Slide 1

Slide 1 text

1 あとはAIに任せて ⼈間は⾃由に⽣きる GMOペパボ取締役CTO‧栗林健太郎 ⼤AI時代の航海術のヒント?「コードが書けなかった僕たちが技術を武器にするまで」 2025年8⽉21⽇

Slide 2

Slide 2 text

2 ⾃⼰紹介 GMOペパボ株式会社 取締役CTO 栗林 健太郎 Kentaro Kuribayashi GMOペパボ株式会社取締役CTO、⽇本CTO協会理事。博⼠ (情報科学)。情報処理安全確保⽀援⼠(登録番号 :013258)。東京都⽴⼤学法学部政治学科卒業後、奄美市 役所勤務を経て、2008年より株式会社はてなでソフトウェ アエンジニアとして勤務。2012年よりGMOペパボ株式会社 勤務。現在、同社取締役CTOとして技術経営、新規事業創 出に取り組む。2025年、北陸先端科学技術⼤学院⼤学にて 博⼠号を取得。https://kentarokuribayashi.com/

Slide 3

Slide 3 text

3 本イベントの背景 近年、AIの台頭によりエンジニアを取り巻く環境は多様化し、「技術 ⼒」における概念が変わりつつあります。 そんな中、唯⼀変わらないことはキャリアのスタート地点に関係な く、「学び続けられるかどうか」「学び続けられる環境を作れるかど うか」が成⻑の鍵を握ります。 本イベントの紹介ページ(https://findy.connpass.com/event/365162/)より

Slide 4

Slide 4 text

真っ当な考え⽅ 4 例:学び続けるために効率的に考える 義務 理想 苦役 趣味 興味がある 役に⽴つ できること やりたいこと 需要のあること 理想

Slide 5

Slide 5 text

そういうのはどうだっていい! 私は計画しない、自己投資しない、何も考えない 5

Slide 6

Slide 6 text

成⻑する⼈の特徴 ● デフォルト値=選択肢の初期設定 ○ 例:臓器提供の同意⽅式(初期値を「同意」にすると提供率↑↑) ● 「やる‧やらない」なら考えるまでもなく「やる」 ● 習慣よりも低レイヤーで⾛る原始的な意思決定⽅式 デフォルト値こそが⾏動と積み重ねに⼤きく寄与する (良くも悪くも。だから「良いデフォルト値」としている) 成⻑する⼈は良いデフォルト値を持つ 6

Slide 7

Slide 7 text

デフォルト値の起源 ● 環世界:感覚⼊⼒と出⼒(⾏動)との固有の組みによる固有な世 界の⽴ち現れ ● 例:マダニの環世界 ○ 光 → 草に登る ○ 酸の匂い → 哺乳類を検知 ○ 触覚刺激 → 落下して吸⾎ ⾃分に固有の「環世界」を豊かにし、それに従い躊躇なく⾏動する ⾃分なりの感覚を研ぎ澄まし⾏動する 7

Slide 8

Slide 8 text

感情の理性への優先 ● ダマシオの「ソマティックマーカー仮説」 ○ ⼼拍‧内臓感覚などの⾝体シグナルが意思決定に影響する ● フリストンの「⾃由エネルギー原理」 ○ ⽣物は感覚⼊⼒と予測の誤差を最⼩化するように⾏動する 感覚に基づく感情は⾮合理ではなく、合理的な判断をサ ポートする重要な機構である。 理性より感情こそを涵養‧育成する 8

Slide 9

Slide 9 text

システム1∕システム2 ⾃⼰に関する選択はシステム1に従う 9 システム1 直感的‧⾃動的‧⾼速 ↓ デフォルト値の即決 マダニ的環世界 システム2 意識的‧論理的‧低速 ↓ 効率を求めて ⾃分に線引きする

Slide 10

Slide 10 text

AI時代の⽣き⽅ ● ⼈間は本来、誰もが超多次元空間に存在す る。同時に、誰もがそんな無⽅向性には耐え られない ● だから⾃⼰を効率的に把握可能な軸に矮⼩化 し、それが理性だとすら考える(システム2) 効率で勝負するならAIの⽅が良くないすか? 効率的な⾃⼰把握はAI時代の悪⼿ 10

Slide 11

Slide 11 text

本発表のメッセージ ● 良い「デフォルト値」を涵養し、考 えなしに即決し続ける ● 感覚‧感情を育て、本来的に豊かな 世界を丸ごと感得する ● あらゆる⽅向にむかって、⾃らの可 能性を制約なく広げる あとはAIに任せて⼈間は⾃由に⽣きる 11