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"これから学ぶ" システム思考 Retty株式会社 常松祐一 2021/06/26
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自己紹介 ● 常松祐一 (つねまつ ゆういち) ○ Engineering Manager ○ Software Engineering Coach ○ Agile Development ● SNSアカウント ○ tunepolo : ○ tune : ● 顧客にとって価値のあるプロダクトを、チーム一丸となって協力し、短期間にリリースする開発体制のあり方を模索しています。
システム思考とは?
システム思考とは? 問題を単発の出来事として考えずに、パターンとして捉え、そのパターンを生み出している構造を理解することで構造に働きかける Photo by Laura Ockel on Unsplash
システム思考とは? パターンとして捉え 構造を理解し構造に働きかける
Rettyのデータ分析チームの事例で説明
Rettyのデータ分析チーム ● 「分析の民主化」を目ざし、Rettyの様々な業務領域で意思決定支援・データ基盤整備に貢献 ● 業務量が日に日に増え、常に忙しく余裕がなかった
パターンとして捉える (因果と結果)
「忙しさ」の因果関係を洗い出す 成果(が出る)依頼(が増える)忙しさ(が増す)依頼者のスキル(が向上)分析の難易度(が上がる)因果 結果● 変数に着目し、因果関係で線を引く。● 変化の方向が同じか、逆か。● 時間的遅れ( // )がある場合もある。分析担当者(が減る)同同逆同同//
構造を理解する (因果ループ)
自己強化ループ 成果(が出る)依頼(が増える)忙しさ(が増す)同 同使命感(が増す)同同やる気ループ
バランス型ループ 成果(が出る)依頼(が増える)忙しさ(が増す)同同使命感(が増す)同同断る依頼数(が増える)逆同やる気ループ体力の限界ループ
描くときのコツ・ポイント ● 「因果」「結果」は変数を選ぶ ○ 「増えた(減った)」など結果がわかりやすくなる。 ● 実際に起きていることを描く ○ 想像で「こうだろう」と描いてしまいがち。 ● 複数人で描く ○ 認識の差異が見えるかされて有意義。
実際にデータ分析チームと描いてみた因果ループ
主要なものを残して構造を整理 忙しさ協力先業務量分析結果の質リードタイム成果逆同同逆同同同//同
構造に働きかける (レバレッジポイントの見極め)
レバレッジポイント = 最も効果的なテコ入れ箇所 忙しさ協力先業務量分析結果の質リードタイム成果逆同同逆同同同//同
データ分析チームで何が起きていたのか? ● データ分析者は個人ごとに未消化タスクリストを持っており、手が空いた時に少しずつ消化していた。 ○ 質・リードタイムともに悪くならず、依頼者に分析者の忙しさがフィードバックされない構造となっていた。 ● 分析チームがとった対応 ○ 受ける分析タスクに上限を設け、きちんと断る。 ○ 個人だと断りづらいので、チームで取り組むようにした。 ○ 何を優先して分析するか依頼側が考えるようになり、仕事量が適切な業務量に落ち着くようになった。
因果ループ図をもとに話をする ● 因果関係がわかりやすく整理できていれば相手も話を聞きやすくなりますよね ○ 「うちのメンバー忙しすぎてもう仕事受けられません。断らせてください」 ○ 「こういう構造ができています。 ここを変えるとこう変わるはずです。 仕事の受け方を変えさせてください。」
システム思考を支える考え方/ツール
氷山モデル→見えているのは全体のほんの一部 [出来事]データ分析チームはたくさんの仕事を依頼される[行動パターン]そのうち仕事が落ち着くと信じて頑張る[構造]タスクリストを持ち、時間ができたら消化する[意識・無意識の前提]- (受け側)不要な仕事は依頼されないだろう- (依頼側)キャパを超えたら断わるだろう
時系列変化パターングラフ→どう変えていきたいのか 現在過去 未来変数
システム原型→よくあるパターン 解決の指針を得やすくなる 1. 成長の限界 2. 急がば回れ 3. 問題のすり替わり 4. 目標のなし崩し 5. 強者はさらに強くなる 6. エスカレート
まとめ
改めて - システム思考とは? 問題を単発の出来事として考えずに、パターンとして捉え、そのパターンを生み出している構造を理解することで構造に働きかける Photo by Laura Ockel on Unsplash
まとめ Photo by Hannah Busing on Unsplash● 表層的な対応でなく、問題の構造を抑えた対処をしていきましょう。 ● システム思考がその一助となるはず。
参考文献 易しい 難しい