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エンジニアリングマネージャーの理想と現実

 エンジニアリングマネージャーの理想と現実

濱田孝治

April 13, 2023
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Transcript

  1. エンジニアリングマネージャーの
    理想と現実
    濱⽥孝治(ハマコー)

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  2. 2
    自己紹介
    濱⽥孝治(ハマコー)
    • 2017年9⽉⼊社
    • CX事業本部 Delivery部 VPoE
    • 好きな⾔葉「わっしょい」「どすこい」
    • @hamako9999

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  3. 3
    最初に皆さんに質問

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  4. 4
    質問①
    エンジニアリングマネージャー経験
    未経験
    1年未満
    1年以上〜3年未満
    3年以上

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  5. 5
    質問②
    エンジニアリングマネージャーにおける悩み
    ほとんど無い
    まぁまぁある
    めちゃくちゃある

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  6. 6
    今⽇のお題
    「エンジニアリングマネージャーの
    理想と現実」

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  7. 7
    皆さん何を期待して
    ここに来ていますか︖

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  8. 8
    恐らくこれ
    エンジニアリングマネージャーの
    理想と
    現実

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  9. 9
    今⽇持ち帰ってもらいたいこと
    ハマコーが実際に感じた悩みを
    さらけ出すことで
    みなさんのマネージャー業務の
    気づきとしてもらいたい

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  10. 10
    Agenda
    • ハマコーのマネジメント経歴
    • エンジニアリングとマネジメントの根本的な違い
    • 現実に対処するための処⽅箋
    • 皆さんへのエール

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  11. 11
    ハマコーのマネジメント経歴

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  12. 12
    マネジメントの種類
    マネジメント領域 主な業務
    人材マネジメント
    • 採用とオンボーディング
    • 評価、コーチング
    • キャリア開発支援
    プロジェクトマネジメント
    • プロジェクト計画とスケジュール
    • タスク割当と進捗管理
    • 品質、リソース、予算、リスクの管理
    技術マネジメント
    • 技術戦略立案
    • 技術選定とアーキテクチャ設計
    • セキュリティや運用ポリシー策定
    コミュニケーションマネジメント
    • チーム内外のコミュニケーションの促進
    • 情報共有と透明性の確保
    • コンフリクトの解決
    組織マネジメント
    • 組織目標設定と達成
    • 組織構造や役割の設計
    • チームの連携と協力体制の構築

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  13. 13
    ハマコーのマネジメント経歴(クラスメソッド)
    キャリア マネジメント領域 マネジメント業務
    AWS事業本部 コンサルティング部
    ソリューションアーキテクト
    無し
    • 無し
    • いわゆるひとつのIC(インディビジュアルコントリビ
    ューター)
    AWS事業本部 コンサルティング部
    チームマネージャー
    チームマネジメント
    約8名
    • チーム運営(定例運用)
    • 案件相談
    • メンバーとの1 on 1、評価
    CX事業本部 MADチーム
    チームマネージャー
    チームマネジメント
    約12名
    • チームの方針決定
    • 受注案件選別
    • メンバーとの1 on 1、評価
    CX事業本部 MAD事業部
    部長
    売上・利益・案件・経費・採用・育

    約30名
    • 部の方針、受注案件選定、アサイン、パートナー確
    保など、独立採算部門としての全ての意思決定
    • ミドルマネジメント育成
    CX事業本部 Delivery部
    VPoE
    エンジニア職種統括
    約80名
    • 組織編成とコミュニケーション設計
    • 採用推進
    • ミドルマネジメント育成
    • 全体アサイン設計

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  14. 14
    経歴①︓ソリューションアーキテクト
    所属とロール
    • AWS事業本部 コンサルティング部
    • ソリューションアーキテクト
    業務内容
    • 顧客のAWS環境のアーキテクチャ設計と実装
    • ブログ書きまくる、登壇しまくる
    • いわゆるひとつのIC(インディビジュアルコントリビューター)
    • 「マネジメントなんかやるもんか」と菊池さん(現AWS事業本
    部⻑)に⾔い続けていた

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  15. 15
    経歴②︓チームマネージャー(AWS事業本部)
    所属とロール
    • AWS事業本部 コンサルティング部
    • チームマネージャー(約8名) 兼 ソリューションアーキテクト
    マネジメント業務内容
    • 1 on 1をやり始める
    • 最初は1 on 1で何をやるのかよくわからず、四苦⼋苦
    • 評価に⼊る(給与決定プロセスに関与)
    • 様々な⾟さを知り始める
    • 組織の現実を知り始める

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  16. 16
    その頃参考にした本(1 on 1)
    「シリコンバレー式 最強の育て⽅」
    1 on 1で何をやるのか︖何をやらな
    いほうが良いのか︖そもそも何を⽬的
    にやるのか︖といったことを、全体整
    理して腹落ちさせてくれる。ボリュー
    ムも適度でオススメ

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    経歴③︓チームマネージャー(CX事業本部)
    所属とロール
    • CX事業本部 MAD(Modern Application Development)チーム
    • チームマネージャー(約12名) 兼 エンジニア
    マネジメント業務内容
    • チームの⽅向性の策定
    • なにを専⾨にやっていくのか︖どんな案件を受けるのか︖なにをやらないのか︖
    • 業務にリーダーシップが加わる
    • 案件アサイン
    • 空き稼働に⼼を痛め始める(暇なメンバーが居ると夜も眠れない)
    • DMに怯え始める
    • 「ちょっと話良いですか︖」メッセージが怖くて仕⽅ない

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    その頃参考にした本(リーダーとマネージャー)
    「最⾼のリーダー、マネジャーがいつ
    も考えているたったひとつのこと」
    いわゆるリーダーとマネージャーというそれぞれ
    のロールで考えるべきことが、明確に整理され定
    義されている本。
    それぞれの概念はグラデーションで存在している
    し、同じ⼈が両⽅を遂⾏する事も多いが、あえて
    区別して考えることで、⾃分が今やるべきことを
    整理できる⾮常に貴重な本。超オススメ。

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  19. 19
    経歴④︓部⻑(CX事業本部 MAD事業部)
    所属とロール
    • CX事業本部 MAD事業部
    • 部⻑(約30名) 兼 エンジニア
    マネジメント業務内容
    • 売上・利益・案件遂⾏・経費・採⽤・育成
    • マネジメント業務にお⾦が発⽣(予算を持つ、売上⽬標を持つ、経費を承認する)
    • ミドルマネジメント育成
    • ⼀⼈で全てのピープルマネジメントは不可能なので、ミドルマネジメントをアサインし、⼀⼦相
    伝で育成を開始
    • 案件炎上時の責任者としての振る舞いを経験
    • トップマネジメント連携、顧客コミュニケーション、チーム介⼊
    • 他案件からエンジニアを引っこ抜くための⼟下座(イメージ)遂⾏

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  20. 20
    その頃参考にした本(⽬標の考え⽅)
    「OKR シリコンバレー式で⼤胆な⽬
    標を達成する⽅法」
    いわゆるひとつのOKR本。実践のイメージも湧い
    て、OKR本の中では⼀番わかり易い気がする。
    ただし、事業会社ではなくBtoBの受託会社だと
    OKRそのものの考え⽅がむずいな〜となって、さ
    らに悩みが深くなった本でもある。

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  21. 21
    経歴⑤︓VPoE(CX事業本部 Delivery部)
    所属とロール
    • CX事業本部 Delivery部
    • VPoE(Vice President of Engineering)(約100名)
    マネジメント業務内容
    • エンジニアリング組織全体の組織統括
    • CX事業本部の案件Delivery能⼒最⼤化に向けた全施策の対応
    • 事業本部全体の組織設計、コミュニケーション整理
    • クラスメソッド初の肩書
    • なにをやるべきなのか定義はない中で、組織に対してできることを探し
    続ける⽇々

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  22. 22
    今参考にしている本(組織設計)
    「組織⾏動のマネジメント」
    組織全体をどのような観点で設計し、
    どういうコミュニケーションパスを⽤
    意し運⽤するかを、理論的な観点で解
    説した本。
    ボリュームは多め。絶賛読み中。

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  23. 23
    エンジニアリングとマネジメントの
    根本的な違い

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  24. 24
    改めて皆さんと考えたい
    エンジニアとマネージャーって
    何が違うと思います︖

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    根本的に違う点
    影響を与える対象が違う
    エンジニア → エンジニアリング
    マネージャー → ⼈

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  26. 26
    例︓エンジニアリングの課題解決
    • 課題
    • このWebサービス、たまにすごくレスポンスが遅い時があるなぁ、
    なんとかしないと…
    • 解決に向けて
    • メトリクスの測定、ログの確認
    • ボトルネックの把握(エッジ︖ロードバランス︖アプリケーショ
    ンサーバ︖キャッシュ︖データベース︖)
    • チューニング、デプロイ
    • 再測定

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  27. 27
    例︓エンジニアリングの課題解決
    • 課題
    • このWebサービス、たまにすごくレスポンスが遅い時があるなぁ、
    なんとかしないと…
    • 解決に向けて
    • メトリクスの測定、ログの確認
    • ボトルネックの把握(エッジ︖ロードバランス︖アプリケーショ
    ンサーバ︖キャッシュ︖データベース︖)
    • チューニング、デプロイ
    • 再測定
    基本的にエンジニアリングにおける課題
    解決は明確な道筋があり再現性がある

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  28. 28
    例︓マネジメントの課題解決
    • 課題
    • 最近退職者が増えてるなぁ、なんとかしないと…
    • 解決に向けて
    • 「退職者のAさんとBさんとCさんで、⾔ってること違うんやけど、
    どないしよ…」
    • 「やっぱり給料じゃないの︖」「いやぁ、そうとは⾔ってなかっ
    たで。ただ、実際転職先の給料わからんしなぁ…」
    • 「誰それさんとウマがあわなかっただけでしょ︖組織どうこうじ
    ゃないでしょ」
    • 「そもそも退職者の⼈って本⾳で話してくれてるの︖」

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    例︓マネジメントの課題解決
    • 課題
    • 最近退職者が増えてるなぁ、なんとかしないと…
    • 解決に向けて
    • 「退職者のAさんとBさんとCさんで、⾔ってること違うんやけど、
    どないしよ…」
    • 「やっぱり給料じゃないの︖」「いやぁ、そうとは⾔ってなかっ
    たで。ただ、実際転職先の給料わからんしなぁ…」
    • 「誰それさんとウマがあわなかっただけでしょ︖組織どうこうじ
    ゃないでしょ」
    • 「そもそも退職者の⼈って本⾳で話してくれてるの︖」
    マネジメント(人)に関わる課題解決は組
    織コンテキストに依存する部分が多く再現
    性が少ない

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    挙げだすときりがないマネジメントの悩み
    • 「最近Aさん、パフォーマンス出てないなぁ、しんど
    そう」
    • 「あのプロジェクト、雰囲気悪くない︖顧客もなん
    だか不満げだし」
    • 「売上が︕︕伸びない︕︕どないすんねん︕︕」
    • 「Bさん、評価全然納得できないらしい」
    • 「オーナーシップ持ってもらいたいんだけれど、全
    然そんな雰囲気にならない」
    • 「Slackチャンネルがもりあがらねぇ…」

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    根本的に違う点
    マネジメントは
    ⼈を相⼿にする
    そのなかで責任者として成果を出し続けるには
    継続的な⼈的ストレスが発⽣することへの
    相応の覚悟が必要

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  32. 32
    現実に対処するための処⽅箋

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    現実に対処するための処⽅箋
    ① いつでも悩み相談できる同僚や上司や知り
    合いを確保する
    ② 今に集中し⾏動に主軸を置く
    ③ ⼈智を超えた事は忘れる

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    処⽅箋①
    「いつでも悩み相談できる同僚や上司や知り合いを確保する」
    マネジメントの課題は、書籍に載っているものだけで対処でき
    る事は少ない。
    コンテキスト依存が⼤きいので、周囲に相談できる⼈を確保す
    るのは本当に重要。社内にいなければ、コミュニティで知り合
    いを作るなど意識してみるのもよい。

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    処⽅箋②
    「今に集中し⾏動に主軸を置く」
    「悩みすぎないこと」が⼤事。
    悩むこと⾃体はなんのバリューも⽣み出さない。あくまで⾏動
    が周囲に影響を及ぼす。その⾏動の結果を受けて、また次の施
    策を打てば良い。悩みすぎて何もしないのは⼀番の愚策。

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    処⽅箋③
    「⼈智を超えたことは忘れる」
    忘れましょう。
    忘れられない︖もちろん、責任者として責任放棄はもってのほ
    か。ただ、⾃分が関わる範囲ではどうしようもない事も多い。
    本当に多い。どこかで線引は必要。

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    皆さんへのエール

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  38. 38
    最後のまとめ
    マネジメントを前向きに楽しみましょう︕︕
    それを⾒ることで後進も育つし
    それが明⽇の組織を作っていく

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