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Actual of Japanese Internet

Actual of Japanese Internet

日本のインターネット - ネットワーク入門勉強会 #4

社内で開催したネットワーク入門勉強会にて発表した資料の一部を公開します.この回では日本のインターネットについて特集し,私たちが普段何気なく使っているインターネット網がどのような仕組みなのかを入門者向けに解説しました.

Keywords: AS, FLET'S, NGN, NTT, IPoE, VNE, ISP

Naoki Ikeguchi

March 15, 2022
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Transcript

  1. 日本のインターネット
    ネットワーク入門勉強会 #4
    Naoki Ikeguchi @siketyan

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  2. 前置き
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  3. $ whoami
    • 池口 直希 Naoki Ikeguchi a.k.a. しけちあ Siketyan
    • 21 卒 退 サーバサイドエンジニア #441_sst
    • 元・豊田高専生 (愛知) #kosen18s
    • 愛知県江南市 出身
    • 東京都北区 在住
    https://s6n.jp/ Twitter: @s6n_jp
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  4. 本題
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  5. 私たちはインターネットに繋がっている
    (本当に?)
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  6. インターネット
    私たち
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  7. インターネット
    私たち
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  8. 前提
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  9. 前提① インターネットは AS で構成される
    ピアリング
    Peering
    インターネット
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  10. AS ってなに
    • 自律システム (Autonomous System)
    • インターネットを構成する単位となる
    • 固有の番号 (ASN) を持つ
    • ASN の数には限りがある
    • AS 同士は相互に以下のことを行う
    • 接続 (ピアリング) する (トランジットを用いる場合もある)
    • 経路情報を交換する
    • 交換された経路情報をもとに IP パケットを他の AS に転送する
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  11. インターネット
    私たち AS 他の AS
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  12. 前提② 私たちは ISP (Internet Service Provider)
    と契約している
    • いわゆるプロバイダというやつ
    • 私たちは ISP を契約しなければインターネットに接続できない
    • なぜか?
    • 利用する ISP によってインターネットアクセスの速度が
    異なることもある(遅延,帯域幅)
    • なぜか?
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  13. 私たち ISP
    他のユーザ
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    インターネット
    AS

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  14. 結論
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  15. 私たちは ISP (AS) 経由でインターネットに接続
    している
    • ほとんどの場合 ISP は AS を持っている
    • 例: AS4713 NTT Communications Corporation (OCN)
    • JPNAP という IX (Internet Exchange) 経由で各 AS とピアリングしている[1]
    • ISP によってピアリングしている AS は違う
    • ここから経路の違いが発生するので帯域幅や遅延が変わる
    • 自分で AS を運用すればインターネットに直接接続できる[2]
    ^1: https://www.peeringdb.com/ix/95
    ^2: https://www.homenoc.ad.jp/
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  16. 私たち ISP
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    インターネット
    AS

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  17. 私たち AS
    (ISP)
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    インターネット
    AS

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  18. FLET‘S というネットワーク
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  19. 19

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  20. フレッツ光はインターネットに接続していない
    • NTT 東西が提供しているフレッツ光というサービスは ISP 業務を
    行なっていない=インターネットに接続していない
    • 日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT 法)による制限
    • フレッツ光が提供するのは FLET‘S 網 (NGN) と呼ばれる閉域網へ
    の接続のみである(東西で別の網になる)
    • FLET’S を利用するとき,回線契約の他にプロバイダ契約が必要
    なのはこのためである
    • 現在 FLET’S 網は IPv6 ネットワークである
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  21. 私たち ISP
    NGN
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    インターネット
    AS

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  22. FLET’S 網とインターネット
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  23. IPv6 編
    • VNE (Virtual Network Enabler) 経由で接続する
    • IPoE 接続を用いて NGN と IPv6 インターネットを繋ぐ
    • NTT の制約により 3 事業者 16 事業者だけがこの VNE 業務を行える
    • ISP はこの VNE と契約して接続を卸売される形となる
    • つまりインターネットへの接続性能は ISP ではなく VNE に依存する
    • 携帯回線における MNO / MVNO / MVNE の関係に近い
    • NTT (MNO): 回線を提供
    • ISP (MVNO): ユーザと契約して VNE 経由のインターネット接続を提供
    • VNE (MVNE): ISP (MVNO) と契約してインターネット接続を提供
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  24. いろいろな VNE
    • BBIX 株式会社
    • Yahoo! BB 光 など
    • 日本ネットワークイネイブラー株式会社 (JPNE)
    • BIGLOBE 光 など
    • インターネットマルチフィード株式会社 (MF)
    • IIJmio ひかり など
    + 6 社 (2021/04/30 現在)
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  25. © 2018 INTERNET MULTIFEED CO.
    https://www.janog.gr.jp/meeting/janog42/application/files/8015/3238/7118/janog42-IPoE-vne_toyama.pdf
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  26. IPv4 編
    • PPPoE を用いてユーザと ISP が直接 (PPP) 接続し,インターネット
    接続を提供する方式が主流だった
    • 最近では VNE が IPv4 over IPv6 接続を IPoE で提供することが
    多くなった
    • これによって ISP は自社設備をほぼ持つことなく業務を行える
    • ユーザはどの ISP を選んでも VNE が同じなら接続性能は同じである
    • 後述する NAT / NAPT によって IPv4 アドレスの利用数を減らしている
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  27. VNE と IPv4 over IPv6 接続と NAT/NAPT
    • BBIX
    • 「IPv6 高速ハイブリッド」の名前で IPIP6 トンネル (アドレス占有) 方式[1]
    • JPNE
    • 「v6 プラス」の名前で MAP-E 方式[2]
    • MF
    • 「Transix」の名前で DS-Lite 方式[3]
    ^1: https://orumin.blogspot.com/2020/07/bbix-ipv4-over-ipv6-4rdsam.html
    ^2: https://www.jpne.co.jp/service/v6plus/
    ^3: https://www.mfeed.ad.jp/transix/dslite/dslite.html
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  28. MAP-E (Mapping of Address and Port Encapsulation)
    • VNE 側から指定されたアドレスとポート範囲で NAPT してから
    IPIP6 トンネルに送信する
    • ユーザ側 (CPE; Customer Premises Equipment) で NAPT を行う
    ため VNE 側の設備が軽い
    • 検証のみで良いのでステートレスな設備で済む
    • 特殊な NAPT 方式なので CPE の交換やファームウェア更新が必要
    なこともある
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  29. DS-Lite (Dual-Stack Lite)
    • CPE は IPv4 パケットをそのまま IPIP6 トンネルに送信して,
    VNE 側で NAPT を行う
    • CPE 側は NAPT 機能が不要なので IPIP6 トンネルに対応して
    いれば良い
    • VNE 側の設備で大規模な NAPT を行う CGN (Carrier Grade NAT) が必要
    • NAPT テーブルが必要なのでステートフルな設備である
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  30. © 2018 INTERNET MULTIFEED CO.
    https://www.janog.gr.jp/meeting/janog42/application/files/8015/3238/7118/janog42-IPoE-vne_toyama.pdf
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  31. まとめ
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  32. まとめ
    • インターネットは AS の集まりでできている
    • 私たちは AS になる代わりに AS である ISP (VNE) と契約している
    • NTT のフレッツ光が提供する NGN は閉域網である
    • IPv6 では NGN を通って VNE 経由でインターネットに接続
    • IPv4 では二つに分かれる
    • PPPoE 方式の場合 NGN を通って ISP 経由でインターネットに接続
    • v4 over v6 (IPoE) 方式の場合 VNE 経由で NAPT してインターネットに接続
    • 固定 IPv4 アドレスサービスを利用している場合や VNE によってはこの限りではない
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  33. 参考文献
    • 小川・久保田 (2020) 『徹底解説 v6 プラス』,ラムダノート株式会社,
    ISBN 978-4-908686-08-5.
    • 外山 (2018) 『VNE 事業者とは』,「フレッツ IPoE 方式の理想と現実」,
    https://www.janog.gr.jp/meeting/janog42/application/files/8015/323
    8/7118/janog42-IPoE-vne_toyama.pdf ,2021/08/15 閲覧.
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