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1 創業140年の古い会社でデータの民主化を 進めた話 日本経済新聞社 鈴木陽介

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鈴木陽介(Suzuki Yosuke) ウェブサイトの運用・編集・記者、新聞記者などを経て2009年から 日経電子版の企画開発に関わる。 2011年ごろから社内エンジニアによる開発の内製化を主導、初代 スマホウェブ版や「爆速化」したウェブ版を担当。 2017年データドリブンを加速するための教育制度「データ道場」を 開始。現在は機械学習・AIのプロジェクトを管轄しつつ、開発環境 の改善や社内人員のトレーニングに取り組んでいる。 自己紹介 2

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日本経済新聞社について 3 1876年(明治9年)12月創刊 約140年の歴史 全世界で300万部(紙・電子 版の合計)を発行する世界 最大の経済新聞社

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4 日経電子版って 消費者向けのインターネット有料サービスの先駆け。 月額4200円!という高いサービスに60万人もの有料会員がいる ※紙とのセット売りでは電子版部分は1000円

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● ブラウザー向け ● iPhone/Android向けアプリ ● 認証、課金 ● CRM・データ分析 ● コンテンツマネジメント・システム ● 広告 ● グループ会社、サードパーティー連携 ● ビジュアライゼーションコンテンツ制作 などの企画・開発を手がける 日経電子版の開発業務 5

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6 ビジュアライゼーション データ、技術、デザ インを総合的に駆 使するコンテンツ開 発 vdata.nikkei.com

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日経電子版で働く人たち 7 エンジニア、データサインティスト、デザイナー、マーケ ター、ビジネス企画

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8 FTとの連携 ● 2015年買収 ● 爆速サイト開発 ● データ分析プロジェクト ○ 1人渡英中 ● 編集システムなどの情報 を共有 ● 英語力++ ○ 英語ランチ会も実施中

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新聞販売店が間に入り、読者が誰で、どんな風に、どんな記事を 読んでいるかの情報は持っていなかった。 ※アンケート等で収集したものは除く 日経電子版以前 9

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電子版では読者との直接取り引きとなり、いつ、誰がどんな風 にどの記事を読んでいるかわかるようになった 日経電子版以降(2010年)以降 10

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800万人以上の日経ID会員データ 250万件の記事 ● どのボタンを押したか ● どこまでスクロールしたか ● どの記事の見出しをみて、どの記事を結果的に読ん だか/読まなかったか 平日1日のデータ量 1億件 11

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読者の過去20日間の利用頻度、閲覧した記事本数か ら算出される数値を事業に関わる人全体で向上させる べきものとして定義 →エンゲージメント指標 →この数値が高いほど読者が解約しにくい データを元に共通の目標を設定 12

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13 ● Super Loyal ● Loyal ● Middle ● Light ● Dormant エンゲージメントの数値によって5つのカテゴリーにわ けている エンゲージメントレベル

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14 ● 外部のSaaS型+オンプレからAWS上に内製のプラットフォーム を構築 ● データを分析したり、収集したりする自由度が圧倒的に上がった ○ RedashやElasticsearch/Kibanaで分析 新データプラットフォーム Atlas

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ここまでの話 ● そもそも顧客データを持っていなかった会社が集める ようになった ● 自社製のデータプラットフォームを構築 →あとはデータを扱える人を増やしていく 「データ分析の民主化」 15

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お金や人をかけて、仕組みは作った。 、、、でも誰も使わない 実際よくある話 16 触り方がわからない、 アクセス方法がわからない、 忙しくて手が付かない

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2017年からデータドリブンを進めていくためのトレーニングの枠組み として「データ道場」を開始 そこで「データ道場」 17

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データ道場の概要 ● 3ヶ月に渡ってデータ分析のためのノウハウを身につけるための トレーニング ● 毎週1日3時間、5〜10人ぐらい ● 宿題が出るときも ● データ分析のトレーニングをやっているデータミックス社にカリ キュラム作成と講師役を委託 18

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データ道場のカリキュラム 19 ● SQL基礎 ○ 簡単なSELECT文 ○ 縦持ち横持ち ○ with句 ● 実践編 ○ PDCAサイクルをど う回すのか ○ 各チームごとの事 情に合わせてカス タマイズ

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施策をやるときの基本姿勢を身につける ● ビジネス上のゴールに結びついているか ● ビジネスゴールに結びつくKPIを設定 ● KPIとそれをトラッキングするダッシュボード ● 施策の中止条件 ● サンプルサイズの決め方 ● 予想されるインパクト(期待値) ○ できればシミュレーションする 20

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21 ダッシュボード 各担当者がredashでクエリを書いて、ダッシュボードを作成 Kibanaなど他の可視化ツールを使うこともある

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● シミュレーションをしてみると、やろうと思っていた施 策があまりインパクト出ないかもしれないことがわか る ○ 例:機械学習でユーザーの回遊性をあげるよりも、 スマホアプリのインストール率/利用率を上げるほう が効果がある ● 特に直接経費がかかるようなものは試算してみる 施策をする前にインパクトを考えてみる 22

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事例:PC版の記事下リンクパーツ 23 データ道場に参加した担当者がその後UI改善に取り組んで、クリッ ク率を4倍にアップさせた

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● 分析・マーケティング担当者向け ● 編集関係者向け ● PCサイト担当者向け ● SQL基礎編のみコース(デザイナー、マーケティング、広告担当 者なども) ● B2B担当者向け ● マーケティング・プロモーション担当者向け 社員200人以上がSQLの基礎的な知識を持っている これまでのデータ道場 24

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● データ分析はまともにやろうとするとかなりコストがかかる ○ 一部のデータサイエンティストだけに任しておいても、やれる範 囲が限られる ● 分析をすることで担当者が初めて足りないデータに気がつく ○ たいてい最初はPVなどの最低限のデータしかとってない ○ 分析ができないことで、追加で取得しないといけないデータがわ かる→開発時にそれを入れ込むようになる ● 各プロダクトの担当者が関わることで初めて本当に役立つデータ が取れるようになる そもそも何でデータの民主化が必要なんだっけ? 25

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● まだまだ道半ば ● より大きな施策にたくさん取り組んでいかないといけな い ○ その際に必ずデータを見る能力が必要になる ○ たくさんの人が同じ知識レベルで話せるようにしたい 実際には 26