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エニアグラムとインテグラル理論 なぜ僕はこれを学んでいるのか 柳川慶太 1

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今日話すこと 1. なぜ勉強しているのか ── きっかけと問い 2. エニアグラムとは ── 動機(Why)で人を分類する 3. インテグラル理論とは ── 多次元で人を理解する 4. なぜ組み合わせるのか ── 杖と地図 2

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1. なぜ勉強しているのか 3

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人の違いへの興味 同じ会議で同じ情報を見ているのに、出てくる結論が全然違う 同じフィードバックをしても、刺さる人と刺さらない人がいる 同じ「正しいこと」を言っているのに、 ある人が言うと通って、別の人が言うと場が凍る なんでこんなに違うんだろう? 4

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「正しさ」って何なのか 「もっと自分で考えてほしい」 → 正しい。でも言う人によって何を重視するかが全然違う 「多様性を尊重しよう」 → 正しい。でもぶつかった結果そう考えている人と、対立を避けたいだけの人がい る 「数字で語ろう」 → 正しい。でも数字の正しさに逃げてるだけかも 5

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客観的に正しいなんてものはない 同じ「正しいこと」の裏に、まったく違う動機がある 全員が自分のフィルターを通して 「正しい」と思っているだけ 頭がいい人ほど気づきにくい ── 自分の正しさを精緻に論理武装できてしまうから じゃあその「フィルター」って何なの? → これを構造的に説明してくれるのがエニアグラムとインテグラル理論 6

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2. エニアグラムとは何か 7

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一言で言うと 人間の性格を「動機(Why) 」で9つに分類する体系 星座占いや血液型占いとは根本的に違う 行動(What/How)ではなく なぜそうするか(Why) で分ける 8

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同じ「仕事を頑張る人」でも タイプ 動機 タイプ1 正しいことをしたいから タイプ3 成果を出して価値を証明したいから タイプ8 弱い立場に立ちたくないから 表面は同じ。裏にある動機がまるで違う。 9

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⽔⾯ ⾏動・発⾔ (⽬に⾒える) 思考・感情 動機・欲求 根源的恐れ 本質 ← ⾃覚しやすい ← エニアグラムは ここを⾒る ← 本⼈も気づいていない 性格 = 鎧(意識の氷山モデ ル) エニアグラムは水面下の動機を見る 本質:ありのままの自分の核 性格(鎧) :身を守るために作った仕組 み 大人になっても自動操縦で作動し続け る 鎧 = 無意識にかけている色メガネ タイプごとに見えるものと見えないものが 違う 10

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9 1 8 2 3 4 5 6 7 ガッツ(8, 9, 1) ハート(2, 3, 4) ヘッド(5, 6, 7) エニアグラムのシンボル 9タイプは3つのセンターに分かれる ガッツ(8, 9, 1) ── 本能センター 身体・境界・怒りに関わる ハート(2, 3, 4) ── 感情センター 自己イメージに関わる ヘッド(5, 6, 7) ── 思考センター 不安・安全の確保に関わる 11

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9つのタイプ タイプ 通称 動機 囚われ 1 改革する人 正しくありたい 憤り 2 人を助ける人 愛されたい 高慢 3 達成する人 価値を証明したい 欺き 4 個性的な人 自分らしくありたい 羨望 5 調べる人 本質を見極めたい ため込み 6 忠実な人 安全でありたい 不安 7 熱中する人 幸せでいたい 貪欲 8 挑戦する人 自分を守りたい 欲望 9 平和をもたらす人 穏やかでいたい 怠惰 12

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ここが一番大事 タイプは自分で決めるしかない 13

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なぜ診断だけでは決まらないのか 囚われは本人にとって「当たり前」だから タイプ1は「憤り」に囚われているとは思っていない → 「世の中が間違っている」と思っている タイプ9は「怠惰」だとは思っていない → 「穏やかな自分でいるだけ」と思っている 自分のフィルターは自分には見えない だから質問票に正直に答えても、バイアスがかかる 14

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でも人に決めてもらってはいけない 「あなたはタイプ○ですね」と言ってほしくなる でもそれをやった瞬間に 決めてくれた人への依存が始まる タイプの理解を深めるたびにその人のところに戻ることになる 自分の地図なのに、自分で読めない状態 「自分はこの動機で生きてきたのか」── その直視は楽じゃない でも自分で引き受けた瞬間に、初めて動きだす 15

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自分の話:タイプ8 囚われは「コントロールへのニーズ」 正しいと思ったことを押し通す力が強い 長所でもある。推進力になる。 でも行き過ぎると、守りたかったものが壊れる。 他部署のマネージャーに異常な気迫で詰め寄ったとき 誤爆で届いた私信: 「柳川さんは、親でも人質に取られているんですか」 力で押すパターンは「当たり前」すぎて 囚われだと認識できなかった 16

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3. インテグラル理論とは何か 17

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一言で言うと メタ認知のためのフレームワーク 自分が何を見ていて、何を見落としているかを 多次元で把握するための枠組み ケン・ウィルバーが 東洋思想から西洋心理学まで統合した理論体系 18

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内⾯ 外⾯ 個⼈ 集合 美 (I) 私は何を感じている? 主観・動機・恐れ エニアグラムの領域 真 (It) 客観的に何が起きている? データ・⾏動・事実 科学・測定の領域 善 (We) 私たちの間で何が起きている? 関係性・⽂化・空気 チーム・組織の領域 真 (Its) システムはどう動いている? 構造・制度・仕組み 組織設計の領域 四象限 ── 真・善・美 世界を見るレンズは一つじゃない 内面/外面 × 個人/集合 の4領域 ほとんどの人は 1つか2つのレンズだけで 世界を見ている 19

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例:プロジェクトが2週間遅延しているとき 真だけで見ると: → クリティカルパスはここ。スコープ削るかリソース追加か 善を加えると: → チーム疲弊してる。エンジニアとデザイナーに不信感がある 美を加えると: → 自分は「失敗したくない」が先に走ってて、  本当はズレてると思ってることを言えていない 3つ揃って初めて問題の全体像が見える 20

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発達段階 ── 大人になっても意識は変わる 知識が増える(水平的成長)ではなく 世界の見え方そのものが変わる(垂直的成長) 段階 世界の見え方 口ぐせ アンバー ルールと役割が世界を動かす 「決まりだから」 オレンジ 理性で改善できる。成果で証明する 「数字で見せて」 グリーン すべての視点に価値がある 「みんなの意見を聞こう」 ティール すべてが部分的。矛盾を包含する 「どっちも正しい」 この色は個人にも時代にも当てはまる 中世ヨーロッパは 、近代資本主義は 、今の社会は が広がっている途中 段階が上がる = それまで「自分そのもの」だったものを 外から見られるようになること 21

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超えて含む 各段階は前の段階を否定するんじゃなくて含む 規律 → 合理性 → 多元性 → 統合 各段階が前を含んだ上で次に進む 前の段階を飛ばすと歪みが生じる 規律なき 合理性 → ただの理屈 合理性なき 共感 → ただの追従 数字を出したことがない人の「数字じゃないよね」 22

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前後の誤謬 ── インテグラル理論で一番大事な概念 「まだできない」と「もうやらなくていい」は、表面上同じに見える 例えるなら── 料理ができない人と 料理を極めた人が どちらも「今日はペペロンチーノでいいか」と言う 見た目は同じオイルパスタ。でも食べたら全然違う 23

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仕事でもこれが起きている ルールを守らない新人とルールを熟知した上で破るベテラン どちらも「ルール通りにやらない」 でも── 片方はルールを知らないから従わない 片方はルールの限界を知っているから超える 表面は同じ。構造が正反対。 これを見分けられないと、退行と成熟を混同する 24

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段階が高い = 幸せ、ではない キリスト教が常識だった時代に地動説を唱えたらどうなるか 「地球は太陽の周りを回っている」── 正しい でも周囲は天動説を信じている 言えば異端扱い。黙れば自分に嘘をつく 見えてしまった人は、見えなかった頃には戻れない 25

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構造的孤独 発達とは「見える範囲が広がる」こと でも見える範囲が広がると、見えなくてよかったものも見える 構造的矛盾が見えるのに変えられない 周囲との認識のズレが大きくなる 「正しいことを言っているのに伝わらない」 発達とは、扱える矛盾が増えること 矛盾が増えるのは、楽なことじゃない 段階を上げることがゴールではない 今いる段階で健全でいることの方がよほど大事 でも個人的には、上げたいと思っている 見える範囲が広がること自体が面白いから 26

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グリーンの罠 ── 前後の誤謬の社会レベル版 グリーン的な価値観が急速に広まっている 「心理的安全性」 「多様性の尊重」 「あなたのままでいい」 これ自体は大事。でも オレンジを飛ばした グリーン が増えている グリーンの言葉 本質的な意味 表面的な使われ方 心理的安全性が大事 リスクを取れる環境を作る 耳の痛い話を聞かなくていい あなたのままでいい 自己受容 成長しなくていい 正解はない 複数の正解がありうる 考えなくていい 権利だけ享受して義務から目を背ける構造が グリーンの語彙で正当化される 27

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杖と地図 エニアグラム = 旅の杖 あなた固有のパターンを教えてくれる。でも全体の地図はない インテグラル理論 = 地図 多次元の全体像を見せてくれる。でもあなた個人には踏み込まない 杖を持って地図を見る。そうすると初めて 自分が今どこにいて、どこに向かっているかが見える 28

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まとめ なぜ勉強しているか → 人の違いの構造が面白い。 「正しさ」は全部フィルター越し エニアグラムとは → 動機(Why)で分類する体系。タイプは自分で決めるしかない インテグラル理論とは → メタ認知のフレームワーク。多次元で自分の見方の偏りを知る 2つを組み合わせる理由 → 杖(エニアグラム)と地図(インテグラル)で初めて歩ける 29

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簡単な答えがないから、面白い。 人はそれぞれ違って、見えるほど面白くなる。 30