Slide 1

Slide 1 text

AGILE-MONSTER.COM Head First モブプログラミング 及部 敬雄( @TAKAKING22 )

Slide 2

Slide 2 text

PROFILE 福岡に移住 AGILE-MONSTER.COM フルリモート 5 人家族 モブプロ歴は 9 年( 2017 年から) Silver Bullet Club (チーム転職 2 回) 及部 敬雄 @TAKAKING22 制御不能な アジャイルモンスター 株式会社ホロラボ 執行役員 / AGILE-MONSTER.COM アジャイ ルコーチ 現場: 2 から 3 人 × 複数チームで開発中 著書 『アジャイル開発とスクラム』 第 2 版(翔泳社) 平鍋健児・野中郁次郎と共著 『モブプログラミング・ ベストプラクティス』 解説を担当 agile-monster.com 2

Slide 3

Slide 3 text

アジェンダ AGILE-MONSTER.COM 01 AI 時代の変化 作る速度は上がった。では、理解は? 02 モブプロとは 言葉の定義から、いちど揃える 03 登場人物と役割 タイピストと、その他のモブ 04 アンチパターン これをやると、うまくいかない 05 もっと知りたい人へ 歴史と、参考リンク 3

Slide 4

Slide 4 text

AGILE-MONSTER.COM AI 時代に何が変わったか まず、いま自分たちがどこに立っているのかを揃えます 4

Slide 5

Slide 5 text

何が変わったのか? 2021 年以前のソフトウェア開発 AGILE-MONSTER.COM 2026 年のソフトウェア開発 5

Slide 6

Slide 6 text

何が変わったのか? AGILE-MONSTER.COM 2021 年以前のソフトウェア開発 2026 年のソフトウェア開発 プログラムを書いている プロンプトを書いている 6

Slide 7

Slide 7 text

AGILE-MONSTER.COM 作る速度は上がった。 でも、理解する速度は上がっていない

Slide 8

Slide 8 text

いま現場で起きていること AGILE-MONSTER.COM AI が生んだ新しい問題ではなく、もともとあった問題が表に出てきた レビュー負荷が増えた 人との会話が減った 属人化が加速した 理解が追いつかない AI が書いたコードを読む時間が、どん どん増えていく 誰が何を知っているのか、ますます見 えなくなる 分担作業がしやすくなり、話さなくて も進んでしまう 動いてはいるが、なぜ動くのかを説明 できない 8

Slide 9

Slide 9 text

もうひとつ、見えない負債 AGILE-MONSTER.COM AI がコードを書くほど、人間の理解が置いていかれる ① 技術的負債 ② 認知負債 コードに現れる 人とチームに溜まる 計測できる/指摘できる 「あとで直す」と言葉にできる チケットに積める 動いているので気づけない 「なぜこうなっているか」を 誰も説明できなくなる 見えないほうの負債は、溜まっていることにも気づけない 9

Slide 10

Slide 10 text

AGILE-MONSTER.COM ボトルネックは、 人間とチームに移った

Slide 11

Slide 11 text

理解のつくられ方が変わった AGILE-MONSTER.COM 開発の過程で自然にできていたものが、勝手にはできなくなった これまで いま 対象を理解していないと、 そもそもコードが書けなかった。 理解していなくても、 コードは書けてしまう。 書いているうちに、 理解が自然に育っていた。 理解は、意識してつくらないと できあがらなくなった。 では、その理解はどこに置いておくのか 11

Slide 12

Slide 12 text

理解は、チームに貯めていく AGILE-MONSTER.COM ここが、このあとの話につながります 思考は外注できる。でも、理解は外注できない。 — 和田卓人「 Agentic Software Engineering 」( 2026 ) コードを書く速度は、 AI が上げてくれる。 けれど「なぜこうつくったのか」を持っているのは、人間のチームだけ。 理解を持ったチームがいなくなると、動いているコードでも育てられなくなる。 理解をチームに貯める。それがモブプログラミングです 12

Slide 13

Slide 13 text

AGILE-MONSTER.COM モブプログラミングとは 言葉の定義から、いちど揃えます 13

Slide 14

Slide 14 text

AGILE-MONSTER.COM これが、モブプログラミングです

Slide 15

Slide 15 text

チーム全員で「同じ」を揃える AGILE-MONSTER.COM モブプログラミングの定義。 4 つの「同じ」が揃っている状態 同じ仕事を 同じ時間に 同じ空間で 同じ環境で 1 つの仕事に、チーム全員で向かう オフライン/オンラインは問わない 同期して働く。あとで合流するのでは ない 同じマシンでなくても、環境は共有で きる 15

Slide 16

Slide 16 text

定義はアップデートされている AGILE-MONSTER.COM 技術とツールの進化が、モブプロの前提条件をゆるめた かつての定義 いまの定義 同じ場所で 同じコンピューターで 同じ空間で 同じ環境で 1 台の画面を物理的に囲む オンラインでも成立する 場所とマシンの制約は、もう外せる 16

Slide 17

Slide 17 text

AGILE-MONSTER.COM オンラインでも、 同じ空間・同じ環境はつくれる

Slide 18

Slide 18 text

言葉を整理しておきます AGILE-MONSTER.COM 同じものを指す言葉が複数あるので、先に揃えます 呼び方 別の呼び方 意味 モビング ■ モブプログラミング ■ モブワーク 複数人で同じ仕事に向かう働き方 ・プログラミングに限らない総称 タイピスト ■ ドライバー キーボードをたたく人 ・その場にひとりだけ ■ ナビゲーター タイピスト以外の全員 ・考えて、判断して、伝える その他のモブ 18

Slide 19

Slide 19 text

プログラミングだけじゃない AGILE-MONSTER.COM 複数人で同じ目的に向かう仕事なら、どこでもモビングできる 設計 レビュー 調査 障害対応 ドキュメント ふりかえり 採用 オンボーディング エンジニアリングの外にも広がっています(モビング × ○○ の実践事例) × 総務 求人票づくり、スカウ トメール、面接同席ま で全員で × QA スプリントの最初から QA が参加。モブの一 員として入る × デザイン ペアデザイン/モブデ ザインでスピードを上 げる 19

Slide 20

Slide 20 text

AGILE-MONSTER.COM 登場人物と役割 モブには、 2 つの役割しかありません 20

Slide 21

Slide 21 text

登場人物は、たった 2 種類 AGILE-MONSTER.COM 全員がどちらかの役割を持ち、時間で入れ替わる 21

Slide 22

Slide 22 text

タイピストは「手」になる AGILE-MONSTER.COM 自分で考えて実装しはじめると、モブが止まる キーボードをたたく 頼まれたことを実装する わからなければ質問する 自分の判断で先に進まない 手を動かす担当。ここに専念する 曖昧なまま書かない。聞いて明らかに する モブが合意したことを、理解したうえ で書く 迷ったらモブに戻す。ひとりで決めな い 22

Slide 23

Slide 23 text

その他のモブは「見る人」ではない AGILE-MONSTER.COM 考えて、判断して、伝えるところまでが、その他のモブの仕事 考えて判断する とにかく口に出す わからないときは聞く 決まったことを伝える 問題解決チームの一員として貢献する 自分が理解できるまで質問していい 頭の中で考えていることを声にする タイピストに、明確な言葉で渡す 23

Slide 24

Slide 24 text

貢献の仕方は、ひとつじゃない AGILE-MONSTER.COM 「その他のモブ」とひとくくりにしていますが、やれることはたくさんあります 考えて判断する タイムキープ 口に出す 質問する ファシリテーション 調べる 記録を残す エンパワーメント 「わからない」と言う 普通のチームで仕事を前に進めるのに色々な機能が必要なのと、まったく同じです。 タイピスト以外の全員が「その他のモブ」ですが、 その中でどう貢献するかは、決まっていません。 どれか 1 つでも担えていれば、それはチームへの貢献です 出典: Mob Programming RPG ( Willem Larsen ) 24

Slide 25

Slide 25 text

交代は時間で決める AGILE-MONSTER.COM 「キリのいいところで」と言っていると、いつまでも交代しない 順番を決める インターバルを決める タイマーを使う 時間が来たら即交代 全員にタイピストが回るように、最初 に決めておく Mobster ( mobster.cc )/ Remote Mob ( remotemob.io ) 7 分/ 10 分/ 15 分。はじめは 10 分 がおすすめ 書きかけでも交代する。キリのいいと ころは待たない 慣れてきたら自由に 「代われ!」と言った人と交代する “我が家”方式もあり 25

Slide 26

Slide 26 text

AGILE-MONSTER.COM よくある誤解とアンチパターン 先に知っておくと、当日つまずきにくくなります 26

Slide 27

Slide 27 text

「見ているだけ」ではない AGILE-MONSTER.COM 27

Slide 28

Slide 28 text

この 4 つで、だいたい失敗する AGILE-MONSTER.COM アンチパターンと、その抜け方 パターン 見学モード 一人が仕切る 交代しない AI に丸投げ こうなりがち こうする ■ 黙って画面を見ているだけ 考えを口に出す ・わからないと言う ■ 詳しい人が全部指示している チームで判断する ・決めるのはモブ ■ 打てる人がタイピストを続ける 時間で機械的に交代 ・全員に回す ■ 誰も読まないまま次へ進む 合意してから渡す ・全員で読む 28

Slide 29

Slide 29 text

うまく始める 4 つのコツ AGILE-MONSTER.COM 今日いちばん意識してほしいこと とにかく口に出す 「わからない」と言う HRT (謙虚・尊敬・信頼) 小さな YATTA!! を重ねる 頭の中で考えていることを、そのまま 声にする 相手の考えを一度受け取ってから返す それはサボりではなく、チームへの貢 献です テストが 1 本通ったら、その都度みん なで喜ぶ 29

Slide 30

Slide 30 text

「わからない」が言えるほど速い AGILE-MONSTER.COM 覚えて帰っていただきたい、たった 1 つのこと 「わからない」と言うことは、チームへの貢献です。 仕事を止めて聞くのは、ハードルが高い人もいます。 だからこそ「わからない」を気兼ねなく言える状況を、チームでつくっていく。 わからないまま進んだ分だけ、理解はチームから抜け落ちていきます。 「わからない」が言えるチームには、理解が貯まっていく 30

Slide 31

Slide 31 text

AGILE-MONSTER.COM もっと知りたい人へ 歴史を知ると、モブプログラミングの「なぜ」が見えてきます 31

Slide 32

Slide 32 text

モブプログラミングの歴史 AGILE-MONSTER.COM 10 年ちょっと。まだ育っている最中のやり方です 2011 米 Hunter Industries のチームで生まれる 2014 Agile2014 で Woody Zuill が発表し、世界に広がる 2014 Llewellyn Falco が Strong-style pairing を提唱 2017 及部が楽天で実践を開始(このあと 5 年以上続く) 2018 Mark Pearl 『 Code with the Wisdom of the Crowd 』 2019 邦訳『モブプログラミング・ベストプラクティス』(日経 BP ) 2020 「 Ensemble Programming 」という呼び方も提案される 出典: mobprogramming.org / Agile Alliance / 各書誌情報 32

Slide 33

Slide 33 text

もっと深く知るために AGILE-MONSTER.COM この資料のあとに、読む・見るとよいもの(リンクから飛べます) 書籍 モブプログラミング・ベストプラクティス(日経 BP ・ 2019 ) https://www.amazon.co.jp/dp/4822289648 記事 「一緒に働く」を戦略的に仕事に取り入れよう( Agile Journey ) https://agilejourney.uzabase.com/entry/2022/09/27/103000 動画 Mob Programming, A Whole Team Approach ( GOTO 2017 ) https://www.youtube.com/watch?v=SHOVVnRB4h0 サイト mobprogramming.org ( Woody Zuill 本人が運営) https://mobprogramming.org/ 登壇 及部敬雄 Speaker Deck https://speakerdeck.com/takaking22 33

Slide 34

Slide 34 text

AGILE-MONSTER.COM 34

Slide 35

Slide 35 text

AGILE-MONSTER.COM 制御不能なアジャイルモンスター @ TA K A K I N G 2 2

Slide 36

Slide 36 text

一緒に取り組んでいきましょう! AGILE-MONSTER.COM モブプログラミングやアジャイル開発の相談、いつでも歓迎です( 30 分の無料相談あり) AI 時代のモブプログラミング研修 この資料のような研修を、チームで体験して現場に持ち帰るところまで設計します アジャイル開発とスクラム研修 座学+体験ワークショップ。新卒研修から既存チームの底上げまで アジャイルコーチング 研修後のふりかえり伴走や 1on1 など、現場での継続支援(福岡も歓迎) 研修・相談の入り口: agile-monster.com/training 36