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GUNCY’S TECH FORTを支える 音響・映像・ネットワークの設計と実運用 Tomoki SHISHIKURA / @FL1NE [email protected]

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目次 1. 自己紹介 2. なぜこのテーマなのか 3. スタジオで使われるケーブル・機材について 4. スタジオの施工に必要な設備的な考え方 5. 10年先も使える設計のポイント 6. まとめ

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自己紹介

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自己紹介 執行役員 CTO 宍倉 知樹 (シシクラ トモキ) / @FL1NE 専門分野 ITインフラ・アプリケーション開発・音響 /映像設計・データ可視化/HPC等 技術が関わるほぼ全ての事柄が好き 主な経歴 3才でコンピューターと出会い、高校生の頃から OpenGLを用いた3DCGプログラミングな どを独学で学び、関連イベントへの参加や企業でのアルバイト行う 大学卒業後IMAGICAグループの企業でリアルタイム可視化やHPC等に関わる 3DCGのテクニカルアーティストやエンジニアが作品を発表するためのイベント 「SESSIONS」の代表を務めるほかイベントへの登壇なども多く行なっている 経歴詳細: https://tomoki-shishikura.com/profile

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なぜこのテーマなのか

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なんらかのスタジオを持っている OR スタジオ運営している企業にお勤めの方はいますか? モーキャプ・映像撮影・写真撮影・音響・レコーディングスタジオなど

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2F メインスタジオ内 GUNCY’S TECH FORT

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1F サーバールーム ネットワーク部 GUNCY’S TECH FORT

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1F サーバールーム 初期の映像ライン GUNCY’S TECH FORT

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こうなってから直すのはすごく大変です! (場合によっては年単位で時間がかかります & 実際苦戦してます )

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今回覚えて欲しいこと 1. 長い期間でケーブルがカオスにならないようにするためのノウハウ a. 経路確保 b. パッチパネルの活用 c. 未来を見据えた機材選定 2. スタジオ運営に必要な三大要素について a. 映像 b. 音響 c. ネットワーク (有線・無線 ) 3. 設備への投資は人件費削減に繋がること a. 撮影の設営・撤収時間削減 b. メンテ工数の圧縮

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スタジオで使われるケーブルについて

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スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 ● SDI ● HDMI ● DisplayPort 音響 ● XLR ● TRS/TS ● RCA ネットワーク ● 有線LAN ○ LANケーブル ○ 光ファイバー ● 無線LAN (Wi-Fi)

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スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 ● SDI ● HDMI ● DisplayPort 音響 ● XLR ● TRS/TS ● RCA ネットワーク ● 有線LAN ○ LANケーブル ○ 光ファイバー ● 無線LAN (Wi-Fi)

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スタジオで使われるケーブルについて ネットワーク - 有線LAN設備 ● よく使うケーブルは以下の 2種類 ○ LANケーブル (メタル線 / RJ45) ○ 光ファイバー (LC-LCなど) ● LANケーブルはわりと雑に使ったりできるが、 光ファイバーは折れたりしてしまうと 使えなくなる ● LANケーブルよりも光ファイバーの方が ノイズなどが少なく長距離伝達も行けるが コストが高い (SFPモジュールなども必要 ) ● 無線LANもアクセスポイントまでは基本有線 で繋がっている

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スタジオで使われるケーブルについて ネットワーク - 無線LAN設備 (Wi-Fi) ● Wi-Fiにも以下のタイプが存在 ○ 2.4GHz ○ 5GHz ○ 6GHz ● 有線と比べやはり環境の影響を大きく受ける (電波を通すもの通さないもの ) ● チャンネルの最適化や DFS (5GHz)、 帯域幅の設定などによって通信の安定性 がめちゃくちゃ変わる。 ● 早くなるはずの設定にすれば早くなるわけで もないのが難しいところ

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スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 ● SDI ● HDMI ● DisplayPort 音響 ● XLR ● TRS/TS ● RCA ネットワーク ● 有線LAN ○ LANケーブル ○ 光ファイバー ● 無線LAN (Wi-Fi)

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スタジオで使われるケーブルについて 映像分野で使われるケーブルについて ● 現場だと SDIケーブルが主流 (HDMI等で長距離やるとトラブルが多い ) ● 大体HDMI-SDI変換でSDIにして使います ● SDI (同軸ケーブル ) ○ 3G-SDI, 6G-SDI, 12G-SDI ○ 同軸ケーブルなので耐久性に優れてい るが、重量が重い ● HDMIケーブル /DisplayPortケーブル ○ 長尺になると内部がファイバーになった りする ○ SDIより壊れやすいが安い

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スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 ● SDI ● HDMI ● DisplayPort 音響 ● XLR ● TRS/TS ● マルチケーブル ● MADI / ADAT ネットワーク ● 有線LAN ○ LANケーブル ○ 光ファイバー ● 無線LAN (Wi-Fi)

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スタジオで使われるケーブルについて 音響分野で使われるケーブルについて (XLR, TRS/TS) ● 音響はケーブルの種類が多いほかに、 使う本数も映像より圧倒的に多いです ● XLR (キャノン ) ○ バランス接続でノイズ耐性が強い ● TRS / TS ○ フォンケーブルともいわれる ○ TRSは3極になっておりバランス接続が 可能 ● その他 ○ RCA, ステレオミニ , スピコン 等...

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スタジオで使われるケーブルについて 音響 - マルチケーブル / MADI, ADAT ● 音響の場合、同じ経路で複数信号線を通す事 が多いため纏められるマルチケーブルなどが あります。 ● マルチケーブル ○ CANARE マルチケーブル ○ D-Sub (25pin) ● マルチチャンネル伝送規格 (デジタル ) ○ MADI (同軸ケーブル / 光ファイバー ) ○ ADAT (光ファイバー ) ※A/D, D/A変換するのでアナログではなくなる

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スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 ● SDI ● HDMI ● DisplayPort 音響 ● XLR ● TRS/TS ● RCA ネットワーク ● 有線LAN ○ LANケーブル ○ 光ファイバー ● 無線LAN (Wi-Fi)

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スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 (最近のIP化トレンド ) 映像 ● ST2110 ● NDI など 音響 ● Dante ● AVB (IEEE802.1 TSN) など ネットワーク ● 有線LAN ○ LANケーブル ○ 光ファイバー ● 無線LAN (Wi-Fi)

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スタジオで使われるケーブルについて 元々LANケーブル(RJ45)で延長する機材もあった ● LANケーブル (RJ45コネクタ )を導体にしてはいる けど、LAN(ネットワーク )ではない。 ● 電気信号を LANケーブルを使って流してるだけ ● デジタルではないアナログ信号 (ネットワークと混在させると最悪壊れる ) 信号を変化させないので、 LANケーブルの芯線 8本分の電気信号まで送れる。 弊社でもたまに使う CLASSIC PRO CAX412 (INPUTにXLRをさすとOUTPUTのLAN口から出る)

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スタジオで使われるケーブルについて 映像・音響業界で進む Media over IP化 ● 映像や音声などをデジタル変換し、 ネットワークで送る Media over IPが 2010年代後半から進み始めた ● 利点として ○ 既存のLAN ”経路” が使える ○ Primary/Secondaryによる冗長化 ○ 多チャンネルを 1本で送れる ○ ネットワークなので自由に拡張できる などが存在する 現在では Dante, AES67, AVB, Q-Sys, ST2110, NDI, SDVoE などが存在する

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スタジオ内 コントロールルーム スタジオで使われるケーブルについて Dante活用で得られるメリット Dante非使用時 ミキサー Dante使用時 20m超の XLRケーブル達 スタジオ内 コントロールルーム ミキサー Dante I/O 必要最低限の XLRケーブル 長距離・壁越えはLAN ケーブル のみ!

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スタジオ内 コントロールルーム スタジオで使われるケーブルについて Dante活用で得られるメリット Dante非使用時 ミキサー Dante使用時 20m超の XLRケーブル達 スタジオ内 コントロールルーム ミキサー Dante I/O 必要最低限の XLRケーブル 長距離・壁越えはLAN ケーブル のみ! 長いケーブルを引き回さないので 設営もバラシも楽になります!

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Media over IPの普及により 映像・音声分野では 今後ネットワークの知見が必須!

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ただネットワークのノウハウを覚えるには時間がかかる ...

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その場合でも抑えて置くべき勘所

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スタジオ施工に必要な設備的な考え方

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経路的な考え方をする 「モーキャプのカメラを繋ぎたいから LANケーブルを配線します」 ← X 「サーバールームからスタジオへモーキャプ配線があるのでその経路を確保します」 ← O 「天井に設置したスピーカーにはこのケーブルで繋ぎます」 ← X 「天井に設置したスピーカーはここにケーブルを挿せば使えます」 ← O 「プロジェクターにはこの HDMIケーブルで繋いでください、足らなかったら延長してください」 ← X 「プロジェクターはここに HDMIケーブルを挿せば使えます」 ← O

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パッチパネル 簡単に言うと 「前にケーブルを挿すと後ろから出るだけ」 正しく使うと 「建物とセットになるべき ”経路” を固定化できる  超便利アイテム」 パ ッ チ パ ッ チ

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TECH FORTでのパッチパネル活用例

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TECH FORTでのパッチパネル活用例 モーションキャプチャーの撮影で外部の音響さんが入る際などに 「とりあえず、 RJ45[LANケーブル ]であれば任意の場所に出れる」 状態を作っている

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TECH FORTでのパッチパネル活用例 各フロアの分電盤に繋がるので、フロア間に跨る配線も 即結線可能!

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なぜネットワークスイッチ (ハブ)じゃない? ネットワークスイッチは便利だけど 「”ネットワーク ”のものしか配線できない」 つまりLANケーブルで、 XLRケーブルや HDMIを延長す るような機器は繋げない。 (パッチパネルだと電気信号だけなので行ける ) 帯域が不足した場合やネットワークを物理的に 分けたい場合にネットワークスイッチだと満たせない (論理的に分けるだけなので ) DanteやST2110等のMedia over IPは帯域を かなり食うのでネットワークを分けたい場合が多い

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先日まで開催されていた Interop 2025のATEN様ブース USB3.2をLANで延長する機材 (これ導入したい ) UCE33100 こういった機器も事前に経路を作っておけば 建物へ追加工事無しで接続可能

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超便利!マトリックススイッチャー・プロセッサー 映像や音響の分野では Media over IP化前から マトリックススイッチャー・プロセッサー という超便利アイテムがあります 簡単に言うと 「ここに挿してあればソフトウェア上で  経路を任意に変更可能」 となります! SDIマトリックススイッチャー Blackmagic Design Smart Videohub マトリックスプロセッサー YAMAHA MRX7-D

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10年先も使える設計のポイント

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(最悪これだけやれば OK!) 経路確保 [パッチ] ネットワーク・映像・音響それぞれの分野に パッチパネルが存在します 将来少しでも何かをする可能性がある場所には それの経路を確保しておいた方がいいです (サーバールームがある場合はそこに集約 ) 少し大げさくらいが丁度いいです。 (マイク4本繋ぐ場所なら 6本分確保するとか )

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(最悪これだけやれば OK!) 経路確保 [ケーブル配線 ] これは建物立てる前からできるとベストなのですが 各ケーブルが行き来する経路には CD/PF管等で配管を 作っておくと便利です。 それがあると通線ワイヤーっていう工具で 後から通すケーブルはどうにでもなります。 ただ、光ファイバー線とメタル線 (LAN, XLR, SDI等)は必ず 別経路を確保しましょう。

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VICON等のカメラ配線経路について (現状そうなってないので理想のはなし ) TECH FORTの場合、 2Fメインスタジオのカメラを付 け替えたりすることがあるので、 スタジオ内の 4方にサーバールームと繋がる パッチパネルを設置するという計画があります。 こうする事で長いケーブルを抜き差しする事に よって発生する断線リスクの抑制 & 構成変更を容易にできます。 1F サーバールーム 2F メインスタジオ

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まとめ

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今回理解できたであろうこと 1. 長い期間でケーブルがカオスにならないようにするためのノウハウ a. 経路確保 b. パッチパネルの活用 c. 未来を見据えた機材選定 2. スタジオ運営に必要な三大要素について a. 映像 b. 音響 c. ネットワーク (有線・無線 ) 3. 設備への投資は人件費削減に繋がること a. 撮影の設営・撤収時間削減 b. メンテ工数の圧縮

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個人的な意見など 実はそろそろ LANケーブルも帯域的にしんどくなってきた気がします。 実際映像の分野だと光ファイバーが増えてきているので、 IPで流す経路は光ファイバーを中心に考えた方がいいかもです (TECH FORTはそうなってない ) あとLANのCat.6A、ケーブル自作しても性能出ないパターンがあります (ノイズの関係 ) 簡単成端のパッチパネルやコネクタ使った方が楽 & 性能でます (高いけど ) Media over IPやアナログのコンバータ使うなら、 LANケーブルはシールド付きの STPケーブル使った方が いいっす。 (ノイズ載りにくくなるので ) 結局は最初にどれだけちゃんと予算握れるかで未来が変わるので、 予算確保をしっかりしましょう ...

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希望者には TECH FORTのツアーしますので、 懇親会の最初あたりで僕に声をかけてください

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宣伝

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