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登壇者紹介 ● 番組の映像制作や配信に関する技術を設計、管理、マネジメントする部署 ● 現在、7名(内、テレビ朝日出向2名)にて配信制作の技術設計管理を行っている ● 映像制作技術や設備インフラ構築に関しては、その分野を牽引している放送業界のノウハ ウが必要不可欠となる。CyberAgentとテレビ朝日との共同事業であることにより、IT業界と 放送業界の専門知識を融合し、一つのチームで肩を並べ、同じ目標を持って、業務を行え ていることが、私たちの強みだと思っています。 技術局 茅野 田中 佐藤

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ABEMAの番組 ● スポーツ、将棋、麻雀、アニメ、音楽LIVE、バラエティ、ドラマ、多岐にわたるジャンル が、同時並行で制作・配信 ● 多数の番組を同時並行で運用するため、低コスト・低リソースが求められる事も ● 番組が決定してからのスピード感も早く、どれだけ迅速に準備が行えるか、常に環境を 用意できているかが重要

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番組制作プロデューサー 制作会社 Technical Manager 技術会社 番組の制作 配信業務における技術責任者 ● 番組企画趣旨に合わせた技術的マネージメント ● 技術会社手配、オペレーション指示 (撮影・音声・配信技術まわり) ● 回線設計、手配 (ネットワーク回線、映像回線) ● イベント運営、舞台監督等との連携 Technical Manager業務 システム構築、管理 番組制作に必要な設備、配信のシステムの改善、構築、運用 ● 生配信に必要な現場システム、機材について、システム開発担当と連携し、構築、改善 ● 制作、配信を行うスタジオ設備の設計、構築、運用 現場オペレーションを外注しているため、利便性、公平性、安全性を考慮した環境構築、ルール作りが 重要なミッションとなっている

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番組制作の現場

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● けやき坂スタジオ ○ ABEMA NEWS など ● Mリーグスタジオ ○ Mリーグ など ● UDAGAWA BASE ○ 月〜土 レギュラー音楽番組 など ● Chateau Ameba Chateau Ameba 主な番組制作拠点 UDAGAWA BASE

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オーディオ ミキサー カメラ マイク 照明 VTR VTR テロップ 映像スイッチャー 放送(配信)設備 映像伝送設備   (中継など) インカム スタジオフロア Studio Floor 副調整室(サブ) Sub Control Room スタジオ設備の基本

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Chateau Ameba ● 大小様々なスタジオを持つ番組制作の中核 ● 年間6,000を超える番組を制作 ● 生放送や収録が同時並行で行われている トーク・バラエティ・音楽・将棋・公営競技・情報など スタジオ(フロア・サブ) ラジオ 中継受け・VTR出し番組など サブのみ 8 4

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開局から5年 ● 故障や不具合が増え番組制作に影響 ○ フリーズ、黒みの発生、音声の混信 ● スイッチャーのサポート終了 ○ スタジオ設備の中心となる機材の修理対応ができない ● 少人数制作だけでなく、「テレビっぽい」分業制の番組まで ● 設備構築時点では想定していなかったPPVの有料放送も始まり 映像・音声品質、安定性の向上は不可欠 サイバーエージェント スタジオ戦略室と連携したスタジオ更新プロジェクトが始動 機材 制作 さらに

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オーディオ ミキサー カメラ マイク 照明 VTR VTR テロップ 映像スイッチャー 放送(配信)設備 映像伝送設備   (中継など) インカム 更新前 機能一体型の配信向け機材 - スイッチャーにVTR・テロップその他機能を 含んでいる - 少人数制作には使いやすい - 大型番組など複数人でのオペレーション、 本番中の素材追加が難しい - 長時間・高負荷運用時の安定性に課題 免許不要のB帯を一部で使用 - 免許不要・安価に使用できる - 混信リスク、音質や安定性に課題 IP無線機をインカムとして使用 - Wifi圏内であればスタジオをまたいで 使用できる - 音質が悪く、遅延があるため密な連携 には不向き 信号線は各サブ独立 - 回線センターに各サブとの信号 TRK線のみ 敷設 - 複数のサブを使う番組では物理的な接続作 業が必要で、他サブで放送中の作業には事 故リスクがあった 商用電源のみ - 放送の根幹に係る設備だが停電時には 全ての生放送が停止してしまう - 別PJにてデータセンタへ移転

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スタジオ利用の特徴 ・高可用性 ・編集不要で様々な画面構成の映像を実現 汎用性があり、特定の番組やジャンルに特化していない ・慣れていないスタッフでも使いやすい ・独自性が有りすぎない ● 生放送が多い ● 様々なジャンルの番組で使用 ● 社内外の様々なスタッフが使用 設備に求められる姿 ・機材・配置が一人でも分業でも使いやすい ・複数のスタジオをまたいでも連携しやすい ● 少数制作〜大人数制作

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放送業界に訪れている"波"

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放送現場に訪れている波 ● AI活用 ○ 画像認識 ○ ビッグデータを使った番組演出への活用 ● リモートプロダクション ○ リモート出演 ○ リモートオペレーション ○ ロボットカメラ ○ クラウド編集 ● スタジオ設備のIP化 部分的に導入していくことができるため進めやすい 設備全体に導入してこそ意義があるためタイミングの見極めが重要

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● 今や40G/100Gなどが当たり前に ● 2017年 SMPTE ST.2110が承認 ○ SMPTE:国際的な標準化組織 ○ 放送設備のIP化に関わる圧縮、同期、補助データ のやりとりなどを規定 ○ IPだけで構築できるだけの機材が揃ってきた ○ メーカーの経験値も高まっている スタジオ設備のIP化 HD-SDI 1.5Gbps シリアル信号  ケーブル1本=1つの映像

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IP化のメリット 【相互接続性】機器の上流・下流を意識することがない 【規格対応性】4KやHFRなどの長距離伝送や新規格への対応 【拡張性】ネットワーク上に機器を追加することで柔軟な拡張が可能 【ITっぽい】サイバーエージェントならIPにした方が「っぽい!?」

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Chateau Ameba 設備更新

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更新コンセプト 1. 配信事故ゼロのための安定した設備 2. 映像・音声品質の向上、オペレーション環境の改善 3. 制作要件を実現できるスタジオ構築 4. スペースファクターの維持・向上 ABEMA番組制作スタイルの変化に対応する最適な機器への移行

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更新スケジュール 詳細仕様確定
 構築準備・発注
 回線
 センター
 工事
 インカム
  ・
 室間布線
 0サ ブ 工 事
 1サブ毎工事・システム調整 
 検査・トレーニング 
 (1サブ12日間程度)
 全体基本設計
 RFP作成
 デモ・機器調査
 SIメーカー選定
 POC・各種テスト 
 設計フェーズ
 調達フェーズ
 システム工事フェーズ 
 2020年1月
 2020.2Q
 2020年4月
 2020.3Q
 2020年7月
 2020.4Q
 2020年10月
 2021.1Q
 2021年1月
 2021.2Q
 2021年4月
 2021.3Q
 2021年7月
 2021.4Q


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従来の放送機器 ● HD-SDI信号が主流 ● 機器の設計概念 ○ 単機能 (例)スイッチャー、VTR、テロップなど別機材 ● 国内メーカーによる開発、サポート体制を重視 ● スイッチャー ○ 映像処理ごとに専用チップで処理することで安定動作 ■ 映像処理できる系統に制限 (リサイズ、テロップを重ねる、など) ■ 処理した映像に別の処理を加えると映像が遅れる ■ 映像処理数を増やすには物理的にボード増設

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CMの後は! ゲスト登場! テロップ 映像 ワイプ PGM KEY1 KEY2 カメラ映像をリサイズ DVE ② 重ねられる映像数の制限 ① 映像加工数の制限 ③ これらのレイアウト情報の保持数制限 DVE DVE DVE スイッチャー演出

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CMの後は! ゲスト登場! リモート対談 サンフランシスコ パース 初公開VTR 初公開VTR 監督の こだわりは? リモート対談 サンフランシスコ 東 京 リモート対談 リモート対談 東 京 パース 制作秘話を振り返ろう! Z Z Z 画面レイアウトの一例

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機器選定① 方針 放送機器メーカーの スイッチャー 自由度が高い ソフトウェアベース スイッチャー 目指す所 制約が多い 安定性に余裕 映像品質の担保 最優先は「安定性」「映像品質」であることから放送機器を導入 使用状況に委ねられる

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機器選定② IP化 【相互接続性】番組によって使用する機材の多少があるため効率的運用が可能 【拡張性】規模の拡大に応じて機材の追加やクラウド活用が見込める 【ITっぽい】放送機器としての使い方を超える新しい取り組みに期待 ● 機器間がSDIでもIPでも放送機器メーカーのスイッチャー設計思想は同じ ● これまでの放送機器にない概念での設計・運用となる制作現場の負担 ○ ➯様々なスタッフが使用するスタジオではリスクが高い ● 現時点で同じ使い方をする分にはIPベースでの構築コストが高い ○ ➯活用方針が決まっていない中でコストに対するメリット訴求不能 その一方 SDIベースのシステムで更新を行う方針へ

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更新工事スタート ● プロジェクト発足から1年半、ようやくメーカーに発注 ● 国内放送機器メーカーのSDIスイッチャーを選定しスタジオ更新をスタート ● スタジオフロアの無い5sub、配信室から更新を開始 ❏ 中継受けやVTR出しの番組中心なので 柔軟性はそこまで求められない ❏ 高い安定性とメーカーによる手厚い導入サポート ❏ 放送局での採用事例も多い機材のため ユーザーの習熟コストが低い ⇨ 格段に品質が向上

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2021年1月
 2021.2Q
 2021年4月
 2021.3Q
 2021年7月
 2021.4Q
 2021年10月
 2021.1Q
 2021年1月
 2021.3Q
 Radio
 6sub 配信室
 5sub 7sub
 3sub
 9月上旬
 完了予定
 音声WLマイク 
  1F B帯→WSへ
 9sub
 4sub
 2sub
 1sub
 8sub
 0sub
 回線センター工事
 インカム・室間布線
 館内共聴の更新
 4Fで視聴
 更新手順(当初想定)

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GPUパワーが許す限り数の制限なく画面構成可能 ソフトウェアベースによる拡張性 SDI・IP(ST2110、NDI、SRT、RTP)にマルチ対応 将来的なクラウド連携 国内大手放送機器メーカーによる販売、サポート

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新候補登場 放送機器メーカーの スイッチャー 自由度が高い ソフトウェアベース スイッチャー 目指す所 制約が多い 安定性に余裕 映像品質の担保 使用状況に委ねられる 新たな 候補機材 しかもSDI/IP両対応

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これだ!

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更新スケジュール凍結
 心配1 開発中の機材であり機能要件の一つの搭載が間に合っていない 工事業者のスケジュールの再確保 「実績」ゼロの機材を導入する覚悟 心配3 心配4 すでに始まっていた更新工事を中断して入念な検討 工事スケジュールが大幅に変わる ⇨ スタジオ利用者への再告知、スタジオスケジュール調整 心配2

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利用者と共にPoC ● スタジオ利用者を呼んでのPoC ● 導入予定のスイッチャーと新しい候補を比較操作 同時進行で ● 機器メーカーと開発スケジュールの打ち合わせ ● 実機を使い倒してバグや足りない機能の洗い出し ● システム工事会社と更新スケジュールの調整 ● スタジオ利用番組と代替スタジオの打ち合わせ

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覚悟を持って発注 ● 重要な機能要件の実現を確約 ● 実運用のシミュレーションを繰り返し顕在化していなかった不具合を絞り出す ● ユーザー(技術会社)への丁寧な機材レクチャー 8式の新型スイッチャーを導入

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2021年1月
 2021.2Q
 2021年4月
 2021.3Q
 2021年7月
 2021.4Q
 2021年10月
 2021.1Q
 2021年1月
 2021.3Q
 Radio
 6sub 配信室
 5sub 7sub
 0sub
 11月18日
 工事完了
 音声WLマイク 
  1F B帯→WSへ
 9sub
 4sub
 1sub
 3sub
 2sub
 8sub
 回線センター工事
 インカム・室間布線
 IT/IPプラットフォーム KAIROS verUP対応
 工事休止
 Swerの再選定
 館内共聴の更新
 4Fで視聴
 最終工程スケジュール

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全体概要 各スタジオ 映像設備の刷新 - 従来型SDIスイッチャー3式、IP対応スイッチャー8式導入 - VTR、テロップ機能をスイッチャーから分離 ワイヤレスマイクの周波数変更 - 常設マイクを免許制の周波数に変更、出力をアップ インカムシステムの全面刷新 - クリアカムを導入 - スタジオ/回線センター/外現場/マスターが連携できるネットワークを構築 信号の中央集約化 - 信号を集中管理・監視するマトリックスルーターを導入 - 汎用機材を分散配置から中央集約へ

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これからの挑戦

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更新により… 課題解決 ● 安定性の向上、品質の向上 ● 柔軟な画面構成ができる 将来活用 ● IPへの対応 ○ ABEMAで多用してきたNDIに加え、ST2110、SRTなども入出力が可能 ● 可視化されたマクロ ○ 特定のアクションをコードで編集可能 ● REST APIによる遠隔制御 ○ APIが公開されており専用機材以外からの外部制御が可能

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IPの活用 ● 伝送装置以降の IP化によりENC/DECの回数を低減 ○ 品質向上、障害ポイント削減 ● 双方向通信が可能なため現場との連携がしやすい ENC装置 DEC装置 SDI IP SDI SWer 入力 伝送装置 SDI IP SWer 安定した回線確保が一つのハードル 5Gやその他通信方式の動向を注視しながら積極的にトライアルを実施 現在 将来 映像圧縮 5~10Mbps 回線ボンディング 現場  スタジオ リモートプロダクション ● ビットレートを下げ、モバイル回線のボンディングを併用してリモートプロダクションを実現 ● 伝送本数が少ない場合や安定した回線が確保できた時には高画質なコーデックを使用して伝送する こともあるが双方で SDIにして処理をしている

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IPの活用 ● 必要なリソースをシャトーアメーバに構築しなくとも、都度クラウド利用する ○ スペース、コスト、演出範囲の制限を打破 ● 最終的にはクラウド側で本線映像を制作することでそのまま配信へ SDI IP SWer 番組の幅が広いからこそ物理的制約にとらわれない番組作りにつなげたい 入力 SDI 入力 VTR IP SWer 配信へ VTR CG AI SRT ST2110 クラウドリソース連携

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マクロ・APIの活用 ● コードベースによるマクロの構築により、あ る程度自由な演出が可能となった ● ある程度のプログラミングスキルが必要に なる マクロの柔軟性 ● 今までのSWでは外部トリガーを用意す る場合、専用機器(放送機器)を用意す る必要があり、コスト、機能的な制約が 発生していた ● APIが提供され独自ソフトウェアを構築 することで、ハードウェアの依存が少なく なり、演出の幅を広げることが可能と なった APIの提供 キャプチャはる より拡張性、柔軟性の高くなり、演出の幅を広げることが可能になった

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マクロ・APIを活用した検証 KAIROS マクロ機能 ABEMA システム ABEMAのシステムからコメント を取得し、KAIROSのマクロ実 行APIを叩くソフトを配置 ローカル ネットワーク 将来的には、クラウドからインターネット経由で実 行も可能 RED マクロが叩かれた場合は、 現在のワイプサイズを取得し、赤 ワイプを大きく、青ワイプを小さく する処理をプログラミング ユーザーの リアクション

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これからの映像制作 クラウドや、IPとシームレスに連携した、より柔軟な制作環境 ソフトウェアの世界との融合による新しい演出 「ABEMAだからできること」が増えてくる世界で 新しい未来のテレビらしい番組制作に 今後もチャレンジしていきます

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