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⼈が信頼してしまう 「インタラクションの設計」 AI Lab ⾺場 惇

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⾃⼰紹介 ⾺場 惇(Baba Jun) Research Scientist 株式会社サイバーエージェント AI Lab 接客対話グループ責任者 ⼤阪⼤学⼤学院 基礎⼯学研究科 招聘研究員 学位︓修⼠(京都⼤学⼤学院 情報学研究科) 専⾨領域︓ 機械学習・画像処理・⾃然⾔語処理・インタラクション baba5246 Jun Baba

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サイバーエージェントのご紹介

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売上構成⽐

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AI Lab の設⽴ (2016年) デジタルマーケティングの課題を 人工知能技術で解決するための、研究開発部署 < 数多くの産学連携 > < 取り組む研究領域 >

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⼤阪⼤学 ⽯⿊研究室との共同研究 社会実装に重きをおいた「人間とは何か」を研究する研究室

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⼤阪⼤学との共同研究講座 大阪大学の中に研究室をつくる「共同研究講座」という仕組み。 大学教員と企業研究者が対等な立場で研究を行う。 大阪大学 基礎工学研究科 石黒研究室 先端知能システム共同研究講座 中西先生 (特任助教) 倉本先生 (招聘教授) AI Lab 研究員

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「対話エージェントによる接客」が研究テーマ カスタマーサポートにおける 「怒り感情制御」技術 ホテルでのおもてなしロボット @東急ステイ高輪 完全選択式チャットボット商品推薦 @4℃オンラインショップ Kuramoto, I., et al. : Conversational Agents to Suppress Customer Anger in Text-based Customer-support Conversations, HAI 2018 Nakanishi, J., et al. : Can a Humanoid Robot Engage in Heartwarming Interaction Service at a Hotel? HAI 2018

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ロボットに関する研究テーマ <ホテルでのおもてなしロボット> @東急ステイ <商業施設での声かけロボット> @ATC <能力を高める遠隔操作ロボット> @竹芝夏ふぇす ロボットが呼び込み ⼤阪で実証実験、商業施設を活⽤︓⽇本経済新聞 <代わりにしゃべる婚活ロボット>

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ロボットに関する研究テーマ(今⽇話す事例) <ホテルでのおもてなしロボット> @東急ステイ <商業施設での声かけロボット> @ATC <能力を高める遠隔操作ロボット> @竹芝夏ふぇす ロボットが呼び込み ⼤阪で実証実験、商業施設を活⽤︓⽇本経済新聞 <代わりにしゃべる婚活ロボット>

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最終的にやりたい理想的なサービス提供の姿 ① 気遣い・おもてなし によるラポールの形成 ② 情報推薦により ⾏動を促す ③ 広告・接客の できるロボット ※使用ロボット:「Sota® (ソータ) 」 (C) Vstone Co., Ltd. All rights reserved.

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今⽇のメイン 技術が完璧でない中で、 「インタラクション」を設計することで、 ロボットによる接客を成り⽴たせたい

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ホテルおもてなしロボット @東急ステイ

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東急ステイにおける実証実験(2018年3⽉から)

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⼈では⾏えない「すき間を埋める」サービス提供 ⼈だったら「押し付けがましい」「鬱陶しい」サービスが ロボットだったら受け⼊れられるのではないかという仮説を確かめる ① 廊下やエレベータ前などの共⽤部(←今⽇の話) ② 部屋(←現在実験している話)

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東急ステイ⾼輪店での声かけ実験 短い時間のインタラクション(声かけ・挨拶)において、 ロボットの積極的な介⼊は、どのように受け取られるのかを調べる

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インタラクションの時間 ・廊下は通り過ぎるだけ = 1秒 ~ 5秒のインタラクション ・エレベータ前は⽴ち⽌まる = 10秒 ~ 1分間のインタラクション ⇒ お客さんが会話したくなる可能性が⾼い

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インタラクションの⼯夫 <課題> ロボットが声をかけると話しかけにくる → 対話能力が弱いと、会話が破綻する <解決策> Passive-Social <実際のインタラクションの流れ> K. Hayashi, et al., “Humanoid robots as a passive-social medium - a field experiment at a train station”, HRI 2007 こんにちは! お疲れ様です。 !! お客さん、wifi の パスワードわかるかなぁ テレビの右下に 書いてあるし、 大丈夫じゃない? なるほど

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実験結果︓ あった⽅がよい︖ 邪魔だった︖ 温かく感じた︖ 楽しかった︖ 気分は良くなった︖ 受け⼊れられることが分かった

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経験との関係

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操作者の能⼒を拡張させる 遠隔操作ロボット @⽵芝夏ふぇす

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遠隔操作ロボット ● 遠隔にいる人が現場にいるロボットを操作して活動できる技術 ● 社会問題を解決する手段として、サービスが増えてきている領域 ○ 労働力人口の減少、少子高齢社会、都市部への人口集中、所得格差など Orihime 重度難病者が外に出る ためのロボット Telexistense, Inc. VR・センサーで 体をトレースする GITAI 遠隔宇宙作業ロボット

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遠隔操作ロボットに取り組む別の意味 ● ⾃律ロボットの⼤きな2つの課題 ○ 状況認識と対話能⼒が低い(どちらもドメイン特化な⼤量の学習データが必要) ○ どちらも⼈間(成⼈)は持っていて「当然」の能⼒ ● ⼈間が持つ優れた能⼒をロボットを通して使えるメリット ○ 対話が必要なほとんどの接客サービスがロボット経由でいつでもどこからでもできる ○ ⾃律の学習データが⼿に⼊る ● ⾃律ロボットのための学習データ収集 ○ どういう状況で何を発話しているか ○ 普通⼿に⼊らない、⼈間の⾏動を観察しても得られない ○ 同じ情報と同じ⾏動制約を与えられたときに、どう⾏動をとるか、というデータ

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受け⼊れられやすいインタラクションのために ● ほとんどの遠隔操作ロボットは「⼈間が操作していること」を明かす ⇒ 操作する⼈の能⼒に左右される ⇒ 対⼈間と同じ礼儀・マナー・緊張感・圧迫感を要求される ● 逆に「⼈間が操作していること」を薄めてみたらどうなるのか︖ ○ ロボットの持つ受け⼊れやすさ・無邪気さ ○ ⼈間が持つ対話能⼒・状況認識能⼒ ○ これらをうまく組み合わせることができる︖ ○ (⼈間がいることを知らせてない場合にどう反応する︖)

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⼈間感を薄める⼯夫 ● リアルタイム⾳声変換ソフトウェアで、声を変換する ○ ロボットっぽい声、⼥性っぽい声、 ○ 「ロボットの外⾒で違和感がない」&「何を⾔ってるのかが分かる」 という点で、⾼めの⼥性声(ピッチとフォルマントで調整)が今のところベスト

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操作者の表現能⼒を拡張させたい 操作者の表現をもっと豊かにするためのLEDパネルとSEを実装。 ⼈間ではできない表現⽅法で、「感情表現」能⼒を向上する⽬的。

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⽵芝夏ふぇすでの実証実験 8⽉21⽇ 〜 23⽇に⽵芝ふ頭の夏祭り(屋外)で接客実験を実施。 操作者は、お客様のお出迎え・商品推薦などの業務を遠隔から遂⾏する。

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当⽇の苦労 ● (⾬)ゲリラ的な⾬で、そもそも外に出せない (2⽇⽬からパラソル設置。が、横なぐりは防げない) ● (熱)1⽇⽬の15時台は気温⾼くてシステムが激アツ。接続不良が多発 ● (⾳)ステージから爆⾳ミュージックで20時台は⼈も会話できない。 急遽スピーカーを追加購⼊したが、20時台はダメ。 ● (回線)魔の19時台、ネットワークが死ぬ。⽚側の声が届かない問題多発

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実際の様⼦ ⼀緒にダンスする⼦供 (会話ができる・褒めてくれるロボットに テンションがあがり、何度もやってくる) 従業員とともに呼び込みをする (従業員が暇な時によく話しかける)

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● ロボットを通したコミュニケーションでは、「楽しさ」を多く感じられる ● 利⽤客の感じる「満⾜度」と操作者が提供できた「満⾜度」がほぼ同じ。 簡単なアンケート集計 齟齬なく 会話 コミュ うまく いったか 満⾜な サービス 提供 笑顔に できたか 楽し かった 簡単 だった

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まとめ

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今⽇伝えたかったこと ● 現状の、ソフトウェア技術・ハードウェア性能・認識技術などは まだまだ不⼗分。(精度90%では正直な話⾜りてない) ● だからタスクをこなせない、なんてことはない。 ● インタラクションの設計次第で、ユーザの体験を豊かにすることができる。 ● ロボットを使って、どこまで現実的な対話サービスが実現できるか、 社会実装を繰り返して試していきます。

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これからも 「信頼してしまう対話エージェントの実現」 を⽬指して様々な実証実験をする予定です。 ご興味あれば、気軽にご質問ください︕