

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前回の復習 q線を導ける 階段作図ができるようになる 理論段数を求められる 還流⽐を変えたときの蒸留塔の様⼦を説明できる 最⼩還流⽐・最⼩理論段数の求め⽅を説明できる 1

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前回の問題① 2 モル分率 0.4 のメタノール水溶液 100 kmol・h-1を液体の割合が 0.4 の条件で蒸留塔に供給して、塔頂からモル分率 0.95 の留出液、 塔底からモル分率 0.05 の缶出液を得たい。D [kmol・h-1], W [kmol・h-1], 理論段数 [段], 原料供給段 [段] を求めよ。 ただし、蒸留塔の塔頂には全縮器が、塔底にはリボイラーが設置されて いる。また還流⽐は1.5とし、以下の気液平衡関係を参照すること。 x y 0 0 0.083 0.369 0.125 0.464 0.156 0.516 0.200 0.580 x y 0.247 0.631 0.309 0.676 0.409 0.737 0.463 0.766 0.534 0.798 x y 0.600 0.826 0.667 0.856 0.763 0.901 0.850 0.933 1.000 1.000 朝倉書店『分離プロセス⼯学の基礎』p.55【例題3.2】にもとづいて作成

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難しかったところ 文字がかなり多くてこんがらがってしまった やっぱり、物質収支の式が難しい。 物質収支式を考えるのが難しかった。 D,Wの求め⽅ 3

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解説① 4 F D W = + F D W Fx Dx Wx = + 100 D W = + 100 0.4 0.95 0.05 D W × = + より、 よって、 D = 38.88・・・ = 38.9 kmol・h-1 W = 61.11・・・ = 61.1 kmol・h-1

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難しかったところ 傾きの際のRとはなんですか • 還流⽐です (R = L/D)、問題設定の図 参照のこと なぜマイナス1するのか︖理論段数 • リボイラー (加熱部) があるためです 作図のヒントがあってできましたが、⾃分の⼒だけでできるかいうと とても不安です。 • 覚える必要はありません。理解していれば OK です 原料供給段の求め⽅、原料供給段が点Qのところになる理由。 • 濃縮部操作線(濃縮部の物質収支)から回収部操作線 (回収部の物質収支) への切り替わりのある、点Qがある段です グラフがなぜこのような作成手順になったのかわからんなかった。 • 問題の解説で 5

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連続多段蒸留塔 問題設定 6 原料 缶出液 留出液 ・・・ ・・・ F [mol・s-1]︓原料の流量 xF [-]︓低沸点成分の原料 (液体)のモル分率 W [mol・s-1]︓缶出液の流量 xW [-]︓低沸点成分の 缶出液のモル分率 D [mol・s-1]︓留出液の流量 xD [-]︓低沸点成分の 留出液のモル分率 V [mol・s-1]︓濃縮部の蒸気流量 L [mol・s-1]︓濃縮部の液体流量 V’ [mol・s-1]︓回収部の蒸気流量 L’ [mol・s-1]︓回収部の液体流量 R [-]︓還流⽐ ( = L / D ) F xF D xD W xW V R=L / D L xn V yn L’ xm V’ ym L 濃縮部 回収部

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解説① 階段作図① 7 気液平衡線 ① 気液平衡線を 準備する

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解説① 階段作図② 8 ② (xD , xD ) (xW , xW ) (xF , xF ) を書く (0.95, 0.95) (0.05, 0.05) (0.4, 0.4) 気液平衡線

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解説① 階段作図③ 9 ③ 濃縮部の操作線 を書く 濃縮部操作線 傾き︓R/(R+1) = 1.5/2.5 = 0.6 (0.95, 0.95) (0.05, 0.05) (0.4, 0.4) y = 0.6(x-0.95)+0.95 気液平衡線

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解説① 階段作図④ 10 ④ q線を書く q線 傾き︓-q/(1-q) = -0.4/0.6 = -0.6666・・・ (0.95, 0.95) (0.05, 0.05) (0.4, 0.4) 気液平衡線 y = 0.6(x-0.95)+0.95 y = 0.667(x-0.4)+0.4

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解説① 階段作図⑤ 11 ⑤ 濃縮部操作線 とq線との交点Q を計算する Q (0.95, 0.95) (0.05, 0.05) (0.4, 0.4) 気液平衡線 y = 0.667(x-0.4)+0.4 y = 0.6(x-0.95)+0.95 Q(0.2263, 0.5157)

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解説① 階段作図⑥ 12 ⑥ 回収部操作線 を書く (点Qと(xW , xW ) とを結ぶ) 回収部操作線 (xW , xW )とQとを結んだ線 Q (0.95, 0.95) (0.05, 0.05) (0.4, 0.4) 気液平衡線 y = 0.6(x-0.95)+0.95 Q(0.2263, 0.5157) 傾き︓ 0.5157 0.05 2.641 0.2263 0.05 − = − ⋯ y = 2.64(x-0.05)+0.05

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解説① 階段作図⑦ 13 ⑦ x が xw を超える まで階段作図を 続ける 1 2 3 4 5 原料を供給する段は 点Qがある 6 段目 6 7 8 理論段数 N= 7.88–1 = 6.88 = 6.9

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解説① みなさんの平均値 6.6 14

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前回の問題② 15 理論段数が他の⼈と正確に⼀致しないのはどうしてか考え、 その理由を少なくとも2つ挙げよ。

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解説② 手書き、目分量による作図の違い 有効数字の扱いの違い 気液平衡線の補間⽅法の違い • 補間︓データ(値・実験結果・観測結果)がないところを、 周辺の他のデータから補って推定すること ⁃ 線形補間 ⁃ 多項式補間 ⁃ スプライン補間 など 16

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還流⽐と濃縮部操作線 これまで還流⽐ R は固定 濃縮部操作線の傾きは R に依存 [ R / (R+1)] 傾きが⼤きいと理論段数は⼩さくなる R を変えることで操作線・理論段数はどう変わるか考えてみよう • R → ⼤ 傾き→︖ 理論段数→︖ • R → ⼩ 傾き→︖ 理論段数→︖ 17 1 1 1 1 R R R = + + 濃縮部操作線の傾き︓

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最⼩還流⽐と最⼩理論段数 18 y [-] x [-] 0 1 0 1 気液平衡線 (xD , xD ) (xW , xW ) (xF , xF ) R : 最⼩, 理論段数:無限 q線 濃縮部操作線 傾き︓R/(R+1) 最⼩理論段数 R : 最⼤(全還流:すべて塔に戻す), 理論段数:最⼩ 最⼩還流⽐

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最⼩還流⽐と最⼩理論段数 最⼩還流⽐ • 気液平衡線と q 線との交点と(xD , xD )から濃縮部操作線の 傾きを求める • 傾き: R / (R+1) から R を求める 最⼩理論段数 • 操作線を対角線にして階段作図により求める ⁃ ラウールの法則が成り⽴てば、どちらも解析的に求められる • フェンスケ(Fenske)の式・・・最⼩理論段数を求める式 19

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還流⽐と濃縮部操作線、蒸留塔 R→⼤ 傾き→⼤ 理論段数→⼩ 建設費→⼩ 還流液量→⼤ 塔径・凝縮器・リボイラー→⼤ 建設費→⼤ 冷却水量・スチーム量→⼤ 運転費→⼤ R→⼩ 傾き→⼩ 理論段数→⼤ 建設費→⼤ 還流液量→⼩ 塔径・凝縮器・リボイラー→⼩ 建設費→⼩ 冷却水量・スチーム量→⼩ 運転費→⼩ 20 総合的に還流⽐が決められる

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問題① 21 ベンゼンのモル分率 0.4、トルエンのモル分率 0.6 の混合液を 沸点に加熱して(q=1)、 100 kmol・h-1 で蒸留塔に供給して、 塔頂からモル分率 0.95 のベンゼン、塔底からモル分率 0.90の トルエンを得たい。D [kmol・h-1], W [kmol・h-1], 理論段数 [段], 原料供給段 [段] を求めよ。 ただし、蒸留塔の塔頂には全縮器が、塔底にはリボイラーが設置されて いる。また還流⽐は2.0とし、ラウールの法則が成り⽴つとして、 相対揮発度は 2.48 とする (⾦⼦の理論段数: 10.1)。 余裕があれば、全還流したときの理論段数を求めよ (⾦⼦: 4.7段)。 東京化学同⼈『化学⼯学演習』p.46【例3.8】にもとづいて作成

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問題② 22 設計された蒸留塔の結果と実際の蒸留塔との結果とが異なるのは どうしてか考え、その理由を少なくとも3つ挙げよ。

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解説① 23 F D W = + F D W Fx Dx Wx = + 100 D W = + 100 0.4 0.95 0.10 D W × = + より、xW = 1 - 0.90 = 0.10 から、 よって、 D = 35.29・・・ = 35.3 kmol・h-1 W = 64.70・・・ = 64.7 kmol・h-1

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解説① 階段作図① 24 気液平衡線 ① 気液平衡線を 準備する

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解説① 階段作図② 25 ② (xD , xD ) (xW , xW ) (xF , xF ) を書く (0.95, 0.95) (0.1, 0.1) (0.4, 0.4) 気液平衡線

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解説① 階段作図③ 26 ③ 濃縮部の操作線 を書く 濃縮部操作線 傾き︓R/(R+1) = 2/3 = 0.6666・・・ y = 0.667(x-0.95)+0.95 (0.95, 0.95) (0.1, 0.1) (0.4, 0.4) 気液平衡線

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解説① 階段作図④ 27 ④ q線を書く q線︓ x = 0.4 y = 0.667(x-0.95)+0.95 (0.95, 0.95) (0.1, 0.1) (0.4, 0.4) 気液平衡線

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解説① 階段作図⑤ 28 ⑤ 濃縮部操作線 とq線との交点Q を計算する Q Q(0.4, 0.5833) x = 0.4 y = 0.667(x-0.95)+0.95 (0.95, 0.95) (0.1, 0.1) (0.4, 0.4) 気液平衡線

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解説① 階段作図⑥ 29 ⑥ 回収部操作線 を書く (点Qと(xW , xW ) とを結ぶ) 回収部操作線 (xW , xW )とQとを結んだ線 Q(0.4, 0.5833) 傾き︓ 0.5833 0.1 1.611 0.4 0.1 − = − ⋯ y = 1.61(x-0.1)+0.1 (0.95, 0.95) (0.1, 0.1) (0.4, 0.4) Q

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解説① 階段作図⑦ 30 ⑦ x が xw を超える まで階段作図を 続ける 1 2 3 4 5 原料を供給する段は 点Qがある 7 段目 6 7 8 理論段数 N= 11.12–1 = 10.12 = 10.1 (0.95, 0.95) (0.1, 0.1) (0.4, 0.4) 9 10 11 12

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蒸留の問題︓共沸 あるモル分率 x で y = x となってしまい、これを超える濃縮ができない • エタノール – 水 • アセトン – クロロホルム 対策 • 第3成分を入れる • 圧⼒を変化させて 気液平衡線を変える 31 y [-] x [-] 0 1 0 1 気液平衡線

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今回の達成目標 階段作図ができるようになる 理論段数を求められる 還流⽐を変えたときの蒸留塔の様⼦を説明できる 最⼩還流⽐・最⼩理論段数の求め⽅を説明できる 32

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連続多段蒸留塔 問題設定 33 缶出液 留出液 ・・・ ・・・ F [mol・s-1]︓原料の流量 xF [-]︓低沸点成分の原料 (液体)のモル分率 W [mol・s-1]︓缶出液の流量 xW [-]︓低沸点成分の 缶出液のモル分率 D [mol・s-1]︓留出液の流量 xD [-]︓低沸点成分の 留出液のモル分率 V [mol・s-1]︓濃縮部の蒸気流量 L [mol・s-1]︓濃縮部の液体流量 V’ [mol・s-1]︓回収部の蒸気流量 L’ [mol・s-1]︓回収部の液体流量 R [-]︓還流⽐ ( = L / D ) D xD W xW V R=L / D L xn V yn L’ xm V’ ym L 濃縮部 回収部 原料 F xF , q

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連続多段蒸留塔 問題設定 34 缶出液 留出液 ・・・ ・・・ xn , xm [-]︓低沸点成分の n,m段目の液体の モル分率 yn , ym [-]︓低沸点成分の n,m段目の蒸気の モル分率 q [-]︓原料の液体の割合 上から1段、2段、・・・と数える D xD W xW V R=L / D L xn V yn L’ xm V’ ym L 濃縮部 回収部 原料 F xF , q