Slide 1

Slide 1 text

チームの仕事はまわっていたけど、 メンバーはそれぞれモヤモヤを抱えていた話 40名の⼤規模チームで1on1ログを公開してみた 2022/4/10 PHPerKaigi 2022 サイボウズ株式会社 柴⽥ ⼀帆

Slide 2

Slide 2 text

⾃⼰紹介 ▌柴⽥ ⼀帆(しばた かずほ) ▌Twitter: @vaccho ▌2008年サイボウズ新卒⼊社 ▌エンジニアでキャリアをスタートし、現在は組織マネジメントを中⼼に活動 ▌チームをより良くすることで、チームの成果と個⼈の幸福を両⽴したい ▌⾃分のことを話すよりも⼈の話を聞く⽅が得意です

Slide 3

Slide 3 text

サイボウズでは、ガルーンを PHP で開発して20年⽬︕

Slide 4

Slide 4 text

今回はチームをより良くしていく取り組みを紹介します ▌ガルーン開発チームの状況 n 20年⽬の製品で、コードもチームも⼤規模に n ⽇本40名、ベトナム50名 n コロナ禍で2年間リモート中⼼の働き⽅に ▌そんな状況の中で「チームだけではなんとなくうまくいってない」という声が

Slide 5

Slide 5 text

サイボウズの開発組織は3年前からチーム主体の体制に Before ▌職能単位の部分最適ではなく、職能横断で全体最適化しやすい構造 ▌チームに必要なことはチームで意思決定できるように権限委譲 After

Slide 6

Slide 6 text

「チームだけではなんとなくうまくいってない」 ▌チーム主体の組織体制の中、特に⼤規模チームでは難しさが n チームだけで⾃律的にうまく機能していくことが難しい n 仕事はまわっているけど、いろいろツラくなってそう n 特定の⼈に負担が偏るなど n チームのことだけ考える⼈が必要そう n それぞれ⽇々の業務で忙しい中、⽚⼿間ではできることが限られる ▌コロナ禍でのリモート中⼼の働き⽅も影響してそう n 雑談やコミュニケーション機会がどうしても減ってしまう

Slide 7

Slide 7 text

組織全体のマネジメントの⽴場から、ガルーンチーム内へ ぼく ▌「チームのことだけ考える⼈」をチームの中で担ってみる︕

Slide 8

Slide 8 text

取り組みの紹介

Slide 9

Slide 9 text

どんな⾵に取り組もうと思ったか(1/2) ▌具体的にどんな問題がありそうかをまず知りたい n 「チームのことだけ考える⼈」が必要そうというのはわかったけど、具体的 にどんな問題を抱えているのかはわからなかった n ⽇々の業務が忙しく、うまく⾔語化できていないこと⾃体がまず問題と してありそうだった n どういう問題を抱えているのか、それを⾒える化していくことが最初の⼀ 歩だと思った ▌まずは全員と1on1をして、教えてもらおう︕

Slide 10

Slide 10 text

どんな⾵に取り組もうと思ったか(2/2) ▌⾃分だけで問題を解決していくというより、みんなで解決していけるように したい n ⾃分⼀⼈で解決できる範囲は限られそう n ⽇々の業務をしているメンバー⾃⾝だからこそ解決していけることも多 そう n 属⼈化/ボトルネックを⽣まないことがチームとしてより良さそう n そのためには情報を共有していくのが⼤事そう ▌1on1で得られた情報を共有できるように、ログを公開してみよう︕

Slide 11

Slide 11 text

全員と1on1 ▌⽇本の40名を対象に ▌1ヶ⽉ほどかけた n 1⽇新規2名のペースで20営業⽇ ▌1度で終わりではなく継続的にやる⼈が多かったので、だいたい週15-20 名のペースで⾏った

Slide 12

Slide 12 text

1on1の時間 ▌⽬的 n どんな問題がありそうかを知りたい n ⽴ち⽌まって考える機会を提供したい ▌初回はこちらから質問して教えてもらう n 今やっていること n モチベーションや望んでいること n 今感じている問題 ▌2回⽬以降は、話したい/考えたい話題を相⼿に決めてもらう n こちらは聴き役に徹して、⼀緒に⾔語化したり深堀りする機会に

Slide 13

Slide 13 text

これまでの1on1ログは⾮公開にしていた ▌ログがあることのメリット n 話した内容を思い出せる n ネクストアクションなどが共通認識に ▌⾮公開であることのメリット n その場限りの話題も安⼼して話すことができる ▌⾮公開であることのデメリット n 情報がマネージャー/リーダーだけに集まってしまう

Slide 14

Slide 14 text

1on1ログをどんなふうに公開したか ▌どんな内容で公開されるかわかる状態で話す n 本⼈と画⾯共有をして、書いている内容を⾒える状態で n 書き⽅としては議事録のような感じ ▌すべてを残しているわけではない n 書いた後、その場で「これは消そうかな」と相談したり n 「これは書かないで欲しいんですけど」と前置きして話してくれたり

Slide 15

Slide 15 text

1on1ログのイメージ 話してもらった内容を わりとそのまま書いてる 聴き役に徹しているので こちらの発⾔はとても少ない

Slide 16

Slide 16 text

1on1ログのイメージ 読んだ⼈が「いいね︕」で反応してくれる

Slide 17

Slide 17 text

1on1ログのイメージ 1on1が終わった1分後に投稿。 その場で確認してもらっているので、 ⾯談以外の時間は使わずにできてる

Slide 18

Slide 18 text

やってみてどうだった︖

Slide 19

Slide 19 text

「なんとなくうまくいってない」から⾔語化されてきたこと ▌⽇々忙しくはしてるんだけど、全体最適なところに⼒を⼊れられているかという不 安を抱えているメンバーが多い n プロダクトの⻑期的な⽅向性がわかってない n プロダクト間をまたいだ戦略がもっと良くできそう ▌やり⽅を改善していくところに⼒が⼊れられてない n 斧を研ぐような活動 n 特定の⼈に負担が偏ってそう n ベトナムチームとの連携をもっと良くできそう ▌などなど

Slide 20

Slide 20 text

みんなの反応 「あーこれみんなやっぱり思ってたんだな」とか 「この⼈はこういうことに関⼼があるんだな」とか 分かって⾯⽩い 分報にいいねしてくれること以外何もやって ることがわからなかった⼈たちが何してるか わかった ⾃分でも「そっかこう考えてのか︕」みたいな 気付きがありますね。⽂字にしてもらうことの 良さを感じました 1on1ログ、どの⼈のもめちゃめちゃ 共感する 私から⾒ると〇〇さんは何でも出来るマンだ けど、やっぱり⾃分じゃそうは思わないよな〜 △△さんが××の決断に こんな苦悩してたのが⾒えるのすごいな

Slide 21

Slide 21 text

ログを公開したことでうれしい⾏動も ▌「これ⾃分も思ってました、⼀緒にやりましょう」 ▌「ここに興味あるんだな、じゃあこれお願いしてみよう」 ▌「ここで困ってたんだな、⾃分にこういうサポートができるな」 ▌情報を共有することで⾃発的に⾏動して解決していく状態に n 情報を集約したマネージャー/リーダーが指⽰するのではなく

Slide 22

Slide 22 text

学び(1/4) ▌改めて時間をとって話してもらう機会を持つと、問題の発⾒や⾔語化が できる n ⾃分⾃⾝でも「そうかこう考えてたのか︕」という気づきに n ⼈に話す/聴いてもらう機会があるから⾔語化できることってありそう

Slide 23

Slide 23 text

学び(2/4) ▌情報を共有することで、チームにある問題の透明性が上がる n すぐにできそうなことは⾃発的に⾏動してもらえる n ⾏動につながるだけでなく、単純に考えていることがわかることによる安 ⼼感もありそう

Slide 24

Slide 24 text

学び(3/4) ▌改めて、いろんな⼈のいろんな視点がやっぱりある n そういう⼀⼈⼀⼈の考えていることが、広く深く共有されることってあまり なかった n チームふりかえりだけでは得にくい情報 n やっている仕事は⾒えるけど、感情とかは⾒えにくい n 特にPMなど権限や情報を多く持つ⼈とか、普段そんなに分報書かない⼈とか

Slide 25

Slide 25 text

学び(4/4) ▌⼈に話す、というフィルタが効果的な⾯もありそう n 聞き⼿を通して引き出してもらうことで、⼈に伝わりやすい形で⾔葉を 残せる n 分報に⾃分⾃⾝で書くものとは違った感じがありそう n 考えていることがなんでも⾒えたら良いわけでもなさそう n 共有すると良さそうなことの取捨選択としてのフィルタ

Slide 26

Slide 26 text

今後やっていきたいこと ▌今後チームに新たに⼊るメンバーとは特に公開/⾮公開のバランスを慎重に n 公開前提で話す機会ばかりだと、話す話題や⾒せられる姿が限定的にな るかもしれない n 安⼼して話せる機会/関係性を作ることとのバランスに気をつけたい ▌⾔語化して⾒える化できた問題の解決にも絶賛取り組み中 n 影響範囲の⼤きい問題はすぐできるものではないので、時間をかけて取り組 んでいく n チーム構造を書籍「チームトポロジー」に沿って⾒直すなど

Slide 27

Slide 27 text

まとめ

Slide 28

Slide 28 text

まとめ ▌⼤規模&リモート中⼼のチームをより良くするための取り組みを紹介 ▌1on1ログを公開することで、⾒えにくくなっていた感情や考えていることの 透明性を広く深く上げることができた ▌情報を共有することで、すぐにできるものは主体的に各所で解決していく 動きにつながった ▌今後は時間のかかる問題も解決していって、より良いチームにしていく ぞ︕

Slide 29

Slide 29 text

We are hiring! ▌チームをより良くする活動もしているガルーンチームに、あなたもジョインし ませんか︖ ▌PHPエンジニア募集中です︕ https://cybozu.co.jp/recruit/entry/career/software-engineer-php.html