万博非公式マップとFOSS4G
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K.Sakanoshita
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万博非公式マップとFOSS4G 坂ノ下 勝幸 諸国・浪漫 / OpenStreetMap Foundation Japan Code for OSAKA, Harima, Kusatsu/ 淀川アートネット Facebook: K.Sakanoshita X(Twitter): @K_Sakanoshita P.1 本資料で利用している地図: © OpenStreetMap contributors
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P.2 自己紹介 - 坂ノ下 勝幸 ◼ 主な所属コミュニティ・団体 ⚫ OpenStreetMap Foundation Japan ⚫ Wikimedians of Japan User Group ⚫ 諸国・浪漫 / 淀川アートネット ⚫ Code for OSAKAなど ◼ 主な活動内容 ⚫ マッピングパーティの開催および協力 ⚫ ウィキペディアタウンの開催および協力 ⚫ オープンソース/データの活用(アプリ開発など) ◼ 目指していること ⚫ 地元の情報は、自分たちで発信する文化を作る ⚫ 現場こそ最強のツールとデータが使えるように P.2
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P.3 万博マニアックマップ作った! P.3
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P.4 万博に関する様々な地物を探せる P.4 「万博マニアックマップ」で検索!
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P.5 どうして作ったのか ◼ 「万博非公式マップ」で検索すると… ⚫ 自分で作ったと主張しているが、どうみても背景地図は 公式マップをそのままコピーしたもの ✓ 万博非公式マップ(直接リンクしたくないのでGoogle検索してね) ✓ 万博公式マップ https://www.expovisitors.expo2025.or.jp/map ⚫ しかも、「非公式マップ」はかなりたくさんの方たちから 支持を受けて、万博会場内でも、「うちわに印刷」などで たまに見かけるほど普及している 完全なパクリだけど「誰も気付かない」? そもそも、地図は著作物だとは知らない? P.5
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P.6 どうして作ったのか ◼ 結局の所 ⚫ 「自由に使える地図が無い」のが本質的な問題かなと ⚫ OpenStreetMapに万博の情報を充実させる必要があると ⚫ 世界中のマッパーがマッピングした結果、開幕から3日間で かなり充実し、普通の地図として使えるレベルに! ⚫ それと、nyampireさんが 大阪市から許可を得て、 令和6年度航空写真を公開 してくれて助かった! ⚫ 他もパビリオンの写真が Wikimedia Commonsに アップされてきました P.6
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P.7 マッピングのための写真撮影 P.7 自販機ベンダー フェンス 手洗い場 案内地図 便器の数 樹木 ベンチは数えきれ ないので諦めた!
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P.8 スマホで現地マッピングが便利 P.8 ◼ Every Door ⚫ https://every-door.app/ ◼ 便利な所 ⚫ 写真を撮影するモチベーションはあっても、 帰宅後のマッピングは正直難しい ⚫ Every Doorを使えば、GPSで現在地を確認 しつつ、その場で簡単マッピングできる!
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P.9 データは揃ってきたけど ◼ OpenStreetMapの知名度が低い ⚫ オープンデータは充実したが、知名度が低いと知られない ◼ OpenStreetMapの使い方が分からない ⚫ osm.org の標準地図(のレンダリング)は万博向けではない ⚫ そもそも osm.org の標準地図はマッパー向けの地図だしね ⚫ QGISなどでレンダリングするのは高いスキルが求められる データを整備しても活用しないと意味がない 一般の来場者が使える仕組みを提供したいなと P.9
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P.10 そんな訳で作ったのがマニアックマップ P.10 「万博マニアックマップ」で検索!
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P.11 実はこの万博マニアックマップ ◼ ベースシステムは「コミュニティマップメーカー」 ⚫ 2020年から開発し、2021年は「大阪思い出のこしマップ」が 日本経済新聞で紹介して貰っていたり ✓ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0722F0X00C21A5000000/ P.11
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P.12 コミュニティマップメーカーの仕組み ◼ アプリの独自データとOSMのデータを組み合わせることで 「何処に何があるか」を写真を含めて可視化ができる P.12 Wikimedia Commons データベース OpenStreetMap データベース アプリの独自データ 国際的なオープンデータの プラットフォーム(保管先) 地域の方たちが必要な情報だけを 分かりやすく地図表示するアプリ
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P.13 万博マニアックマップの特徴 ◼ ほぼ全てのデータはOSMで作られている ⚫ 国旗はcountoryタグにISO-3166-1(2文字の国コード) ⚫ 会場内敷地はplace=localityタグを付けて背景色を設定 P.13
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P.14 万博マニアックマップの特徴 ◼ 一般人が移動出来ない道路の表現 ⚫ area:highway=service、access=privateとして、塗りつぶす P.14
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P.15 万博マニアックマップの特徴 ◼ 建物の入口を茶色の●で強調表示 ⚫ タグは entrance=main など。highwayも書いて移動の導線可視化 P.15
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P.16 万博マニアックマップの特徴 ◼ 地球儀モードもOSMのcountryタグを活用 ⚫ 国境データはOSMから取得するのは手間が掛かることで Natural Earthを加工して、北方領土を日本領として加工 ⚫ 訪問済みフラグを立てると緑色になるので、パビリオンを 完走すると、かなりの地域が緑色になる P.16
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P.17 万博マニアックマップの特徴 ◼ 2階以上にある施設(トイレや店舗)は浮かばせる ⚫ こちらもOSMのlevelタグを読み取って表示 P.17 2階以上は浮いている 1階は普通に表示
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P.18 コミュニティマップメーカーの事例 P.18
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P.19 遊具のある公園マップ ◼ 公園内の遊具を地図で調べるためのアプリ ⚫ 親が子供を連れて公園に遊びに行く際、どういった遊具があるのか、 子供の希望に沿った公園を選び、楽しく遊ぼうという趣旨で開発 P.19 Wikimedia Commonsに遊具の写真を掲載して OpenStreetMapで閲覧/検索することが出来る 近所の公園情報を調べるだけでなく、地域の 写真を将来に残して行くことにもつながる
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P.20 大阪思い出のこしマップ ◼ 図書館が「地域の思い出」を集めてレファレンスした結果を 補足説明した上で、オープンデータとして将来に残す活動 ⚫ 図書館が得意なことと、地域情報がリンクしていく ◼ 大阪思い出のこしマップは、場所を示しながら読むアプリ ⚫ 例えば、「旭区」の場所を即答できる人はそんなに居ない P.20 施設のOSMにWikipediaタグがあればCommonsから画像を表示する
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P.21 十三アートフェスマップ ◼ 大阪「十三周辺のアートイベント」マップ ⚫ たくさんの店舗や施設が関わって、様々な作品が提示されていた ⚫ 参加者がスマホで近くの施設を調べらアプリとして活用していた P.21
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P.22 新大阪・三国アートフェスマップ ◼ 新大阪・三国で開催されるアートフェスマップ ⚫ OpenStreetMapへの施設情報の登録も地域の方が担当される ✓ 登録した施設は様々なアプリやサービスに展開される副次効果もある P.22
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P.23 新大阪・三国お立ち寄りマップ2025年度版 ◼ 万博マニアックマップの最新コードを元に開発 ⚫ PC横画面モードでサイドバー表示が出来る。新大阪・三国の おすすめ店舗を紹介する、地元の方たちと一緒に作った地図 P.23 https://armd-02.github.io/ShinHigaOtachi2025/
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P.24 データが整備された結果 P.24
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P.25 データが整備された結果 ◼ 大阪万博 yumeの猫さんの万博非公式マップ ⚫ 万博マニアックマップのfork版。待ち時間表示機能が売り P.25 他の方もOpenStreetMapを使った 様々なマップを開発されています ※他の地図はブックマークを取ってなかった ので紹介出来ません。すみません。
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P.26 データが整備された結果 P.26 ◼ 個人的なおすすめ ⚫ 「Organic Maps」は、オープンソースで 開発されているオフラインマップ ⚫ 万博会場内の徒歩ナビゲーションが出来る ⚫ オフラインなので電波が無くても完全動作 ⚫ 無駄な宣伝や写真も無くて使い勝手が良い https://organicmaps.app/
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P.27 まとめ P.27
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P.28 データ整備とアプリ開発の両輪が大事 ◼ 非公式マップから始まった問題の本質 ⚫ 「オープンデータ」が不足している状況を解消させる ⚫ OpenStreetMapやWikimedia Commonsなどの充実が大事 ◼ データを整備しても使われないと意味がない ⚫ 一般の方が気軽に使えるWebアプリを開発して提供する ⚫ オープンデータなことは免罪符とはならない、一般の方が 使えるレベルのデータとアプリの完成度が必要となる ◼ 万博マニアックマップを開発(コミュニティマップメーカー) ⚫ 一般の方でも気軽に使える完成度(のつもり) ⚫ 万博ボランティアの方も案内に使われていたり P.28
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P.29 最後に ◼ 万博は半年で終わるお祭り ⚫ 半年後にはパビリオンは営業を終了し、一年もしたら建物も 大半が解体されたり、別の場所へ移設される運命 ◼ 今のうちにしっかり記録して将来に伝えたい ⚫ 今は情報があふれているけど、何十年後にも残るのは少ない ⚫ 万博協会やマスコミ、研究者はデータを持っている可能性は ありますが、幅広い検証や活用にオープンデータは有用 ◼ でも、記録するだけでは面白くない ⚫ 今を生きている私たちも、データを使って遊んでいきたい ⚫ その仕組みをFOSS4Gとして作れたら良いなと思います P.29