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2022年10月1日 株式会社コドモン プロダクト開発部 小堀輝 ―XP祭り2022― 本当はむずかしい「計画」のはなし

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2 自己紹介、キャリア ● 小堀輝(こぼりあきら) ○ 2012年:編集者(編プロ)として キャリアを開始 ○ 2015年:IT業界にキャリアチェンジ ○ 2021年:株式会社コドモンに入社

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計画ってむずかしい

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4 なぜ計画はむずかしいのか? “アジャイルな計画づくりには人を誤解させてしまうところがある。 見ようによっては、アジャイルな計画づくりはとても簡単だ―ストーリーカードを書いて、優先順位をつけてどのリ リースに含めるかを決め、イテレーション計画づくりで必要なだけ詳細化する。それだけだ。 (Mike Cohn『アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~』、p6) でもいざ始めてみると、そんな簡単にはいかない。 たとえば...

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5 計画は必要なのか不明 ● 「アジャイルは計画しない」と考える人もいる ● 計画づくりを失敗した経験をもとに、極端な計画の有無になりがち “チームが計画づくりに示す態度は両極端なものになりがちである。 つまり、まったく計画しないか、計画が「絶対に正しい」と 納得できるまで労力を費やしすぎるかのどちらかだ。 (同、p26)

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6 計画は粒度が不明 ● このイテレーションの計画ができればよい? ● 今後どうなるかは計画しなくてよいのか? ● 今日何をするかは計画しなくてよいのか?

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7 計画は見積り方が不明 ● ストーリーポイントを採用したけど「工数」と何が違うのか ○ 人月の単位が変わっただけ ● どれだけ見積もればよいのか ○ 直近やるタスクにしかポイントが振られていない ○ 割り振ったポイントを計画に活用できない

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8 計画はコミットの有無が不明 ● 結局締切に追われている ○ 見積りと関係なく締め切りが決まっている ○ 達成すべきベロシティがあらかじめ決まっている ● 締切をあいまいにしたまま、なあなあでやっている ○ いつ完成/完了するかを伝えない ○ 関連部署とのやりとりがギクシャクする

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計画ってむずかしい

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10 計画がスムーズにいくほうが奇跡っぽい ● 計画は必要なのか不明 ● 計画は粒度が不明 ● 計画は見積り方が不明 ● 計画はコミットの有無が不明 ↓ 計画はいつでも・いともたやすく挫折してしまう

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それでも計画をしますか?

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壁を認識したうえで それでも計画にチャレンジしよう!

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13 計画は必要である ● 正確には「計画」は重要ではない ● 真に重要なのは「計画すること」自体である “立てた計画はじきに見直され、破棄されてしまう。 しかし、計画づくりの過程で得た知識や洞察はずっと後まで残る。 (同、p34)

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14 計画はさまざまな粒度で行う ● それぞれの規模の計画をつくるために「プロダクトバックログ」がある ● それぞれの規模の計画が結びつくことが重要 ● 計画の大きさと詳細度を反比例させるようにする “計画を見直す時間を組み込んでいないのであれば、 そのプロジェクトは危険にさらされていることになる。 計画には段階的な詳細化が不可欠である。 (同、p53)

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15 計画はストーリーポイントを活用する ● ストーリーポイントは、決して「工数」の呼び替えではない ● ストーリーポイントに工数以外のいろんな感情を含ませてみる ● さまざまな要素のつまったポイントから期間を導出する “ストーリーポイントの数値は、ストーリー全体の規模をあらわす。 ストーリーの規模を定義するための数式は存在しない。 ストーリーポイントによる見積りが示す値は、フィーチャを実装するのに必要な作業、 開発内容の複雑さ、開発に内在するリスクなどが渾然一体となったものである。 (同、p62)

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16 計画は「いつになりそうか」を更新しつづける ● 完璧な計画・締切をつくってコミットすることは拒否する ● その代わりに、つねに現状や予想を更新して、計画の精度を高める “有用な計画とは、正確でなければならない。 しかし、私達は早い段階での計画づくりでは精度の低い計画しか立てられないことを受け入れている。 計画を見直す理由の1つは、徐々に計画の精度を高めていくためである。 (同、p256-257)

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むずかしいことを受け入れ それでも頑張ろう

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19 ご清聴ありがとうございました ● 参照 ○ Mike Cohn『アジャイルな見積りと計画づくり』 ● 自身のQiita記事もぜひ ○ アジャイルはコミットしなくていいから楽? ○ アジャイル開発は計画しない? Meetyで カジュアル面談 もやっています。 コドモンのアジャイルに興味がある人や、 アジャイルについて一緒に考えたい人はぜひ!