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https://job.j-sen.jp/ 1 クリエイター組織のリファクタリング 株式会社リブセンス 海野 拓 2017/07/28 Developers Summit 2017 Summer A-5 「組織と文化のリファクタリング」前編

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https://job.j-sen.jp/ 2 海野 拓 Taku Unno@boscoworks ● 「転職ナビ」運営 ● もともとPHPエンジニア   →エンジニアマネージャ ● 身長: 190cm (よく聞かれる) ● ヤフー→ドワンゴ→リブセンス 自己紹介

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株式会社リブセンス http://www.livesense.co.jp/

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4 リブセンスとは ● 「あたりまえを、発明しよう。」 ○ 求人・不動産・医療等のインターネットメディアを運営 ● プロダクトを自社で開発 ○ エンジニアは本社全社員の40%程度 ○ 一番古い「ジョブセンス」で11年め ○ PHPとRubyが半々くらい ○ オンプレとクラウドも半々くらい

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https://job.j-sen.jp/

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7 転職ナビとは ● 正社員向け転職サービス ○ 成功報酬型ビジネスモデル ○ 幅広い転職者のニーズに応えるべくサイト・電話・アプリ によるサービス提供 ● 旧「ジョブセンスリンク」(〜2017/06/30) ○ サービスを通じてより多くの求職者の転職(=幸せ) をナビゲートし たいという思いを込めてリニューアル

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8 前半 サマリ 組織の特色と課題点 テックリードたちが試したこと 改善を揺るがす一大事 半年の改善の成果は 01 02 03 04

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1. 組織の特色と課題点

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10 組織の特色 (1/2) ● 事業部長が強い発言力と行動力 ○ ビジネス職出身なのに開発を始めるバイタリティ ■ 施策の仕様の決定まで出来る ○ 多岐にわたる事業や施策をすべて把握しきる ■ ガントチャートに対しても積極的に意見出し ■ 全施策の優先度をひとりで管理 ● 事業部全体の施策が常に高速に実施出来た

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11 組織の特色 (2/2) ● 色濃い「越境型組織」 ○ 組織一丸となって大きな目標を追う一枚岩感 ○ 職種はオワコン ■ 営業でもSQLは余裕 ■ 誰でも効果測定や顧客の分析などが出来る ○ 営業からエンジニアに転身したメンバーも存在 ■ ビジネスを理解しているから要件定義が正確で高速

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12 課題点 (1/2) ● 優先度も仕様も事業部長任せにしてしまった ○ 自分で考えずとも何となく成果が出る ○ 議論なく仕様やスケジュールが決まり、振り回される現場 ○ プロダクトに責任感や自分事感を持てない人もいた

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13 課題点 (2/2) ● 越境型組織の副作用に対する対応の遅れ ○ ジョブチェンジ組も多いので教育にもコストがかかる ○ 事業貢献度合で判断する評価によって不公平感がうまれた

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14 結果なにがおきたか プロジェクト遅延が散発 自分事感を持ちづらい 評価の不公平感 エンジニアのモチベーション低下 01 02 03 04

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2. テックリードたちが 試したこと

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16 課題に対するアプローチ プロジェクト遅延が散発 自分事感を持ちづらい 評価の不公平感 エンジニアのモチベ低下 01 02 03 04 意思決定の場を設立 クリエイター組織の再編成 評価の仕方の明文化 エンジニアの育成方針の検討 01 02 03 04 採用活動 05

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17 課題に対するアプローチ プロジェクト遅延が散発 自分事感を持ちづらい 評価の不公平感 エンジニアのモチベ低下 01 02 03 04 意思決定の場を設立 クリエイター組織の再編成 評価の仕方の明文化 エンジニアの育成方針の検討 01 02 03 04 採用活動 05

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18 意思決定の場の設立 ● クリエイター組織の意思決定を  事業部長→テックリード にした ● 事業部長は組織全体の優先度決定のみ ● 情報の流れの整理、意思決定の明確化 ● 現場のクリエイターたちが自主性を取り戻した 01

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19 クリエイター組織の再編成 ● ミッションと目標を明確にしよう ○ 部門を越えて互いが互いを支え合うのは当たり前 ○ 自分たちが何にコミットすべきなのか考えよう ● 事業部長にチームリーダーを兼任させない ○ 自分たちのチームは自分たちで責任を持とう ○ 自分たちでチーム運営をやろう 02

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20 課題に対するアプローチ プロジェクト遅延が散発 自分事感を持ちづらい 評価の不公平感 エンジニアのモチベ低下 01 02 03 04 意思決定の場を設立 クリエイター組織の再編成 評価の仕方の明文化 エンジニアの育成方針の検討 01 02 03 04 採用活動 05

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21 評価の仕方の明文化 ● 「3つの評価軸」「2つの職制」を定めた ○ 評価軸 ■ キャリア: 元々エンジニアか異職種出身か ■ マインド: 技術指向かビジネス指向か ■ 担当業務: 技術寄りかビジネス寄りか ○ 職制 ■ テクノロジースペシャリスト (いわゆる技術者) ■ ビジネスエンジニア (事業課題を技術で解決) ● 課題解決力だけでなく技術力でも評価する 03

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22 エンジニアの育成方針の検討 ● テクノロジースペシャリスト (イメージ通り) ○ 技術力をあげれば評価される ○ 事業貢献すれば評価される ● ビジネスエンジニア ○ ビジネスを加速させれば何でも許されるわけではない ○ エンジニアとしての最低限は絶対目指させる ○ 技術力が向上しなければ評価されにくくなる 04

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23 採用活動 ● 今いる仲間以外に、新しい価値観がほしい ○ さいわい予算はあった ○ いい意味で今の組織をぶっ壊せる風が必要! 05

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24 やりはじめて2,3ヶ月 意思決定の場を設立 クリエイター組織の再編成 評価の仕方の明文化 エンジニアの育成方針の検討 01 02 03 04 採用活動 05 →自主性の兆し →順調 →不公平感緩和 →自律性の兆し →何名か選考

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3. 改善を揺るがす一大事

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26 経営判断で大規模な組織統合 ● 複数の事業部をまたぐ大規模再編 ● (人員)リソース再配分 ● プロジェクト優先度の抜本的見直し要求

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27 改善はどうなる? 意思決定の場を設立 クリエイター組織の再編成 評価の仕方の明文化 エンジニアの育成方針の検討 01 02 03 04 採用活動 05 →白紙 →維持 →中断 →中断 →中止

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28 おりしも「転職ナビ」はリニューアル工事中 ● 組織統合前に解決すべき新たな課題 ● プロジェクトは何を最優先するか ● 人員をどう配置するか

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29 プロジェクトの選択と集中 ● リニューアル成功を全員が信じてやりきる ○ 全ては求職者の転職成功体験のために ○ チームにはプロダクトに対する自分事感が芽生え始めていた ○ だから全員が信じて進むことが出来た 06

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30 リニューアルを中心に人員再編 ● リニューアルに集中できる環境づくり ○ リニューアル以外の施策は、 リニューアル開発メンバー以外がすべて巻き取る 07

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2017/06/30 転職ナビリリース

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4. 半年の改善の成果は

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34 みんながオーナーシップを持つチーム ● クリエイター組織意思決定の場 ○ 現在も継続中 ○ 程よい権限委譲は自分事感・責任感を生む ● 組織の再編成 ○ 当初思っていたようにはならなかった ○ でも、みんなが互いを支え合う一体感・連帯感が強まった

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35 エンジニアのモチベーションを高める ● 評価の仕方 ○ 今までの取り組みは、全社的に評価制度を見直すきっかけに ○ 評価=成長を促すひとつの道具 ● 育成方針の検討 ○ エンジニアとしての最低限は決して変えない ○ リブセンスエンジニアは技術もビジネスも妥協しない

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36 採用活動 ● ベテランエンジニア2名入社  転職して一ヶ月経ったけどどう?  最高です。  個人的に毎日やる気に満ち溢れているし、とても楽しい。  今のチームは個人的にバランスがよくとても心地よい。  (中略)  そんなわけで個人的に数回目の転職でしたが成功していると  思っている。 http://chobi.hatenablog.jp/entry/2017/07/17/095757

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● 会社を成長させるのが「転職ナビ」でありたい ○ 窮地をみんなで乗り越え、やりきった ○ そしてこれからも「転職ナビ」を育てたい ○ 全員が「転職ナビ」のオーナー! 37 強いこだわりと誇りを持つプロダクト

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LivesenseAward社長賞受賞! ● 困難を乗り越え一丸となってやりきった姿勢を評価されました

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きっとこれは、ひとつの成功の形

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40 教訓 ● 「人は城、人は石垣、人は堀」武田信玄 ○ 信頼は積立貯金 ○ 窮地こそ、日頃からの信頼が組織全体を救う ● 「ならぬことは、ならぬものです」会津藩 什の掟 ○ 施策でも人事でも、払う犠牲に目を背けていたら 長期的成果は出ない

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41 大事なのは「自己組織化」 ● 言われたことをただやるだけではない ● 課題が何かを全員が自ら考え行動すること ● 組織全体が勝手に改善していくこと ● やり方はひとつではない ○ 例: 転職会議での事例 ○ http://made.livesense.co.jp/entry/2017/07/12/083000

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ご清聴、 ありがとうございました