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『理科系の作⽂技術』から学ぶ 技術⽂書の書き⽅ 2024/02/06 abekoh@MICIN LTゆる会

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はじめに ● 対象読者に読んでもらい、かつ理解してもらえる技術⽂書の書き⽅のテク ニックを『理科系の作⽂技術』を引⽤しながら紹介する ○ 技術⽂書: ここではエンジニア向けのブログ記事や社内ドキュメントなど ● ⾊々な記事をレビューしたり、ドキュメントを読んでいて、結局伝えたかっ たことが何なのかわからないことがある ● きちんと伝わるブログ記事やドキュメントの書き⽅‧テクニックについて、 『理科系の作⽂技術』と持論をもとに解説し、皆の⽂章⼒向上に役⽴てたい ○ 持論は💡マークを付けている ● 論⽂向けテクニックという側⾯もあるので、あくまで⼀つのスタイルとして 受け取ること ○ ブログ記事にすべて適⽤すると堅苦しくなってしまうが、 守破離の「守」として念頭に⼊れておくとよい

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『理科系の作⽂技術』 ● 物理学者の⽊下是雄の著作 ● 出版は1981年。現在でも毎年重版されているロングセラー ● 学⽣や社会⼈が授業や仕事の上で必要とされる、レポート、報告書、論⽂、 説明書、マニュアルなどの表現技術とプレゼンテーションのコツを、まとめ たもの ● 漫画版もある ● 次スライド以降、ことわりなくこの書籍を 引⽤する

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⽬次 ● ⼼得 ● ⼀⽂書⼀主題、ターゲットを明確に ● 「重点先⾏主義」を忘れない ● ⽂章の構成>>>⽂のうまさ ● 段落の「⼀⽂⽬」に魂をこめる ● 修飾語を刈り落とす ● はっきり⾔い切る姿勢 ● 図表‧参考⽂献を⼤いに使う ● わかりやすく簡潔な表現

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⼼得 理科系の仕事の⽂書を書くときの⼼得は 1. 主題について述べるべき事実と意⾒を⼗分に精選し、 2. それらを、事実と意⾒とを峻別しながら、順序よく、明快‧簡潔に記述する ことであると要約できる。 (p.6) ● 必要なことは漏れなく書く、必要ないことは⼀つも書かない ● 情報と意⾒の伝達だけを使命とし、感想を混⼊しないこと ○ 💡ブログ記事の場合感想中⼼でも良いが、事実‧意⾒と混同しないように注意す べき

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⼀⽂書⼀主題、ターゲットを明確に ● ⼀つの⽂書は⼀つの主題に集中すべきもの ○ 別の主題が混⼊すると、読者に与える印象が散漫‧説得⼒が低下 ● 主題を決めたら次に、⾃分は何を⽬標としているか、何を主張しているかを 熟考‧⼀⽂にしてみるとよい(⽬標規定⽂) ○ 💡「誰に」「何を」伝えたいか、具体名も含めて作ってみるもあり ○ 💡⽬標規定⽂をそのまま序論の最初に持ってくるのもあり

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「重点先⾏主義」を忘れない ● 表題(タイトル)、あるいは書き出しの⽂を読めば最も重要なポイントがわか るようにすべき ○ 読んでもらえるかどうかはここに懸かっている ● 表題は、的確に内容を⽰す具体的なものでなければならない ○ 💡本⽂書いてるとズレてくることも多いので、最後に考えるもよい

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⽂章の構成>>>⽂のうまさ ● ⽂章の死命を制するのは、⽂章の構成。以下が⼤切 ○ 何がどんな順序に書いてあるか ○ その並べ⽅が論理の流れに乗っているか ○ 各部分がきちんと連結されているか ● 語句のえらび⽅、⼝調のよさといった「⽂のうまさ」は⼆の次三の次 ● 全体構成の基本は「序論」→「本論」→「結び」 ○ 起承転結でなくてよい。特に「転」は不要 ● 💡箇条書きで最初に⾒出しだけ洗い出してみるとよい

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段落の「⼀⽂⽬」に魂をこめる ● 各段落の1⽂⽬に重点を置き、そこだけ読み進めても 理解できる⽂章にすること(トピックセンテンス) ○ 右図の⻩⾊の箇所だけ読むだけで内容が理解できるよ うにすべし ○ ⽇本語の場合難しいので意識が必要 ○ 流れを意識すると、やむを得ず2,3⽂⽬にくることも ○ 💡2,3⽂⽬になったときは思い切って太字にするのもあ り ● トピックセンテンス以降でその具体化を⾏う ―――――――――――――――――――― ―――――――。 ―――――――――――――――――――― ―。 ―――――――――――――――――――― ―――――――――――――。 ―――――――――――――――――――― ――――――――――。 ――――――――――――――――。 ―――――――――――――――――――― ―――――――――――――。 ―――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――。 ―――――――――――――――――――― ――――――――――。 ―――――――――――。 ―――――――――――――――――――― ――――――――。

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修飾語を刈り落とす ● ⽇本語は修飾句‧修飾節はかならず前置されるため、 逆茂⽊(さかもぎ)型の⽂章になりがち(右図の(A)) ○ パラグラフ全体を読まないと理解できない⽂章になってしまう ○ ⽇本語の性質上避けにくい ○ 英語論⽂では逆茂⽊型は書くのはNG、(B)のようにすべし ● 逆茂⽊型に対抗する⼼得 ○ ⼀つの⽂の中には⼆つ以上の前置修飾節は書きこまない ○ 修飾節の中のことばには修飾節をつけない ○ ⽂または節は、なるたけ前とのつながりを浮き⽴たせる ようなことばで書きはじめる ● 💡とりあえず思うままに書く→後で刈り落とすという 2フェーズで書くもあり https://www.jstage.jst.go.jp/article/butsuri/74/3/74_175/_pdf/-char/en

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はっきり⾔い切る姿勢 ● いくらか不⾃然に思えても、できるかぎり明確な、断定的な⾔い⽅をしたほ うがいい ● 「〜と思われる」「〜と考えられる」→当否の最終的な判断を相⼿にゆだね て⾃分の考えをぼかした⾔い⽅。逃げの余地あり ○ 「⾃分は〜と思う」「〜と考える」と書くべき ● 「ほぼ」「約」「ほど」「ぐらい」「たぶん」「ような」「らしい」をでき るだけ削ること ● 💡修飾語と同様、⼀旦書いてあとで刈り取ってみるとよい

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図表‧参考⽂献を⼤いに使う ● 図や表はいちばん⼤切な役割をしばしば演じる ○ 本⽂をはじめる前に準備すべし→何を書かなければならないかはっきりする ○ それしか⾒ない読者もいる。キャプション‧説明をつけるべし ○ 💡可能な限り前段で全体感が伝わる図表を置くとよい ● 引⽤‧参考⽂献は出典を明⽰して効果的に使う ○ 💡研究室の恩師⽈く「参考⽂献の無い‧少ない論⽂は、⾃分が勉強していないこ とを⽩状しているようなもの」

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わかりやすく簡潔な表現 ● ⽂は短く、短くと⼼がけて書くべき ○ 💡⻑くて3⾏。⻑くなりそうなら2つに分ければよい ● 不要に漢字を使わない ○ 字⾯が⽩いほうが読みやすいとされる ○ 「但し」→「ただし」、「等」→「など」、「事」→「こと」… ■ 💡絶対NGではないが、字⾯が黒いなと思ったときに対応してみるとよい ○ 💡電⼦情報通信学会 会誌原稿執筆のしおり 付録A 常⽤漢字表‧送り仮名につい て などルールに従ってみるのもよし ● 読点(、)の打ち⽅ ○ ①受けることばが、すぐ続くときはつけない。離れているときはつける ○ ②2つの⽂からできている⽂は、間につける ○ ③読点が多すぎてくどいときは③は省いてよい ○ 💡難しいので読み返して整える https://www.ieice.org/jpn/books/kaishiannai/kaishishiori.pdf

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おわりに ● 対象読者に読んでもらい、かつ理解してもらえる技術⽂書の書き⽅のテク ニックを『理科系の作⽂技術』を引⽤しながら紹介した ● 特に「⽬標規定⽂」「トピックセンテンス」「逆茂⽊型への対抗」だけは覚 えて帰ってほしい ● ごく⼀部の紹介なので、ぜひ書籍のほうも読んでほしい ● 兎にも⾓にも量をこなさないと上達しないので、どんどん書くべし ● ⾃分も改めて全然できていない‧わすれている箇所があったので、磨いてい きたい