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Azure Stack Hub を 導入して分かった10のこと

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自己紹介 松本雄介 • 三井情報株式会社 • Azure と Azure Stack Hub を担当 • Azure Stack Hub を自社に導入して、約2年間運用中 • 改善要望を Microsoft 本社の開発チームにフィードバック • Microsoft MVP for Microsoft Azure(2019/05~)

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自己紹介 Azure Stack Integrated system の情報を発信中 • 個人ブログ(aimless.jp) • Azure Stack Advent Calendar 2018 • なれる!Azure Stack Operator • Azure Stack Integrated systems を検討・導入する際のポイント

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本日のセッションの目的 提案と導入、運用の経験に基づいた「リアルな情報」を共有する 1. Azure Stack Hub を使ってみて「良い!」と思ったポイント 2. Azure Stack Hub を検討する際のポイント 3. Azure Stack Hub を運用する際のポイント

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本日のセッションのゴール 1. 「自分の組織に Azure Stack Hub を導入するとしたら?」を具体 的に考えられるようになる

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本日のセッションのゴール 1. 「自分の組織に Azure Stack Hub を導入するとしたら?」を具体 的に考えられるようになる 2. Azure Stack Hub の導入費用を来期の予算に計上する

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お断り • 本セッションは、Azure Stack Hub に詳しいエンジニア個人の意見 を述べたものです • 所属会社の意見を代表するものではありません

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「良い!」と思ったポイント 地味なものを含む

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1.セルフサービスかつオンデマンド セルフサービスは良い • Azure と同じ「セルフサービスかつオンデマンド」な仕組みを標準装備 • オンプレミスでも「早く初めて、早く失敗する」を実践できる • “速さこそ有能なのが文化の基本法則” • 「Excel 申請書を提出すると、1週間後に管理者から仮想マシンが提供さ れる」文化は機会損失

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2.Azure と使い勝手が同じ オンプレミスとパブリッククラウドで一石二鳥を狙う • パブリッククラウドのエンジニアが、オンプレミスにも対応できる • オンプレミスでの経験をパブリッククラウドに生かせる パブリック Azure オンプレミス Azure Stack Hub

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3.仮想基盤ではなく IaaS 便利な機能がサービスとして標準で組み込まれている • Network Security Group:仮想マシン単位のファイアウォール • Load Balancer:シンプルな負荷分散装置 • Table Storage:No SQL データストア • Blob Storage:オブジェクトストレージ

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4.自動化しやすい Azure と一貫性のある API がもたらす自動化 • Azure Stack Hub は Azure と一貫性のある API を標準装備 • オンプレミスで Infrastructure as code を簡単に実践できる • ARM テンプレート • PowerShell • Ansible • Terraform • AKS engine

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5.「手元にある」という漠然とした安心感 設定を間違えても外部から攻撃を受けにくい • すべての人がパブリッククラウドを必ず正しく設定できるのか? • ファイアウォールや権限の設定を間違えると、知らないうちに外部の悪 意あるユーザから攻撃を受ける・・ • パブリッククラウドに慣れていない人の第一歩に最適

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6.Windows Server のライセンスが明瞭会計 オンプレだけど従量課金 • ¥5.152/vCPU/時間の従量課金で Windows Server を使える • 小難しいライセンスを気にせず Windows Server を使えるのは便利 • Azure と同様、CAL を気にする必要もなし

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まとめ Azure Stack Hub を使ってみて「良い!」と思ったポイント 1. セルフサービスかつオンデマンド 2. Azure と使い勝手が同じ 3. 仮想基盤ではなく IaaS 4. 自動化しやすい 5. 「クラウドだけど手元にある」という漠然とした安心感 6. Windows Server のライセンスが明瞭会計

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検討時のポイント

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Azure Stack Hub の機能だけでなく Azure Stack Hub を使う組織の文化にも目を向ける

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検討時のポイント:パブリッククラウドという文化との適合率 従来の仮想基盤とパブリッククラウドの間には「断絶」がある • 単なる基盤の入替ではなく、パブリッククラウドという文化圏への移行 • 従来の仮想基盤の実装・考え方をそのまま引っ越せない可能性がある Microsoft Azure Microsoft Azure Stack Hub Hyper-V パブリッククラウド文化圏 仮想基盤文化圏 道が無い!?

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検討時のポイント:パブリッククラウドという文化との適合率 Azure Stack Hub を使いこなせるかはクラウドとの適合率次第 • 適合 = パブリッククラウドの特徴をポジティブ・ネガティブのどちら で捉えるか • パブリッククラウドの特徴の例 • 新しいサービスがリリースされ続ける • サービスが改善されつづける • サービスの仕様が明確

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検討時のポイント:パブリッククラウドという文化との適合率 Azure Stack Hub を使いこなせるかはクラウドとの適合率次第 • 適合 = パブリッククラウドの特徴をポジティブ・ネガティブのどちら で捉えるか ポジティブ ネガティブ 新しいサービスがリリースされ続ける 便利なサービスを増やしてくれる 新しいことを学び続けなければならない サービスが改善され続ける プロバイダが勝手に改善してくれる プロバイダの都合で変化を求められる サービスの仕様が明確 検討事項が少なくて済む サービス仕様にあわせなければならない

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検討時のポイント:パブリッククラウドという文化との適合率 Azure Stack Hub を使いこなせるかはクラウドとの適合率次第 • 「オンプレでもパブリッククラウドしたい!」と思ったら、今すぐ買う • ポジティブでもネガティブでもない中立の場合、落ち着いて買う • 猛烈にネガティブな印象を持った場合、踏みとどまる or 覚悟を決める

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適切な費用を算出するために Azure Stack Hub の周辺にも目を向ける

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検討時のポイント:基盤からインターネットへのアクセス Azure Stack Hub の前提条件を踏まえ、セキュリティ担当と調整 1. Web プロキシを利用できない 2. ワイルドカードな FQDN にアクセスする 3. HTTPS 通信に対する SSL Interception(SSL 複号化)は不可

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検討時のポイント:基盤からインターネットへのアクセス 前提条件と組織の環境を踏まえて、適切な構成・設定を検討する パターン Firewall 透過プロキシ 既存プロキシ連携 構成 通信経路 ダイレクト 透過 Proxy 経由 多段 Proxy 経由 インターネット Firewall インターネット Firewall 透過 Proxy インターネット Firewall Web Proxy 透過 Proxy

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検討時のポイント:仮想マシンとの通信方法 仮想マシンと直接通信したい場合、VPN 接続+ルーティングが必須 • 同じネットワークなのに VPN しなければならない • Azure Stack Hub 内に VLAN を引き込むのは無理 Azure Stack Public VIPs Virtual Network On-premise 認証・運用監視 クライアント Dst Nexthop 0.0.0.0/0 VPN GW VPN GW VPN 装置

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検討時のポイント:仮想マシンとの通信方法 仮想マシンと直接通信したい場合、VPN 接続+ルーティングが必須 • 高帯域が必要な場合は、IaaS に仮想アプライアンスを立てる • 仮想アプライアンスによってはライセンスが必要 Azure Stack Public VIPs Virtual Network Dst Nexthop 0.0.0.0/0 NVA NVA On-premise 認証・運用監視 クライアント VPN 装置

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検討時のポイント:仮想マシンとの通信方法 なんでも VPN 経由にしない。パブリッククラウドなデザインにする Azure Stack Public VIPs Virtual Network Dst Nexthop 0.0.0.0/0 Internet 認証・運用監視 VPN GW VPN GW On-premise 認証・運用監視 クライアント VPN 装置

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検討時のポイント:仮想マシンのバックアップ 良質なバックアップには、エージェントベースのバックアップが必須 • Azure VM Backup(定期的にスナップショットを取る)が未実装 • 稼働中の仮想マシンに対するスナップショットが未サポート

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検討時のポイント:仮想マシンのバックアップ 良質なバックアップには、エージェントベースのバックアップが必須 • 使い慣れたバックアップソリューションを採用する • 将来に備えて、Azure Stack Hub のスナップショットを自動取得できる ソリューションを検討する

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Azure Stack Hub は同じではない

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検討時のポイント:運用しやすい OEM ベンダを使う ハードウェア周りの運用方法は OEM ベンダごとに違う • Azure Stack Hub のソフトウェア部分はどの OEM ベンダでも一緒。 • ソフトウェア部分の運用はとてもシンプル • Azure Stack Hub はハードウェア部分は OEM ベンダごとに異なる • 「ハードウェア周りの運用がシンプルかどうか」が OEM ベンダを選ぶ 一つのポイント

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まとめ Azure Stack Hub を検討する際のポイント 7. パブリッククラウドという文化との適合率 8. 基盤からインターネットへのアクセス 9. 仮想マシンとの通信方法 10. 仮想マシンのバックアップ 11. 運用しやすい OEM ベンダを使う

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運用時のポイント

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運用時のポイント:アップデートに伴う設定変更を覚悟する ごくまれに、重めのアップデートが入る・・・ • Azure Stack は進化し続ける • 進化の過程で既存の設定に対する変更を伴う場合がある • Extension host の導入に伴うサーバ証明書の追加(1808) • バックアップファイルの暗号化方式が文字列から証明書に(1901) • /20のアドレスが追加で必要(1910) • 運用費用の見積もり時に注意

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運用時のポイント:Azure Stack Hub の理解者になる 最低限の運用は、慣れれば誰にでもできる • アップデートは高度に自動化されている • Microsoft がリモートで障害対応を支援してくれる

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運用時のポイント:Azure Stack Hub の理解者になる Azure Stack Hub を効果的に利用するには? • Azure Stack Hub はアップデートとともに進化していく • この進化を正しく理解して、組織に展開できるかどうかがキモ

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運用時のポイント:Azure Stack Hub の理解者になる ✓ 導入直後は Azure Stack Hub を使いこなせた ✓ Azure Stack Hub の進化を組織に 展開できていない。もったいない状態 Azure Stack Hub のもたらす価値 利用できている価値 価値 時間

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運用時のポイント:Azure Stack Hub の理解者になる ✓ 導入直後は Azure Stack Hub を使いこなせた ✓ Azure Stack Hub の進化を組織に 展開できていない。もったいない状態 Azure Stack Hub のもたらす価値 利用できている価値 価値 時間 Azure Stack Hub のもたらす価値 利用できている価値 ✓ 良き Azure Stack Hub Operator がいる状態 ✓ Azure Stack Hub の進化を組織に展開できている。 Azure Stack Hub を使いこなしている良い状態 or 価値 時間

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まとめ

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まとめ Azure Stack Hub を使ってみて「良い!」と思ったポイント 1. セルフサービスかつオンデマンド 2. Azure と使い勝手が同じ 3. 仮想基盤ではなく IaaS 4. 自動化しやすい 5. 「クラウドだけど手元にある」という漠然とした安心感 6. Windows Server のライセンスが明瞭会計

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まとめ Azure Stack Hub を検討する際のポイント 7. パブリッククラウドという文化との適合率 8. 基盤からインターネットへのアクセス 9. 仮想マシンとの通信方法 10. 仮想マシンのバックアップ 11. 運用しやすい OEM ベンダを使う

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まとめ Azure Stack Hub を運用する際のポイント 12. アップデートに伴う設定変更を覚悟する 13. Azure Stack Hub の理解者になる