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freeeの技術を守る 特許の取り組み Seiji Tsunemi, Gakuto Miyauchi 2024年6⽉1⽇

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19年入社(デザイン新卒2期)。 2024年3月に知財の社会人大学 院を卒業。7月からフィリピン駐在 予定
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 プロダクトデザイナー 23年4月入社。
 知財と法務の業務を兼任
 一級知的財産管理技能士
 seiji
 法務‧知財

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今⽇伝えたいこと ● 特許がプロダクトを成⻑させるために重要なものだと知ってほしい! ● 知財の専⾨家だけでなく、プロダクトに携わる⼈が協⼒することで前進する 特許って何?という⼈でもイメージがわかるよう、基本的な部分からfreeeの取 り組みをお話しします!

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  01 そもそも特許とは 02 進化への取り組み 03 これだけは覚えておいた⽅が良いこと 04 まとめ ⽬次

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  01 そもそも特許とは 02 進化への取り組み 03 これだけは覚えておいた⽅が良いこと 04 まとめ ⽬次

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● 従来よりも進歩した技術(発明)を守るための制度 ● 特許庁に出願をして審査を経て登録に⾄ると、他者がその発明を実施し たら差し⽌めることができる(独占) ○ 発明を世に公開した対価として、⼀定期間の保護を与える制度 ○ 保護期間は出願⽇から20年 特許について(1/2)

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特許について(2/2) ● 特許として認められるための要件 ○ 新規性 ■ 従来よりも新規の発明であること ○ 進歩性 ■ 従来の技術の単なる掛け合わせではなく、独⾃の着想や⼯夫が⾒ら れること ほかにも先に出願されていない、社会の公益に反しないなどあるが、 この2要件が特に重要

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なんとなくわかったけど、、 なんか難しそう... 頑張ってもいいことあるの?

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  特許を推進する理由 「価値のある機能や体験を、プロダクトの強みとして守る」ため 重要

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こんな経験はありませんか? ● プロダクトの⽬⽟となる新規機能を作るため、3ヶ⽉かけてリサーチを⾏った ● その結果、これまで⾒出せていなかった新たな顧客課題を⾒つけ、 その課題を解決する機能を3ヶ⽉かけて実装しリリースした ● 機能はセールスにも好評で、競合との差別化として貢献していたが、 半年後、競合が同様の機能をリリースしたことで、徐々に差別化要素とならな くなった

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時間をかけて作った機能も、守らなければ強みにならない 調査・分析 12 期間(月) 18 6 企画 実装・テスト 販売提供 A社 リリース 調 査 企 画 実装・テスト リリース 販売提供 B社 機能を保護できなければ差別化にならないだけでなく、後発者にとって都合の良い状態となる

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特許で保護するメリット 調査・分析 12 18 6 企画 実装・テスト 販売提供 A社 リリース 調 査 企 画 実装・テスト リリース 販売提供 B社 ⾃社製品の強みを競合にマネされず、優位性を保てる 特許内容策定・出願 権利化 特許庁とのやりとり 対応措置の検討や交渉

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開発予定の機能から freeeとして保護したい ものを⾒つける 知財戦略チームが⾏う活動 発明の発掘 競合の特許調査 ⾃社が競合特許の侵害 をしないよう調査する 開発者と対策を練る そのために 必要書類を作成し特許庁 に申請する 拒絶理由通知への対応 特許出願

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⼤事なのはわかったけど、、 「発明」なんてうちにあるの...?

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freeeの特許例 ① 銀⾏⼝座やクレジットカード明細から仕訳を登録する際に、勘定科 ⽬を機械学習によって⾃動補完する機能(freee会計) ② クラウド上で給与規定や従業員情報を登録し、給与計算を⾏う機能 (freee⼈事労務)

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①機械学習による勘定科⽬の補完(freee会計)

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①機械学習による勘定科⽬の補完(freee会計)  ウェブサーバにおけるクラウドコンピューティングによる 会計処理を行うための会計処理装置であって、  前記ウェブサーバは、 ウェブ明細データを取引ごとに 識別し、  各取引を、前記各取引の取引内容の記載に含まれる 複数の日本語のキーワードに基づいて、ラーンド・データ ベースを参照して、特定の勘定科目に自動的に仕訳し、  前記複数の日本語のキーワードに基づいて参照される 前記ラーンド・データベースは、前記ウェブサーバに蓄積 された、それぞれが各ユーザーによる勘定科目の修正 結果である複数のユーザーのユーザールールを用いた 機械学習により生成される  ことを特徴とする会計処理装置。 特許6799981

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②クラウド上での給与計算(freee⼈事労務)

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②クラウド上での給与計算(freee⼈事労務)  企業にクラウドコンピューティングによる給与計算を提 供するための給与計算方法であって、  サーバが、前記企業の給与規定を含む企業情報及び 前記企業の各従業員に関連する従業員情報を記録して おき、  前記サーバが、前記企業情報及び前記従業員情報を 用いて、該当月の各従業員の給与計算を行い、  (...中略)  確定ボタンがクリック又はタップされると、前記サーバ が、前記クリック又はタップのみに基づいて該当月の複 数の従業員の前記計算結果を確定させ、  前記従業員情報は、 ... 給与計算を変動させる従業員 入力情報(勤怠情報を除く。)を含み、  前記従業員入力情報は、扶養者数を含むことを特徴と する給与計算方法。 特許6261134

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  01 そもそも特許とは 02 進化への取り組み 03 これだけは覚えておいた⽅が良いこと 04 まとめ ⽬次

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去年から知財チームを組成 ● 知財の専⾨家は社内におらず、外部の特許事務所に頼っていた ● プロダクト数は毎年増えており、10以上のプロダクト‧サービスがある ● より戦略的に、専⾨性の⾼い知財チームを組成していく必要があった

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プロダクト⇆知財戦略チームで協⼒体制を構築 開発者からの相談 方針検討 特許出願・報告 プロダクトの開発と知財担当者とが協 力して議論 弁理士と相談

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出願までのスピード 従来:⼀⼈の弁理⼠へ直接相談 課題:相談から6〜9ヶ⽉(タスク多) そこで:出願と中間対応のタスクに分けて、     弁理⼠リソース強化し同時並⾏ 結果:相談から2〜3ヶ⽉で権利化達成

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発明者の負担少なく、知財の相談がし易い体制に向けて 【相談の⼊⼝】 ● 相談窓⼝の作成、Mtg実施(Slack) ● 相談マニュアルの作成と周知 ○ ヒアリングする内容を、相談フォーマットに事前にご記載頂く ■ 課題や解決⽅法 ● プロダクトリリース時期 【出願⽤の資料作成】 ● 社内資料の援⽤、相談フォーマット ● 簡易調査

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2024年に⾏ったこと 2024年当初の状態 課題 2024年〜25年で実⾏したこと 特許出願 相談から特許出願まで6〜9ヶ ⽉かかっている状態だった。 新たな弁理⼠に参画頂き、 案件によってプロセス簡略化し、 2〜3ヵ⽉で出願可能となった。 中間対応‧権利化 審査請求が進んでいない状態 能動的な審査請求 年⾦管理 1年毎に通知され、都度確認 1〜6年、7〜9年とまとめコス ト、確認の負担を減らす 相談フロー、マニュアル 忙しく、対応が困難 窓⼝‧マニュアル‧テンプレ 商標出願 事業領域の拡⼤により、費⽤ は増加していた 内製化しコスト削減

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  01 そもそも特許とは 02 進化への取り組み 03 これだけは覚えておいた⽅が良いこと 04 まとめ ⽬次

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新規性を喪失すると、特許出願をしても特許権を取得する ことはできなくなる ● 新規性を失うとは‧‧‧ ○ リリース ○ イベントでの新機能の紹介など ○ 世の中に出ている⽂献は、特許庁の審査で拒絶理由として引⽤される

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発明の新規性喪失の例外の適⽤ ● 原則、リリースされ公開された発明は、新規性を喪失します。 ● ⼿続き上、特許庁が審査段階で、公知⽂献として、引⽤します。 ● しかし、商品開発をしたら、論⽂発表、リリースをしますね。 でも権利者の⾏為に起因して、特許を受けられないのは、 権利者にとって酷すぎる... ● そこで、例外の適⽤:権利者の⾏為に起因してリリースした情報は、 引⽤⽂献に⽤いられないように特許庁に申請ができる。

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新規性喪失の例外を使っても、先願がある場合には、特許 権を取得できない ● ただし、今ご紹介したのは、あくまで「例外」の⼿続き ● ⾃社リリース後に「他社」が同じ製品を作成して発表したり、特許出 願されてしまっては特許権は取得できません。 ● 原則通り、新規性を失う前に特許出願しましょう。

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  01 そもそも特許とは 02 進化への取り組み 03 これだけは覚えておいた⽅が良いこと 04 まとめ ⽬次

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改めて、なぜ特許を推進した方が良いのか ● 「価値のある機能や体験を、プロダクトの強みとして守る」ため! ○ 革新的な機能も保護できなければマネされ強みではなくなる。いかに優位性に 繋げるかがビジネス継続には重要 ○ 優位性に繋げる方法はいくつかあるが、知的財産は直接的に守れる手段 ○ プロダクトのコア部分の特許化を図ることで、プロダクトの発展に繋がる

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