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© 2024 Loglass Inc. 2024.11.12 アジャイルコーチ 大野 英(おーのA) スクラムチームを立ち上げる 〜チーム開発で得られたもの・得られなかったもの〜 事業会社のスクラム実践事例 大公開! 4社から学ぶ 成功と失敗のリアルに迫るスクラム勉強会

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© 2024 Loglass Inc. Profile 大野 英(おーのA) 株式会社ログラス アジャイルコーチ 新卒入社の会社でスクラムに出会ってから、自律的な組織での開発に魅了され、 一念発起しスタートアップへ転職。 スタートアップ複数社を経験、前職のスタートアップではスクラムマスターとして スクラムの導入を推進、その後、同社でEMを経てVPoE就任。 2024年10月に株式会社ログラスの開発本部へアジャイルコーチとして入社。 急成長する開発組織の支援に従事。 2024年11月現在、システムコーチング®のプロフェッショナル実践コースを受 講し、プロコーチ資格取得のために勉強中。 Akira Ohno

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© 2024 Loglass Inc. 日本初!?ログラスのFASTへの挑戦 ログラスはアジャイルのスケーリングフレームワーク FASTへ挑戦しています (ですが、今日は話しません)

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© 2024 Loglass Inc. 日本初!?ログラスのFASTへの挑戦 ※今日はFASTについて話しません

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© 2024 Loglass Inc. 今日の話の前提 ※注:本日の話は私がログラスに入社する前の活動についての話です

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© 2024 Loglass Inc. 今日の話の前提 スクラムチームの立ち上げ〜1年経った頃、 なんか違うな?と思った私の体験の話

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© 2024 Loglass Inc. スクラムチームを立ち上げる あなたはどうしますか?

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© 2024 Loglass Inc. 開発者 私 Mgr Biz 経営層 開発者やマネージャーにはスクラムについて説明するが 経営層やBizには説明しない、もしくは、簡単な説明のみ メリット: ● 低コストで開始できる(説明や調整が少ない) ● チームにフォーカスできる ● 早期に小さな成果を得られる デメリット: ● 他部門や経営層の理解が不足する ● 社内からの抵抗が起こる可能性がある ①小さく、関係者のみ巻き込んで素早く始める

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© 2024 Loglass Inc. 開発者 私 Mgr Biz 社内全体のステークホルダーを巻き込んで始める メリット: ● ビジネスチームとの連携を強化できる ● 開発チームの透明性を向上できる ● 全社的に検査・適応の文化を促進できる デメリット: ● 導入が複雑になり、時間がかかる ● 関係者が多くなり、認識のずれが起こる ● 組織のルールや制約から影響を受ける ● 成果への圧力が高まる可能性がある 経営層 ②社内全体を巻き込んで始める

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© 2024 Loglass Inc. Question:皆さんはどちらで始めますか? ←or→

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© 2024 Loglass Inc. 開発者 私 Mgr Biz 経営層 ①小さく、関係者のみ巻き込んで素早く始める 私はこちらで始めました

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© 2024 Loglass Inc. スクラム始めて1年、スクラムチームで「得られたもの」 ● 素早い開発サイクル ● 自律的に検査・適応するチーム力 ● 学習とスキル向上の機会 ● 高いモチベーション 複数チームで個人やチームが成長する土壌が作られた

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© 2024 Loglass Inc. スクラム始めて1年、スクラムチーム開発で「得られたもの」 ● 素早い開発サイクル ● 自律的に検査・適応するチーム力 ● 学習とスキル向上の機会 ● 高いモチベーション 複数チームで個人やチームが成長する土壌が作られた アジャイルな開発を実現できていたか?

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© 2024 Loglass Inc. 参考:アジャイルソフトウェア開発宣言 プロセスやツールより個人と対話を 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを 契約交渉よりも顧客との協調を 計画に従うことよりも変化への対応を 引用:アジャイルソフトウェア開発宣言

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© 2024 Loglass Inc. 参考:アジャイルソフトウェア開発宣言 プロセスやツールより個人と対話を 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを 契約交渉よりも顧客との協調を 計画に従うことよりも変化への対応を 引用:アジャイルソフトウェア開発宣言

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© 2024 Loglass Inc. 参考:Ryuzee.com アジャイルって何だろう? プラクティスは「アジャイルであることを助ける」ための道具であって、 それ以上ではありません。 アジリティの意味するところは、 頻繁に継続的に顧客のニーズにあった高品質なソフトウェアを 届けることができる、ということに他ならないのです。 引用:https://www.ryuzee.com/contents/blog/3335

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© 2024 Loglass Inc. 参考:Ryuzee.com アジャイルって何だろう? プラクティスは「アジャイルであることを助ける」ための道具であって、 それ以上ではありません。 アジリティの意味するところは、 頻繁に継続的に顧客のニーズにあった高品質なソフトウェアを 届けることができる、ということに他ならないのです。 引用:https://www.ryuzee.com/contents/blog/3335

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© 2024 Loglass Inc. その結果、チーム開発で「得られたもの」 ● 素早い開発サイクル ● 自律的に検査・適応するチーム力 ● 学習とスキル向上の機会 ● 高いモチベーション アジャイルな開発を実現できていたか? ⭕顧客価値を提供する前段階の「チーミングの手段」を得た ❌顧客にとって価値のあるソフトウェアを提供できてない

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© 2024 Loglass Inc. 【チーム開発で得られなかったもの】 チームで開発した成果を顧客価値として届けること

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© 2024 Loglass Inc. なぜ、顧客にチームの成果をとどけられていなかったのか? ● デリバリーまでできるチーム体制になっていない、 つまり、他チームへの成果の引き継ぎが必要だった ● そもそもプロダクトが新規プロダクトであるため、ユーザーがいなかった ● 社内からの要望を正しく理解せずにチームが開発を進めてしまった ● などなどあるが、結局のところ・・・

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© 2024 Loglass Inc. なぜ、顧客にチームの成果をとどけられていなかったのか? ● デリバリーまでできるチーム体制になっていない、 つまり、他チームへの成果の引き継ぎが必要だった ● そもそもプロダクトが新規プロダクトであるため、ユーザーがいなかった ● 社内からの要望を正しく理解せずにチームが開発を進めてしまった ● などなどあるが、結局のところ・・・ 1. スクラムチームを立ち上げることを目的にしていた 2. 社内の調整に失敗していた

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© 2024 Loglass Inc. 開発者 私 Mgr Biz 経営層 私は開発チームで出島的にチームを作りました。 その結果、本来早期に巻き込む必要がある人たち を巻き込むことを後手に回してしまった。 さらには、私が 「あまり口出ししないでくれる?」という雰囲気を 私自身が作ってしまっていた。 結果的に顧客価値に向き合うための社内調整を うまくできなくなってしまった。 「あまり口出ししないでくれる?」くらいの雰囲気を出してしまった

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© 2024 Loglass Inc. スクラムチームを立ち上げた私が歩んだ道 ● 自律的なチームを作ること(だけ)を目的にスクラムを開始した ● 自律的に成長できるチームが形成された ● 顧客価値を届けることができていないことに気づいた ● スクラムチーム外との社内調整に奔走することになった 継続的に顧客価値を届けられるようになるまで それから半年以上を必要とした

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© 2024 Loglass Inc. スクラムを始める前の私の課題意識 ● マイクロマネジメントによるメンバーの主体性の低下 ● 人員増に対してマネジメント層の負担増 ● メンバー間の透明性の低下 ● ・・・

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© 2024 Loglass Inc. スクラムを始める前の私の課題意識 ● マイクロマネジメントによるメンバーの主体性の低下 ● 人員増に対してマネジメント層の負担増 ● メンバー間の透明性の低下 ● ・・・ スクラムを始めた理由は顧客価値を届けるためではなかった つまり、アジャイルを意識できていなかった

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© 2024 Loglass Inc. スクラムを始める時の私が1年後のことを意識できたか? 答えはNo

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© 2024 Loglass Inc. 私のいた場所は「スクラムマスターの旅の始まり」でしかなかった #スクラムマスター道の最初のレベルは、変化の初期段階に適しています。 しかしそれは、偉大なスクラムマスターへの旅の始まりにすぎません。 引用:SCRUM MASTER THE BOOK -第3章- #スクラムマスター道 https://scrummasterway.com/scrummasterway-ja.html

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© 2024 Loglass Inc. スクラムチームを立ち上げること、当時の私ができる会社への最大限の貢献だった どんな道をたどったにせよ、 当時の知識・技術・能力・利用可能なリソース・状況の中で、 みんなができる限り最高の仕事をしたはずです。 それを心から信じます。 引用:ふりかえりカタログ(コミュニティ版) -Norm Kerthの最優先指令-

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© 2024 Loglass Inc. 私がやりたかったこと、 それは、スクラムチームを立ち上げることでアジャイルでは無かった。 顧客価値を追求しないなんて、 ビジネスに携わるものとして正しくはないかもしれません。 しかし、私は過去の自分を精一杯褒めたいと思います。 なぜなら、私は明確に「チームを作ること」がしたかったから、 そして、当時の私ができた「最高の仕事」だったからです。

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© 2024 Loglass Inc. あなたは何のために、スクラムチームを立ち上げますか? あなたの願いは何ですか? アジャイルですか?チームですか? スクラムチームはあなたに何をもたらしますか?

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© 2024 Loglass Inc. 私の現在の願いは 「顧客価値を生み出す強いチーム」を作ることです

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© 2024 Loglass Inc. ご清聴ありがとうございました

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© 2024 Loglass Inc.