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偏光で理解する重ね合わせ状態 Qiita/GitHub: gyu-don OpenQL 量子コンピューターについて語ろうLT大会 2018/05/28

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みなさん、重ね合わせ状態って、理解してますか? 2

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∣0⟩ + ∣1⟩ ∣0⟩ − ∣1⟩ 位相が違うってどういうこと? 3

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∣0⟩と∣1⟩の重ね合わせ状態 ∣0⟩か∣1⟩かどちらか分からない状態 この2つの違いは? 4

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本発表のターゲット層 こんな人。 見たことある → α 0 + β 1 重ね合わせ → なんとなく理解してるつもり 位相 → 実はよく分かってない 本発表の目的 光の偏光(古典光学)をテーマに、重ね合わせを理解する ∣ ⟩ ∣ ⟩ 5

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横波と偏光 出典: https://byjus.com/physics/characteristics-of-em-waves/ 電場(青い方)の方向を「偏光」と呼ぶ決まりになってる。 6

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電場 = E e (E e + E e ) ただし、(E e ) + (E e ) = 1 行列で書き直すと、 = E e    ↑      ↑  波っぽい部分  偏光成分 波っぽい部分は忘れて、偏光成分のみを書くことにする。 E⃗ 0 i(kz−ωt) x iϕx x⃗ y iϕy y ⃗ x ϕx 2 y ϕy 2 E⃗ 0 i(kz−ωt) ( E e x iϕx E e y iϕy ) 7

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偏光とケット記法 xとy ⇒ 水平(Horizontal)偏光と垂直(Vertical)偏光。 なので、わかりやすく名前をつけてみる。 ∣H⟩ = , ∣V ⟩ = そしたら = E e ∣H⟩ + E e ∣V ⟩ ( E e x iϕx E e y iϕy ) ( 1 0 ) ( 0 1 ) ( E e x iϕx E e y iϕy ) x iϕx y iϕy 8

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偏光とケット記法 xとy ⇒ 水平(Horizontal)偏光と垂直(Vertical)偏光。 なので、わかりやすく名前をつけてみる。 ∣0⟩ = , ∣1⟩ = そしたら = E e ∣0⟩ + E e ∣1⟩ ( E e x iϕx E e y iϕy ) ( 1 0 ) ( 0 1 ) ( E e x iϕx E e y iϕy ) x iϕx y iϕy 9

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偏光板 特定の方向の偏光のみを通す板 出典: 旭化成 http://www.asahi-kasei.co.jp/ake- mate/wgf/jp/dl/pdf/170401_WGF_introduction.pdf 10

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偏光板 特定の方向の偏光のみを通す板 出典: Wikipedia 11

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出典: うさぎ屋 https://store.shopping.yahoo.co.jp/usagi-shop/pl- 001.html 12

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出典: うさぎ屋 https://store.shopping.yahoo.co.jp/usagi-shop/pl- 001.html 13

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出典: うさぎ屋 https://store.shopping.yahoo.co.jp/usagi-shop/pl- 001.html 14

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ここで問題です 直交している偏光板の間に、斜め向けにした偏光板を入れると? 15

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偏光はベクトル! 18

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3枚の偏光板問題をベクトルで理解 1枚目: 横偏光の光のみを通す 2枚目: 横偏光の光のうち、斜め成分の光のみを通す 3枚目: 斜め偏光の光のうち、縦成分の光のみを通す 19

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3枚の偏光板 ベクトル表記 1枚目通過後: 2枚目通過後: 3枚目通過後: ( 1 0 ) 2 1 ( 1 1 ) 2 1 ( 0 1 ) 20

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3枚の偏光板 ブラケット記法 1枚目通過後: ∣H⟩ 2枚目通過後: (∣H⟩ + ∣V ⟩) 3枚目通過後: ∣V ⟩ 2 1 2 1 21

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ここまでのまとめ 光の電場成分の方向 = 偏光 偏光はベクトルで表すことができる 3枚の偏光板を通すと? 偏光をベクトルとして考えることで理解できる ベクトルの成分分解 22

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位相について 23

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∣H⟩と∣V ⟩ 24

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∣H⟩ + ∣V ⟩ ∣H⟩ − ∣V ⟩ √ 2 1 √2 1 √ 2 1 √2 1 25

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ちなみに、 位相差は複素数でもいいんです i = e の数式、覚えていますか? 位相がiずれる: cos→sin, sin→cos になる。 i 2 π 26

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∣H⟩ + ∣V ⟩ ∣H⟩ − ∣V ⟩ √ 2 1 √2 i √ 2 1 √2 i 27

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ここまでのまとめ 偏光はベクトルで表すことができる 斜め偏光は縦偏光と横偏光の重ね合わせ状態 円偏光も縦偏光と横偏光の重ね合わせ状態 これらは位相によって変わる 28

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(∣H⟩+∣V ⟩) ∣H⟩か∣V ⟩か、どちらか分からない状態 この2つは物理的に同じ意味か? √ 2 1 29

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(∣H⟩+∣V ⟩) 斜め向けの偏光板を100%通る ∣H⟩も∣V ⟩も斜め向けの偏光板で一部減衰する ⇒∣H⟩か∣V ⟩かどちらか分からない状態は減衰する √ 2 1 30

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∣H⟩か∣V ⟩かどちらか分からない状態 実は、α∣H⟩ + β∣V ⟩の式では書き表せない 31

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密度行列 ∣Ψ⟩ = α∣H⟩ + β∣V ⟩   ⇓ 行列表記: ∣Ψ⟩⟨Ψ∣ = (α∣H⟩ + β∣V ⟩)(α ⟨H∣ + β ⟨V ∣) ∗ ∗ = α ∣H⟩⟨H∣ + αβ ∣H⟩⟨V ∣ + α β∣V ⟩⟨H∣ + β ∣V ⟩⟨V ∣ 2 ∗ ∗ 2 ( ∣α∣2 α β ∗ αβ∗ ∣β∣2 ) 32

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密度行列 (∣H⟩ + ∣V ⟩)   ⇓ (∣H⟩⟨H∣ + ∣H⟩⟨V ∣ + ∣V ⟩⟨H∣ + ∣V ⟩⟨V ∣)/2 = √ 2 1 ( 1/2 1/2 1/2 1/2 ) 33

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密度行列 ∣H⟩か∣V ⟩か分からないが、どちらである確率も1/2   ⇓ ∣H⟩⟨H∣ + ∣V ⟩⟨V ∣ = 2 1 2 1 ( 1/2 0 0 1/2 ) 34

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(∣H⟩+∣V ⟩) 密度行列: ∣H⟩か∣V ⟩か、どちらか分からない状態 密度行列: 違う密度行列に!! √ 2 1 ( 1/2 1/2 1/2 1/2 ) ( 1/2 0 0 1/2 ) 35

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まとめ 縦偏光と横偏光で重ね合わせを理解した 「重ね合わせ状態」はベクトル! 位相によって斜め偏光になったり円偏光になったり! 「縦と横の重ね合わせ」と「縦か横か分からない状態」 偏光板を通してみたら異なる物理現象が起こる! 「密度行列」で表してみたら異なる行列になる! 物理的に異なる状態であり、数式の上でも区別ができる 36