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日本グライダークラブ 山木 宏 日常整備に役立つ雑学 Japan Soaring Club

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1975 19 H-23Cにてフライト開始 1977 21 Estrella遠征、Ka-8購入 自家用操縦士 1979 教育証明、三等航空整備士 1980 Narromine遠征 航空級無線通信士 1985 29 ASW-20L 2001 45 Nimbus-4DM 2003 整備士(動滑)限定変更 2004 48 Duo Discus-T 2008 耐空検査員 2009 53 Super Dimona 2013 57 Arcus-T 2015 59 Arcus-M 年間のフライト 約 30回、30時間 私の経歴 Japan Soaring Club

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趣味 ・組織管理ではない:基本的には一人で考え、実行 ・自己チェックしかない:整備作業に対する全責任を負う ・時間的に余裕あり:運行優先となることは少ない 機体品質 (メーカ年商:~20億円?) ・小企業の手作り品:機体は長い歴史があるが、エンジン関連は試作品 ・マニュアルは十分な内容? グライダー整備の特徴 Japan Soaring Club

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・構造や機構などを広く理解した整備方針 ドイツ:職人文化で一般常識を有することが前提 ・機体やパーツ、作業に関する原理、機構の正しい理解 あるべき最良の姿を考えられるとベスト 逆の言葉:「これまで使っていて問題ないから」「いずれ・・」 ・確実な作業と自己エラー・マネジメント 間違えない、最悪のストーリーの想定と対策 ・正しい基本作業習慣 環境作り:集中できる、よく見える・・ 作業中の整理整頓、取り外し部品の分別袋 ベストな工具の選定と使用 ・落ち着いて、楽しく整備作業に向き合える姿勢 (趣味ですから) 整備に必要と思われる事項 Japan Soaring Club

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最近の航空法改正 航空法16条 航空機の使用者による整備・改造の実施義務 ・耐空証明のある航空機の使用者は、整備をすることにより、耐空性審査要領に適合する ように維持しなければならない。 ⇒ 詳細はサーキュラー 1-501 サーキュラー 1-501 使用者が実施すべき整備・改造、耐空証明検査に向けた準備等の基準 ・対象:滑空機などの自家用機 ・基本的な考え方を示したもので、詳細は各サーキュラー参照 予備品証明制度の廃止 6月18日以降 すべての装備品に対して「基準適合証」が必要 ・装備品購入時、修理時は「EASA Form-1」が必要 JIS規格品などは別 ・高度計の24か月ごとの点検は、保守作業で「基準適合証」は不要 ・VHF無線機の定期点検についても、保守作業で「基準適合証」は不要 ・修理改造検査による装備品の交換は不可 Japan Soaring Club サーキュラー、TCDの入手:https://www.asims.mlit.go.jp/

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機体の組立、点検と分解 1. 結合部の清掃、点検 2. 組立:自由度を減らす作業 Wing Stand、Riggerの活用 すきま、マーキングの活用 3. 組立後点検:操縦席、外部 (ゆがみ、凹み) 動翼のガタと結合、たたき? 4. 分解:エンジン機は使用後の点検も重要 点検 ・いつも決めた方向(左回り)と手順 ・途切れたら、確実に確認したところから Japan Soaring Club 出典 Discus2 Flight Manual

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パーツ類の知識 -1 1. グリース ・適切な塗布量、混ぜない 基礎知識 www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/grease/category/ ・ウレア系の活用 和光ケミカル www.wako-chemical.co.jp/ など ・防錆油:別途準備がベター 2. 粘着テープ ・粘着剤に使用するゴム:ゴム系、アクリル系、シリコーン系・・ ・塩ビテープ:短期使用の翼根シール のみ ・長期使用:非塩ビ、アクリル粘着 (例:3M ビニール補修用) ・すべり用:テフロン ⇒ 超高分子量ポリエチレン ・粘着剤剥がし :リモネンなど (溶剤は粘着剤が溶けて剥がしにくい) *溶剤スプレー:速乾よりも中速乾の方が洗浄力が大きい Japan Soaring Club

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3. バッテリ:リン酸鉄リチウムバッテリ (LiFePO4) www.chikuden-sys.com/ など 鉛との比較 ・軽い ・自己放電が少なく長寿命 ・使用時の電圧降下が少なく実質容量が大きい ・リチウム系の中では安全 + 保護回路付き 4. 配線 www.aircraftspruce.com/ など ・配線:テフロン被服 AWG 18(1.0Φ):14-18A、22(0.65Φ):8-10A 各色あり 塩ビ被服配線:耐熱性低く、燃える ・ブレーカの活用 特に各バッテリ Japan Soaring Club パーツ類の知識 -2 出典 http://shop.fusion-boats.com/?pid=139302966 E-T-A社製483

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5. 計器配管 軟質塩ビ配管:古くなると、動いただけでシールは? ・固定配管:硬質ナイロン、ウレタンチューブ (エア配管継ぎ手:Oリング付き、軟質はインナスリーブ) ・計器付近:シリコーンゴム配管 (5/9mmなど) シリコーンゴム:クリープが少ない ⇒ 漏れない、折れない ・再接続時は、半ピッチ切断 ・動圧系統は漏れると・・ *漏れテスト (サーキュラー 3-010) ⇒ 漏れない配管システム Japan Soaring Club パーツ類の知識 -3 出典 https://www.silicone.jp/catalog/pdf/rubber_j.pdf 出典 https://www.pisco.co.jp/media/book/book_a01

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6. 高度計 ・Winter製は低精度の規格 機械式は摩擦による誤差大 ・参照予備計器:電気式高度計 (高精度、初期調整ミス防止)、GPS高度 Japan Soaring Club 試験高度 Winter United エンコーダ 電気式 エンコーダ 実力 0 ±45 ±20 ±75 0 2000 ±45 ±30 ±75 0 4000 ±90 ±35 ±75 +5 8000 ±120 ±60 ±75 +10 10000 - ±80 ±75 +15 12000 ±180 ±90 ±75 - 20000 ±300 ±130 ±75 +30 パーツ類の知識 -4 Cambridge 302の校正実績

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7. TEプローブ: 円管まわりの圧力:静圧 - 動圧 ・すべり特性 ・前方汚れ (掃除が大切) ・シールリングのチェック www.esa-systems.com/en/products/ Japan Soaring Club パーツ類の知識 -5 出典 http://fkojima.web.fc2.com/incompressible_fluid10.pdf

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8. タイヤ圧力 ・規定圧 +0.3 -0.2 barを目安 ・高い方が耐荷重UP (許容圧内) ・古くなったら交換 (安い)、チューブも交換 ・N2は? O2のガス透過性は少し大きい ・ホイールは分割式:エア抜き後に分解 ホイールとタイヤにスリップマーク ・エクステンションは機体に搭載 9. ブレーキ ・DOT4などのブレーキオイル(吸水性)は定期的に交換 ・TOSTのレトロフィット部品で最新モデルに変更 Japan Soaring Club パーツ類の知識 -6 TOST油圧ブレーキ

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基本整備作業-1 ・確実な作業と自己エラー・マネジメント 間違えない:最悪のストーリーの想定と対策 ・正しい基本作業習慣 環境作り:集中できる、よく見える・・ 作業中の整理整頓:各作業ごとに工具戻し、取り外し部品の分別保管 工具:ベストの選定と正しい使用 工具は手先と同じ ベストのもの/一流品は何かを知っておくことが必要 ・整然とした配管と配線 ⇒ 異常の早期発見へ *整備士資格受験 ・推奨:運航整備士 ⇒ 整備士 ・資格の取得に必要な勉強と、実用的な知識には大きな違い Japan Soaring Club

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基本整備知識 -2 1. ボルト締結 ・強度区分表示 8.8以上が必須 ・適切なトルク ⇒ ゆるみ止め 代表的なトルク M6:10 Nm、M8:20 Nm ・セルフロックナット:繰り返し使用可能 (要確認) ・ロックタイト:金属+酸素なし で硬化 呼び 1回目ねじ込みmax. 金属 / 非金属 1回目戻しmin. 5回目戻しmin. M5-0.8 1.6 / 0.8 0.29 0.2 M6-1.0 3.0 / 1.5 0.45 0.3 M8-1.25 6.0 / 3.0 0.85 0.6 M10-1.5 10.5 / 5.3 1.5 1.0 M12-1.75 15.5 / 7.8 2.3 1.6 セルフロックナットの規格 強度区分8.8 JIS B1056:2011 トルク Nm M6 セルフロックナットの繰り返し性能 Japan Soaring Club 出典 東日トルクハンドブック 出典 西精工 NEWナイロンナット

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基本整備作業 -3 2. 外装 (キャノピ含む) いつもきれいに ・こまめに削って磨く: ポリッシャのパッドと研磨剤の組み合わせ 低反発ウレタン+目消し、ソフトスポンジ+艶出し ・ゲルコートクラック:削り ⇒ PU塗料 で長持ち ・塗料:自動車用ウレタン塗料 例:関ペ レタンPGエコ、日ペ マイティラック ・サンドペーパー:一流品を惜しげなく使う Kovax、Sia、3M 塗料とサンドペーパーはいつも最新モデル Japan Soaring Club 400番にてサンディング後

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基本整備作業 -3 2. 外装 ・動翼シール 機体メーカは5年程度で貼り替えを推奨 https://wingsandwheels.com/tapes-seals.html 一番外側の薄いテープ:ゴム系粘着剤のため短寿命 ⇒ 張り替え用を用意 TESA® PVC Safety Tape 0.065 mm Japan Soaring Club 出典 https://wingsandwheels.com/tapes-seals/mylar-gap-seal.html

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軽微な保守 有資格整備士の確認を必要としない作業 サーキュラー3-001 特別な知識・経験を必要とせずに実施できる作業 = 軽微な保守作業 原則:相当の経験、知識及び技能を有する作業者、 操縦技能証明を有し、かつ、整備に係る教育訓練を受けたパイロット or 有資格整備士の指導の下にある作業者により行われること a. 簡単な保守予防作業であって緊度、間げき、隙の調整及び複雑な結合作用を伴わない 正規部品の交換、給排油等 (正規部品:パーツカタログに記載) 無資格でできる整備 サーキュラー、TCDの入手:https://www.asims.mlit.go.jp/ 保守 耐空性等を維持するために必要な作業。原則として、運用限界の範囲内で航空機を使用 した場合に、通常必要となる作業(必要な点検及び検査を含む。) Japan Soaring Club