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カスタマーサクセスにおける 顧客体験のプロセス設計 HiCustomer株式会社 高橋 歩 ayumut ayumu.takahashi 2019/7/25

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一緒に考えていきましょう! 高橋 歩 HiCustomer株式会社 ・HiCustomerの第1号社員です ・カスタマーサクセス歴は通算4年半くらい ・ときどき、カスタマーサクセスの勉強会 「Customer Success Cafe」やってます

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カスタマーサクセスのお仕事 Goal ②どこに登るのか ゴールを決めて… ③ゴールまでの道筋を 伴走する ①カスタマーと結成した プロジェクトメンバーで…

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顧客体験とは? 出典:CX戦略 商品やサービスを購入する過程、利用する過程、 その後のサポートの過程における経験的な価値 (心理的・感情的な価値)

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顧客体験にまつわる話題① とにかく 顧客の声に耳を傾けて 改善していくことが大事なんでしょう?

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顧客の声だけでは、サービスを成長させられない 顧客は、自分が理解している範囲でサービスを評価する 知らないこと、気づいていないことは判断できない 私たち 提供できている 提供できていない 価 値 を 感 じ て い る 価 値 に 気 づ け て い な い 顧 客 顧客 ありがとう 顧客 ………。 顧客 物足りない 顧客 ………。 顧客は自分が理解していることでしか判断できない

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スティーブ・ジョブズさんも言っています 多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、 自分は何が欲しいのかわからない。 Steve Jobs, 1998 A lot of times, people don’t know what they want until you show it to them.

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サービスの「強み」と「価値」を正しく伝えよう 顧客の声からの改善だけでなく、気づいていないことを 形にし伝えることを通じて、体験をよりよいものにしていく 私たちが考える意図・想い・価値を形にして伝え 顧客の認識を変革していく必要も 顧客 ありがとう 顧客 ………。 顧客 物足りない 顧客 ………。 私たち サービス領域 提供できている 提供できていない 価 値 を 感 じ て い る 価 値 に 気 づ け て い な い 顧 客 顧客の声に耳を傾け 改善していく 顧客に価値が伝わるよう 形にして伝えていく

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顧客体験にまつわる話題② とにかく サクセス達成できれば いいんだよね?

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提供プロセスでの「体験」がより重要に 結果だけではなく過程における「体験」も価値実感に影響 成果がでるまでのプロセスへの配慮が重要に ・目標達成度 ・品揃えと選択可能性 ・カスタマイゼーションの程度 ・プリ/アフターサービスの 充実度 ・必要な場合の例外対応や 事後処理の適切さ ・知識・技能の水準 ・マンパワー量の適切さ ・礼儀正しさ、プライバシー 尊重の態度 ・スピード ・情報の充実度と提供方法 ・課題への理解力・共感力 ・公平さ 結果品質 過程品質 サービス品質の評価について(近藤 武雄)ほかを基に筆者修正

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顧客体験にまつわる話題③ とにかく 感動体験させれば いいんだよね?

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顧客は「おもてなし」より「手間なし」を求めている 偶発的な「ワオ!」体験によるロイヤルティ向上より 手間がかかることによるロイヤルティ低下の影響は4倍も! ロイヤルティ 低下 ロイヤルティ 向上 おもてなし幻想を基に筆者修正 手間の軽減 担当者の対応 手間の発生 課題解決のために 1回以上連絡をする 感動体験!

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顧客体験の「プロセス設計」 カスタマーサクセスの「プロセス」を設計しよう 顧客の声+提供側の想い サクセス結果+サクセス過程 ワオ!より「手間なし」 顧客のサクセスを理解・定義し 設計されたプロセスに基づき 顧客視点で顧客と伴走する ここまでの整理 実現したいこと

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まさにカスタマーサクセスのお仕事の設計そのもの Goal ②どこに登るのか ゴールを決めて… ③ゴールまでの道筋を 伴走する ①カスタマーと結成した プロジェクトメンバーで…

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「サクセスロードマップ」に沿って伴走しよう プロセス設計の手法として「サクセスロードマップ」を ご紹介します ステージ名 達成状態 共同タスク カスタマータスク 自社タスク ポジティブ アクション チャレンジ アクション どんな分類で管理し、それぞれのゴールは? どんな手順でタスクを進めていく? どんなときに、どんな誘導アクションをすると サクセスに導くことができる?

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カスタマーサクセスの「プロセス設計」 1 顧客の「サクセス」を定義しよう 2 チェックポイントを設定しよう 3 登場人物を洗い出そう 4 標準タスクを時系列に並べよう 5 誘導アクションを定めよう

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カスタマーサクセスの「プロセス設計」 1 顧客の「サクセス」を定義しよう 2 チェックポイントを設定しよう 3 登場人物を洗い出そう 4 標準タスクを時系列に並べよう 5 誘導アクションを定めよう

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顧客の「サクセス」(ゴール地点)を明らかにしよう Goal? Goal? Goal? Goal? Goal? Goal Goal

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顧客のサクセス(ゴール)を考えるときの軸 ビジネスゴールは財務の視点(利益や売上など)になることが多いが、 プロジェクトの目標は必ずしもそうではない プロジェクトゴールを考える上での4つの視点 財務の視点 顧客の視点 業務プロセスの視点 人材と成長の視点 収益性や生産性の向上 新規顧客開拓と既存顧客の占有率向上 業務プロセス改善による差別化 意識改革や能力向上による成長

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「サクセスロードマップ」 ステージ名 達成状態 共同タスク カスタマータスク 自社タスク ポジティブ アクション チャレンジ アクション 顧客のゴール (サクセス状態)の定義

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ゴールは複数あることも Goal Goal 同じサービスでも、顧客視点ではゴールは違う(かもしれない) ゴールが変われば、ルートも装備も変わる

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カスタマーサクセスの「プロセス設計」 1 顧客の「サクセス」を定義しよう 2 チェックポイントを設定しよう 3 登場人物を洗い出そう 4 標準タスクを時系列に並べよう 5 誘導アクションを定めよう

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チェックポイントがあるとプロセスを描きやすい Goal 中間ゴール 中間ゴール 中間ゴール 中間ゴール

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ゴールへのプロセス ステージに分類してみよう ゴールまでのルートの途中にあるチェックポイントを整理し ステージに分類していこう ②中間ゴールをベースにステージに分類する ゴール達成への進捗度にあわせた伴走ができるようステージに分割 トライアル オンボー ディング 運用 ステージ 価値実感 ステージ 利用判断 運用開始 DAU ◯人 以上 機能利用率 X%以上 初期設定 完了 目標ROI 達成 顧客のサクセス達成に必要なプロセスの「中間ゴール」を定義する ①チェックポイントを並べてみる 利用判断 運用開始 DAU ◯人 以上 機能利用率 X%以上 初期設定 完了 目標ROI 達成

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「サクセスロードマップ」 ステージ名 達成状態 共同タスク カスタマータスク 自社タスク ポジティブ アクション チャレンジ アクション ステージと 中間ゴールをマッピング

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カスタマーサクセスの「プロセス設計」 1 顧客の「サクセス」を定義しよう 2 チェックポイントを設定しよう 3 登場人物を洗い出そう 4 標準タスクを時系列に並べよう 5 誘導アクションを定めよう

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ゴール達成に必要な関係者をピックアップ 特にB2Bの場合、関係者がたくさんいるはず それぞれのサクセスを理解し、巻き込む担当をリストアップ カスタマーサクセス マネージャ カスタマー

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ゴール達成に必要な関係者をピックアップ 特にB2Bの場合、関係者がたくさんいるはず それぞれのサクセスを理解し、巻き込む担当をリストアップ カスタマーサクセス マネージャ 推進担当 作業担当 上長 上長の上長 データ担当 契約担当 意思決定者 メンバー メンバー 別部門 協力会社 運用担当 運用担当

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カスタマーサクセスの「プロセス設計」 1 顧客の「サクセス」を定義しよう 2 チェックポイントを設定しよう 3 登場人物を洗い出そう 4 標準タスクを時系列に並べよう 5 誘導アクションを定めよう

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標準タスクを時系列に並べてみよう それぞれが進めるタスク(ゴール達成のために実施する作業)を 時系列に並べていきましょう 共同タスク カスタマータスク 自社タスク トレーニン グ完了確認 導入完了 MTG キックオフ MTG 初期設定 完了 トレーニン グ受講 活用プラン 提案準備 ヒアリング シート記入 … … … 最初の 機能利用 足りないタスクが見つかったらそれも並べていきましょう

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標準タスク実施のためのサポート方法は? タスク実施のための手法はひとつとは限らない それぞれをどうサポートするかの見直しを ロータッチ テックタッチ ハイ タッチ 対応できるカスタマーの数 個別 多数 カバー範囲 書籍「Customer Success」をもとに修正

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手法としての「◯◯タッチ」 ハイタッチ テックタッチ ロータッチ オンサイト 説明会 トレーニング コース メール+ 動画コンテンツ 例:導入フェーズでの使い方説明 達成したいことができる手段はどれか? 顧客価値(≓契約サイズ)とサポート手法を関連付けて考えてないか? (手法としての) 規模の大きな顧客には 「テックタッチ手法」だ と失礼じゃないかとか 思っちゃってませんか? 規模の小さな顧客にも必 要に応じて「ハイタッチ 手法」を使うことを検討 できてますか?

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顧客が求めるのは「タッチ」じゃなくて「課題解決」 タスクを円滑にすすめてもらうための環境づくりが大切 手間なく課題解決でき、それをどう感じてもらうかにも配慮を 自己解決できる 手段を とにかく 声かけてもらう 何をするより どう感じるか 顧客はつまづいたとき、 まずは自分で調べる。 そのタイミングで自己 解決できる手段を可能 な限り用意する。 解決策の例: ・プロダクトUI ・ヘルプコンテンツ 顧客は分からないこと をすぐにあきらめる。 気軽に声をかけてもら えるよう窓口を用意し、 心理的障壁も減らす。 解決策の例: ・聞きやすい窓口 ・関係値の構築 顧客は「作業の手順や 行動そのもの」よりも、 「それをどう感じた か?」に2倍影響を受 ける(※) 。 解決策の例: ・支援する姿勢 ・言葉づかい (※)出典:おもてなし幻想

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「サクセスロードマップ」 ステージ名 達成状態 共同タスク カスタマータスク 自社タスク ポジティブ アクション チャレンジ アクション タスクを書き出し 時系列に整理する

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カスタマーサクセスの「プロセス設計」 1 顧客の「サクセス」を定義しよう 2 チェックポイントを設定しよう 3 登場人物を洗い出そう 4 標準タスクを時系列に並べよう 5 誘導アクションを定めよう

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顧客はいつも予定通り進んでくれるとは限らない Goal ルートから外れてしまったら あるべき道筋に誘導する CSM こっち ですよ-! 道に迷い ました… 顧客

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どんなとき、どんな誘導アクションをする? 各ステージで誘導アクションを行うケースを (1)どんなときに、(2)何をするか?で書き出してみよう キーパーソンの 利用量低下 ↓ 打ち合わせを打診 ◯◯機能の利用率が XX%以上 ↓ オプション機能の 提案を実施 NPSサーベイに 答えていない ↓ 再送信後連絡 ROI目標が達成 ↓ 事例やセミナー登壇 を打診 初回ログイン率が XX%以下 ↓ 管理者に 状況確認連絡 ライセンス有効化率 XX%以上 ↓ アップセル提案を 営業担当と実施 ポジティブアクション (オポチュニティ) チャレンジアクション (リスク) プロジェクト 事務局 プロジェクト リーダー 利用部門 パワーユー ザー プロジェクト リーダー 意思決定者 (責任者) プロジェクト 事務局

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誘導アクションへの直結指標「インジケーター」 給油ランプは、理想的な「インジケーター」のひとつ ①ひとめ、②アクション定義できる、③解決したこともわかる

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ヘルススコアの候補をみつけよう アクションを書いたアイテムのうち「(1)どんなときに」を 指標化できると、それがヘルススコアの候補になる キーパーソンの 利用量低下 ↓ 打ち合わせを打診 ◯◯機能の利用率が XX%以上 ↓ オプション機能の 提案を実施 NPSサーベイに 答えていない ↓ 再送信連絡 ROI目標が達成 ↓ 事例やセミナー登壇 を打診 初回ログイン率が XX%以下 ↓ 管理者に 状況確認連絡 ライセンス有効化率 XX%以上 ↓ アップセル提案を 営業担当と実施 ポジティブアクション (オポチュニティ) チャレンジアクション (リスク) 候補 候補

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「サクセスロードマップ」 ステージ名 達成状態 共同タスク カスタマータスク 自社タスク ポジティブ アクション チャレンジ アクション 追加アクションを 整理する

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「サクセスロードマップ」 プロセス設計の手法として「サクセスロードマップ」を ご紹介してきました ステージ名 達成状態 共同タスク カスタマータスク 自社タスク ポジティブ アクション チャレンジ アクション どんな分類で管理し、それぞれのゴールは? どんな手順でタスクを進めていく? どんなときに、どんな誘導アクションをすると サクセスに導くことができる?

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「プロセス設計」で実現できたこと カスタマーサクセスの「プロセス設計」が できていることの最大のメリットは? 顧客の声+提供側の想い サクセス結果+サクセス過程 ワオ!より「手間なし」 顧客のサクセスを理解・定義し 設計されたプロセスに基づき 顧客視点で顧客と伴走する 前段での整理 実現できたこと

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プロセス設計ができていると、課題発見が容易に カスタマーサクセスの活動評価や改善策検討において どこに課題があるか、判断できるようになる 「サクセス」への共通認識をベースに顧客体験の最適化を 顧客と伴走 できてる? プロセス通り 進んでる? ミッション 達成できてる? サクセス してくれてる? 標準タスク 実行数・率 誘導アクション 実行数・率 サクセス指標 ロイヤルティ 指標 ヘルススコア LTV (継続率やアップセル) ・CSプロセス設計 ・スコアルール ・プロダクト フィードバック ・サクセスの定義 ・ビジネスモデル設計 ・課金モデル設計 指標例: 評価 項目: ・タスク内容 ・アクション内容 ・アクション 実施条件 改善検討 箇所: 凡例: CSチーム視点の指標 顧客視点の指標

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一緒に「カスタマーサクセス」の 「サクセス」をめざしましょう!!