Slide 1

Slide 1 text

Redmineを形作った20年を 振り返る 開発プロジェクト管理ツールから 業務管理基盤へ 2026-06-26 前 田 剛

Slide 2

Slide 2 text

■ Redmine 非 公式情報サイト「Redmine.JP」創 立 者(2007) ■ 書籍「 入門 Redmine 第6版」監修者(2024) 第1版〜第5版 著者(2008, 2010, 2012, 2014) ■ Redmineコミッター(2017-) ■ ファーエンドテクノロジー株式会社 代表取締役(2008-) x.com/g_maeda fb.me/MAEDA.Go 自己 紹介 前 田 剛 Redmineのクラウドサービスを 提供している会社です Redmineを使い始めてもうすぐ19年です。

Slide 3

Slide 3 text

最近のRedmine

Slide 4

Slide 4 text

最近のリリース ■ 2024-11: Redmine 6.0リリース SVGアイコン導 入 、デフォルトテーマのリーダビリティ改善 ■ 2025-09: Redmine 6.1リリース UI改善継続、リアクション機能、Oauth2でのAPIアクセス ■ まもなく: Redmine 7.0リリース予定 デフォルトテーマ刷新をはじめとしたUI/UX改善、Of fi ce 文 書プレビュー、 Webhookなど外部連携強化

Slide 5

Slide 5 text

Redmine 7.0の開発状況 ■ 現在開発中のRedmine 7.0は多数のUI/UX改善により 見 やすさ・使いやすさが向上。 視覚的な印象がRedmineの評価に与えていた負の影響を軽減 ■ WebhookのサポートによりRedmineから外部システム対するpush型の連携が可能に なり連携のあり 方 が進化 ■ Wikiの 一 括ダウンロード、デフォルト期 日 、メール通知の機能追加、パフォーマンス 改善など地道ながら 日 常利 用 を 支 える改善も多数 ■ 2026年6 月 25 日 時点で119件のチケットがクローズ済み。

Slide 6

Slide 6 text

Webhookによる外部システムとの連携 Feature #29664: Webhook triggers in Redmine (by Jens Krämer) チケット等の作成・更新・削除を契機に、指定URLへ変更内容のJSON形式データを HTTP POSTで送信します。外部システム側で受信データを処理する仕組みを実装するこ とで、Redmine上の変更をトリガーとした 自 動処理を実現できます。

Slide 7

Slide 7 text

Microsoft Of fi ce形式ファイルのプレビュー表 示 Feature #8959: Preview support for Microsoft Of fi ce and LibreOf fi ce Writer fi les (by Go MAEDA) 添付ファイルのプレビューがMicrosoft Of fi ce (.docx, .xlsx, .pptx)とLibreOf fi ce Writer(.odt)のファイルに対応しました。ファイルをダウンロードすることなく Redmineの画 面 上でおおよその内容を確認できます。

Slide 8

Slide 8 text

Open Colorの導 入 による 色 彩の整理と標準化 Feature #43256: Introduce Open Color to unify and standardize CSS colors (by Go MAEDA) ユーザーインターフェイス 用 に開発されたオー プンソースのカラーパレット「Open Color」 がデフォルトテーマに導 入 されました。 ヘッダなど 一 部の例外を除き、原則として Open Colorで定義された 色 が使われるように なりました。

Slide 9

Slide 9 text

デフォルトテーマのヘッダデザイン刷新 Feature #43937: Redesign the header with a navigation bar and lighter visual weight (by Go MAEDA) ヘッダの 青色 部分を必要 十 分な 高 さに抑えるとともに、メインメニューをナビゲーショ ンバー化して 青色 部分から視覚的に分離。ヘッダの 見 た 目 の重さが軽減されました。 Redmine 6.1 Redmine 7.0(開発中)

Slide 10

Slide 10 text

多数の微調整による 見 やすさ改善 Redmine 6.1 Redmine 7.0(開発中) 余 白 の 見 直し、枠線の除去、 色 の調整、アイコンの追加など細かなUI改善が多数加えら れ、 見 やすさ・使いやすさが向上しました。

Slide 11

Slide 11 text

Redmineを形作った20年を 振り返る

Slide 12

Slide 12 text

Redmineには20年間で多くの機能が追加されてきた。 しかし、現在のRedmineを形作ったのはいくつかの重要は判断。 Redmineのコードの 行 数を追加された年ごとに表 示 。Git of Theseusで作成

Slide 13

Slide 13 text

Redmineは何が変わったか Redmineは20年間で、開発プロジェクト管理ツールから、チケットを中 心 とする汎 用 業 務管理基盤へ進化してきた。

Slide 14

Slide 14 text

初期のRedmineの姿 2006年にリリースされたv0.1.0は プロジェクトモジュールとしては、 チケット、ニュース、ファイル、 文 書 を提供。 ニュースとファイル機能の存在から、 ソフトウェアの配布サイトも意識して いたことがうかがえる。

Slide 15

Slide 15 text

RubyForgeのRedmineダウンロードページ

Slide 16

Slide 16 text

ニュースとファイル機能の存在から、 ソフトウェアの配布サイトを意識していたことがうかがえる。

Slide 17

Slide 17 text

マニュアルに掲載されていたチケット 一 覧のスクリーンショットでも ソフトウェア開発を意識したサンプルが使われていた Redmine 0.1.0付属のフランス語マニュアル(public/manual/index.html)より

Slide 18

Slide 18 text

重要な判断1: 柔軟な業務モデルの採 用 ソフトウェア開発を強く意識しながらも、複数プロジェクト、ロールベースアクセス制 御、ワークフローなど業務管理のための機能を最初のバージョンからサポート。 == 2006-06-25 - v0.1.0 * multiple users/multiple projects * role based access control * issue tracking system * fully customizable workflow * documents/files repository * email notifications on issue creation and update * multilanguage support (except for error messages):english, french, spanish * online manual in french (unfinished)

Slide 19

Slide 19 text

チケットのカスタムフィールドも当初からサポート。 2006年10 月 リリースのv0.3.0では、ユーザーとプロジェクトにもカスタムフィールド が追加可能に。 カスタムフィールドの形式 Integer, String, Date, Boolean, List カスタムフィールドのオプション Redmine 0.1.0付属のフランス語マニュアル(public/manual/index.html)より

Slide 20

Slide 20 text

初期のRedmineは開発 支 援ツールとしての 色 が濃いながらも、複数プロジェクト対応・ ロールベースアクセス制御・ワークフロー・カスタムフィールドなど、業務ごとに柔軟 に形を変えられる設計が 行 われていた。

Slide 21

Slide 21 text

2007年リリースのv0.5.0ではWikiとタイムトラッキングが追加され、さらに汎 用 的な 業務基盤としての機能強化がなされた。

Slide 22

Slide 22 text

重要な判断2: 拡張可能な基盤の提供 2007年リリースのv0.6.0で、プラグインとテーマをサポート。すべての要望を本体で対 応するのではなくプラグインとテーマで吸収できる構造を早期に提供した。

Slide 23

Slide 23 text

■ 多様なプラグインが提供されRedmineの 用 途を広げた ■ Redmineが 長 年使われてきたことに 大 きく貢献 ■ 商 用 のプラグイン・テーマも多数 生 まれた ■ 一方 で、Redmineのバージョンアップごとに相当数のプラグインが壊れることが利 用 者・開発者の離脱の 一 因になった

Slide 24

Slide 24 text

重要な判断3: チケットをあらゆる仕事に対応できるよう強化 Redmineのチケット管理機能を、バグトラッキングだけではなくあらゆる仕事に対応で きるよう柔軟性を 高 めた。 ■ 子 チケット ■ フィルタの強化 ■ チケット中 心 の設計

Slide 25

Slide 25 text

子 チケットは2010年リリースのv1.0.0で追加された。 これによりチケットで作業の階層構造が表現できるようになり、WBSに対応するチケッ トを作るなど仕事を表現する能 力 が 高 まった。 親 子 関係の階層数に制限があるシステムも珍しくない中、Redmineは階層数無制限。

Slide 26

Slide 26 text

チケットはRedmineの中核機能と位置づけられ、フィルタは継続して強化されてきた。 豊富なフィルタとフィルタ演算 子 により 大 量のチケットを扱いやすくなった。

Slide 27

Slide 27 text

フィルタの改善例: チケットの履歴を検索対象とするフィルタ演算 子

Slide 28

Slide 28 text

業務に関連する様々な情報をチケットに結びつける設計が 行 われた。 その結果、チケットが業務を管理するための基本単位となり、情報をチケットを起点と して 一 元的に管理できるようになり、チケットを中 心 とした業務運 用 が可能になった。

Slide 29

Slide 29 text

現在のRedmine: チケットを中 心 とする汎 用 業務管理基盤へ 当初は開発プロジェクト管理ツールとして 生 まれたRedmine。20年間の判断の積み重 ねを経て、開発 支 援機能を 高 度化する 方 向ではなく、チケット管理機能を充実させる 方 向へ進化してきた。 チケット管理機能の充実により、セルフホスト可能なチケット管理システムの重要な選 択肢として20年続いてきた。

Slide 30

Slide 30 text

時期 主要な変化 v0.1〜v0.5 開発プロジェクト管理ツールでの基本機能を実装。 チケット、ワークフロー、SCM、Wiki、タイムトラッキング v0.6〜v0.9 汎 用 化の構造を獲得。 プラグイン、テーマ、メール起票、クロスプロジェクト、グループ v1.x〜v3.x さらなる汎 用 性の強化。 REST API、サブタスク、Git対応、Markdown、カスタムフィールド強化、 CSVインポート、モバイル対応 v4.x〜v5.x 業務管理基盤としての改善の継続。 二 要素認証、グループウォッチャー、メンション、フィルタ強化、既存機能 改善 v6.x ユーザーインターフェイス改善開始。 アイコンのSVG化、デフォルトテーマ改善、リアクション機能

Slide 31

Slide 31 text

Redmineを形作った20年 当初は開発プロジェクト管理ツールとして 生 まれたRedmine。20年間の判断の積み重 ねを経て、開発 支 援機能を 高 度化する 方 向ではなく、チケットを中 心 とする幅広い業務 を 支 える基盤へと発展した。 セルフホスト可能な汎 用 的なチケット管理システムとして独 自 のポジションを確 立 。

Slide 32

Slide 32 text

■ Redmine 非 公式情報サイト「Redmine.JP」創 立 者(2007) ■ 書籍「 入門 Redmine 第6版」監修者(2024) 第1版〜第5版 著者(2008, 2010, 2012, 2014) ■ Redmineコミッター(2017-) ■ ファーエンドテクノロジー株式会社 代表取締役(2008-) x.com/g_maeda fb.me/MAEDA.Go ありがとうございました Redmineのクラウドサービスを 提供している会社です Redmineを使い始めてもうすぐ19年です。