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テックリードは未来の話をしよう Tech Lead in Scrum 2020/01/08 Regional Scrum Gathering Tokyo 2020 Mitsuyuki Shiiba EC Incubation Development Dept. Rakuten, Inc.

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Photo by Camylla Battani on Unsplash

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テックリードは未来をつくってる • 大変だけど面白いよねという話 • 今日は技術ではなくてチームづくりの実践と学びの話

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椎葉 光行 (@bufferings) 好き: Java, Scrum, DDD, k8s 楽天株式会社 大阪支社 (2010年〜) ウェブアプリケーションアーキテクト 自己紹介

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ECインキュベーション開発部 ECインキュベーション開発部 インフラ担当部署 デザイン担当部署 プラットフォーム担当部署 開発 グループ 開発 グループ 開発 グループ サービス サービス サービス 開発グループ EM SM PO 開発チーム ENG TL ENG … 開発チーム ENG TL ENG …

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改善グループ EM SM PO 開発チーム ENG TL ENG … 開発チーム ENG TL ENG … 内側からサポート スクラム・モブプロサポート 技術的なサポート

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テックリードって必要ないんじゃないか? Photo by Olga Guryanova on Unsplash

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“ある人にしかできない作業があったとしても、スクラム における開発チームのメンバーに肩書きはない。” スクラムガイド - Scrum Guides https://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf アクセス日 2020/01/04

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“開発チームのメンバーに専門能力や専門分野があっ たとしても、最終的な責任は開発チーム全体が持つ。” スクラムガイド - Scrum Guides https://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf アクセス日 2020/01/04

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テックリードをなくそうとしてるスクラムチームのサポート テックリードが苦しむだけだった • テックリードが見てる世界はまだメンバーには見えていない • まだスキルが足りてなくて最終的にはテックリードの判断になってしまう • こぼれ落ちてしまう部分はテックリードが全部拾ってしまう 結果 どうしてやってくれないんだろう?とイライラしてしまう 実験と観察

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「スクラムをやるために開発してるんですか?」 僕が8年くらい前に当時の上司から言われたこと そんなときに思い出す言葉

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テックリードはやっぱり必要だな じゃあ、どうしてスクラムにはテックリードって役割がないんだろう?

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テックリードって何をしてるっけ? Photo by Jaime Spaniol on Unsplash

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テックリードって何をしてるっけ? コードレビュー 会議 アーキテクチャ スクラムマスターと相談 決断 仕様のチェック プロダクトオーナーと相談 他部署と調整 技術的プロダクトオーナー 方向性を決める コーディング チームの育成 インフラチームと相談 設計 技術的負債 窓口 設計レビュー メンバーの相談 技術選定

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わかる でも、ずっと続けるのはなんか違うなぁ… 技術的な最後の砦

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未来への時間軸

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将来的に… 未来への時間軸 チームに渡していきたい チームのために引き受けたい プロダクトオーナーと相談 方向性を決める コーディング チームの育成 技術的負債 メンバーの相談 技術選定 コードレビュー 会議 アーキテクチャ スクラムマスターと相談 決断 仕様のチェック 他部署と調整 インフラチームと相談 設計 窓口 設計レビュー 技術的プロダクトオーナー

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将来的に… 未来への時間軸 チームの成長 組織の形 プロダクトオーナーと相談 技術的プロダクトオーナー 方向性を決める コーディング チームの育成 技術的負債 メンバーの相談 技術選定 コードレビュー 会議 アーキテクチャ スクラムマスターと相談 決断 仕様のチェック 他部署と調整 インフラチームと相談 設計 窓口 設計レビュー

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 成長を支える

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The 7 Levels of Delegation Delegation Poker & Delegation Board - Management 3.0 Practice https://management30.com/practice/delegation-poker/ アクセス日 2020/01/04 参考:「自分がやる」と「相手がやる」の二択じゃないよ © Management 3.0 2020 https://management30.com/

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 成長を支える

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 成長を支える 向かうべき?

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 成長を支える 向かうべき? 正直わからん! (マネージャたちを信頼してる)

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 成長を支える 差分を吸収

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 成長を支える 差分を吸収 組織の中でチームの成果を最大化するよう動いている

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ここまでのお話 • テックリードは必要そう • テックリードは組織の中でチームの成果を最大化してる じゃあ、どうしてスクラムにはテックリードって役割がないんだろう? の前にちょっとよりみち テックリードは未来の話をしよう

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学び:チームの成長を支える Photo by Gaelle Marcel on Unsplash

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開発チーム TL PO SM 最初は最前線で引っ張って

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開発チーム TL PO SM チームの成長に合わせてだんだん中に入って一緒に動いて

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開発チーム TL PO SM 最終的には一番後ろで奉仕するようになる

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学び:チームの成長を支える 1. に適応する 2. を信頼する 3. を否定しない

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変化に適応する • チームの成長に合わせて立ち位置が変わる • そもそも世界はすごいはやさで変化し続けてる • 自分の過去の成功体験にとらわれず、常に「今何をするべきか」を考える

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1. に適応する 2. を信頼する 3. を否定しない 変化 学び:チームの成長を支える

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何を信頼する? お願いしたことをやってくれるという「結果を信頼する」? ではなくて「コミットメントを信頼する」 約束したことをやりとげてくれるということを信頼する? ではなくて「献身を信頼する」 信頼は大切だってよく言われるけど

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“So, commitment is about dedication and applies to the actions, the effort, not the final result.” 椎葉訳:コミットメントは『献身』についてのことであり、それは 最終結果に対してではなく、行動や努力に対して適用される。 There’s value in the Scrum Values | Ullizee https://guntherverheyen.com/2013/05/03/theres-value-in-the-scrum-values/ アクセス日 2020/01/06

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献身を信頼する 全力で考えて全力で取り組んでいるということを信頼する • 「信頼して任せたのに結果を出してくれなくて残念だ」 →結果を信頼してるから違う • 「うまくいかなかったのは努力が足りなかったからだ」 →全力であることを信頼してないから違う • 「うまくサポートできなくてごめん」 →全力でやってるんだから自分がどう支えるかの問題になる

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1. に適応する 2. を信頼する 3. を否定しない 変化 献身 学び:チームの成長を支える

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心を否定しない もし、違和感があっても • 「その人がそう感じた」という事実を否定しない • 心を変えるのではなくて、それを生み出す元となった部分を取り除く

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心を否定しない 例「テストを書くのがめんどくさかったから書かなかった」 ⾃分の中の正しさを強要しない めんどくさいとかそういうのじゃないやろ そう感じたということを受け⽌める そっかめんどくさかったんですね 源泉を⼀緒に探す でもどうしてめんどくさかったんだろう︖な るほど、組み合わせが多すぎてどうやったら 良いかが分からなかったということだったん ですね。 取り除く どの組み合わせをテストするべきかを⼀緒に 考えましょうか。

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学び:チームの成長を支える 1. に適応する 2. を信頼する 3. を否定しない 変化 献身 心

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ここまでのお話 • テックリードは必要そう • テックリードは組織の中でチームの成果を最大化してる • チームの成長を支える じゃあ、どうしてスクラムにはテックリードって役割がないんだろう? テックリードは未来の話をしよう

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テックリードはスクラムの中でどう動くか?

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 成長を支える 差分を吸収 組織の中でチームの成果を最大化するよう動いている

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スプリントの 外側 スプリントの 内側 チーム

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PDM (Product Manager) プロダクトオーナー + 組織的なあれこれ DVM (Development Manager) テックリード PJM (Project Manager) スクラムマスター + 組織的なあれこれ

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ここまでやってみて実感

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 スクラムはココから始まる だからテックリードが不要

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なるほど? そう考えてみたら、最初からそう言ってることに気づいた顔

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 でも、現実はここらへんにいる

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さて、どうしよう?

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 自分たちの道を切り開く

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チームの成長 組織の形 職能横断組織 職能別組織 引っ張る人が必要 自己組織化 正解はない

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テックリードの役割 正解のない世界で自分たちの道を切り開くこと

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テックリードは未来をつくってる 面白いなぁ

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ここまでのお話 • テックリードは必要そう • テックリードは組織の中でチームの成果を最大化してる • チームの成長を支えるときに大切なこと • スクラムを実感 • テックリードは未来をつくってる テックリードは未来の話をしよう

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学び:未来をつくる Photo by Suraj Patil on Unsplash

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正解のない世界で自分たちの道を切り開くこと 未来をつくる

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正解のない世界で自分たちの道を切り開くこと 未来をつくる 1. 現在地を確認 2. 目的地を確認 3. 進む

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1. 現在地を確認 2. 目的地を確認 3. 進む この繰り返し

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1. 現在地を確認 2. 目的地を確認 3. 進む 現状を受け入れる 自分色のビジョン 選ばない選択 大切だなって思うこと

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1. 現在地を確認 2. 目的地を確認 3. 進む 現状を受け入れる 自分色のビジョン 選ばない選択 大切だなって思うこと

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現状を受け入れる 期待が足元を見えにくくする • もう3年目・EM・専門チームなんだから、これぐらいのことはできてほしい • このスケジュールでやってほしい • 職能横断的な組織であるべきだ 1. 現在地を確認するときに考えること

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現状を受け入れる 1. 現在地を確認するときに考えること 期待 現状 なんでここにいないの?って 言っても何も変わらない ここにいることを受け入れることで 次の一歩を考えることができる

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現状を受け入れる 期待からのマイナスではなく現状とそこからのプラスを考えよう • 現状の良いところをたくさん見つけよう • 足りない部分ではなくて、足すと今日よりも良くなる部分を考えよう • 成長に対して苦労を期待しなくていい 1. 現在地を確認するときに考えること

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誰かのせいにしたくなったとき • あの人のスキルが足りないからうまくいかない • あのチームの動きが良くないからうまくいかない • 職能横断組織になっていないからうまくいかない 誰かのせいにしたくなったときは期待で動いてる 現状を受け入れられていないサイン

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1. 現在地を確認 2. 目的地を確認 3. 進む 現状を受け入れる 自分色のビジョン 選ばない選択 大切だなって思うこと

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自分色のビジョン テックリードあるある • メンバーの意見を聞きすぎる • 多数決で行き先を決めようとする • 反対意見が出ただけで方針を変更してしまう ただの「いい人」になってる いきあたりばったりで未来に向かわない 2. 目的地を確認するときに考えること

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自分色のビジョン 強い信念を持って目指す場所を描こう • どんなシステムにしていきたいか • それを支えるチームをどう作っていきたいか など 2. 目的地を確認するときに考えること

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僕の場合:成長する場としてのチーム を実現させたいなと思ってる • 誰もがそこを3年ぐらいで通り過ぎていってくれてよくて • そこを通り過ぎる中で成長していくことができて • でも、そこに何かを残していってくれて • 「場」としてのチームは成長し続ける そういうチーム作りができたらいいなって 自分色のビジョン

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自分色のビジョン • 全員が賛成してくれるわけじゃない • 音楽性の違いはある • 違いを怖がらない 自分色のビジョン

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1. 現在地を確認 2. 目的地を確認 3. 進む 現状を受け入れる 自分色のビジョン 選ばない選択 大切だなって思うこと

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選ばない選択 色んな決断をしながら前進していく中で 「これをやっておけばよかった・・・」って思うことがある あのときにあのアーキテクチャを選択していればよかった。とか。 でも、それってできたのかな? 3. 進むときに考えること

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選ばない選択 自分たちの力や時間は限られてて 全てを拾い上げることはできない 3. 進むときに考えること

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選ばない選択 自分たちの力や時間は限られてて 全てを拾い上げることはできない だから何かを選ぶ そのとき僕が選んだのは、チームで技術的負債を返していくということだった 3. 進むときに考えること

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選ばない選択 「あのアーキテクチャを選択していればよかった・・・」 3. 進むときに考えること

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選ばない選択 それを選んでいた場合は、こうではなくて 3. 進むときに考えること

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選ばない選択 こうなっていたはず 技術的負債を返すことを選ばずに そのアーキテクチャを選ぶということ 3. 進むときに考えること

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選ばない選択 そう考えてみると、やっぱりこっちでいいんだった 僕はその部分を今回は選ばないという選択をしたんだった 3. 進むときに考えること

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選ばない選択 選んだことばかりを見てしまいがちだけど 何かを選ぶときには 何かを選ばないということも選んでいる これを認識しておく 3. 進むときに考えること

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1. 現在地を確認 2. 目的地を確認 3. 進む 現状を受け入れる 自分色のビジョン 選ばない選択 大切だなって思うこと

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失敗を恐れない • 失敗を怖がらなくていい • 失敗するところまでいこう • 失敗から学んで次の一歩を踏み出そう

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1. 現在地を確認 2. 目的地を確認 3. 進む 現状を受け入れる 自分色のビジョン 選ばない選択 失敗と学習 未来をつくる回転

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まとめ 「テックリードが必要な場」に立ってスクラムを実践してみて実感したのは 今、自分たちの立っている場所 テックリードはその場から未来を描いて一歩ずつチームと共に歩んでいる

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テックリードをサポートする中での学び

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自分に優しくしよう テックリードは責任感が強くて自分に厳しい人が多い

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自分にも適用する 成長を支える 未来をつくる どうするか?

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成長を支える 1. に適応する 2. を信頼する 3. を否定しない 変化 献身 心 1. に適応する 2. を信頼する 3. を否定しない 自分が全力で頑張ってることを信頼して 自分が感じたことを受け止めて 今の自分が一歩進むために何ができるかを考えよう

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未来をつくる 「自分はこうあるべきだ」って期待に惑わされずに 今の自分を受け止めて良いところをほめて 一歩ずつ失敗しながら前進しよう

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未来の話をしよう そんな風に、チームに優しく、自分に優しく、前を向いてチームと自分の

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クロスファンクショナルグループ 最近試してるのは同じグループ内にSREやQAチームを作ること おまけ インフラ担当部署 デザイン担当部署 プラットフォーム担当部署 サービス 開発チーム SREチーム QAチーム