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エクアドル・ガラパゴス諸島 およびロハ県の生物多様性保全と 小規模農家の生計向上事業 JICA QUEST 共創×革新プログラム Impact Report

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Table of Contents - 目次 プロジェクトの背景と課題意識 Background&Issue 02 プロジェクトの概要と目的 Project Overview 01 03 プロジェクトの実施内容 Activities 04 Outcome 検証結果 05 今後に向けて Action Plan 06 調査を終えて Closing

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Project Overview プロジェクトの概要と目的 01

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ガラパゴス諸島の生物多様性保全と小規模農家の生計向上事業 JICAとデロイトトーマツグループの協業による 「共創(Co-Creation) 」×「革新(Innovation)」プログラム ”QUEST” 異なる背景を持つ組織のマッチングを通じて、社会課題を解決する イノベーティブなアイデアの創出と実装を支援するプログラム プロジェクトの目的 01 Project Overview - プロジェクトの概要 株式会社坂ノ途中 海ノ向こうコーヒー事業部が実施する 「アグロフォレストリーによるコーヒー栽 培と生態系モニタリングを通じたガラパゴス諸島およびロハ県の生物多様性保全と小規模農家 の生計向上事業」が株式会社バイオームと協働で2025年度JICA共創×革新プログラ ム”QUEST”に採択されました。 いきものコレクションアプリ『Biome』の開発・運営を軸に、生物多様 性に関する独自のビッグデータと可視化技術を活用し、科学と社会を つなぐ保全プラットフォームを構築・運営。 海の向こうコーヒーの環境に配慮したコーヒー栽培と商品開発の知見、株式会社バイオームの 独自モニタリング技術を組み合わせ、 アグロフォレストリーが生物多様性保全にどの程度貢献 するかを検証すること目的としています。 具体的には、 • アグロフォレストリーの 効果をエビデンスに基づく検証・評価 • 独自のモニタリング技術に よる科学的データの蓄積と活用 • 検証結果を基にした商品企画・販売活動と 収益モデルの構築 を通じて、生物多様性保全と持続可能な事業の両立 を目指します。 森を守りながら作物を育てるアグロフォレストリーによるコーヒー 生産を推進し、各国の生産地で栽培技術の指導から販売までを 手がけることで、森林保全と生産者の収入向上の両立に取り組 む「海ノ向こうコーヒー」事業を展開。 いきものコレクションアプリとデータ解析の様子 京都発ベンチャー 2社によるシナジーの創出

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エクアドルの小規模コーヒー農家 一般消費者 コーヒーロースター 01 Project Overview - プロジェクトの概要 売上の一部をプレミアムとして生産者と 環境保全活動に還元 アグロフォレストリーが生物多様性にも たらす効果を科学的に実証 生物多様性への貢献を「価値」として ブランディングして販売 売上を次の地域・事業へ再投資 • アグロフォレストリーを中心とした栽培・加工指導 • コーヒー生豆の買い付け 生物多様性保全と持続可能なコーヒー生産モデルの構築 エクアドル・ガラパゴス諸島およびロハ県において、生物多様性モニタリングの手法を導入し、アグロフォレストリーを中心とする「環境負荷の小さいコー ヒー栽培」と「科学的な生態系モニタリング技術」を組み合わせた、生物多様性保全と収入向上のモデルづくりを目指します。 • 生物多様性のモニタリング手法の導入 • データ収集、分析、可視化 適切なモニタリング指標の設定 、他地域へ横展開 エクアドルに生息するいきもの アグロフォレストリー

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Background & Issue プロジェクトの背景と課題意識 02

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いきもの・環境 生物の多様性の損失を防ぐ 生産者 安定した収入を得る 私たちが向き合う課題 02 Background - プロジェクトの背景と課題意識 コーヒー栽培は人々の大切な収入源である一方で、農地拡大による森林伐採や同じ品種だけを育てるモノカルチャー、収 穫量を保つための農薬や化学肥料の使用など、これらは生態系を単調にし、動植物の減少や環境の劣化につながる恐 れがあります。しかし、環境保全を優先してしまうと、短期的には収量低下やコスト増加が起こり、収入の安定が難しくなる 場合があります。そのため、生物多様性を守ることと、生産者の暮らしを守ることの両立は簡単ではありません。 生産コストの増加 収量の低下 環境保全を優先 収入の不安定化 両立が難しい モノカルチャーへの依存 森林伐採と生息地の消失 農薬・化学肥料の使用 生態系の単調化 ・劣化 環境負荷の大きい農業

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科学的実証 生物多様性のモニタリング手法の導入 適切なモニタリング指標の設定 データ収集、分析、可視化 価値評価 PoC(Proof of Concept)*実証実験 生産者と環境保全活動に還元 生物多様性への貢献を「価値」としてブラ ンディング 生物多様性への aを「価値」 aaブ ランa アグロフォレストリ― アグロフォレストリーって本当にいいの? 02 Background - プロジェクトの背景と課題意識 海ノ向こうコーヒーでは、森を守りながら作物を育てる「アグロフォレストリー農法」を用いたコーヒー栽培を推進してきま した。自然に近い環境で育てるこの方法は、生物多様性の保全や土壌環境の改善など、多くの可能性を持っています。 しかしながら、ただ”なんとなく”環境に優しそうというイメージだけでは、その価値は十分に市場へ伝わりません。科学的 なエビデンスに基づく評価や可視化により、生産者が安定した収入を得るための経済的な仕組みづくりが必要なので す。 継続してモニタリング 持続可能な農業を行う農園の評価 「“なんとなく ”よさそう」ではな く、本当にいいの? *PoC(Proof of Concept): そのアイデアが理論だけでなく実際に実現可能かを小規模で検証すること

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Activities プロジェクトの実施内容 03

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• Amarilla農園 • La Colina農 • Vinka農園 • Finca農園 03 Activities - プロジェクトの実施内容 プロジェクト実施地域 • 実施地域:エクアドル共和国ガラパゴス諸島、ロハ県の対象4農園   Amarilla農園、La Colina農園(ガラパゴス諸島 サン・クリストバル島)Vinka農園、Finca農園(ロハ県) • 実施期間:2025年11月8日~2025年12月26日 • 目的:アグロフォレストリーによる生物多様性の向上を測定する 6つの指標が、簡便な評価手法として妥当であることを 検証する 実施概要 ビンカ農園は、再生農業と生物多様性を活かしたコーヒー生産を 目指し、2020年に始まりました。元牧草地をスペシャルティコー ヒー農園へ転換し、土壌再生や持続可能な管理によって品質向 上を実現しています。エクアドル南部・ポドカルプス国立公園の麓 で21種以上の在来樹木が共存する、豊かな自然環境を活かした 栽培が行われています。 ガラパゴス諸島は3つの海流が交わることで独特のマイクロクライ メートを持つ地域です。サン・クリストバル島の高地・エル・プログ レソはコーヒー栽培発祥の地とされ、現在は約40の小規模農家 が生産を支えています。エル・アマリージョ農園のカスティージョさ んも、その伝統を受け継ぐ生産者の一人です。 ガラパゴス諸島 ロハ県

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評価指標 03 Activities - プロジェクトの実施内容 1 希少種の有無 2 指標種の種数・個体数 3 緑の連続性 • 森林がどれだけ途切れずにつながっているかが、動物の「移動可能 な距離」の評価になる。 • 森林に生息する種が農園内で発見された場合、農園が移動経路(コ リドー)として利用されているという証明になる。 6 農地の管理強度 現地での林相の記録 • 現地で目視による林冠構造や樹種を確認 コーヒー生産者へのヒアリング • 農薬・化学肥料の使用状況、混植樹種、農園開始以前 の土地利用等に関する聞き取り • 農園管理手法に関するアンケート調査の実施 中大型哺乳類・鳥類の記録 • 農地に設置したカメラトラップによる地上徘徊性種 の記録 • 鳥類を対象とした樹上カメラによる補完調査 • カメラ設置:Amarilla農園1台、LaColina農園2台、 Vinka農園3台、Finca農園4台 • 絶滅危惧種などの希少種の生息や、指標種の個体数が確認される ことで、生態系の健全性が評価される。 • シェードツリーの樹種が在来種であれば、本来の生態系に配慮した 農園であると評価される。 • 高木、低木、草本などの階層構造の多様さは、鳥類、哺乳類、昆虫 など多くの生き物が共存できる「すみかの空間」として評価できる。 5 シェードツリーの樹種 4 植生構造の複雑性 • 農薬や化学肥料の利用が少ないほど、環境負荷が小さい農園であ ると評価される。 • 農園開始以前の土地利用と比較して、現在の管理方法の環境負荷 が小さい場合も、アグロフォレストリーの取り組みが高く評価される。 評価ポイント 調査方法 検証項目【6つの共通指標】

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Outcome 検証結果 04

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検証結果 今回のPoC調査で検証した6つの指標の結果を踏まえると、いずれも専門的で大規模な設備を必要とせず、比較的簡単に情報を収集することができたため、広範に応 用できる可能性が高く、アグロフォレストリーによる生物多様性の向上を評価する実用的な指標であることが示唆されました。 カメラトラップを用いた記録 カメラトラップ調査では、哺乳類3種・鳥類4種を確認し、 希少性が指摘されるピューマも記録された。コーヒー農 園では設置・回収ともに容易で、希少種や指標種、緑 の連続性の評価に有効であることが確認された。 現地での林相の記録 現地調査では、植生構造の複雑性やシェードツリーの 樹種を容易に把握できた。樹種は現地確認や農園主 への聞き取りで特定可能であった。 コーヒー生産者へのヒアリング 生産者へのヒアリングにより、化学農薬・化学肥料の使 用状況や土地利用履歴など、農地管理に関する情報 を収集できた。 ピューマは森林生態系の健全性を示す指標種として 注目されており、農園周辺に連続した自然環境が残 されていることを示す重要な記録といえる。 ミミグロハトをはじめとする鳥類の確認は、農園内に 鳥類が利用可能な環境と周辺の自然環境とのつな がりが維持されていることを示している。 林冠構造が複雑な森林ほど多様な生物の生息地と なるため、生物多様性の評価指標として有効と考え られる。 コーヒー生産者への聞き取りで得られた化学農薬・ 化学肥料の使用状況は、生物多様性への影響を評 価するうえで重要な情報である。 04 Outcome - 検証結果

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Action Plan 今後に向けて 05

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生物多様性を客観的に評価できる指 標・仕組みをつくる。 05 Action Plan - 今後に向けて 今後に向けて  今回検証した指標と調査手法はいずれも、アグロフォレストリーの生物多様性評価に有効である可能性が示されました。今後は、実効性が確認されたこ れらの指標を用いて農園を評価し、販売するコーヒーのブランディングに活用する予定です。  本取り組みでは、検証で明らかになった指標を用いて生物多様性を客観的に評価し、その価値をコーヒーの付加価値として活用することで、生産者への 利益還元と生物多様性保全の両立を目指すとともに、構築した仕組みを他地域へ展開し、持続可能なアグロフォレストリーの普及につなげていきます。 評価結果をもとに生物多様性への貢献 を「価値」へ転換し、市場で可視化す る。 付加価値による利益を生産者へ還元 し、収入向上につなげる。 環境配慮による価値と利益を生物多様性 保全につなげ、その仕組みを他地域にも 展開していく。 生物多様性を価値につなげる持続可能なコーヒー生産モデルの構築 アクションプラン 評価の仕組みづくり 生物多様性を活かした ブランド化 生産者への利益還元 生物多様性保全モデル の構築と展開 01 02 03 04

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Closing 調査を終えて 06

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 今回のプロジェクトでは、京都のスタートアップである坂ノ途中 海ノ向こうコーヒー事業部と株式会社バイオーム が連携し、エクアドルのコーヒー農園でアグロフォレストリー(森林農法)が生物多様性に与える影響を調査しまし た。海ノ向こうコーヒーでは、これまでも環境に配慮した農法を推進してきましたが、その効果を示す十分なエビデ ンスはまだ限られていました。既存研究でもアグロフォレストリーが生物多様性に寄与することは示されています が、実際に現地でデータを取得することで、「この農園は慣行農法よりも生物多様性にプラスの影響を与えている」 と、より具体的に語れる可能性が見えてきました。  エクアドルは、赤道直下にもかかわらず冷たい海流の影響で海水温が低く保たれているため、その冷涼な風に よって寒暖差も生まれ、標高が低い地域でもアラビカ種のコーヒーがしっかり育っているのが印象的でした。実際 に農園を訪れ、森に生息する動物や鳥類を観察しながら植生調査を行う中で、その豊かな生態系が保たれている 自然環境の中で農家の方々が自然と共生しながらコーヒー栽培に取り組む姿に、これまで十分に価値として認識 されてこなかった「動物や鳥がいる森で育ったコーヒー」としてストーリーを伝えられる可能性を感じました。  今後は、生物多様性に貢献しているコーヒーが適正な付加価値として評価され、その収益が農家へ還元されるこ とで、さらに環境保全へとつながっていく――そんな持続可能な経済循環をつくることを目指していきます。また、 哺乳類や鳥類だけでなく、昆虫や土壌生物など、目に見えない小さな生き物たちの世界へ視野を広げながら、生 態系全体を捉える取り組みへと発展させていきたいと考えています。 06 Closing - 調査を終えて