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技術書・方法論とのお付き合い 〜技術書・方法論からどのように学び、使うか〜 1 @Philomagi 2020/07/18@Webエンジニア勉強会inVR 第4回 #WESinVR

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発表者 @Philomagi ● WEB系プログラマ ● 自称フロントエンド寄り ○ 最近のマイブームは SelfとSmalltalk ○ vanila jsも久しぶりにちょっと触りたい ● 設計の話とかが好きです ○ DDDとかクリーンアーキテクチャとか ○ 最近のSOLID原則の推しはI 2

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今回のテーマ 3

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初心者の頃に知っておきたかったこと 4

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技術書・方法論と どうお付き合いするか 5

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7 多種多様な技術書・方法論 ● 様々なジャンル・観点の技術書・方法論が存在する ○ ソフトウェアアーキテクチャ ■ クリーンアーキテクチャ ■ エンタープライズアプリケーションアーキテクチャ (PoEAA) ■ パターン指向ソフトウェアアーキテクチャ (POSA) ○ ソフトウェア設計 ■ ドメイン駆動設計 ■ ユースケース駆動開発 ■ テスト駆動開発 ■ リファクタリング ■ デザインパターン(GoF) ○ etc...

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どうお付き合いするか? 8

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どのような姿勢で知識を得、 どのような姿勢で活用するか? 9

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問題が起きやすいお付き合い 10 ● 「この本に書いてあることに従えば、今困っていることが 解決できるはずだ!」 ● 「この本に書いてある方法を実践することが、良いソフト ウェア開発なんだ!」 ● 「この本を実践すれば、良いソフトウェアができるんだ!」

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● 自分たちが直面している課題の「正解」が、外部に自立的に存在 しているかのように認識してしまう ○ 結果、課題解決のために課題を深堀りするのではなく、どこかにあるはず の「正解」を探すための放浪に終始してしまう ● 目的ではなく手段への注目が、”無自覚に”発生しがち ○ 結果、目的に合わせて技術を選択・加工するのではなく、技術に合うように 目的が”無自覚に”選択・加工されることになりやすい どんな問題が起きやすいのか? 11

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外部に「正解」を求める 12

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問題・課題の外部に「正解」を求める 13 問題・課題

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問題・課題の外部に「正解」を求める 14 問題・課題 「正解」

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問題・課題の外部に「正解」を求める 問題・課題 「正解」 15

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外部から「正解」は得られるのか? 16 ● そもそも「正解」は実在するか? ● 「正解」が実在したとして、人間は「正解」を認識・理解 できるのか? ● 技術書・方法論は「正解」を語っているのか?

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個人的な回答 17 ● そもそも「正解」は実在するか? ○ なんとも言えない。ただ、「有るかどうか分からないもの」を前提に置くのは危険に感じ る。 ● 「正解」が実在したとして、人間は「正解」を認識・理解できるのか? ○ 何かを「これが正解だ」と解釈はできても、「正解」そのものを正確に認識・理解はでき ないのでは。 ● 技術書・方法論は「正解」を語っているのか? ○ これらが語るのは抽象化された理論であり思想であって、「正解」を語っているのでは ない。

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個人的な回答 18 ● そもそも「正解」は実在するか? ○ なんとも言えない。ただ、「有るかどうか分からないもの」を前提に置くのは危険に感じ る。 ● 「正解」が実在したとして、人間は「正解」を認識・理解できるのか? ○ 何かを「これが正解だ」と解釈はできても、「正解」そのものを正確に認識・理解はでき ないのでは。 ● 技術書・方法論は「正解」を語っているのか? ○ これらが語るのは抽象化された理論であり思想であって、「正解」を語っているのでは ない。

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個人的な回答 19 ● そもそも「正解」は実在するか? ○ なんとも言えない。ただ、「有るかどうか分からないもの」を前提に置くのは危険に感じ る。 ● 「正解」が実在したとして、人間は「正解」を認識・理解できるのか? ○ 何かを「これが正解だ」と解釈はできても、「正解」そのものを正確に認識・理解はでき ないのでは。 ● 技術書・方法論は「正解」を語っているのか? ○ これらが語るのは抽象化された理論であり思想であって、「正解」を語っているのでは ない。

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個人的な回答 20 ● そもそも「正解」は実在するか? ○ なんとも言えない。ただ、「有るかどうか分からないもの」を前提に置くのは危険に感じ る。 ● 「正解」が実在したとして、人間は「正解」を認識・理解できるのか? ○ 何かを「これが正解だ」と解釈はできても、「正解」そのものを正確に認識・理解はでき ないのでは。 ● 技術書・方法論は「正解」を語っているのか? ○ これらが語るのは抽象化された理論であり「思想」であって、「正解」を語っているので はない。

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問題・課題の外部に「正解」を求める 問題・課題 「正解」 21

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問題・課題の外部に「正解」を求める 問題・課題 「正解」 22

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目的ではなく手段への ”無自覚な”注視 23

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問題が起きやすいお付き合い(再掲) 24 ● 「この本に書いてあることに従えば、今困っていることが 解決できるはずだ!」 ● 「この本に書いてある方法を実践することが、良いソフト ウェア開発なんだ!」 ● 「この本に従えば、良いソフトウェアができるんだ!」

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何が起きるのか? ● 注目する対象が、ソフトウェアの目的・対象ではなく方法 論・プロセスになる ● 「何を作るか」「何を実現するか」ではなく、「どう作るか」 「どんな手順を踏むか」が第一になる ● 目的のために技術を選択するのではなく、技術のために 目的を決定することになる 25

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目的のための知識・方法論 26 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい!

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目的のための知識・方法論 27 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい!

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目的のための知識・方法論 28 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい!

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目的のための知識・方法論 29 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい! 目的に技術を当てはめる 目的を前提として技術を解釈する

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知識・方法論のための目的 30 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい!

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知識・方法論のための目的 31 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい!

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知識・方法論のための目的 32 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい!

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知識・方法論のための目的 33 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい! 技術に目的を当てはめる 技術を前提として目的を解釈する

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目的のための知識・方法論(再掲) 34 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい! 目的に技術を当てはめる 目的を前提として技術 を解釈する

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目的と手段の逆転 ○○をできるようにしたい! ○○を世の中に実現したい! 目的に技術を当てはめる 目的を前提として技術 を解釈する 技術に目的を当てはめる 技術を前提として目的 を解釈する 35

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目的と手段が入れ替わる「臭い」 36 ● 「○○を使う/するのが良い開発方法だ!」 ● 「○○のXXではこのようにすると書いているので、このやり方は間 違いです」 ● 「〇〇って、結局コードはどういうふうに書くのが正解なの?」

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目的と手段が入れ替わる「臭い」 37 ● 「○○を使う/するのが良い開発方法だ!」 ● 「○○のXXではこのようにすると書いているので、このやり方は間 違いです」 ● 「〇〇って、結局コードはどういうふうに書くのが正解なの?」 「〜を実現したい」「〜のために」という言葉が無く、「○○を実践するに は〜」「〇〇では〜」という会話に終止する

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手段に注目するのは「不正解」か? ● 手段に注目すること自体が問題、というわけではない ○ 新しい技術を習得する、「この手段で目的が解決できるか」を検証するなど、手段自体 に注目するシーンもある 38

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手段に注目するのは「不正解」か? ● 手段に注目すること自体が問題、というわけではない ○ 新しい技術を習得する、「この手段で目的が解決できるか」を検証するなど、手段自体 に注目するシーンもある ● 問題なのは、自分がどこを向いているのかに無自覚なまま、特定 の何かに拘泥すること ○ 目的達成に指向しているなら、その達成手段は目的の内容・性質に依存する。目的の 内容・性質を無視した手段の選択は成立し難い ○ 手段の実践や習得に指向しているなら、手段自体が自己目的化する。手段を適用す る対象は、「手段」という「目的」を達成するための道具にすぎない 39

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問題になりがちなお付き合いのまとめ ● 技術書・方法論を「正解」を語るものとして取り扱う ● 技術書・方法論の手段に”無自覚に”注目し、技術 に合わせて目的を”無自覚に”加工する 40

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技術書・方法論と どうお付き合いするか 41

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個人的に目指している接し方 ● 技術書・方法論の「手順・方法」ではなく「思想・理論」に注目する ○ 「どのように」ではなく「なぜ」「なんのために」 ○ 著者が目指している方向や到達点はどこか、記述されている手順・方法が導かれた理由は何 か、の方に注目する ○ これらは抽象的であるが故に、個別具体的な問題を直接は解決してくれないが、故により広い 範囲をカバーし得る(=自分の問題を解くためのヒントになるかもしれない) ● 「正解」を求めてではなく、問題解決の視点を増やす ○ 手順・プロセスに従うというよりは、自分が物事を考えるための視点・引き出しを増やすことを目 指す(ために、著者の思想・理論自体に注目する) ○ 視点・引き出しが増えれば、いざ具体的な問題にあたった時に「こういう方法が使えるのでは」 と、その問題に即した解決方法を( webや脳内で)検索することができる 42

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個人的に目指している接し方 ● 技術書・方法論の「手順・方法」ではなく「思想・理論」に注目する ○ 「どのように」ではなく「なぜ」「なんのために」 ○ 著者が目指している方向や到達点はどこか、記述されている手順・方法が導かれた理由は何 か、の方に注目する ○ これらは抽象的であるが故に、個別具体的な問題を直接は解決してくれないが、故により広い 範囲をカバーし得る(=自分の問題を解くためのヒントになるかもしれない) ● 「正解」を求めてではなく、問題解決の視点を増やす ○ 手順・プロセスに従うというよりは、自分が物事を考えるための視点・引き出しを増やすことを目 指す(ために、著者の思想・理論自体に注目する) ○ 視点・引き出しが増えれば、いざ具体的な問題にあたった時に「こういう方法が使えるのでは」 と、その問題に即した解決方法を( webや脳内で)検索することができる 43

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この発表との「接し方」 ● 技術書・方法論の「手順・方法」ではなく「思想・理論」に注目 する ● 「正解」を求めてではなく、問題解決の視点を増やす 44

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この発表との「接し方」 ● 技術書・方法論の「手順・方法」ではなく「思想・理論」に注目 する ● 「正解」を求めてではなく、問題解決の視点を増やす この発表内容自体にも↑は適用可能 (実際に、この発表は「正解」を提示するものではありません) 45

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この発表内容との「お付き合い」 ● 「技術書・方法論とのお付き合い」の「手順・方法」ではなく 「思想・理論」に注目する ● 「技術書・方法論とのお付き合い」の「正解」を求めてではな く、問題解決の視点を増やす 46

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まとめ ● 以下のような取り扱い方は問題を起こしがち ○ 技術書・方法論を「正解」を語るものとして取り扱う ○ 技術書・方法論の手段に”無自覚に”注目し、技術に合わせて目的 を”無自覚に”加工する ● 個人的に取ろうと努めているスタンス ○ 「手順・方法」ではなく「思想・理論」に注目する ○ 「正解」を求めるのではなく、問題解決の視点を増やす 47

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ご清聴ありがとうございました 48