XP祭り2024での登壇資料です
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6月4日から4日間、イタリアのボルツァーノというところでXP2024なるカンファレンスが開催され、そこに行ってきました。
現地で観測する限り、日本から参加したのは僕だけでした(間違ってたらごめんなさい!)。このセッションでは、そんな僕だけが現地で堪能したこの思いを皆さんにおすそ分けすべく、参加報告をしようと思います。
XPという国際カンファレンスは実はとても古いカンファレンスで、今年は25周年という記念すべき会でした。名前の通り元々はXPにまつわるカンファレンスだったのですが、今ではアジャイル全般を扱うカンファレンスになっています。
もう1つXPが特徴的なのは、他のアジャイルのカンファレンスと違って、アカデミックな学会の体裁を取っていることです。「サイエンスは我々の強みになる」という創設時以来のコンセプトから、実践者だけでなく、アジャイルを研究する研究者が世界中から集ってくるのです。
(実は、自分がこのカンファレンスに参加したのもこれが一番大きな理由でした。僕は現在アジャイルコーチの傍ら研究者としてアジャイルの研究をしているのですが、日本では、アジャイル実践者のコミュニティはとても大きいのに、研究コミュニティが存在しないのです…)
そして、研究者による学術的な発表なのか実践者の登壇なのか、プログラム上は一切区別がつけられていません。1つのトラックの中で、大学の先生や学生による研究発表があったかと思えば、すぐ後にアジャイルコーチによるプラクティスの紹介が続いたりします。聴衆も、実践者と研究者がごちゃまぜです。
そのためか、現地はアジャイルコミュニティらしいリスペクトに満ちた、しかし「自分の考えは違う」という批判的意見の表明が議論の中でなされる、そんな「建設的な対立」が穏やかに成り立っている、素敵な雰囲気のあるカンファレンスでした。
さて、偶然にも25周年記念というめでたい会に参加できたのですが、一方で、複数の講演から「今アジャイルは転換点にある」という、日本のコミュニティではなかなか感じられない空気感も感じられました。
海外では日本より遥かにアジャイルの普及が進み、今やとっくにアジャイルは開発手法のメインストリームになっています。そしてメインストリームになったからこそ、批判や否定的意見も多く聞かれるようになっています。カンファレンスの中でも "Agile is dead" というフレーズを何度も耳にしました。
もちろん、このカンファレンスの参加者にアジャイルに否定的な人はいませんでした。ただ、アジャイルをもっとちゃんとやればうまくいくはず、と思っている人もいる一方で、アジャイルを見直そう、もっと進化させよう、と思っている人も多数いました。
そんな、日本国内ではなかなか知ることのできない海外のアジャイルのトレンドも、XP2024での講演などの紹介を通じてお話できればと思っています。