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社内最長老のシステムに PHPUnit で立ち向かう方法 やなせ たかし

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自己紹介 やなせ たかし 株式会社ラクスで働いています。 PHP 歴 9 か月 Scala 大好きマン 2

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今日話すこと 18 年稼働しているシステムの PHP をバージョンアップをしたときの戦い方 ● レガシーネタです。 ● 適用範囲は限定的です。 ● PHP8 完全対応!ではありません。 話さないこと ● レガシーシステムとの戦い方 ● 実装の話 3

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背景 ● PHP 7.1 => 7.3 へのバージョンアップをすることになった ○ ちょうど今日 EOL ですね ● 調査までは PJ 横断だが、設計・実装担当は 1 人 ○ しかも PHP 歴 3 か月 ● 実装まではつつがなく終了 4

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_人人人人人人人人人人人_ > 突然の全機能テスト <  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ 5

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ルール 環境 ● 老舗サービス (18 年モノ ) ● ソースコードは当然レガシーなものが多い テストクリアの条件 ● 重要機能はカバレッジ 100% (C0) を取ること ● 非重要機能は全機能の動作確認が完了している 6

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戦い方を考える 手札 ● 一部共通関数の PHPUnit ● 一部シナリオの Selenium テスト ● 正常系の回帰テスト ( 手動 ) 戦術 ● 既存テストは利用する ● 不足分を PHPUnit で担保する 7

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トランザクションスクリプト対策 戦術:とにかくモックを使う ● これまで自動テストでモックを使ってこなかった ● 呼び出している関数を大胆にモック化 ● 呼び出し先はテスト済みなので、テストの責務外 8

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uopz 拡張(User Operations for Zend) ● Zend エンジンの振舞いを操作する拡張 ● あらゆる関数をモック化するために使用 ● 引数にクロージャが渡せて、過去のデファクトだった runkit より使い勝手がいい ● トランザクションスクリプト内の関数を狙い撃ちしてモック化 しなければならないケースで活躍 9

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テスト作成開始 10

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甘すぎる見通し 11

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トランザクションスクリプトには 12

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勝てなかった 13

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高すぎるカバレッジ取得の壁 14

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どうやってもルール通りカバレッジは取れない ● 条件分岐に入るのが至難の業 ○ 放置されている謎のロジック ○ 巨大なトランザクションスクリプト ○ 変数の再代入・フラグの再利用が横行 ● グローバル変数の濫用 => テストするべきかどうかを精査したほうが早い 15

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テストの取捨選択が必要 16

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カバレッジ取得するもの ● 既存テストでカバーできるもの ● 重要機能にまつわる小さな関数・メソッド ○ 他の関数に依存していないもののみ ○ 依存が少なければモックなどでテストする 17

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これらは問題ない 18

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本丸に切り込む 19

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トランザクションスクリプトとの戦いかた ● ほとんどが機能を実現しているロジック ● 関数呼び出しはほとんどモックで置き換えた ● それでも通せない重複した構造のコードが多過ぎた => ここで取捨選択をすることに決定 20

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トランザクションスクリプトとの戦いかた 前提 ● 見えている部分のみテストできればよい ● 呼び出し先はテスト済みのはず 新たな方針 ● 内部状態は問題にしない ● コンパイルが通るような状態なら充分である ● 通せないものは通せない 21

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トランザクションスクリプトとの戦いかた 守りたいもの ● 文法的な正しさを担保すること ○ たとえそれが手作業であったとしても 捨てても構わないもの ● カバレッジ 100% という安心感 22

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カバレッジ取得しなかったもの ● return だけしているブロック ○ 戻り値のチェックをしたいわけではない ● 単純な操作のみのブロック ○ 文字列結合だけしている ○ 変数に代入しているだけ ● 例外を投げているだけのブロック ○ 投げるだけならエラーにはならないはず ○ レアケースが多すぎるため、コストが高すぎる 23

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無事生還 24

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まとめ ● 切り分けは大事 ○ コアロジックはしっかりテストしよう ○ 構文のテストがいるような個所も ● 知識は詰め込めばわりと入る ○ この経験で PHP に対して知見が深まったのは事実 ○ 言語化できるにはまだ壁がある状態 ● コンパイラがある幸せ ○ みんな Scala やろう 25