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エンジニアリングマネージャーの 理想と現実 濱⽥孝治(ハマコー)

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2 自己紹介 濱⽥孝治(ハマコー) • 2017年9⽉⼊社 • CX事業本部 Delivery部 VPoE • 好きな⾔葉「わっしょい」「どすこい」 • @hamako9999

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3 最初に皆さんに質問

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4 質問① エンジニアリングマネージャー経験 未経験 1年未満 1年以上〜3年未満 3年以上

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5 質問② エンジニアリングマネージャーにおける悩み ほとんど無い まぁまぁある めちゃくちゃある

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6 今⽇のお題 「エンジニアリングマネージャーの 理想と現実」

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7 皆さん何を期待して ここに来ていますか︖

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8 恐らくこれ エンジニアリングマネージャーの 理想と 現実

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9 今⽇持ち帰ってもらいたいこと ハマコーが実際に感じた悩みを さらけ出すことで みなさんのマネージャー業務の 気づきとしてもらいたい

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10 Agenda • ハマコーのマネジメント経歴 • エンジニアリングとマネジメントの根本的な違い • 現実に対処するための処⽅箋 • 皆さんへのエール

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11 ハマコーのマネジメント経歴

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12 マネジメントの種類 マネジメント領域 主な業務 人材マネジメント • 採用とオンボーディング • 評価、コーチング • キャリア開発支援 プロジェクトマネジメント • プロジェクト計画とスケジュール • タスク割当と進捗管理 • 品質、リソース、予算、リスクの管理 技術マネジメント • 技術戦略立案 • 技術選定とアーキテクチャ設計 • セキュリティや運用ポリシー策定 コミュニケーションマネジメント • チーム内外のコミュニケーションの促進 • 情報共有と透明性の確保 • コンフリクトの解決 組織マネジメント • 組織目標設定と達成 • 組織構造や役割の設計 • チームの連携と協力体制の構築

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13 ハマコーのマネジメント経歴(クラスメソッド) キャリア マネジメント領域 マネジメント業務 AWS事業本部 コンサルティング部 ソリューションアーキテクト 無し • 無し • いわゆるひとつのIC(インディビジュアルコントリビ ューター) AWS事業本部 コンサルティング部 チームマネージャー チームマネジメント 約8名 • チーム運営(定例運用) • 案件相談 • メンバーとの1 on 1、評価 CX事業本部 MADチーム チームマネージャー チームマネジメント 約12名 • チームの方針決定 • 受注案件選別 • メンバーとの1 on 1、評価 CX事業本部 MAD事業部 部長 売上・利益・案件・経費・採用・育 成 約30名 • 部の方針、受注案件選定、アサイン、パートナー確 保など、独立採算部門としての全ての意思決定 • ミドルマネジメント育成 CX事業本部 Delivery部 VPoE エンジニア職種統括 約80名 • 組織編成とコミュニケーション設計 • 採用推進 • ミドルマネジメント育成 • 全体アサイン設計

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14 経歴①︓ソリューションアーキテクト 所属とロール • AWS事業本部 コンサルティング部 • ソリューションアーキテクト 業務内容 • 顧客のAWS環境のアーキテクチャ設計と実装 • ブログ書きまくる、登壇しまくる • いわゆるひとつのIC(インディビジュアルコントリビューター) • 「マネジメントなんかやるもんか」と菊池さん(現AWS事業本 部⻑)に⾔い続けていた

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15 経歴②︓チームマネージャー(AWS事業本部) 所属とロール • AWS事業本部 コンサルティング部 • チームマネージャー(約8名) 兼 ソリューションアーキテクト マネジメント業務内容 • 1 on 1をやり始める • 最初は1 on 1で何をやるのかよくわからず、四苦⼋苦 • 評価に⼊る(給与決定プロセスに関与) • 様々な⾟さを知り始める • 組織の現実を知り始める

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16 その頃参考にした本(1 on 1) 「シリコンバレー式 最強の育て⽅」 1 on 1で何をやるのか︖何をやらな いほうが良いのか︖そもそも何を⽬的 にやるのか︖といったことを、全体整 理して腹落ちさせてくれる。ボリュー ムも適度でオススメ

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17 経歴③︓チームマネージャー(CX事業本部) 所属とロール • CX事業本部 MAD(Modern Application Development)チーム • チームマネージャー(約12名) 兼 エンジニア マネジメント業務内容 • チームの⽅向性の策定 • なにを専⾨にやっていくのか︖どんな案件を受けるのか︖なにをやらないのか︖ • 業務にリーダーシップが加わる • 案件アサイン • 空き稼働に⼼を痛め始める(暇なメンバーが居ると夜も眠れない) • DMに怯え始める • 「ちょっと話良いですか︖」メッセージが怖くて仕⽅ない

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18 その頃参考にした本(リーダーとマネージャー) 「最⾼のリーダー、マネジャーがいつ も考えているたったひとつのこと」 いわゆるリーダーとマネージャーというそれぞれ のロールで考えるべきことが、明確に整理され定 義されている本。 それぞれの概念はグラデーションで存在している し、同じ⼈が両⽅を遂⾏する事も多いが、あえて 区別して考えることで、⾃分が今やるべきことを 整理できる⾮常に貴重な本。超オススメ。

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19 経歴④︓部⻑(CX事業本部 MAD事業部) 所属とロール • CX事業本部 MAD事業部 • 部⻑(約30名) 兼 エンジニア マネジメント業務内容 • 売上・利益・案件遂⾏・経費・採⽤・育成 • マネジメント業務にお⾦が発⽣(予算を持つ、売上⽬標を持つ、経費を承認する) • ミドルマネジメント育成 • ⼀⼈で全てのピープルマネジメントは不可能なので、ミドルマネジメントをアサインし、⼀⼦相 伝で育成を開始 • 案件炎上時の責任者としての振る舞いを経験 • トップマネジメント連携、顧客コミュニケーション、チーム介⼊ • 他案件からエンジニアを引っこ抜くための⼟下座(イメージ)遂⾏

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20 その頃参考にした本(⽬標の考え⽅) 「OKR シリコンバレー式で⼤胆な⽬ 標を達成する⽅法」 いわゆるひとつのOKR本。実践のイメージも湧い て、OKR本の中では⼀番わかり易い気がする。 ただし、事業会社ではなくBtoBの受託会社だと OKRそのものの考え⽅がむずいな〜となって、さ らに悩みが深くなった本でもある。

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21 経歴⑤︓VPoE(CX事業本部 Delivery部) 所属とロール • CX事業本部 Delivery部 • VPoE(Vice President of Engineering)(約100名) マネジメント業務内容 • エンジニアリング組織全体の組織統括 • CX事業本部の案件Delivery能⼒最⼤化に向けた全施策の対応 • 事業本部全体の組織設計、コミュニケーション整理 • クラスメソッド初の肩書 • なにをやるべきなのか定義はない中で、組織に対してできることを探し 続ける⽇々

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22 今参考にしている本(組織設計) 「組織⾏動のマネジメント」 組織全体をどのような観点で設計し、 どういうコミュニケーションパスを⽤ 意し運⽤するかを、理論的な観点で解 説した本。 ボリュームは多め。絶賛読み中。

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23 エンジニアリングとマネジメントの 根本的な違い

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24 改めて皆さんと考えたい エンジニアとマネージャーって 何が違うと思います︖

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25 根本的に違う点 影響を与える対象が違う エンジニア → エンジニアリング マネージャー → ⼈

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26 例︓エンジニアリングの課題解決 • 課題 • このWebサービス、たまにすごくレスポンスが遅い時があるなぁ、 なんとかしないと… • 解決に向けて • メトリクスの測定、ログの確認 • ボトルネックの把握(エッジ︖ロードバランス︖アプリケーショ ンサーバ︖キャッシュ︖データベース︖) • チューニング、デプロイ • 再測定

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27 例︓エンジニアリングの課題解決 • 課題 • このWebサービス、たまにすごくレスポンスが遅い時があるなぁ、 なんとかしないと… • 解決に向けて • メトリクスの測定、ログの確認 • ボトルネックの把握(エッジ︖ロードバランス︖アプリケーショ ンサーバ︖キャッシュ︖データベース︖) • チューニング、デプロイ • 再測定 基本的にエンジニアリングにおける課題 解決は明確な道筋があり再現性がある

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28 例︓マネジメントの課題解決 • 課題 • 最近退職者が増えてるなぁ、なんとかしないと… • 解決に向けて • 「退職者のAさんとBさんとCさんで、⾔ってること違うんやけど、 どないしよ…」 • 「やっぱり給料じゃないの︖」「いやぁ、そうとは⾔ってなかっ たで。ただ、実際転職先の給料わからんしなぁ…」 • 「誰それさんとウマがあわなかっただけでしょ︖組織どうこうじ ゃないでしょ」 • 「そもそも退職者の⼈って本⾳で話してくれてるの︖」

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29 例︓マネジメントの課題解決 • 課題 • 最近退職者が増えてるなぁ、なんとかしないと… • 解決に向けて • 「退職者のAさんとBさんとCさんで、⾔ってること違うんやけど、 どないしよ…」 • 「やっぱり給料じゃないの︖」「いやぁ、そうとは⾔ってなかっ たで。ただ、実際転職先の給料わからんしなぁ…」 • 「誰それさんとウマがあわなかっただけでしょ︖組織どうこうじ ゃないでしょ」 • 「そもそも退職者の⼈って本⾳で話してくれてるの︖」 マネジメント(人)に関わる課題解決は組 織コンテキストに依存する部分が多く再現 性が少ない

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30 挙げだすときりがないマネジメントの悩み • 「最近Aさん、パフォーマンス出てないなぁ、しんど そう」 • 「あのプロジェクト、雰囲気悪くない︖顧客もなん だか不満げだし」 • 「売上が︕︕伸びない︕︕どないすんねん︕︕」 • 「Bさん、評価全然納得できないらしい」 • 「オーナーシップ持ってもらいたいんだけれど、全 然そんな雰囲気にならない」 • 「Slackチャンネルがもりあがらねぇ…」

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31 根本的に違う点 マネジメントは ⼈を相⼿にする そのなかで責任者として成果を出し続けるには 継続的な⼈的ストレスが発⽣することへの 相応の覚悟が必要

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32 現実に対処するための処⽅箋

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33 現実に対処するための処⽅箋 ① いつでも悩み相談できる同僚や上司や知り 合いを確保する ② 今に集中し⾏動に主軸を置く ③ ⼈智を超えた事は忘れる

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34 処⽅箋① 「いつでも悩み相談できる同僚や上司や知り合いを確保する」 マネジメントの課題は、書籍に載っているものだけで対処でき る事は少ない。 コンテキスト依存が⼤きいので、周囲に相談できる⼈を確保す るのは本当に重要。社内にいなければ、コミュニティで知り合 いを作るなど意識してみるのもよい。

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35 処⽅箋② 「今に集中し⾏動に主軸を置く」 「悩みすぎないこと」が⼤事。 悩むこと⾃体はなんのバリューも⽣み出さない。あくまで⾏動 が周囲に影響を及ぼす。その⾏動の結果を受けて、また次の施 策を打てば良い。悩みすぎて何もしないのは⼀番の愚策。

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36 処⽅箋③ 「⼈智を超えたことは忘れる」 忘れましょう。 忘れられない︖もちろん、責任者として責任放棄はもってのほ か。ただ、⾃分が関わる範囲ではどうしようもない事も多い。 本当に多い。どこかで線引は必要。

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37 皆さんへのエール

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38 最後のまとめ マネジメントを前向きに楽しみましょう︕︕ それを⾒ることで後進も育つし それが明⽇の組織を作っていく