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NARO 「地図とか路線図とか」 出版記念イベント 2023年12⽉6⽇ 「歴史的農業環境閲覧システム」と 「迅速測図」について 農研機構農業環境研究部⾨ 岩崎亘典

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1 • ⾃⼰紹介 • 迅速測図とは • 迅速測図の概要 • 迅速測図を使った研究 • 歴史的農業環境閲覧システム • 開発の経緯 • 各種コンテンツ • 利⽤事例 • まとめ 本⽇の発表内容 第一軍管区地方2万分1迅速測図原図(農研機構) - 概要 (arcgis.com)

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2 • 岩崎亘典 a.k.a @wata909 • OSGeo.JP • Open Science • 歴史的農業環境閲覧システム ⾃⼰紹介

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3 • 「迅速測図」とは • 明治時代初期に⾏われた簡便な測量法 と、その成果の地図 • 第⼀軍管地⽅⼆万分⼀迅速測圖原圖 • 関東地⽅を対象としたもの • 今回はこれを「迅速測図」とします • フランス式と呼ばれ、彩⾊されている • 図郭外に、視図と呼ばれるスケッチ、道 路や河川の断⾯図がある場合も 迅速測図と歴史的農業環境閲覧システム

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4 • 当時の景観が描かれている場合もある 彩⾊されている

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5 • 軍事⽤の地図なので、⾒通し、通⾏可能性等が重要視される ⼟地利⽤に関する詳細な情報

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6 • 明治時代から現在の⼟地利⽤変化 • ベクトルデータとして整備 • 利⽤上の制限 • ⾼い!(120万円!) • 発⾏も限定160部 • 位置情報が無い! • ⼀枚⼀枚幾何補整が必要 • デジタル化されてなかった • 活⽤が進んでなかった • 研究だけでなく、⼀般にも 迅速測図を⽤いた研究 迅速測図を⽤いた明治期の⼟地利⽤の復元 紙地図に付された緯度経度情報

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7 • でかい、おもい、たかい! 実際の販売されていたもの

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ここからは FOSS4G 2008 Tokyoの スライドでお楽しみいただきます

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迅速測図が見られる歴史的農業環境閲覧システム! FOSS4Gを利用した地図閲覧サービスの構築例 (独)農業環境技術研究所 岩崎亘典

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そもそも,何でこんなことを始めたのか? § それは去年のとある11月ぐらいのある日のこと。 § 某学会の発表エントリーの締切が近づいてきていた § さて,今度はどんな発表をしようかと。

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そーいえば,こんなことをやったな § 所の一般公開向けに「迅速測図」を数 枚つなげて,衛星画像と比較した。 § 結構,まともな位置精度が出てたから, いけるんちゃうか? ú 細かい方法は後述。

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いっそのこと § やるなら全部だよな。 ú 誰もやってないからやったもん勝ち! でも,全部で大体900枚ぐらい。結構大変? ついでといっては何だが § これって,公開したらおもしろくな い? ú むしろ公開しないと話題にならないよね。 ú つか,公開すると,俺が楽しい。 § 追記:一応オープンデータの先駆け

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とはいうものの。 § 正直に言うと,思いつきで始めた。 ú ノリと勢いだけ,ともいう。 § ぶっちゃけ,予算はありませんw じゃあ,どうやって公開しよう? § そうだ,FOSS4Gがあるじゃないか! § ということで,現在に至る

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まずはデータの作成 § しんどいところ。 ú 位置座標がない ú 目視による位置の確認とGCPの付与 かなりしんどい。 900枚やるのは,3月までには無理かも。 というかイヤ。 § 迅速な作業を! ú 「迅速測図」だけに,迅速な作業が肝要w ú 相対的な位置関係に基づき座標を付与

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位置情報を与える § 同じ場所を探して,座標値を与える ú 一つの図で最低4点。単純計算だと900*4=3,600点 × ×

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相対的な位置関係って? § それぞれの測量範囲は原点(皇居富士見櫓) から東西4km,南北5km。

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ローカル座標系 § なので,こんな図を作って あげれば誰でも簡単に位置 座標を付与できる。 ú 実際,パートさんに作業をし てもらった。 !"# !"" !"! !$# !$" !$! %&"'()* %)'()* %"'()* %+'()* %,!'()* %,#'()* %!)'()* !"- !"$ !"( !$- !$$ !$( %&"'!$* %)'!$* %"'!$* %+'!$* %,!'!$* %,#'!$* %!)'!$* !(+ !(# !(" !(! !() !!+ %&"'!)* %)'!)* %"'!)* %+'!)* %,!'!)* %,#'!)* %!)'!)* !(. !(- !($ !(( !(, !!. %&"',$* %)',$* %"',$* %+',$* %,!',$* %,#',$* %!)',$* ),$ ),( ),, !!" !!! !!) %&"',)* %)',)* %"',)* %+',)* %,!',)* %,#',)* %!)',)* ),# )," ),! !!$ !!( !!, %&"'$* %)'$* %"'$* %+'$* %,!'$* %,#'$* %!)'$* ))# ))( )), !,$ !,( !,, %&"')* %)')* %"')* %+')* %,!')* %,#')* %!)')* ))- ))" ))! !,# !," !,!

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そのあとに § この座標値に基づき,モザイクの実行 § モザイクしたものにGCPを与えて幾何補正 § 一枚に合成した画像のできあがり

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サーバーについて § GeoServerを使用。 ú インストールが簡単。Warファイルで配布されて いるので,Tomcatが動けば動いてくれる。 ú ファイルの登録が簡単 ú 追記:現在はGDAL2Tiles等を用いた静的サイト

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インターフェイス § 基本はWebベース ú 対象が「普通の人」 「プラグインが必要」とかはダメ。 Google Earthも難しかろう。 § でも,Google Earthでも見られるように ú GeoServerはKMLも出力するし と,この時点では思っていた(汗

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Webでの表示 § 表示はOpenLayersを使用 ú 現在の位置と比較するために道路や水涯線を入れた。 ú 土地利用との比較を行うために国土数値情報から土地利用図を 作製 外部サービスには出来るだけ依存しない方向で ­ つか,スキル的にもきついものが(汗

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それともう一つ § サービスは軽さが命 ú 重たいサービスは嫌われる ú つか,使ってもらえない。 某○○○○の教訓 § GeoWebCacheを使用 ú GeoServerと同じく,warファイルで配布され ているので,Tomcatが動けば動く

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結果としてこんな感じ § これが,初期 の画面。 § 4/16にプレス リリース § Google Earth を売りにする 予定はなかっ た。

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が,しかし!! § 120年前の関東地図をネット公開 Google Earthで里山の変化実感も - ITmedia News ­ http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/17/news037.html

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「はてぶ」やら何やらを見ると § Google Earthで軽快に動かないとアレゲな感じ(汗

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ということで追加作業 § Google Earthで軽快に動くように ú GDAL2Tilesを使用 ú ラスター画像からKMLファイルを生成 § 一般公開やら何やらをしながら,作業。 ú なんとか,21日までには間に合った,と(汗 ú 追記:2007年4月21日公開 前日に、タイルを一生懸命コピーしてた(汗

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27 • 名前がダサくてすみません・・・ • 仕事上「農業」を⼊れる必要があっ て(汗 • FOSS4Gを⽤いて構築 • 地図タイルを使った静的サイト • ⼟地利⽤DBは、Githubを使⽤ • オープンデータとして公開 • スキャンは「著作物」ではない • マージしたことで「著作物」 • 個⼈的にはPDでいいんだけど・・・ • ライセンスはCC BY 2.1 ⽇本 • 参謀本部陸軍部測量局 • 陸地測量標条例以前、測量法対象外 • CC BY 4.0 にしないと・・・ 歴史的農業環境閲覧システムについて

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28 • コンテンツ • 「第⼀軍管区地⽅2万分1迅速測 図原図」、「五千分⼀東京図測 量原図」画像データ • 閲覧表⽰、⽐較表⽰、KML形式 • 視図、断⾯図データ • KML形式 • 100mグリッド⼟地利⽤DB • 3次メッシュGeoJSONファイル 歴史的農業環境閲覧システムについて

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29 • https://boiledorange73.sakura.ne.jp/ データも公開していただいてます。

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30 • 「地図」としての迅速測図の利⽤ • 研究、防災、趣味、町づくり、学習、教育、 etc… ご活⽤いただいてます

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31 • 「データ」としての迅速測図の利⽤ • 今昔地図、ひなたGIS、スーパー地形図、東京古い地図2020 etc… ご活⽤いただいてます

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32 • もちろんみんな大好き「れきちず」でも参考いただいてます! ご活⽤いただいてます

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まとめ。 というか,やってみて感じたこと § その気になれば,何とかなる。 ú 経験一年未満でも,なんとか見るに堪えるものが出来る。 作り込むには,もっと鍛錬が必要ですが § ネタが良ければ,話題になる ú 眠ってるデータ,ありませんか? ú 公開すると,新しい価値が出てくるのでは? ぼちぼちと,使って下さる方もいらっしゃいます。 ­ 農業とあんまり関係ないところの人の方が,興味を持っていたりもしますが(汗 § 追記:ちょー色々な人に使っていただいてます!!多謝!!! ú 公開による予想外の成果!! 今日のイベントもそうです。

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最後に ~スラッシュドット・ジャパンのコメントへの返礼 § 一番嬉しいほめ言葉です。 ありがとうございますm(_ _)m ú ただ,要求仕様とか,設計・実装とか,そんな大それたことはやって ません。ほとんど家内制手工業レベルw それから,まともにGoogle Earthで見られるようになったのは,このコメン ト書かれている最中ぐらいですが(汗