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Finding Key Players in Networks Sansan株式会社 DSOC R&D研究員 ⼩松尚太

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※ 掲載されている内容等は発表時点の情報です。 ※ 公開に当たり、資料の⼀部を変更・削除している場合があります。

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Data Strategy and Operation Center ⾃⼰紹介 • 農学修⼠ • 2020年5⽉⼊社 • 前職はコートジボワールにある 国際農業研究機関 ⼩松 尚太 Sansan株式会社 DSOC R&D 研究員 Shota Komatsu オンライン名刺

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ネットワークにおける「キープレーヤー」は誰か? Question

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Data Strategy and Operation Center キープレーヤーの定義 (Ballester et al., 2006) そのノードをネットワーク から取り除いたとき、 ネットワーク全体の活動量 ∗ が最も下がるようなノード。 ∗ = arg max " (∗ − ∗(#" )) キープレーヤー中⼼性

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この場合、 A: 60 - 40 = 20、B: 60 - 55 = 5 AがKey Playerとなる B A パフォーマンス: 60 A 40 B 55

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Data Strategy and Operation Center 数々のキープレーヤー問題 • ⻘少年ネットワークにおける⾮⾏のキープレーヤー (Liu et al., 2020) • 企業間のR&Dネットワークにおけるキープレーヤー (Köing et al., 2019) • アフリカの経済活動のKey Districts (Amarasinghe et al., 2020) • 第⼆次コンゴ戦争におけるKey Groups (Köing et al., 2017)

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Data Strategy and Operation Center キープレーヤー特定における課題 1. ネットワーク上のノード間の相互作⽤をどう識別するか? 2. あるノードを取り除いたあと、残りのネットワークはどう変化するか? • 本発表では、ノードを取り除いても残りのネットワークは変化しないと仮定

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ネットワーク上のノード間の 相互作⽤をどう識別するか

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Data Strategy and Operation Center ネットワーク上のノード間の相互作⽤ ! !" " ! !" " つながっている他のノードのアウトカム (Spillover effect) ⾃⾝のノードの属性 つながっている他のノードの平均的な属性 (Contextual effect)

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Data Strategy and Operation Center ネットワーク上のノード間の相互作⽤ • ネットワーク上のつながりを表現した隣接⾏列 を⽤いて、 = + 1! " + # + ) $ + ⟹ = ! − %#(1! " + # + ) $ + ) と表現できる。 Spillover effect Contextual effects

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Data Strategy and Operation Center ネットワーク全体の活動量の計算 • キープレーヤー特定のために、ネットワーク全体の活動量 ∗が必要。 • パラメーターを推定して、 0 ∗ = 1' ! − 2 %# (1! 3 " + 3 # + ) 3 $ ) を計算したい。

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Data Strategy and Operation Center パラメーター推定の阻害要因 Spillover effect: アウトカム決定の同時性 アウトカムとつながり両⽅に 影響をあたえる要因 ! !" " !

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Data Strategy and Operation Center 同時性バイアスにどう対処するか? Liu et al. (2020) 隣接⾏列 が外⽣的なとき、操作変数⾏列を = [1! , , * , 1! , , * ] として、以下のモーメント条件を⽤いてパラメーターを推定する。 " − − # 1! − $ − * % = 0

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Data Strategy and Operation Center 操作変数のアイデア 「友達の友達」を利⽤する (Bramoullé, Djebbari, and Fortin, 2009) i j k a Spillover effect

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Data Strategy and Operation Center ネットワーク⽣成の内⽣性への対処 • ネットワークそのものが内⽣的に決まる場合はどうするか? Kelejian and Piras (2014), Köing et al. (2019), Liu et al. (2020) ノード と がどれだけ似ているかを捉えた、外⽣的なホモフィリー指標 (例えば、同じ性別かどうか)を⽤いて、隣接⾏列 を予測する。 操作変数で⽤いられている を予測された隣接⾏列 ' に置き換え、 ⼆段階最⼩⼆乗法/GMMにより推定する。

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Data Strategy and Operation Center Monte Carlo Simulation

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Data Strategy and Operation Center 推定⽅法のまとめ 1. リンクが形成される確率 Pr("# = 1) を、外⽣的なホモフィリー指標を ⽤いて予測し、予測された隣接⾏列 ' を得る。 2. 予測された隣接⾏列 ' を⽤いて、操作変数⾏列を作る。 3. ⼆段階最⼩⼆乗法/GMMを⽤いて、パラメーターを推定する。

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Data Strategy and Operation Center キープレーヤー特定のアルゴリズム 各ノード に対して、以下のようにキープレーヤー中⼼性を計算する。 1. ネットワーク から、ノード を取り除く。 2. ノード を取り除いたときのネットワーク全体の活動量 ∗("# ) を、 ∗ "# = 1$ % $ − * "# "& (1$ - ' + "# - & + 1 "# - ( )として計算する。 3. 同様に ∗ Λܭࢉ͠ɺΩʔϓϨʔϠʔத৺ੑ ∗ − ∗ "# を求める。 キープレーヤー中⼼性が⾼いノードを、そのネットワークのキープレーヤーとする。

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応⽤例1 : ⽇本の市区町村ネットワークで 経済活動を⽀えるキープレーヤー

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Data Strategy and Operation Center 南関東における市区町村のキープレーヤーはどこか? 名刺アプリ「Eight」の名刺交換データから、市区町村間のネットワークを構 築し、南関東における市区町村のキープレーヤーを特定。 詳細は「Sansan, speaker deck, key cities」で検索下さい。 https://speakerdeck.com/sansandsoc/the-economics-of-business-networks-and-key-cities * 分析に際しては個⼈を匿名化し、2017年1⽉1⽇から2017年12⽉31⽇までに⾏われた名刺交換の情報を、 Eightの利⽤規約で許諾を得ている範囲で使⽤した。

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Data Strategy and Operation Center 南関東における市区町村のキープレーヤー 都道府県 市区町村名 東京都 新宿区 東京都 渋⾕区 東京都 港区 東京都 杉並区 東京都 世⽥⾕区 東京都 品川区 東京都 武蔵野市 東京都 中野区 埼⽟県 さいたま市⼤宮区 神奈川県 横浜市⻄区

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応⽤例2 : ITツールの利⽤を⽀えるキープレーヤー

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Data Strategy and Operation Center ⽬的 ITツールの利活⽤を⽀えるキープレーヤーを利⽤者の中から特定する • ITツールの利⽤率を向上させる取り組みに活⽤できる可能性がある • 企業内に蓄積されるITツールの利⽤データ(情報資産)の 新たな活⽤⽅法になり得る • ຊ෼ੳͰ͸ɺࣾ಺ωοτϫʔΫΛ໌Β͔ʹ͢ΔͨΊʹɺ ࣗࣾʢ4BOTBOגࣜձࣾʣ಺ݶΓͰڞ༗͞Ε͍ͯΔ໊ࢗަ׵ʹؔ͢Δ σʔλΛར༻

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クラウド名刺管理サービス 名刺管理から、働き⽅を変える

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Data Strategy and Operation Center ITツールの利⽤を⽀える社内のキープレーヤーは誰か? ⽉間利⽤率(⽉) : 60 ⽉間利⽤率 : ??? • ツールのヘビーユーザーと⼀緒に仕事すると、共にツールを使うので利⽤率が⾼まる • ⼀緒に仕事した⼈の役職や部署ごとの使い⽅に影響を受ける

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Data Strategy and Operation Center 使⽤したネットワークデータ Sansan株式会社の社内ネットワークを、名刺交換に基づき推定。 A B C D E W社 鈴⽊さん X社 斎藤さん Y社 佐藤さん Z社 斎藤さん A B C D E

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Data Strategy and Operation Center Sansan株式会社の社内ネットワーク

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Data Strategy and Operation Center Key Player Profiling • 誰がキープレーヤーであるか? • どの変数が効いてキープレーヤーとなったのか?

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まとめ

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Data Strategy and Operation Center まとめ • 「ネットワーク上のキープレーヤーは誰か」という問いに答えたい • ネットワークのノード間の相互作⽤を識別する必要性 • ネットワーク計量経済学の⽬覚ましい発展がそれを可能としつつある • 分析⼿法のさらなる洗練、実務への応⽤を追求していく

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Data Strategy and Operation Center References - Amarasinghe, A., Hodler, R., Raschky, P. A., & Zenou, Y. (2020). “Key Players in Economic Development.” IZA Discussion Papers, No. 13071, Institute for the Study of Labor (IZA), Bonn. - Ballester, C., Calvó-Armengol, A., & Zenou, Y. (2006). “Who's who in networks. Wanted: The key player.” Econometrica, 74(5), 1403-1417. - Bramoullé, Y., Djebbari, H., & Fortin, B. (2009). Identification of peer effects through social networks. Journal of econometrics, 150(1), 41-55. - Kelejian, H. H., & Piras, G. (2014). “Estimation of spatial models with endogenous weighting matrices, and an application to a demand model for cigarettes.” Regional Science and Urban Economics, 46, 140-149. - König, M. D., Liu, X., & Zenou, Y. (2019). R&D networks: Theory, empirics, and policy implications. Review of Economics and Statistics, 101(3), 476-491. - König, M. D., Rohner, D., Thoenig, M., & Zilibotti, F. (2017). Networks in conflict: Theory and evidence from the great war of africa. Econometrica, 85(4), 1093-1132. - Lee, L. F., Liu, X., Patacchini, E., & Zenou, Y. (2020). “Who is the key player? A network analysis of juvenile delinquency.” Journal of Business & Economic Statistics, 1-9.

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