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スクラムガイドに載っていないスクラムのはじめかた - チームでスクラムをはじめるときに知っておきたい5個のコツ - 及部敬雄 (@TAKAKING22) 2024/3/9 Scrum Fest Fukuoka 2024

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とある会社のスクラムことはじめ 「我が社もアジャイル開発を導入することに なった。君は前職でスクラムチームで働いた 経験があると聞いたよ。今日から君が スクラムマスターだ。」

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とある会社のスクラムことはじめ 「我が社もアジャイル開発を導入することに なった。君は前職でスクラムチームで働いた 経験があると聞いたよ。今日から君が スクラムマスターだ。」 『は、はいっ!』

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『スクラム経験があるとはいえ、開発者 としてただ働いてただけなんだよな…』 とある会社のスクラムことはじめ

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『スクラム経験があるとはいえ、開発者 としてただ働いてただけなんだよな…』 『いきなりスクラムマスターって言われても 不安だけど、スクラムガイドを読みながら とりあえずやってみよう』 とある会社のスクラムことはじめ

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『僕はスクラムマスター!』 とある会社のスクラムことはじめ

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『僕はスクラムマスター!』 「私がプロダクトオーナーだ!」 とある会社のスクラムことはじめ

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『僕はスクラムマスター!』 「私がプロダクトオーナーだ!」 「ワシが開発者じゃ!」 とある会社のスクラムことはじめ

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『僕はスクラムマスター!』 「私がプロダクトオーナーだ!」 「ワシが開発者じゃ!」 「みんな合わせてスクラムチーム!!」 とある会社のスクラムことはじめ

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『スプリントをまわすぞ!』 とある会社のスクラムことはじめ

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『スプリントをまわすぞ!』 『まずはスプリントプランニング!』 とある会社のスクラムことはじめ

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『スプリントをまわすぞ!』 『まずはスプリントプランニング!』 『今だッ!デイリースクラム!』 とある会社のスクラムことはじめ

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『スプリントをまわすぞ!』 『まずはスプリントプランニング!』 『今だッ!デイリースクラム!』 『くらえッ!スプリントレビュー!』 とある会社のスクラムことはじめ

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『スプリントをまわすぞ!』 『まずはスプリントプランニング!』 『今だッ!デイリースクラム!』 『くらえッ!スプリントレビュー!』 『必殺ッ!スプリントレトロスペクティブ!』 とある会社のスクラムことはじめ

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『スプリントをまわすぞ!』 『まずはスプリントプランニング!』 『今だッ!デイリースクラム!』 『くらえッ!スプリントレビュー!』 『必殺ッ!スプリントレトロスペクティブ!』 『あれ?意外とスクラムできてる!?』 とある会社のスクラムことはじめ

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1ヶ月後…

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『今回のスプリントもまた計画通り 終わらなそうだぞー!』 スクラムをはじめて1ヶ月後

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『今回のスプリントもまた計画通り 終わらなそうだぞー!』 『ああ明日スプリントレビューなのに 準備が全然できてない…。どうしよう。』 スクラムをはじめて1ヶ月後

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スクラムをはじめて1ヶ月後 「スクラムをはじめて会議の時間が増えて 開発に集中できません。どうにかして ください!」

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「スクラムをはじめて会議の時間が増えて 開発に集中できません。どうにかして ください!」 『う、そんなこと言われてもなあ…』 スクラムをはじめて1ヶ月後

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「スクラムを導入したというのに、 全然生産性が上がっていないぞ!」 スクラムをはじめて1ヶ月後

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「スクラムを導入したというのに、 全然生産性が上がっていないぞ!」 『そ、そんなこと言われても…』 スクラムをはじめて1ヶ月後

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『スクラムって難しい…。』

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「DX白書2023」独立行政法人情報処理推進機構

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「DX白書2023」独立行政法人情報処理推進機構 22.9% 53.9%

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「アーリーアダプターとは?獲得方法とイノベーター理論をわかりやすく解説」(https://go.chatwork.com/ja/column/efficient/efficient-351.html) 日本 22.9% アメリカ 53.9%

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81 % 「AgileTechniques and Maturity」Digital.ai 15th State of Agile Report を基に計算 アジャイル開発を導入しているチームの内、 スクラムをベースにしたプラクティスを採用している割合

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アジャイル開発とスクラム 日本におけるアジャイル開発の普及はキャズムを越えたが、
 これからはじめる機会はまだまだ多い アジャイル開発をはじめる ≒ スクラムをはじめる

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“スクラムははじめるのは簡単だが習得するのは難しい”

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どっちやねん!

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今日のお話 スクラムガイドやネットで見つけたうまくいっているチームのやり方を
 参考にスクラムをはじめることは簡単 スクラムガイドやうまくいっているチームと同じことをしているはずなのに なぜかうまくいかない

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今日のお話 スクラムガイドやネットで見つけたうまくいっているチームのやり方を
 参考にスクラムをはじめることは簡単 スクラムガイドやうまくいっているチームと同じことをしているはずなのに なぜかうまくいかない スクラムガイドを復習する 「はじめるのは簡単、習得は困難」の正体を紐解く スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ

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今日のお話のターゲット スクラムをこれからはじめる方 スクラムをはじめたけどうまくいかないことに悩んでる方

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Learning Outcome スクラムガイドを改めてチームで読み合わせしたくなる 現在の時勢に合わせたスクラムをはじめるときのコツを知れる スクラムを導入した後うまくいかせるためのヒントになる

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スクラムガイドに載っていないスクラムのはじめかた - チームでスクラムをはじめるときに知っておきたい5個のコツ - 及部敬雄 (@TAKAKING22) 2024/3/9 Scrum Fest Fukuoka 2024

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TAKAKING22 株式会社ホロラボ Group Lead AGILE-MONSTER.COM 制御不能なアジャイルモンスター 及部敬雄

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Silver Bullet Club 株式会社ホロラボ AECグループ チーム転職2回 及部 敬雄 @TAKAKING22 佐藤 竜也 @satoryuofficial 宮崎 剛太 @gmya_zaki IT 製造業 XR

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Regional Scrum Gathering Tokyo Scrum Fest XX Developers Summit Agile Japan .. https://agile-monster.com/output/

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今日の話の背景 さまざまなチームのスクラム導入やその後を支援してきた中で、
 ぶつかりやすい問題がいくつか存在する 導入フェーズのチームに対してよくするフィードバックや
 アドバイスがいくつかある その中で代表的なものをセッションを通して紹介することで、
 自分が直接関わらなくてもチームの参考になるかもしれない 結果としてよいチームが世の中に増えたら最高!!

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アジェンダ スクラムガイドを復習する 「はじめるのは簡単、習得は困難」の正体を紐解く スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ

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アジェンダ スクラムガイドを復習する 「はじめるのは簡単、習得は困難」の正体を紐解く スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ

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まずはスクラムガイドを読もう! https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2020/2020-Scrum-Guide-Japanese.pdf

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スクラムガイド Jeff SutherlandとKen Schwaberによる公式ガイド たったの17ページ(だから読もう!) 2011年に初版が公開され、コミュニティからのフィードバック を取り入れてアップデートされるようになった 最新版はスクラムガイド2020 ※2024年3月現在

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スクラムの定義 スクラム(名詞): 複雑で変化の激しい問題に対応するためのフレームワーク
 であり、可能な限り価値の高いプロダクトを生産的かつ
 創造的に届けるためのものである。 スクラムガイド2020

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スクラムの定義 スクラム(名詞): 複雑で変化の激しい問題に対応するためのフレームワーク
 であり、可能な限り価値の高いプロダクトを生産的かつ
 創造的に届けるためのものである。 スクラムガイド2020

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フレームワーク ビジネスフレームワーク:共通して利用できる考え方、分析、
 問題解決、戦略立案などの枠組み ex. 3C分析、SWOT分析、OKR、カスタマージャーニーマップ … ソフトウェアにおけるフレームワーク:開発するうえで典型的・
 定型的な処理やデータ構造をまとめた枠組みやテンプレート ex. Ruby on Rails、React、Spring、Bootstrap …

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フレームワーク ビジネスフレームワーク:共通して利用できる考え方、分析、
 問題解決、戦略立案などの枠組み ex. 3C分析、SWOT分析、OKR、カスタマージャーニーマップ … ソフトウェアにおけるフレームワーク:開発するうえで典型的・
 定型的な処理やデータ構造をまとめた枠組みやテンプレート ex. Ruby on Rails、React、Spring、Bootstrap … フレームワークを使えば問題解決になるわけではなく、 自分たちが問題解決するときに役立つかもしれないもの

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スクラムの構成要素 スクラムチーム 開発者 プロダクトオーナー スクラムマスター 作成物 プロダクトバックログ スプリントバックログ インクリメント イベント スプリント スプリントプランニング デイリースクラム スプリントレビュー スプリントレトロスペクティブ

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スクラムマスター プロダクトオーナー 開発者 教える 支援する つくる 価値を 最大化する 教える 支援する

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スクラムマスター プロダクトオーナー 開発者 教える 支援する つくる 価値を 最大化する 教える 支援する スクラムチーム

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Day1(水) Day2(木) Day3(金) Day4(月) Day5(火) 9:00 10:00 スプリント プランニング 11:00 12:00 13:00 デイリースクラム 14:00 15:00 スプリント レビュー 16:00 バックログ
 リファインメント 17:00 スプリント
 レトロスペクティブ スプリント

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スクラムのイベントと作成物の関係 1. プロダクトバックログを用意する 2. スプリントバックログを用意する(スプリントプランニング) 3. スプリントを実施する 4. チームの状況を毎日検査をする(デイリースクラム) 5. 成果=インクリメントを見せる(スプリントレビュー) 6. 開発の様子をふりかえる(スプリントレトロスペクティブ)

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何度も繰り返す スプリントを何度も繰り返す チームで学習してうまくなっていく

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スプリントとリリース ʜ タイミングはビジネス判断 いつでもリリースできるように

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スクラムの価値基準  確約(Commitment)  個人としてスクラムチームのゴール達成を確約する  勇気(Courage)  正しいことをする勇気を持ち、困難な問題に取り組む  集中(Focus)  スプリントの作業やスクラムチームのゴールに集中する  公開(Openness)  仕事と遂行する上での課題を公開することに合意する  尊敬(Respect)  お互いを能力のある独立した個人として尊敬する

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スクラムの全体性 スクラムフレームワークは不変である。スクラムの一部だけ を導入することも可能だが、それはスクラムとは言えない。 すべてを備えたものがスクラムであり、その他の技法・ 方法論・プラクティスの入れ物として機能するものである。 スクラムガイド2020

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スクラムの価値基準  確約(Commitment)  個人としてスクラムチームのゴール達成を確約する  勇気(Courage)  正しいことをする勇気を持ち、困難な問題に取り組む  集中(Focus)  スプリントの作業やスクラムチームのゴールに集中する  公開(Openness)  仕事と遂行する上での課題を公開することに合意する  尊敬(Respect)  お互いを能力のある独立した個人として尊敬する

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スクラムの全体性 スクラムフレームワークは不変である。スクラムの一部だけ を導入することも可能だが、それはスクラムとは言えない。 すべてを備えたものがスクラムであり、その他の技法・ 方法論・プラクティスの入れ物として機能するものである。 スクラムガイド2020

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スクラムのまとめ プロダクトの機能を欲しい順番に並べ変えてその順番につくること
 で成果を最大化する(価値を基準) 短い時間に区切って繰り返す(タイムボックス) 仕事の状況や問題を関係者間で常に共有する(透明性) 定期的に仕事の進捗やプロダクトの方向性や仕事の進め方に
 問題がないかを確認する(検査) もっとうまくやる方法を常に追い求めてやり方を変えていく(適応)

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スクラムガイド2020のアップデート スクラムチームは1つのチームである 「開発チーム」→「開発者」 スクラムマスターの役割 「サーバントリーダー」→「チーム・組織に奉仕する真のリーダー」 作成物の確約(コミットメント)の明示 プロダクトゴール、スプリントゴール、完成の定義 指示的な部分がより少なくなった デイリースクラムの具体的な質問事例の記載がなくなった スプリントレビューはプレゼンテーションではなくプロダクトゴールの達成に向けた議論の場へ スクラムパターン:スウォーミングの採用

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アップデートから読み解く陥りやすい罠 プロダクトオーナーと開発チームの分断 スクラムイベントが儀式になってしまいがち 作業分担やロールの分業が前提になってしまっている

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アップデートから読み解く陥りやすい罠 プロダクトオーナーと開発チームの分断 スクラムイベントが儀式になってしまいがち 作業分担やロールの分業が前提になってしまっている スクラムを活用するうえで特に気をつけたほうがいいところ

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スクラムガイドまとめ 17ページなのでまずは読む アップデートを重ねるごとにより抽象的になっているので、 自分たちが考えて実装する必要性が高くなっている そのままやればいいではなくどうやって適応していくのか

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アジェンダ スクラムガイドを復習する 「はじめるのは簡単、習得は困難」の正体を紐解く スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ

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“スクラムははじめるのは簡単だが習得するのは難しい”

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「はじめるのは簡単」の正体 自分たちではじめることができる スクラムガイドが公開されている 書籍や事例を入手しやすい ロールを割り当てて、イベントをまわしはじめれば、
 とりあえず形式上スクラムを導入した気になれる アジャイル開発の普及が進み、まわりの理解も得やすくなった むしろ組織起点でスクラムを導入するケースも増えている

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「習得するのは難しい」の正体 やってみることと活用できることは別物である スクラム自体が完全ではないのでチームで補完する必要がある ex. スクラムではビジネス面や技術詳細には触れられていない スクラムをはじめたからといって、
 すぐに本質的な成果につながるとは限らない

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はじめるのが簡単だからこそはまりやすい

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はじめるのが簡単だからこそはまりやすい 形式上やった気になれるのでそこで一息ついてしまう でもスクラムははじめてからが一番大変 コラボレーションの機会が増えることで、人間関係の問題が起こりやすい フィードバックの機会が増えることで、それまで見えなかった問題が顕在化する

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はじめるのが簡単だからこそはまりやすい 形式上やった気になれるのでそこで一息ついてしまう でもスクラムははじめてからが一番大変 コラボレーションの機会が増えることで、人間関係の問題が起こりやすい フィードバックの機会が増えることで、それまで見えなかった問題が顕在化する 問題が見つかったことをよいことだと捉える 問題と向き合い解決し続けることで少しずつうまくなっていく そういうチームをつくっていくことがスクラム

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「スクラムをはじめる」ではなく「スクラムを続ける」 Photo by Fitsum Admasu on Unsplash

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アジェンダ スクラムガイドを復習する 「はじめるのは簡単、習得は困難」の正体を紐解く スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ

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スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ 共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに集中する アジャイルコーチを頼る コミュニティでわいわいする

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スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ 共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに集中する アジャイルコーチを頼る コミュニティでわいわいする

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共通言語を作る スクラムチームは異なる経験やバックグラウンドをもったメンバーたちが
 1つのチームとしてコラボレーションしながら仕事を進める必要がある コンテキスト: その状況において: 言葉の定義や解釈が違うことで見えないズレが発生する 見えないズレがコミュニケーションミスにつながり、
 話が通じやすい同じ職種やロールで集団になることで分断が起こる

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共通言語を作る 全員が共通で知っていることを増やす 共通体験をすることで共通言語がうまれていく 具体的な方法として以下のような方法がある スクラムガイドをチーム全員で読み合わせをして議論をする 同じスクラム研修をチーム全員で受ける スクラムフェスの動画を全員で同時視聴して感想戦を行う そこで:

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共通言語を作る コミュニケーションミスが起きにくくなる 指示語を使いながら理解を深めることができる 「あの研修で聞いたあれだね」 「これってあのときにコーチが言ってたやつだね」 話の前提を揃えたり相手の理解を探る必要性が下がることで、
 目的に集中したコミュニケーションをすることができる その結果:

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スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ 共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに集中する アジャイルコーチを頼る コミュニティでわいわいする

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集まって仕事をする スクラムはロールが定義されていて、それぞれのロールがそれぞれの
 責任を果たすことでスクラムのサイクルがまわっていく コンテキスト: その状況において: 分担や分業を前提に仕事を組み立ててしまう 人にロールが紐づいてしまい「それは◯◯の仕事」となってしまう 結果として新たな分断がうまれる

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集まって仕事をする 集まったときに仕事を進める時間をつくる チーム全員でプロダクトバックログづくりをする チーム全員でスプリントレビューの準備をする モブプログラミングを定期的に行う 分担や分業を前提に仕事を進めるのではなく、
 仕事の質やチームの状況を見ながら分担作業とモブワークを選択する そこで:

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モブプログラミングとは チーム全員で ・同じ仕事を .. ・同じ時間に .. ・同じ空間で .. ・同じ環境で .. すること オフライン/オンラインに 関わらず同じ空間で 技術やツールの進化によって 必ずしも同じマシンでなくとも 同じ環境を共有できるようになった

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モブプログラミングのイメージ 作業 見る 見る 見る ਖ਼͍͠Πϝʔδ その他のモブ その他のモブ その他のモブ タイピスト アウトプット その他のモブ その他のモブ その他のモブ よくある誤解 インプット インプット インプット モブプロのイメージ タイピスト

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分担作業とモブプログラミング 分担作業 モブプログラミング イメージ 特徴 リソース効率重視 フロー効率重視 生産性 チーム全体で見たときに 生産される量が多い チームとして完成したものだけ が確実に生産されていく 問題解決 個人の経験知に依存する チーム全員の経験知に依存する 学習 個人に貯まる チームに貯まる 向いている仕事の質 単純作業 他者への依存度が低い仕事 問題解決をする仕事 得られた学習が重要な仕事

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分担することが前提になっていないか WBS ガントチャート カンバン スクラム 「分担する=生産性が高い」という思い込み

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Photo by rawpixel on Unsplash Photo by Marvin Meyer on Unsplash 分担作業 モブプログラミング 仕事の質やチームの状況に合わせて 使い分けられる方がチームとして強い

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モブプログラミングは難しい? 一緒に集まって仕事ができないひとたちと、
 なぜ分担をして仕事がうまくいくと思えるのか 複数人が集まってミーティングをすることができるのであれば、
 同じ場面で仕事を進めたほうが効果的な場面は意外と多い ミーティング:分担作業を進めて集まったときに進捗を共有したり情報交換をする モブプログラミング(モブワーク):集まった時間に一緒に仕事を進める

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集まって仕事をする お互いの仕事や責任を理解することで、コミュニケーションや仕事の 受け渡しがやりやすくなる 誰かが不在なときでも問題なくスクラムを進めることができる 分担や分業をするときのコミュニケーションコストが下がる その結果:

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モブプログラミングをもっと知りたい方へ

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スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ 共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに集中する アジャイルコーチを頼る コミュニティでわいわいする

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スプリントレビューに集中する スクラムには5つのイベントがあり、それらを運営していくことで、
 スクラムのサイクルをまわしていく コンテキスト: その状況において: はじめたばかりのチームは新しく覚えることであふれてしまう たくさんの問題が見つかったときに場当たり的に対応をしてしまい、
 全体として質が下がってしまう

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スプリントレビューに集中する すべてのイベントが大切ではあるがスプリントレビューを特に大切にする 「アジャイルコーチに聞く!スクラムイベントで1つだけ観察するとしたら
 どのイベントにしますか?」アンケート第1位(及部調べ) スプリントレビューは妥協しない 完成していないものは提示しない 準備をしてスプリントレビューにのぞむ スクラムチーム全員が参加する 学習につながるフィードバックをもらうために最大限の工夫をする そこで:

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完成していないものを見せるとどうなるか ステークホルダーは完成していると思い込んでしまう 実際には完成していないので見えない負債が溜まる いざリリースしたいときにリリースができずに
 信頼できないスクラムになってしまう

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完成していないものを見せるとどうなるか ステークホルダーは完成していると思い込んでしまう 実際には完成していないので見えない負債が溜まる いざリリースしたいときにリリースができずに
 信頼できないスクラムになってしまう 中途半端なものがたくさんできるくらいなら
 完成したものがいくつか積み重なっている方が圧倒的によい

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デモのやり方を工夫する 一方的に画面を見せながらデモをするやり方以外にも
 いろんな方法がある プロダクトを実際に触ってもらう ターゲットユーザーやそれに近い人に参加してもらい、
 プロダクトをさわってもらう

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スプリントレビューに集中する 確実にインクリメントをしていくことができる チームの実力が正確に把握できる そのうえでスプリントレトロスペクティブなどを行うことで
 本質的な問題を見つけて対応しやすくなる その結果:

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スプリントレビューをもっと知りたい方へ https://www.ryuzee.com/contents/blog/14577

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スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ 共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに集中する アジャイルコーチを頼る コミュニティでわいわいする

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アジャイルコーチを頼る スクラムガイドが公開されているのでスクラムガイドを見ながら
 自分たちでスクラムをはじめることができる コンテキスト: その状況において: 全員が経験がないチームでスクラムをはじめると、
 起きている問題を分析して仕分けするのが難しい チームで気づくことができない問題は認知ができない

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アジャイルコーチを頼る アジャイル開発の経験が豊富なアジャイルコーチを頼る スクラムイベントに同席してもらってフィードバックをもらったり、
 メンバーと1on1をしてもらう そこで:

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アジャイルコーチとは あなたのゴールは、他人から押し付けられるアジャイルの 行動規範に依存するのではなく、自分たちで考えることの できる、生産的なアジャイルチームを育てることです アジャイルコーチング

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アジャイルコーチの選び方 アジャイルコーチがとてもたくさんいる 経験豊富なすばらしいアジャイルコーチもいる 「明日からあなたはアジャイルコーチ!」もいる 価格だけで判断をすると失敗するかもしれない コーチによってスタイルが違う 自分たちにとって必要かつ相性がいいコーチを探す リファラル アウトプットを見る コーチが可能であればサンプルセッションをお願いする

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アジャイルコーチを頼る 自分たちだけでは得られない気づきを与えてくれる 第三者視点でプロダクトやチームに対してフィードバックをもらえる よい情報やよい出会いを提供してもらえる 自分たちの成長が促進される (ただしよいアジャイルコーチに出会えたのであれば!) その結果:

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https://www.ryuzee.com/contents/blog/13126

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スクラムガイドに載っていないスクラムをはじめるコツ 共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに集中する アジャイルコーチを頼る コミュニティでわいわいする

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コミュニティでわいわいする スクラムのサイクルの中でチームメンバーやステークホルダーから
 フィードバックを受けながらチームやプロダクトを少しずつよくしていく コンテキスト: その状況において: 情報をインプットする対象が仕事で関わる人たちに限定されてしまう 客観的に判断するための情報をもっていないので局所最適になってしまう 問題が起きたらそのまま問題として受け取って抱え込んでしまう

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コミュニティでわいわいする 社内外のコミュニティに参加する できれば参加するだけでなく参加者とわいわいする ギャザリングやフェスでは廊下での会話を楽しんでいる 自分が悩んでいることを直接ぶつけてフィードバックをもらう そこで:

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いろんなスクラム関連コミュニティ フェス・ギャザリング コミュニティ RSGT2024 スクフェス福岡 スクフェス新潟 スクフェス大阪 スクフェス三河 スクフェス札幌(ニセコ) 分散アジャイルチーム について考える会 製造業アジャイル勉強会 Scrum Masters Night

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コミュニティでわいわいする チームや仕事の範囲外から情報を得ることができる 問題にぶつかったときに自分やチームの取り得る選択肢が増える 問題の解像度が上がったり、共感をしてもらうことで、
 なんとなく不安だった状態から前向きに問題に向かう気持ちになれる その結果:

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共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに 集中する アジャイルコーチを頼 る コミュニティで わいわいする

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共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに 集中する アジャイルコーチを頼 る コミュニティで わいわいする

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共通言語をつくる 集まって仕事をする スプリントレビューに 集中する アジャイルコーチを頼 る コミュニティで わいわいする いろんな話がつながっていく つながっていくことで学びが深まる

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今一緒に働いているチーム 2023年8月頃からアジャイルコーチングしているチーム チーム開発やスクラムの経験がほとんどないところから

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半年後のチームビルディングふりかえり

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“スクラムがもたらす最終的な結果、 いわば設計目標は、飛躍的に生産性を上げる チームの実現にある”

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スクラムによってうみだされるもの プロダクト(ビジネス) チーム

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「スクラムをはじめる」ではなく「スクラムを続ける」 Photo by Fitsum Admasu on Unsplash

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@TAKAKING22 及部 敬雄 https://agile-monster.com/ よいスクラムの旅を!! 現役のアジャイル開発実践者による アジャイルコーチ 講演、研修、お仕事の依頼などお気軽にどうぞ