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XP2024 っていう 国際会議に行って きたよの記 ぼのたけ(今井健男) 2024/9/28 @ XP祭り2024

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自己紹介 今井健男(ぼのたけ) @bonotake フリーランスアジャイルコーチ •スクラム / アジャイル導入支援、プロダクトマネ ジメント支援、開発組織づくり支援 •現在は主にログラスで、スクラムマスター からのアジャイルスケーリング支援など •チーム焼肉 ソフトウェア工学研究者 •以前、某電機メーカーの研究所にて企業研究 •現在、国立情報学研究所にてスクラム / アジャイルの研究

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2024/6/4~7 に イタリア・ボルツァーノで 開催された国際カンファレンス XP2024とは

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フルネーム:The 25th International Conference on Agile Software Development XP2024とは

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フルネーム:The 25th International Conference on Agile Software Development XP2024とは ????

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元々XPに関するカンファレンスだったが 現在はアジャイル全般に関する会議に なっている XP2024とは

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ノベルティの ボトル 現地でめっちゃ重宝しました

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XP2024とは • なんと今年25周年! • 過去にはKent Beckが何度もキーノートなどで参加 (XP 2001, 2002, 2003, 2010, 2015) • 日本から参加したのは僕だけだったっぽい • 日本人はもう1人スペイン在住の方が参加

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もう1つの特徴 • アカデミックな学会の体裁を取っている • 「サイエンスは我々の強い武器になる」という創設以来の コンセプトがそのまま受け継がれている • なので、 • アジャイルを研究している世界中の研究者が集まる • 研究者と実践者が同じトラックで区別なく発表するし、聴衆も 研究者と実践者がごちゃまぜ 僕は普段同じ分野の研究者との議論に飢えているので、とてもいい 機会だった

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そのせいか、 • 批判的な、しかしリスペクトに満ちた意見が飛び交う • 非常に建設的でエシカル • 強い意見を表明する人も中にはいるが、それでもおおらかな雰 囲気の中で議論が進む • マサカリを投げる人はいない

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開催地: ボルツァーノ (イタリア) • イタリア北部 • あんまりイタリアっぽくない • 元オーストリア領 • ドイツ語も公用語 • 日本から24時間以上かかりました…

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現地のトイレ どこを押すと水が流れるでしょ う?

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正解

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第2問 どこを押すと水が流れるでしょ う?

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正解 正解

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では こっちは? ではこっちは?

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会場: NOI Techpark

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こっちが 会場だった 正解 NG そして悲劇が… 会場: NOI Techpark

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いきなり道に 迷った • 会場の方向と反対側に進んでビルに入った が、案内も何もなく、ひたすらビルの中を さまよった • エレベーターに乗ったら、やはり参加者の 1人と思われる方も一緒に乗ってこられた • そのあと2人であーでもないこーでもないと 言いながらビル内を探検することに

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Diana Larsen でした • 『アジャイルレトロスペク ティブズ』 共著者 • 元 Agile Alliance 理事長

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後日 もう彼女と会ったし、何なら一 緒に会場の中で迷ったんすよ 迷うなら、一人より誰かと共に ありたいものです。タケオと思 いがけず出会えて、とても嬉し いですよ。

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初日のお昼 お昼をたまたま一緒に食べた 人がJoseph Yoder だった

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もらった

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プログラム構成: ワークショップ 1日+本会議 3日 • アカデミアの国際カンファレンスと同 じ構成 • 「ワークショップ」は学会のワーク ショップ(トピックを絞った議論多め の研究発表会)とプラクティカルな ワークショップが混在

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OST

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ポスター発表 ポスター発表

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Self- Organized Bookstore Self-Organized Book Store

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XPカンファレンス が始まる経緯 偶然25周年記念大会で、オープニングで過去 の歴史を振り返っていた • “eXtreme Programming Explained”(a.k.a. 白本)出版に向けた活動が進むとともに、 XPのカンファレンスを開催したいという ムーブメントがコミュニティの中に生まれ た • 実行委員会が1999年に生まれ、2000年に初 の開催 • 初期は全てイタリアで開催

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過去のパネリスト (紹介されていた人たち) • Ron Jeffries, Martin Fowler, Alistair Cockburn, Steven Fraser, Kent Beck, and Uncle Bob XP2000 (Cagliari, Sardinia, Italy) • Ken Schwaber, Mary Poppendieck, Martin Fowler, Kent Beck, and David Parnas XP2002 (Alghero, Sardinia, Italy)

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過去のパネリスト (紹介されていた人たち) • Ron Jeffries, Martin Fowler, Alistair Cockburn, Steven Fraser, Kent Beck, and Uncle Bob XP2000 (Cagliari, Sardinia, Italy) • Ken Schwaber, Mary Poppendieck, Martin Fowler, Kent Beck, and David Parnas XP2002 (Alghero, Sardinia, Italy)

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Keynoteの紹介

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Keynote Day 1 “The Evolution of Agile: From Then, ‘til Now” by Diana Larsen

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“Agile is Dead” • 欧米では既にアジャイルを導入する企業が大半で、プロダクト開発の メインストリームになっている • スケーリングも日本と違い、企業まるごとが対象になることが多 い • メインストリームになった故、批判の声も大きくなっている • 特にスクラムは「レガシー言語」化した印象 • (SAFeが支配的になったことも大きい?)

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Kaynote Day2 Fitzgerald, Brian & Stol, Klaas-Jan. (2014). Continuous Software Engineering and Beyond: Trends and Challenges. 1St International Workshop on Rapid Continuous Software Engineering, Rcose 2014. 10.1145/2593812.2593813. より “BizDevOps: From Business Idea to Customer Product on a Weekly Basis” by Brian Fitzgerald

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Keynote Day3: “All the Small Things” by Alberto Brandolni リモート全盛の世の中になって、アジャイルは色々辛くなったという話 • ファシリテーションでは “micro-laziness”(参加者にやらせる)が重要なの に、リモートだとできない • “Zoom Fatigue” … ちょっとずつ疲れる が蓄積する • オンサイトだと自然にできること(全体を見渡す、etc.)を、オンライ ンだと意識的にやらないといけない • それが意思決定を遅くする

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プロセスやツールよりも個人と対話を

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プロセスやツールを通じてのみ個人と対話を

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JIRAとTeamsを使え それは既に定められし事だ!

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以上3スライドは https://www.slideshare.net/slideshow/all-the-small-things- xp2024-bolzano-bozen/269646051 からお借りしました (日本語訳は発表者)

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面白かった セッション紹 介

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“Connetcting the Dots of Knowledge in Agile Software Development” by Raquel Ouriques • “Boundary Artifact”(ドキュメントなど、チーム間・部門間・チーム とステークホルダーの境界にある、知識を蓄積する成果物)が信頼で きないとき、どうなるか?を調査した • → ドキュメントを避けて代替手段を探したり、独自に資料を作り直 したりする • → 不具合やトラブルの原因に • だから、アジャイルといえどドキュメントいい加減にしちゃだめよ • 共通の用語集の作成とか、対話の促進とドキュメント化とか

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“Continuous Product Delivery” by Denis Chekhlov • CI/CDとかDevOpsとか、意味が「本来のXP」からずいぶん変わっ ちゃったね… • CI/CD とかツール群の名前になっちゃったし • DevOpsとかエンジニアの職種になっちゃったし • XP にプロダクト志向を加えて Continuous Product Delivery って名 前で再出発しよう! • ノリは「本来のXPに還れ」 • CPD = Lean + CI + CD + CT + 心理的安全性

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“How to Stop SpoftiSafe?” by Martijn Oost • SpotifyモデルとSAFeを魔合体させた “SpotiSafe” なるものがあるら しい • 流石にそんなのやらんほうが良くない?っていうセッション (僕は参加してませんが、趣旨が面白かったので紹介)

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“Neurodivergent Struggles in Agile” by Christiane Schabarum • Neurodivergent: 自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害など、脳の 発達や機能が一般的なパターンと異なる特性を持つ人々を指す概念 • 別のセッションでもこの話題で議論になった • 登壇者はADHDのスクラムマスター、自身の体験談を紹介 • タスク管理ができない • うまくコミュニケーションが取れない • チームは重要と思ってないことを重要だと思い込んでしまう • 人口の10~20%はNeurodivergent 、「こういう人もありふれてい る」という事実を認知してほしい、というメッセージ

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“Selected Concepts of Leadership in Self-Organizing Teams” by Jakub Perlak (ポスター発表) アジャイルチームでは、 • 垂直方向のリーダーシップ(特定のリーダーにメンバーがついていく) • 水平方向のリーダーシップ(メンバー同士がリードしあう) の両方が存在して、そのバランスが重要 → その仕組みを研究してるよ、という話 • シェアードリーダーシップ、分散型リーダーシップ、バランス型リーダーシップ が鍵にな る? ※ 僕と研究の興味が近くて、彼と合間に議論できたのがとても貴重でした

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“Team evolution with DDD and Dynamic Reteaming” by Ornela Vasiliauskaite • 静的なチームの組織からFASTベースの組織に移行 • そのとき、DDDのドメインモデリングを使って自分たちの組織をモデリン グし、そのモデルをベースにしたのが成功のカギになった • フレームワークは便利だけど振り回されるのよくない • 移行前に机上で20以上のオプションを検討したがうまくいかなかった • → 失敗するのは当たり前で、失敗を避けようとしないことが一番重要

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おわりに やっぱり海外のカンファレンス はめちゃめちゃ刺激になる • めっちゃ読んだ本(+論文)の著者がそ こらを歩いてた • 日本国内のコミュニティでは得られない 知見や考え方に触れられる 1 アジャイルの研究も触れてみる と面白いよ 2 語学力はあればあるほどいい • しかし、最近は翻訳アプリとか書き起こ しアプリがやたら性能いいので、数年前 と比べてはるかに敷居は下がってる • 疲れた時にiPhoneでアプリ起動したま ま座席で寝てたら、終わったころ全部 要約してくれてすごく助かったりした 3

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おしまい