Slide 1

Slide 1 text

"これから学ぶ" システム思考
 Retty株式会社
 常松祐一
 2021/06/26


Slide 2

Slide 2 text

自己紹介
 ● 常松祐一 (つねまつ ゆういち) 
 ○ Engineering Manager 
 ○ Software Engineering Coach 
 ○ Agile Development
 ● SNSアカウント
 ○ tunepolo : 
 ○ tune : 
 
 ● 顧客にとって価値のあるプロダクトを、チーム一丸 となって協力し、短期間にリリースする開発体制の あり方を模索しています。 


Slide 3

Slide 3 text

システム思考とは?


Slide 4

Slide 4 text

システム思考とは?
 問題を単発の出来事として考えずに、 パターンとして捉え、そのパターンを 生み出している構造を理解することで 構造に働きかける
 Photo by Laura Ockel on Unsplash

Slide 5

Slide 5 text

システム思考とは?
 パターンとして 捉え 構造を理解し 構造に働きか ける

Slide 6

Slide 6 text

Rettyのデータ分析チームの事例で説明


Slide 7

Slide 7 text

Rettyのデータ分析チーム
 ● 「分析の民主化」を目ざし、Rettyの様々な業務領域で意思決 定支援・データ基盤整備に貢献
 ● 業務量が日に日に増え、常に忙しく余裕がなかった


Slide 8

Slide 8 text

パターンとして捉える
 (因果と結果)


Slide 9

Slide 9 text

「忙しさ」の因果関係を洗い出す
 成果 (が出る) 依頼 (が増える) 忙しさ (が増す) 依頼者のスキル (が向上) 分析の難易度 (が上がる) 因果 結果 ● 変数に着目し、因果関係で線を引く。 ● 変化の方向が同じか、逆か。 ● 時間的遅れ( // )がある場合もある。 分析担当者 (が減る) 同 同 逆 同 同 //

Slide 10

Slide 10 text

構造を理解する
 (因果ループ)


Slide 11

Slide 11 text

自己強化ループ
 成果 (が出る) 依頼 (が増える) 忙しさ (が増す) 同 同 使命感 (が増す) 同 同 やる気ループ

Slide 12

Slide 12 text

バランス型ループ
 成果 (が出る) 依頼 (が増える) 忙しさ (が増す) 同 同 使命感 (が増す) 同 同 断る依頼数 (が増える) 逆 同 やる気ループ 体力の限界ループ

Slide 13

Slide 13 text

描くときのコツ・ポイント
 ● 「因果」「結果」は変数を選ぶ
 ○ 「増えた(減った)」など結果がわかりやすくなる。
 ● 実際に起きていることを描く
 ○ 想像で「こうだろう」と描いてしまいがち。
 ● 複数人で描く
 ○ 認識の差異が見えるかされて有意義。


Slide 14

Slide 14 text

実際にデータ分析チームと描いてみた因果ループ


Slide 15

Slide 15 text

主要なものを残して構造を整理
 忙しさ 協力先 業務量 分析結果 の質 リード タイム 成果 逆 同 同 逆 同 同 同 // 同

Slide 16

Slide 16 text

構造に働きかける
 (レバレッジポイントの見極め)


Slide 17

Slide 17 text

レバレッジポイント = 最も効果的なテコ入れ箇所
 忙しさ 協力先 業務量 分析結果 の質 リード タイム 成果 逆 同 同 逆 同 同 同 // 同

Slide 18

Slide 18 text

データ分析チームで何が起きていたのか?
 ● データ分析者は個人ごとに未消化タスクリストを持っており、手が空いた時 に少しずつ消化していた。
 ○ 質・リードタイムともに悪くならず、依頼者に分析者の忙しさがフィード バックされない構造となっていた。
 ● 分析チームがとった対応
 ○ 受ける分析タスクに上限を設け、きちんと断る。
 ○ 個人だと断りづらいので、チームで取り組むようにした。
 ○ 何を優先して分析するか依頼側が考えるようになり、仕事量が適切な 業務量に落ち着くようになった。


Slide 19

Slide 19 text

因果ループ図をもとに話をする
 ● 因果関係がわかりやすく整理できていれば相手も話を聞きや すくなりますよね
 ○ 「うちのメンバー忙しすぎてもう仕事受けられません。断ら せてください」
 ○ 「こういう構造ができています。
 ここを変えるとこう変わるはずです。
 仕事の受け方を変えさせてください。」


Slide 20

Slide 20 text

システム思考を支える考え方/ツール


Slide 21

Slide 21 text

氷山モデル→見えているのは全体のほんの一部
 [出来事] データ分析チームはたくさんの仕事を依頼される [行動パターン] そのうち仕事が落ち着くと信じて頑張る [構造] タスクリストを持ち、時間ができたら消化する [意識・無意識の前提] - (受け側)不要な仕事は依頼されないだろう - (依頼側)キャパを超えたら断わるだろう

Slide 22

Slide 22 text

時系列変化パターングラフ→どう変えていきたいのか
 現在 過去 未来 変数

Slide 23

Slide 23 text

システム原型→よくあるパターン
 解決の指針を得やすくなる
 1. 成長の限界
 2. 急がば回れ
 3. 問題のすり替わり
 4. 目標のなし崩し
 5. 強者はさらに強くなる
 6. エスカレート


Slide 24

Slide 24 text

まとめ


Slide 25

Slide 25 text

改めて - システム思考とは?
 問題を単発の出来事として考えずに、 パターンとして捉え、そのパターンを 生み出している構造を理解することで 構造に働きかける
 Photo by Laura Ockel on Unsplash

Slide 26

Slide 26 text

まとめ
 Photo by Hannah Busing on Unsplash ● 表層的な対応でなく、問題の構造を抑えた対 処をしていきましょう。
 ● システム思考がその一助となるはず。


Slide 27

Slide 27 text

参考文献
 易しい 難しい