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別所 岳 1人じゃ無理でも 2人ならできる! プロダクトオーナーとスクラムマスターの協 働で加速するスクラム改善 2025年10月4日 スクラム祭り 2025 千株式会社 システム開発部 萩原 悠

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SEN CORPORATION 自己紹介 • べったけ(@gb_pdm) • 2024.4月に千に入社 • 職種 : プロダクトマネージャー • 経歴 : SIerでPjM→PdM→PdM • 趣味 : キャンプ • 2児の父(8月に第二子爆誕!) • おはぎ(@ohagi_dev) • 2023.8月に千に入社 • 職種:スクラムマスター • 経歴:ずっとエンジニア • スクラムフェス大阪2025に参加

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SEN CORPORATION MVV

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SEN CORPORATION 事業概要 保育業界の課題を ITで解決し、 子どもたちの心と身体を強く育む 幼い子どもたちにとって重要な存在となる、保育士や幼稚園教 諭。 先生たちの働きやすい環境を作ることがより良い教育につなが り、それは子どもたちの健やかな心を育みます。 そして幼い頃から食育をサポートすることで、 子どもたちが将来、健康で豊かな暮らしができるようになります。 私たちは、先生も子どもたちも、一緒に笑顔で成長していける未 来を創っていきます。

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SEN CORPORATION 今日話すこと ※タイトルに嘘はないですが、当初のプロポーザルの内容からかなり変わってしまっています。。。

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SEN CORPORATION 入社当時の組織とチーム体制 今回はまとめて事業部と表現してます 前職で3年ほど POロールでスクラム経 験あり スクラム? 知ってはいるけどやっ たことない

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SEN CORPORATION 第1章 「健全な対話」を生み出す土台作り 2024年4月〜 by べったけ

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SEN CORPORATION © SEN CORPORATION 突然ですが

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SEN CORPORATION © SEN CORPORATION プロダクト開発する上で 大事にしていること はなんですか?

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SEN CORPORATION © SEN CORPORATION 良いプロダクトはチームや顧客との 「健全な対話」を積み重ねていく ことで生まれる (と信じている)

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SEN CORPORATION 健全な対話とは? • お互いのコンテキストを理解した上で行われる対話 • お互いにリスペクトを持って行われる対話 • 説得、論破ではなく理解し合いより良くしていくための対話 • 失敗や不都合な真実を隠さずにオープンにして行われる対話 • 保身のためではなく価値にフォーカスして行われる対話

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SEN CORPORATION 健全な対話を生み出す 3つの要素 プロダクト開発サイクル全体を通して健全な対話を生み出すための 3要素 スクラムはこれらの要素を満たすための 1つの方法論 ※勝手に作った概念です

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SEN CORPORATION もしこの3要素のどれか 1つでも欠けていると Goal Alignmentがないと Structured Conversationsがないと Collaborative Trustがないと ・優先順位が付けられない ・言われた順にPBIが積み上がっていく ・「緊急度は低いが重要度は高い」対話がなくなる ・問題の発見が遅くなる ・本質的な発言が生まれない ・対話の場が形式的なものになる

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SEN CORPORATION 入社した際に感じたモヤモヤ Goal Alignment Structured Conversations Collaborative Trust ・チーム内で複数 pjtが同時に走っている →朝会で共有されるお互いの内容についてみんな理解できてる? →コンテキストを理解したうえでフィードバックやレビューできている? ・プロダクト改善のための場が少ない →個人単位で課題を感じていてもその課題感を表明して話し合えている? ・事業部と開発部の接触頻度が少ない →お互いのやっていことを理解できている? ・事業部とのやり取りが「言質をとる場」になっている →「ユーザーにとって価値があるか」ではなく「あの人がこれで良いと言っていた」 らOK? ・一緒にプロダクト作りをしているグルーブ感がない

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SEN CORPORATION 「なぜこれを作るべきなのか?」を自分の言葉で説明できるようにして自分の意志で 開発を進める Goal Alignmentでやったこと①

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SEN CORPORATION 「なぜこれを作るべきなのか?」を自分の言葉で説明できるようにして自分の意志で 開発を進める Goal Alignmentでやったこと① ・開発優先度が明確になり事業部や役員とトレードオフの議論が可能になる

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SEN CORPORATION Goal Alignmentでやったこと② ・プロダクトバックログを作成し優先度の高いエピックをチーム全員で開発する形 式に変更 ・PBIも本番 / ステージング環境で受け入れ検証可能な形で分解する Before After

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SEN CORPORATION Goal Alignmentでやったこと② ・プロダクトバックログを作成し優先度の高いエピックをチーム全員で開発する形 式に変更 ・PBIも本番 / ステージング環境で受け入れ検証可能な形で分解する Before After ・朝会でエンジニア同士での確認、会話が増える ・モブプロやお互いをサポートする動きが増える

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SEN CORPORATION Structured Conversationsでやったこと スクラム導入と合わせてプロダクト開発サイクルを整理して可視化 各種スクラムイベントの実施 デザイナーとの協働

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SEN CORPORATION Structured Conversationsでやったこと スクラム導入と合わせてプロダクト開発サイクルを整理して可視化 各種スクラムイベントの実施 デザイナーとの協働 ・「顧客要望」「技術負債」「ロードマップ」について継続的に対話ができる環境 ・スクラムイベントでの対話をきっかけに早期に問題を発見

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SEN CORPORATION Collaborative Trustでやったこと 単純接触効果 巻き込む 事業部 / 開発関係なく早期に巻き込むこんで「一緒にやっていきましょうよ!」感を醸成する ・事業部 / デザイナーとUXリサーチ ・エンジニアと仕様のブラッシュアップ ・カメラオン ・slackのスタンプうざめ ・事業部のキックオフやオフィスに凸

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SEN CORPORATION Collaborative Trustでやったこと 単純接触効果 巻き込む 事業部 / 開発関係なく早期に巻き込むこんで「一緒にやっていきましょうよ!」感を醸成する ハードルを下げる ・事業部 / デザイナーとUXリサーチ ・エンジニアと仕様検討 ・カメラオン ・slackのスタンプうざめ ・事業部のキックオフやオフィスに凸 ・KPTでは質 < 量を優先 ・課題を出すのではなく、対話の中で問を投 げる 事業部の偉い人と関係を深めることができた チームから対話に関するポジティブな声が生まれてきた

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SEN CORPORATION だが、しかし・・・

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SEN CORPORATION 時 間 が 足 り な い い や 時 間 が 足 り な い

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SEN CORPORATION 第2章 「健全な対話」のために越境する 2024年8月〜 by おはぎ

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SEN CORPORATION Learning Outcome 「開発者からスクラムマスターへの転身する際に何から始めたら良いかのアイデアを 得られる」 • 突然スクラムマスターになろうとするのではなく、目の前の課題を解決すべく動く • なんでも自分一人でやろうとせず、必ず周りと対話する お伝えしたいこと

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SEN CORPORATION チーム活動のほぼ全てをリードしてくれており、何をするにもべったけ頼り。 スクラムイベントを含む会議の準備不足や、PdMとしての活動に時間を割けない等の 弊害が徐々に生じ始める。 ⬇当時の振り返りから抜粋。こんな調子が2ヶ月ほど続く… 順調な一方で体制に限界を感じる

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SEN CORPORATION © SEN CORPORATION プロジェクトマネジメントと スクラムの運用を移譲していきたい

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SEN CORPORATION 私が取り組むべきことは次の二つ。 • べったけの仕事を減らすこと • 本来のPdMの役割に専念してもらうこと 片手間でできるはずがないので、これまでの作業を手放して専念しよう。 エンジニアの枠を超えて

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SEN CORPORATION エンジニアからスクラムマスターへの転身 前任者との 1on1の頻度を増やす 自分の役割を 変えることを チームに宣言 チーム外の関係者に チームをリードするこ とを宣言 STEP 1 STEP 2 STEP 3 引き継ぎの意思疎通 不信感に 繋がらないように 引き継ぎの意思疎通

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SEN CORPORATION 外向けにはいきなりスクラムっぽくやろうとしない そもそも開発やスクラムに馴染みがないチーム外の方にとって、 突然よく知らないエンジニアが「スクラム」と言い出しても乗っかれない スクラムやっていきましょう! よくわからない … ステークホルダー スクラムマスター

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SEN CORPORATION いつの間にか入れ替わっている作戦

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SEN CORPORATION スクラムマスターを名乗り始めるが、そうはうまくいかない 権限移譲が曖昧で 具体的な作業でお見合い PBIテンプレートを作成するが かえって書きづらくなる スプリントを 2→1週間に変え 開発時間が取れない不満 仕組みを変えることに固執し、メンバーに向き合えていなかった

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SEN CORPORATION 健全な対話への回帰 with べったけ Structured Conversation お互いが期待するスタンスに重複や落ちているボールがないかを確認するワークを実施 • 自分が担当する • 自分がリードする • 誰かにリードして欲しい • 誰かにお任せしたい

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SEN CORPORATION 健全な対話への回帰 with チーム スクラム勉強会を開催! スクラムを通して チームがどうなりたいか Goal Alignment チーム憲章を作成! そのプロセスで チーム現在地を可視化 Structured Conversation Collaborative Trust Howは指示しない! メンバーを信頼し、委ねる 問いかけの総量を増やした

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SEN CORPORATION チーム内外の変化 チーム内の変化 チーム外の変化 開発者同士で自然にこんな会話が …! 「それ今回のスプリントゴールに必要なんだっけ?」 「これってユーザーにとって本当に使いやすいの?」 「こんな感じで良いの?」 不思議がりながらも協力してくれる スプリントレビュー べったけさんが PdMとしての本来の役割に専念できるように!

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SEN CORPORATION 第3章 2人で協働するためのさらなる工夫 2025年〜 by べったけ by おはぎ

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SEN CORPORATION べったけとおはぎの関係性の変化 「べったけ」が「おはぎ」に並走しながら指南するという関係性から 1人のPOと1人 のSMとして対等に対話ができる関係性に変化

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SEN CORPORATION 「スクラムあるある言いたい」という座談会を実施 週1ペースで2人でスクラムに関するあるあるネタを持ち寄り、 2人で討論する

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SEN CORPORATION ドキュメント管理 プロダクト開発で必要となるドキュメントの管理方針を整えることでコミュニケーショ ン負担を減らす ドキュメント種別 役割 内容 運用方法 PRD 開発企画書 ・「なぜ作るのか?」「期待成果はなに か?」「誰のどんな課題を解決したい のか?」をまとめたドキュメント ・PdMが叩きを作成しステークホルダー / 開発チームと対話しながらブラッ シュアップ・開発検討mtgで必要になる リリース資料 社内向けにリリース内容を 展開するための資料 ・リリース背景/ UIデザイン / 機能概要 / 注意事項などおを記載 ・分割リリースで進めることが多いのでどの順番で何がリリースされるのかを pjt単位でスライドにまとめる ・事業部やエンジニアと認識を合わせるためのペーパープロトタイプとして も活用 SPEC ユーザーストーリー単位で仕 様をまとめたドキュメント リリース資料よりも細かな仕様を記載 (バリデーション / 条件など) ・事業部との要件整理やリファインメントで活用 ・非エンジニアが理解できない内容は記載しない (ER図 / クラス設計 / 技術 選定など) PBI ユーザーストーリーを開発 チームで管理、開発可能な 状態に分解したもの ・SPECのリンク ・受け入れ基準 ・UnReady→Ready→WIP→Doneと いうステータスで管理 ・スプリント開始までにReadyにする ・プランニングで話した内容や技術的な関心事も記載・開発していく中で気に なったことを随時コメントで追加 ・フロー型として扱い重要な情報は別ドキュメントに切り出してリンクのみ記 載

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SEN CORPORATION 2人の関係性が社内でも認知されはじめている 採用チームから「べったけ・おはぎ」の関係性についての執筆依頼がくる Wantedlyのトレンドランキング2位に!

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SEN CORPORATION まとめ  ・良いプロダクトを作るにはプロダクト開発全体において、「健全な対話」を生み出すことが 大事! ・「健全な対話」を生み出すには「Goal Alignment」「Structured Conversations」 「Collaborative Trust」の3つの要素が大事 ・1人でプロダクト開発全体における「対話」を生み出すのは限界がある ・まずはプロダクトオーナーとスクラムマスターの2人で対話することから始めてみよう

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