Slide 1

Slide 1 text

観察から
 対話へ 
 人類学の知恵を借り 
 
     よりチームに
 
       自分に向き合おう


Slide 2

Slide 2 text

・Scrum master ・Agile coach Emi @mienokana ・人間大好き
 ・コミュニティ大好き
 現在は󰑜󰏦の混成チームを担当 


Slide 3

Slide 3 text

今日話すこと
 ● 私が人類学に出会う前に持っていた課題(+事件!)
 ● 人類学ゼミを終えておきた、自分とチームの変化
 ● そもそも人類学って、何?何するの?
 ● 小さく始めるには?


Slide 4

Slide 4 text

「観察さえ上手くなれば、もっと理解できるはず。。」
 スクラムマスターを始めてからずっとあった課題感
 ● チームの中で分からない何かが起きている
 ○ 分からないから扱い方がわからない、怖い(Blog: 沈黙が怖い)
 ○ 分からないのは、観察が足りないか、やり方が間違っているからだ 
 ● 支援したいのに動けない
 ○ 観察のみから対象を分かろうとしているので情報が足りない 
 ○ 変な遠慮が邪魔して踏み込めない 
 ○ もっとチームを理解するためにどう向き合ったらいいのかわからない 


Slide 5

Slide 5 text

理解しきれず扱えなかった状況
 商用環境に影響のあるミスがあった。
 誰でも起こしうるミス、ただ「今後起こらないようにしよう!」という思いだった。
 日頃温厚な彼が、その場で表した強い感情に、動揺した。
 ずっと分からなくて、ずっと引っかかっている。
 その強い感情はどこから来るのか、全く分からなかった。
 再びあの感情に会うのが怖くて、取り扱わないで済むようにしていた。
 分からないことに出会うと、身動きができない感覚に苛まれていた。


Slide 6

Slide 6 text

人類学ゼミを終えて、私の中の変化
 ● 観察のやり方が変わった
 ● オンラインでも画面の向こうにいる人をより理解できるツールを手に入れ
 ● 「分からない」をうまく扱えるようになってきた
 ● 人と向き合う覚悟ができた
 ● 変な遠慮がなくなった
 


Slide 7

Slide 7 text

なぜ人類学?
 


Slide 8

Slide 8 text

ゼミでは何をするの?
 メッシュワークゼミ:人類学的なアプローチで個人研究プロジェクトを実施
 
 
 
 
 個人プロジェクト:画面の向こうに広がるベトナムの人々の暮らしと「働く」
 フィールド:画面の前にいる私と向こう側にいるベトナムメンバーの生きる空間


Slide 9

Slide 9 text

人類学って何? 「人類学とは、世界に入っていき、人々とともにする哲学である。」
 「人類学は、あなたが知りたいと思っていることを言ってはくれない。つまり人類学は、あなたが すでにわかっていると思っていることの基礎をぐらつかせる。」
 ティム・インゴルド(2020)『人類学とは何か』亜紀書房 
 
 人類学 = わかろうとする活動 (現時点での私の理解)
 わかりたい対象に自身の全てで向き合い、彼らの生きる姿の手触りを感じれる
 距離で一緒に考えること。自己変容が伴い、もれなくその戸惑いもついてくる。


Slide 10

Slide 10 text

「わかろうとする活動」を行う
 ● 人類学的な調査・リサーチ
 ○ フィールドワーク
 ■ 観察、参与観察
 ■ 聞き取り、インタビュー
 ■ アンケート
 ■ 観測
 ■ 定量的データの収集 
 


Slide 11

Slide 11 text

データの種類
 ● フィールドノート(Google document, Discord, Slackなど)
 ● 写真、動画
 ● インタビュー動画+書き起こし
 ● Twitterでの自分のつぶやき
 ● ゼミセッションや比嘉さんとの面談でのメモ、動画
 ● ベトナムメンバーとの1on1や会話でのメモ
 ● Miroでのまとめ
 ● 書籍、統計的な数値


Slide 12

Slide 12 text

手触りを書き留め、データを蓄積させていく
 何を書くのか?
 ● 観察対象(自分も含む)の言動
 ● その時に向き合っている問いたち
 ● 仮説、気づき(どの問いに紐づくのかも残す)
 ● 言語化が難しいことも残す。とにかく書く!
 どう書くのか?
 ● 相手のみの言動を残すのではなく、なるべく自分も含む全体を残す
 ● 相手の発言は「」で残し、自分の感じたことはそれがわかるように残す
 ※データ=ここでは、フィールドノート、映像、音声などの観察対象に関しての情報 


Slide 13

Slide 13 text

観察の形
 客観から主体
 
 一面的から多角的


Slide 14

Slide 14 text

対話
 対話
 対話を 内含した 観察


Slide 15

Slide 15 text

観察の形、捉えている世界


Slide 16

Slide 16 text

「働く」は「生きる」、価値観を探る


Slide 17

Slide 17 text

「えみさんずっと自分の話してます?」
 –問いと気づきのタイムライン– 
 彼らに答えて欲しい問い 
 問いは彼らに向かっている
 彼らを見ようとしている
 自分が答えたい問い
 問いは自分に向かっている
 彼らを通して自分を見ている


Slide 18

Slide 18 text

自分のフィルター


Slide 19

Slide 19 text

いろんな帽子を被り、彼らと向き合う
 「ベトナム文化知りたいから教えて!(初心者)」の帽子
 「アジャイルコーチ(初心者じゃない)」の帽子 
 「結婚生活一年生(初心者)」の帽子 


Slide 20

Slide 20 text

彼らの横顔、後ろ姿、画面に切り取られていたもの


Slide 21

Slide 21 text

観察の方法や記録の付け方など、手法の話ではない
 どう向き合うか、その態度が重要:人類学的態度
 ● 人間やその営みは奥行きがあり、複雑なものである
 ● 見えているのは、ほんの一部である
 ● 一見意味のないデータも、のちに繋がりが見えてくることがある
 ● 一側面のみを見るだけで評価判断できうるものではない
 ● 長期的に、「能動的に」流れに身を任せ、受け取り、わかろうとする
 ● その場に居合わせ、自分を含めたその場で起こることに自分を開いておく
 ● どうにも答えが出ない、分からない状況に身を置き続ける
 難しいですが、今現在できる言語化としてはこんなとこ。


Slide 22

Slide 22 text

何から小さく始めればいい?
 ● 分かりたい人(対象)に関する情報を集めよう
 ● 自分はどんなフィルターをかけているのか、自覚的になろう
 ○ 自分に関する情報を書き出し、振り返ろう
 ● ゼミに参加する!
 ○ これが一番効果的な気が、、、
 ● 私と話しましょう!


Slide 23

Slide 23 text

「スクラムマスターよ、文化人類学者たれ!」
 Be patient, be curious! RSGT2021 - Zuzana Sochova - Great ScrumMaster https://www.youtube.com/watch?v=vdd22-Qs12o 人類学的態度(再掲)
 ● 人間やその営みは奥行きがあり、複雑なものである
 ● 見えているのは、ほんの一部である
 ● 一側面のみを見るだけで評価判断できうるものではない
 ● 一見意味のないデータも、のちに繋がりが見えてくることがある
 ● 長期的に、「能動的に」流れに身を任せ、受け取り、わかろうとする 
 ● その場に居合わせ、自分を含めたその場で起こることに 自分を開いておく


Slide 24

Slide 24 text

全人類よ
 人類学者たれ‼


Slide 25

Slide 25 text

ありがとうございました〜