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バスロケーションデータを用いた バス所要時間の変動特性の分析 立命館大学 B4 鈴木 みずほ B3 永井 里奈 准教授 塩見 康博 滋賀データ活用LAB研究発表会 2021年3月2日

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背景 遅延要因を分析し、時刻表と実際の運行の乖離を減らす必要がある 様々な遅延要因に対するバスの所要時間の変動特性分析を行う 2 路線バスが抱える課題 時刻表と実際のバスの運行との乖離が発生 主な要因… 経由バス停での早発対策や交通渋滞対策を意識した時刻表設計

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目的① バスロケーションデータを用いて、実際の所要時間を求めることで、 運行実態を明らかにする 具体的に…  月、系統、天候等の条件による所要時間の変動特性の把握  経由バス停の通過時刻を算出し、遅延要因を含む地点を考察 時刻表と実際のバスの運行との乖離を減らすために 考慮すべき遅延要因の把握・その対策の考察 3

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目的② 所要時間変動を考慮した上で、1限(9:00)に間に合う/間に合わな いバスを特定する 具体的に…  南草津駅の出発時刻、立命館大学への到着時刻を系統ごとに整理  系統、天候による比較 1限に間に合うために、乗ってはならないバスを明らかとする 4

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分析対象・使用するデータ 5  近江鉄道バス 南草津駅発、立命館大学着の4系統 パナソニック東口経由、かがやき通り経由、パナソニック西口経由、 シャトルバス 〈パナソニック東口経由〉 〈シャトルバス(ジョイントライナー)〉 〈かがやき通り経由〉 〈シャトルバス(普通車両)〉 〈パナソニック西口経由〉

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分析対象・使用するデータ 6  滋賀県から提供されたバスロケーションデータ  利用する内容 • 車両番号 • データ受信日時 • 緯度・経度(日本測地系 1/1000分) • 速度 • 曜日区分(1:平日、3:土曜、4:日祝) • 系統の始点出発時刻 • GPS測位状態 (0:未測位、1:2次元測位、2:3次元測位、3:異常) • ドア開閉状況 (0:通常、1:前ドア開、2:後ドア開、3:両方)  データの期間 2019年4月~2020年3月  総レコード数 1,551,797 ※終点到着時刻・所要時間は 緯度経度データやドア開閉状況 データを用いて自ら算出した値 を用いる。

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所要時間比較(月・系統ごと) 7  通勤通学の時間帯は遅延が発生する傾向 →交通量が多いことによるものだと推測 〈かがやき通り経由の出発時刻と所要時間に関するグラフ〉 〈シャトルバスの出発時刻と所要時間に関するグラフ〉 所 要 時 間 [ 分 ] 出発時刻[時] 所 要 時 間 [ 分 ] 出発時刻[時]  開講期中の方が長期休暇中よりも所要時間が大きい傾向 →途中バス停からの利用者が所要時間に影響していると推測 バス所要時間変動特性

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所要時間比較(天候ごと) 8  雨の時間帯の所要時間の方が 晴れの時間帯よりも長い傾向 〈雨の時間帯と晴れの時間帯の所要時間の差に関する 系統別グラフ〉 ※参考:気象庁データ 降雨が0㎜の場合を晴れ、 降雨が0㎜より多い場合を雨と定義 時 間 差 [ 分 ] 出発時刻[時] シャトルバス かがやき通り パナ東口 パナ西口 雨 の 方 が 長 い 晴 れ の 方 が 長 い  シャトルバス、かがやき通り経由 朝の通勤通学の時間帯において、 その傾向が顕著 →雨の時間帯には交通量が多く、 かがやき通り経由の経路において その傾向が顕著な地点がある バス所要時間変動特性

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経由バス停までの所要時間と時刻表の比較 9  経由バス停では時刻表より遅延し、終点では早く着いている傾向 →時刻表が経由バス停での早発を防ぐように設定されていると考察できる  野路北口で1日の平均所要時間のグラフの傾きの変化が大きい 加えて、7・8時台においてより顕著であることが分かる →周辺の交差点で混雑が発生していると予測 〈かがやき通り経由の始点からの累積距離と所要時間に関するグラフ〉 始 点 か ら の 距 離 [ m ] 所要時間[分] 立命館大学 立命館大学正門 若草北口 丸尾 向山ニュータウン 東矢倉職員住宅 東矢倉南 東矢倉4丁目 草津クレアホール 野路北口 時刻表通りの 運行 一日の 平均所要時間 7・8時の 平均所要時間 バス所要時間変動特性

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ここまでのまとめ 10  所要時間には月・時間帯・天候が影響していることが明らかに 具体的に…  交通量の影響で、通勤通学の時間帯は遅延が発生しやすい  朝8時頃、シャトルバス・かがやき通り経由で晴天時と雨天時では 所要時間に約11分の差がある  時刻表の早発対策により、経由バス停での遅延が常態化  朝7・8時台、野路交差点で混雑が発生しやすい バス所要時間変動特性

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分析方法 11  2019年度春学期(4・5・6・7月)と秋学期(10・11・12・1月)の 第2週金曜日を調査  受信日時、緯度・経度(日本測地系)、系統の始発時刻を利用  立命館大学バス停の緯度経度とバスの緯度経度の差が最小となる時 刻を到着時刻と定義 <対象系統>  パナソニック東口経由  シャトルバス  かがやき通り経由  パナソニック西口経由 遅刻バスの特定

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分析対象路線の経路 12  近江鉄道バス 南草津駅発、立命館大学着の4系統 パナソニック東口経由、かがやき通り経由、パナソニック西口経由、 シャトルバス 〈パナソニック東口経由〉 〈シャトルバス(ジョイントライナー)〉 〈かがやき通り経由〉 〈シャトルバス(普通車両)〉 〈パナソニック西口経由〉 遅刻バスの特定

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出発時刻と所要時間の可視化 13  2019年4月12日 遅刻バスの特定 南草津駅を 出発 立命館大学 に到着 後発の東口経由がシャ トルより早く到着 9:00 遅刻

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所要時間の天気の関係 14 遅刻バスの特定  降雨なし  降雨あり 2019/6/3(月) 2019/6/7(金) • 8時18分発のかがやき経由でも遅刻 • 8時31分発のシャトル(ジョイントライナー)に乗るのが正解

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まとめ〜遅刻をしないために〜 15 遅刻バスの特定 4/12 5/10 6/7 7/12 10/11 11/8 6/3 6/10 12/13 1/16 6/14 <東口経由> • 8:16発に乗れば確実に間に合う • 天気が良ければ30分台発に乗っても 間に合う • 40分台は遅れるリスクが高い <シャトルバス> • 8:30台発に乗れば間に合うこと が多い • 雨が降っていれば、8:16分発の 東口を選んでおくと遅れるリス クが低い <西口経由> • 8:01発に乗れば確実に間に合う • 8:30発は遅れるリスクがあるので、 わざわざ南草津から乗る必要がない <かがやき経由> • 8:30発に乗れば大体間に合う(春 学期前半は遅れ気味?) • 雨の日は乗らない方がよい

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全体のまとめ 16  時刻表について… 早発対策を考慮しながら、遅延が見られる時期とその他の時期の 計画所要時間を各々に合うように調整すべき  所要時間について… 出発時刻・路線・天候によって傾向が異なるため,予測到着時刻 情報の提供が有効  時刻表の改正以外にも… 道路ネットワーク全体での渋滞対策を図ることで、所要時間の 安定性を保つという対策も効果的