Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

GUNCY’S TECH FORTを支える「音響」「映像」「ネットワーク」の設計と実運用

GUNCY’S TECH FORTを支える「音響」「映像」「ネットワーク」の設計と実運用

スタジオ運営を行う上で欠かせない「インフラ」、現代では音響や映像分野でのIP化も進み、ますます未来を見越したインフラ構築が難しくなっています。

このプログラムでは今後オフィスやスタジオを構築する方や自社環境の改善を目指す方向けに、知っておかないと後々苦労するインフラ設計と実運用のノウハウについてご紹介します。

キーワード: 無線LAN / ライブ配信 / Media over IP / Unifi / SDI / Dante / ケーブル配線

TA Night イベントページ: https://www.creativevillage.ne.jp/category/event-list/159742/

Avatar for GUNCY'S

GUNCY'S

June 14, 2025
Tweet

More Decks by GUNCY'S

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 自己紹介 執行役員 CTO 宍倉 知樹 (シシクラ トモキ) / @FL1NE 専門分野

    ITインフラ・アプリケーション開発・音響 /映像設計・データ可視化/HPC等 技術が関わるほぼ全ての事柄が好き 主な経歴 3才でコンピューターと出会い、高校生の頃から OpenGLを用いた3DCGプログラミングな どを独学で学び、関連イベントへの参加や企業でのアルバイト行う 大学卒業後IMAGICAグループの企業でリアルタイム可視化やHPC等に関わる 3DCGのテクニカルアーティストやエンジニアが作品を発表するためのイベント 「SESSIONS」の代表を務めるほかイベントへの登壇なども多く行なっている 経歴詳細: https://tomoki-shishikura.com/profile
  2. 今回覚えて欲しいこと 1. 長い期間でケーブルがカオスにならないようにするためのノウハウ a. 経路確保 b. パッチパネルの活用 c. 未来を見据えた機材選定 2.

    スタジオ運営に必要な三大要素について a. 映像 b. 音響 c. ネットワーク (有線・無線 ) 3. 設備への投資は人件費削減に繋がること a. 撮影の設営・撤収時間削減 b. メンテ工数の圧縮
  3. スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 • SDI • HDMI • DisplayPort

    音響 • XLR • TRS/TS • RCA ネットワーク • 有線LAN ◦ LANケーブル ◦ 光ファイバー • 無線LAN (Wi-Fi)
  4. スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 • SDI • HDMI • DisplayPort

    音響 • XLR • TRS/TS • RCA ネットワーク • 有線LAN ◦ LANケーブル ◦ 光ファイバー • 無線LAN (Wi-Fi)
  5. スタジオで使われるケーブルについて ネットワーク - 有線LAN設備 • よく使うケーブルは以下の 2種類 ◦ LANケーブル (メタル線

    / RJ45) ◦ 光ファイバー (LC-LCなど) • LANケーブルはわりと雑に使ったりできるが、 光ファイバーは折れたりしてしまうと 使えなくなる • LANケーブルよりも光ファイバーの方が ノイズなどが少なく長距離伝達も行けるが コストが高い (SFPモジュールなども必要 ) • 無線LANもアクセスポイントまでは基本有線 で繋がっている
  6. スタジオで使われるケーブルについて ネットワーク - 無線LAN設備 (Wi-Fi) • Wi-Fiにも以下のタイプが存在 ◦ 2.4GHz ◦

    5GHz ◦ 6GHz • 有線と比べやはり環境の影響を大きく受ける (電波を通すもの通さないもの ) • チャンネルの最適化や DFS (5GHz)、 帯域幅の設定などによって通信の安定性 がめちゃくちゃ変わる。 • 早くなるはずの設定にすれば早くなるわけで もないのが難しいところ
  7. スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 • SDI • HDMI • DisplayPort

    音響 • XLR • TRS/TS • RCA ネットワーク • 有線LAN ◦ LANケーブル ◦ 光ファイバー • 無線LAN (Wi-Fi)
  8. スタジオで使われるケーブルについて 映像分野で使われるケーブルについて • 現場だと SDIケーブルが主流 (HDMI等で長距離やるとトラブルが多い ) • 大体HDMI-SDI変換でSDIにして使います •

    SDI (同軸ケーブル ) ◦ 3G-SDI, 6G-SDI, 12G-SDI ◦ 同軸ケーブルなので耐久性に優れてい るが、重量が重い • HDMIケーブル /DisplayPortケーブル ◦ 長尺になると内部がファイバーになった りする ◦ SDIより壊れやすいが安い
  9. スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 • SDI • HDMI • DisplayPort

    音響 • XLR • TRS/TS • マルチケーブル • MADI / ADAT ネットワーク • 有線LAN ◦ LANケーブル ◦ 光ファイバー • 無線LAN (Wi-Fi)
  10. スタジオで使われるケーブルについて 音響分野で使われるケーブルについて (XLR, TRS/TS) • 音響はケーブルの種類が多いほかに、 使う本数も映像より圧倒的に多いです • XLR (キャノン

    ) ◦ バランス接続でノイズ耐性が強い • TRS / TS ◦ フォンケーブルともいわれる ◦ TRSは3極になっておりバランス接続が 可能 • その他 ◦ RCA, ステレオミニ , スピコン 等...
  11. スタジオで使われるケーブルについて 音響 - マルチケーブル / MADI, ADAT • 音響の場合、同じ経路で複数信号線を通す事 が多いため纏められるマルチケーブルなどが

    あります。 • マルチケーブル ◦ CANARE マルチケーブル ◦ D-Sub (25pin) • マルチチャンネル伝送規格 (デジタル ) ◦ MADI (同軸ケーブル / 光ファイバー ) ◦ ADAT (光ファイバー ) ※A/D, D/A変換するのでアナログではなくなる
  12. スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 映像 • SDI • HDMI • DisplayPort

    音響 • XLR • TRS/TS • RCA ネットワーク • 有線LAN ◦ LANケーブル ◦ 光ファイバー • 無線LAN (Wi-Fi)
  13. スタジオで使われるケーブルについて スタジオを構成する 3要素 (最近のIP化トレンド ) 映像 • ST2110 • NDI

    など 音響 • Dante • AVB (IEEE802.1 TSN) など ネットワーク • 有線LAN ◦ LANケーブル ◦ 光ファイバー • 無線LAN (Wi-Fi)
  14. スタジオで使われるケーブルについて 元々LANケーブル(RJ45)で延長する機材もあった • LANケーブル (RJ45コネクタ )を導体にしてはいる けど、LAN(ネットワーク )ではない。 • 電気信号を

    LANケーブルを使って流してるだけ • デジタルではないアナログ信号 (ネットワークと混在させると最悪壊れる ) 信号を変化させないので、 LANケーブルの芯線 8本分の電気信号まで送れる。 弊社でもたまに使う CLASSIC PRO CAX412 (INPUTにXLRをさすとOUTPUTのLAN口から出る)
  15. スタジオで使われるケーブルについて 映像・音響業界で進む Media over IP化 • 映像や音声などをデジタル変換し、 ネットワークで送る Media over

    IPが 2010年代後半から進み始めた • 利点として ◦ 既存のLAN ”経路” が使える ◦ Primary/Secondaryによる冗長化 ◦ 多チャンネルを 1本で送れる ◦ ネットワークなので自由に拡張できる などが存在する 現在では Dante, AES67, AVB, Q-Sys, ST2110, NDI, SDVoE などが存在する
  16. スタジオ内 コントロールルーム スタジオで使われるケーブルについて Dante活用で得られるメリット Dante非使用時 ミキサー Dante使用時 20m超の XLRケーブル達 スタジオ内

    コントロールルーム ミキサー Dante I/O 必要最低限の XLRケーブル 長距離・壁越えはLAN ケーブル のみ! 長いケーブルを引き回さないので 設営もバラシも楽になります!
  17. 経路的な考え方をする 「モーキャプのカメラを繋ぎたいから LANケーブルを配線します」 ← X 「サーバールームからスタジオへモーキャプ配線があるのでその経路を確保します」 ← O 「天井に設置したスピーカーにはこのケーブルで繋ぎます」 ←

    X 「天井に設置したスピーカーはここにケーブルを挿せば使えます」 ← O 「プロジェクターにはこの HDMIケーブルで繋いでください、足らなかったら延長してください」 ← X 「プロジェクターはここに HDMIケーブルを挿せば使えます」 ← O
  18. なぜネットワークスイッチ (ハブ)じゃない? ネットワークスイッチは便利だけど 「”ネットワーク ”のものしか配線できない」 つまりLANケーブルで、 XLRケーブルや HDMIを延長す るような機器は繋げない。 (パッチパネルだと電気信号だけなので行ける

    ) 帯域が不足した場合やネットワークを物理的に 分けたい場合にネットワークスイッチだと満たせない (論理的に分けるだけなので ) DanteやST2110等のMedia over IPは帯域を かなり食うのでネットワークを分けたい場合が多い
  19. 今回理解できたであろうこと 1. 長い期間でケーブルがカオスにならないようにするためのノウハウ a. 経路確保 b. パッチパネルの活用 c. 未来を見据えた機材選定 2.

    スタジオ運営に必要な三大要素について a. 映像 b. 音響 c. ネットワーク (有線・無線 ) 3. 設備への投資は人件費削減に繋がること a. 撮影の設営・撤収時間削減 b. メンテ工数の圧縮
  20. 個人的な意見など 実はそろそろ LANケーブルも帯域的にしんどくなってきた気がします。 実際映像の分野だと光ファイバーが増えてきているので、 IPで流す経路は光ファイバーを中心に考えた方がいいかもです (TECH FORTはそうなってない ) あとLANのCat.6A、ケーブル自作しても性能出ないパターンがあります (ノイズの関係

    ) 簡単成端のパッチパネルやコネクタ使った方が楽 & 性能でます (高いけど ) Media over IPやアナログのコンバータ使うなら、 LANケーブルはシールド付きの STPケーブル使った方が いいっす。 (ノイズ載りにくくなるので ) 結局は最初にどれだけちゃんと予算握れるかで未来が変わるので、 予算確保をしっかりしましょう ...